幽霊を笑顔に!!【本編完結】   作:GTP

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大変長らくお待たせしました。

今回もこころ回なのですが

・若干フェチな要素?

・ゲスト暴走

という内容になってしまいました。

そんな感じですがよければ読んでいって下さい。

2025.6/17 ゲスト周りの描写を修正。通し連の後なのに初対面みたいになってるのは変でした。


ココロに触れて(下)

雄也視点

 

 

「雄也!次はこっちにいってみましょう!」

 

「ま、まって……他のお客さんがびっくりしちゃうから……」

 

他のライブハウスではどうなのかわからないけれど、Circleではライブが終わった後出演バンドとスタッフさんで打ち上げをすることが多い。

 

それで今回はハロウィンライブということもあり、みんなで仮装をしてお菓子を交換することになったらしい。と言っても僕は参加できないんだけどね……幽霊だし。男だし。

 

つまり、通し練習の後弦巻さんが僕と一緒にやりたかったことは……

 

「このお姫様の衣装は似合うかしら?」

 

「う、うん……すごく似合うと思うけど……」

 

打ち上げで着る仮装をショッピングモールで探して欲しい。とのことだった。

 

あと、周りの目を気にする奥沢さんの発案で、ハロハピメンバーが二人で僕と話すときはスマホを耳にあてているんだけど…いつも元気がありあまっている彼女に限っては微妙だったかも……

 

「ライブの衣装とどっちが似合ってるかしら?」

 

「うーん……」

 

弦巻さんのライブの衣装はオレンジをベースにしたハロウィン感たっぷりの魔法使いなのだが、正直に言うとすごく似合っている。逆にそのせいで、他の仮装に曖昧な表情になっているのを見抜かれてなかなか買う物が決まらないという状況になっちゃったんだけどね……

 

「やっぱり表情がいまいちね。

────そうだわ!」

 

「え、ちょっ…!どこ行くの!?」

 

いきなり売り場から駆けだしていってしまった。

 

何か思いついたみたいだけど…なんか、すごく嫌な予感する……

 

 

 

 

 

 

「こういう仮装はどうかしら?」

 

数分後、戻って来た弦巻さんが持っていたのは小さい円柱状のケースに入った……

 

「包帯?」

 

「そうよ!これを体に巻いてミイラになるの!」

 

「な……」

 

仮装の内容自体は珍しくないと思う。思うんだけど……

 

「ミイラ……包帯をあの体に巻いて……巻いて……」

 

何だろうこの感じ…脳内の想像を映すモニターにヒビが入ったような……

 

「雄也?ゆーうーやー?」

 

「───はっ!え、えっと、悪くはないんだけどさ、他のをみてから決めてもいいんじゃないかなって……あはは……」

 

「?」

 

「だっ、だからっ!!いったん包帯は戻してこよ?ね?」

 

「わかったわ!」

 

包帯を戻しに行った弦巻さんを見届けた後、気持ちを持て余してうずくまりそうになってしまう。

 

言えない……!はっきりボディラインがでるせいでその……エッチかもとか、服を脱いで下着無しで包帯を巻いてる姿を考えちゃったとか絶対に言えない!!

 

「弦巻さんって……スタイルいいよね……」

 

どうしよう、妄想が頭から離れないよ……

 

「───ねえねえ、男の子ってそういう格好でも「るんっ♪」て来るの?」

 

「る、るんっ?それはよくわからないけど……体のラインが出て目のやり場に困るというか……包帯の下がどうなってるか気になっちゃうというか……」

 

薄布一枚……というより一本で体をピッチリ巻くという危うさから言葉では言い表せない何かを感じてしまった……

 

「ふーん。そんなに気になるなら、びよーんってしちゃえばいいじゃん。」

 

「び、びよーん!?いきなりなんてこと言うのさ!!?そんなの……」

 

ん、待って?僕は誰と話してるんだ!?

 

慌てて声のした方に向き直ると────

 

「あ、あれ…?」

 

そこにいたのは、通し連にいた…というか、れい姉の後輩さんと同じバンドの…!

