嵐の前から静かじゃない
雄也視点
「はぁ…」
公園のベンチに座り今日で何度目かわからないため息を吐く。
幽体離脱生活が始まって大体5カ月。地獄みたいな夏もしつこい残暑も終わり、大部過ごしやすくなった…にはまだ早いかな?こうなってから暑いとか寒いとかわからないんだよね…
…さすがにここまでひとりぼっちだと退屈だな…この状態になっても幽霊とかを見たことがないのは一体何でなんだろう?
…やっぱり霊感なのかな?子供の頃からそういうの全く見たことないし。まあ仮に見えたとしてもその相手とうまくやっていけるかどうかはまた別の話か……
…駄目だ、もう考えることがない。まあいいや。いつもみたいに街灯の上に乗っかってぼんやり人を眺めよう。街路樹の紅葉はまだまだ見られないけど暇つぶしにはなるよね。
そう考えて立ち上がり、ふと公園の入り口を見ると───
「じぃ~~~~~~~~~~~~~~っ。」
「…」
女の子がこっちを見ていた。背の高さは僕と同じくらいで、腰まで伸ばした金髪と大きく開かれた同じ色の瞳が日の光できらきらしている。
着ているのはこの辺ではよく見る高校の制服だ。確か…花咲川だっけ?
「じじぃ~~~~~~~~~~~~~~〜〜〜〜〜っ。」
えっと……やっぱりこの子、僕を見てるんだよね?後ろには普通のベンチしかないし、れい姉と同じで霊感があるのかな?でもこんなまじまじと見られるのは初めてだよ……
というか、なんでそんな嬉しそうなのさ…?僕幽霊なんだけど……
「ねえ、あなたはそこで何をしているの?」
「…僕に言ってるの…?」
「そうよ!ため息を吐いていたように見えたけど一体なにをしていたのかしら?」
「と、特に何も…」
会話が出来るならもう気のせいじゃない…間違いなく僕が見えている。
「それなら!あたしと一緒に楽しいことをしましょう!」
「た、楽しいこと?一体なにするのさ……?」
「それはこれから考えるのよ!さあ、一緒に探しましょう!」
一体なんなの……怪しいお誘いとか、いやらしさとかそういうのはないけど、ぐいぐい寄ってくるので思わず後ずさる。
「きゅ、急にそんなこと言われたって…」
どうしよう…言葉の続きが出てこない…
「こころー!こころー!!」
こっちの返答が詰まっている事に相手が首を傾げたところで、遠くから誰かを呼ぶ声が聞こえてきた。
「あら、美咲が呼んでるわ!」
と彼女は一旦僕から離れる。助かった……
「そろそろ練習の時間だったわね。また会いましょう!」
そして、彼女は嵐のように走り去っていったのだった。
美咲視点
「こころー!こころー!!」
まったく今度はどこに行ったの……もうすぐ練習だっていうのに……
「美咲ーっ!」
公園から走ってくる人影が見える。あーよかった…今回はすぐに見つかったよ。
「そろそろ練習時間だよ。今度はいったい何してたの?」
「男の子と話していたの!」
一度目の前で止まってそう言うと、そのままCircleの方に走って行ってしまった。
「男の子……いないじゃん。」
「よ、よかった…みえてない…」
公園はもぬけの殻だった。なんか引っかかるけどきっと帰ったのだろう。というか今はこころを追いかけないと───
プロローグだけだとバンドリメンバーが出てこないので同日に一話も投稿しましたがそれでも少な目ですね……
次回はこれから書いていくので少々お待ちください。
2025/1/10 最後の方に透明文字を追加しました。