最近忙しかった上、またスランプになってしまって全然進みませんでした。
今回はれい姉とのやりとりと花音さん回前編です。
では、どうぞ
2025.6/16 中盤に色々書き足しました。
美麗視点
「はー、いい湯だったー。」
お風呂でリラックスし過ぎてついついだらしない声が出てしまう。
やっぱり入浴するのは自分の住んでる場所が一番だ。逆に銭湯とかは苦手でね……理由は察して欲しい。
「雄也ー。自習は進んでる?」
冷蔵庫からペットボトルのサイダーを取りだし部屋のドアを開けると
「うむむ……」
ローテーブルに置かれた数学の教科書とタブレットを前に雄也が唸っていた。ポルターガイストでペンを動かすと疲れてしまうのでタブレットがノート代わりだ。
「あれ?全然進んでないじゃん。」
苦戦しているようなのでアドバイスしようとタブレットを覗き混むと、お風呂に入る前からほとんど変わっていなかった。
「うん……ちょっと……」
冴えない顔をしている雄也だけど、基礎問題でうんうん唸る程成績が悪い訳ではない。
「もしかして、また何かあった?」
あまり自分のことを話したがらないが、昔からポーカーフェイスとは無縁の従弟だ。こういう時は必ず何かで悩んでいる。
「れい姉、体に戻るにはどうしたらいいんだろう……」
「……今、なんて?」
また演奏絡みかな?と思っていたら予想外の内容が飛んできた。
「僕さ、ライブが終わったら体に戻りたいんだけど、上手くいくのかな……最初やったとき全然駄目で諦めちゃったし……って、どうしたのれい姉?」
呆然としていたら雄也に心配されてしまった。いけないいけない。
「話は解ったから大丈夫。ちょっと待って。」
サイダーの蓋を空け、じわじわ込み上げてくる喜びと沢山の聞きたい事を一旦お腹に流し込んだ。口の中から喉に走る刺激が心地よい。
もちろん、この間まで死んだ目をしていた従弟がここまで変わって嬉しいし、こころちゃん達と何があったのかとても気になる。でも、今は雄也の悩みをちゃんと解決しないと。
「多分それね、気持ちの問題だと思う。」
ぷはっ、と一息ついてから雄也に向き直る。こういった悩み自体は珍しくないので、解決法はこれでいいはず。
「き、気持ち?根性で体に戻れってこと?」
「うーん……ちょっと違うかなぁ……」
雄也に伝わりやすくするには……あ、そうだ。
「例えばさ、今の状態の雄也ってはぐみちゃん家のコロッケを食べれないよね。」
実は今日帰りがけに買ってみたのだけど、ほくほくで本当に美味しかった。人気が出るのも納得だ。
「うん、体に戻れたら食べたいなとは思うけど……」
「その気持ち。」
「へ?」
「何か美味しいものが食べたいとか、可愛い動物を撫でてみたいとか……そういう事で体に戻りたいって思うことが大切なの。」
「そ、そんな簡単なものなの?」
「そんな簡単なものだって集まれば大きな力になるんだよ?」
もちろん、大きくて強い動機がないよりはあったほうがいい。でも、雄也は今まで体に戻る理由を見失っていた訳なので、簡単な目的をいくつか作っていく方が強い動機に繋がりやすいはず。
「あと、そういう気持ちでいると何か良いことあるかもね。」
「いいことって、どんな?」
「そこまでは流石に解らないかな?状況次第だし。」
何それ……と釈然としない表情の雄也。
意外だけど、幽霊や魂はその思いにつられて体質、というか霊の質が変わることが結構ある。今の雄也なら体に戻りたい気持ちを後押しする変化が起こるかもしれない。
でも、思いによる変化はネガティブなものでも起こる。憎しみや怒り、妬みといった強い負の感情に取り憑かれた霊は、人に危害を与える悪霊になってしまうのだから────
(…んぐっ…炭酸イッキはマズかったかぁ…)
「いやなにやってるのさ…」
雄也視点
れい姉のアドバイスをうけた僕は翌日、お昼過ぎの地蔵通り商店街をじっくり散歩してみることにした。
あまり行ったことのある場所ではなかったとはいえ、弦巻さんに見つかる前から散歩はよくやってるし、動機がみつかるかは正直不安だったけれど…
「────あ!ゆーくんだ!」
「き、北沢さん声のボリューム…!」
「あ…!ごめんゆーくん…けど急にどーしたの?」
「ちょっと散歩中…えっと、このお店を北沢さんの御家族が?」
「そーだよ!ゆーくんがいつ来てもいいように、ちゃんとコロッケ残しとくね!」
「いやまだ早すぎるから…」
みたいなやりとりがあったり…
「────わたーしのーここーろはーチョココロネーっ♪」
(この人、Poppin‘Partyで瀬田先輩の…!な、なんかちょっと気まずい…
あ…出てきたパン屋さんの中にも同じバンドの…アルバイトしてるのかな?)