 

「キミ、お化けでしょ?なんかスケスケしてるし、学ランで通し練してるのに誰も何も言わないんだもん。」

 

「あ…はい…」

 

「やっぱり!そーゆーの久しぶりにみたよーっ!」

 

な、なんか嬉しそう…じゃなくて…!

 

「いやあの、確かアイドルバンドの人ですよねあなた!?初対面の人…じゃなくて幽霊にどんな話振ってるんですか!?」

 

「いーじゃん。気になったんだもーん。」

 

わざわざいいなおすのおっかしー!と、じわじわ来たらしくお腹を抱えて笑い始めた。えっと…名前は…

 

「あたし氷川日菜。いるバンドとやってる楽器はみてたと思うし、言わなくてもいーよね?

キミは?」

 

名前が出てこなかったのを察されたのか、自己紹介だけしてもらえた。

 

「あ、僕は駒沢雄也っていいます。弦巻さんとは知り合いで……」

 

「じゃあゆーくんだね!よろしく!」

 

や、やっぱりそのあだ名になるのね……ゆーくん呼びをされるのは北沢さんと青葉さんに次いで三人目だ。

 

それにしても、おたえさん?といい青葉さんといい最初から僕が見えているギタリスト多くない?弦巻さんはボーカルだけど…

 

「あら?日菜じゃない!もしかしてあなたも雄也が見えるの!?」

 

「あっ、戻ってきた!あのねーこころちゃん!!ゆーくんが着て欲しいのって───」

 

「ギャ────!!待って!お願いだから言わないでぇぇぇぇぇ!!」

 

慌てて氷川先輩を止めようとはしたんだけど、すり抜ける手と重いものを動かせないポルターガイストではどうしようもなかった。

 

 

 

それからしばらくして────

 

 

 

「とっても素敵な衣装ね!今からパーティーが楽しみだわ!」

 

「う、うん。よかったねー……」

 

店内のベンチに座り、袋を抱きしめご満悦の弦巻さん。

 

結局、衣装はライブ衣装とはちょっと雰囲気を変えて黒い魔法使いのローブになったのだが、その袋の中には抵抗空しく買ってしまった包帯も入ってるんだよね……

 

唯一幸いだったのは…

 

「よくわからないけど、雄也が着て欲しいのなら買ってくるわね!」

 

といった感じで弦巻さんがハテナマークを頭に浮かべていた事かな?でも、このことが奥沢さん達にバレたりしたら引かれるよね……

 

ちなみに元凶の先輩はお姉さんに呼ばれたらしく今ここにはいない。通し練習と地蔵通り商店街で見た人と似ているなーと思ったけど、双子さんだったのね…しかも楽器まで同じ…

 

「そういえば、雄也はいつも同じ服を着てるわね。」

 

「へっ?あ、うん。服を着ようにもすり抜けていっちゃうから……」

 

幽霊の状態で着れる服がないので半年近くずーっと学ランだ。

 

……一応断っておくけど僕は全然臭くないからね?ホントだよ?*1

 

「それなら、この数珠をたくさんつければ服を着れるんじゃないかしら?」

 

ポケットから数珠を取りだし、両手で広げる弦巻さん。

 

「あ、なるほど。裏地に沢山仕込めば数珠は見えなくなるから……って。膨らむし重くならない?」

 

「ダメかしら?」

 

「うーん。ダウンジャケットとかなら違和感ないかもしれないけど……」

 

まだ早いしそもそも防寒する必要ないからなぁ……仮に出来ても服だけ浮いてるって周りに怖がられかねない訳で…

 

「…やっぱり、服を買うのは体に戻ってからかな。」

 

「体に戻る?」

 

「あ、知らなかったっけ?

僕、死んじゃったから幽霊になった訳ではなくて……元気な体からお化けが出てきちゃったというか……」

 

幽体離脱しました。だと伝わり辛い気がするのでちょっと砕いて説明してみた。

 

「それでね、れい姉が体に戻りたいならこれが食べたいなとか、今みたいに服を着てみたいな、とか体に戻ったらやってみたいことを探すのが良いって言ってたんだ。」

 

「そうして体に戻れたら、たーっくさんやれることが増えているのね!とっても素敵じゃない!!」

 

どこにいこうかしら?と僕以上に目を輝かせている弦巻さん。まだ体にも戻ってないんだけど……

 

「その、程々でね……?ウチあまりお金ないから……」

 

目的達成したらバイト先見つけないと……いや、その前に追試対策と転校の手続きを……都内で転校ってできるかな?……ってヤバい!!母さんどうしよう!?完全に忘れてた!!

 

「ゆーうーやっ!」

 

「うわあっ!ご、ごめん。またボーッとしちゃってて……」

 

いきなり顔を覗きこんでくる弦巻さんに心臓がびくっとした。

 

「またなにか考え事をしていたの?」

 

「う、うん。追試とか、バイトとか体に戻った後のことを色々と……せっかく誘ってくれたのにこんなんじゃダメだね……」

 

最後の方に考えてたことはぼかす。あんな人の話、弦巻さんには絶対したくなかった。

 

「ダメなんかじゃないわ!確かに雄也はよく物事を後ろ向きにとらえてしまうけど、それってあなたなりに笑顔になる方法を真剣に考えているから。じゃないかしら?」

 

「そうなのかな……?」

 

「そうよ!「どうしよう……」って見方を変えれば「どうにかしたい」ってことじゃない。そうやって物事に向き合えるのなら追試だって、バイトだってきっと大丈夫よ!」

 

こ、こういう考え方もあるんだ…

 

「それに、今の雄也にはあたし達だっているもの!どんな不安だって絶対笑顔に変えて見せるわ!」

 

そんな彼女の笑顔が眩しくて、でも少し申し訳なくて、誤魔化すように一つ質問をしてみた。

 

「その……僕の笑顔ってそんなにいいの?」

 

「ええ!とっても可愛らしいわ!」

 

「っ……!」

 

体温がぐんと上がるのが自分でも解る。子供っぽいのはコンプレックスなはずなのに不思議と全然悪い気分にならなかった。

 

 

 

 

 

その頃、雄也の体が入院している病院では───

 

「先輩、駒沢君はなかなか目を冷ましませんね……」

 

「たまにいるのよね。何の異常もないのに意識不明のまま覚醒しない患者さんって。あの子に関しては筋肉量や骨密度の落ち方も異常な程緩やかだし、本当どうなってんだか……」

 

「でもあの状態って免疫はかなり落ちるんですよね。風邪をひいてますし、早く目を覚まして欲しいですけど……」

 

「……あの子、起きた後も大変だと思うんだよなぁ。」

 

「?何かあったんです?」

 

「駒沢君のお母さんなんだけど、半年以上行方がわかってないの。既に警察の捜査も打ち切られたみたいだし。もしかしたら───」

*1
れい姉曰く

「臭わないのは看護師さんが体拭いてくれてるお蔭じゃない?幽体離脱って体の状態に魂が引っ張られるから。」

とのこと。魂って不思議だね。




遅くなってしまいましたが明けましておめでとうございます。
今年もこの作品をよろしくお願いいたします。

こころのミイラコス…いかがでしょう?バンドリでは既に蘭ちゃんがやっていますが、水着とはまた違う良さがあると思います。

ちなみに包帯のことは美咲にバレ、「へー。駒沢君ってそういう趣味なんだー。」と冷めた目でみられましたとさ。

次回は遂にライブ回。どう書こうものか…と既に悩まされていますがなんとかまとめられるように頑張ります。

今回のゲストは日菜でした。おねーちゃんとは違ってバッチリ雄也が見えてましたね。

そして、シーズン1の地点で、最初から雄也が見えるバンドリのキャラは残り1人です。

ハロハピのこころに始まって

ポピパからおたえ

アフグロからモカ

パスパレから日菜

と来れば…誰になるか、なんとなく予想できた方もいるのではないでしょうか?

次回のおまけで登場する予定なのでお楽しみに。
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