…なんてことがあったり…
「───あ、紗夜さん!また来てくれたんですね!」
「はい。ちょっと小腹がすいてしまって…」
(……知り合い同士なのかな?あとあのお客さん、れい姉の後輩さんのいるバンドの…?いやでも雰囲気が…)
なんてこともあったり…
『─────だって 愛も やさしさも ステキ雑貨も いっぱい My home street────』
(この声もしかして…!あ、スピーカーか…
でも、すっごく楽しそうに歌ってるなぁ戸山さん…)
そんな発見もあったり…
れい姉が言ってた「いいこと」は多分まだないけど、街灯でぼんやりしてるのとは大違いだった。
でも、一人じゃなくても良かったかな?もし弦巻さんが一緒だったらきっと何倍も楽しくなって……
「……って、あれ?ここどこ?」
気づくと僕は全く見覚えのない場所にいた。しまった、考え事してたから何処から来たか解らない…
スマホとかがあればこんな苦労をしないですむのだけどこの状態だと持ち歩けない。こういう時幽霊は不便だよね…
(となれば…思いっきり浮遊して家の方角を探してみるとか…?)
午前中は自習したり、弦巻さんの家で自主練してたから余裕があるわけじゃないけど、せめてヒントくらいは…
「ふぇぇ……」
「…ん?」
いざ浮こうとすると、かすかに聞き覚えのある声が。もしかしてと思い声の聞こえる方向に向かうと───
「あ、松原先輩!」
「ふぇっ!?ゆ、雄也君?」
「あ…すいません…」
僕のいた場所より更に薄暗い路地裏で佇む松原先輩をびっくりさせてしまった。
でも、こんな状況で知り合いに会えたのは本当にラッキーかも。
「「よ、よかった~……」」
そのせいで思わず安堵の声が……ってあれ?何か今声ダブらなかった?
「……えーっと、松原先輩はどうしてここに?」
「下校中に喫茶店を探してたら道に迷っちゃって……スマホは見てるんだけど……」
「そ、そうだったんですか……」
「ゆ、雄也君は?」
「僕はその……散歩してたら帰れなくなりました……」
全然よかないじゃん……
「……あ、先輩の行きたい喫茶店って何処にあるんですか?」
なんとも言えない空気になりそうだったけど、気を取り直して僕から質問してみる。ここで固まったままでも仕方ない。
「あ、うん。ちょっと待っててね……」
そう言って先輩はスマホを操作して…
「ここ、なんだけど……」
マップに目的地が表示された。お、割とここから近い。
「その……僕で良ければ一緒にお店、探しましょうか?」
「い、いいの?」
「はい。」
この際だし、先輩と一緒に喫茶店を探してみよう。
それから10分ほど…
「この辺だと思うんですが……」
「あ、あそこじゃない?」
先にあるシックな雰囲気の建物を指さす先輩。看板に書かれた店名は……『エヴァース』だね。よかった。マップでみたのと同じだ。
「あれ?雄也君はお店に入らないの?」
ついて行こうとしない僕に先輩が首を傾げる。
「あー、僕はこの体ですしその辺で待……」
あ、ダメだ…先輩しゅーんとしてる…
「……ってようと思ったんですが……一緒に入っても大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫だよ。」
なんとか言い直すと沈んでいた先輩の表情がすぐに晴れる。念のため店内ではスマホに文章を打ち込んで会話してほしいことをお願いしておいた。
「あら、いらっしゃいませ!」
「……いらっしゃい。」
先輩がドアを開けると、カランカランとベルが心地よく鳴り、明るそうなおばさんと、静かな雰囲気のおじさんが出迎えてくれた。カフェエプロンをしているおじさんがマスターでいいのかな?
「えっと、一名です。」
僕を気にしながらおずおずと人数を伝える先輩。なんかすみません。気が進まないですよね……
「おや、そこの学生さんはいいのかい?」
「へっ?僕?」
一応後ろを確認したけど誰もいない。
「そうだ。他に誰がいる。」
マスターも僕が見えるようだ。
「そ、それなら僕も……お邪魔します。」
…もしかして、自分が思ってる以上に霊感がある人って多いのかな?
ここまで読んで下さってありがとうございます。
今回は最初3つ位案があり、どれを投稿するかで散々悩みました。ただ、投稿したのは最後に思いついた案なので、悩んだ時間は無駄にはならなかったのは良かったのかな?とは思います。
次回はもちろん花音さん回後編です。 お楽しみに。
2025.6/16 色々書き足した結果、つぐみのゲスト参加が早まり、以前はもう少し早かった紗夜先輩がここで初参加となりました。
それと、Home Streetが関わるイベントのゲーム実装を調べたら11月末だったのですが…時系列が早まったということで一つ…