沢山悩んで、うんうん唸って、友人に散々相談をして…ようやくライブ回を完成させることができました。
かかってしまった時間に見合うものになったかどうかは解りませんが読んでくださると嬉しいです。
では、どうぞ───
雄也視点
「みんなー!!今日は盛り上がっていっくよー!!」
Poppin'Partyの皆さんの元気一杯のライブで一気に会場に熱が入った。
「みなさーん!今日は来てくれてありがとう!」
Pastel*paletteの皆さんが振り付けを交えたアイドルらしいライブを魅せてくれた。
「ハロウィンのライブ。悪くないね。」
そこからバトンをつないだAfterglowの皆さんが痺れるような演奏で空気をガラッと変えた。
「……行くわよ。」
更にRoseliaの皆さんの圧倒的な演奏技術が会場のボルテージを最高潮にまで持っていった。
そして───
「みんなーっ!ハッピー!」
ラッキ──────!!
「ハロウィーン?」
イェ───────イ!!
会場を揺らさんばかりの声援と一緒に黄色のサイリウムが揺れる。
「すごいや……」
そんな光景に思わず感嘆の声が漏れる。念の為手は振るのは忘れずに…
「今日も沢山のお客さんが来てくれているわね!とっても嬉しいわ!!」
魔法使いの仮装をした弦巻さんが観客席に手を振ると答えるようにお客さん達のサイリウムが更に大きく振れる。
「みんな最高ね!それなら早速新曲を────」
「おっと、その前にこころ、今回はどんな儚い催しを行うつもりなのかな?」
突っ走りそうな弦巻さんを瀬田先輩が引き留めた。
…あれ?新曲って『キミがいなくちゃっ!』だよね?最後にやる予定じゃ……
「そうだったわね。このライブのために特別なお客さんを2人招待したの!来てちょうだい!」
弦巻さんが舞台袖に声を掛けると、ウサギさんのキグルミがとてとて走って出てきた。
「あ、マリーだ~。久しぶりだね~。」
喜ぶミッシェルに両手を振って応えるマリー……改め北沢さん。ミッシェルとは違って彼女はしゃべっちゃダメらしい。
「でもこころちゃん。もう一人がまだ来てないよ~?」
まあ僕、最初からここに立ってるんだけどね……自動キーボードだってお客さんに説明をしないといけないとはいえ、今更見えないふりをされるとなんとも言えない気持ちになる……
「いいえ、もう一人のゲストはこの魔法のキーボードさんよ。誰も居なくても演奏してくれるの!」
(か、格好が浮いてるから恥ずかしい……)
軽くファンファーレを演奏して自動キーボードだってアピールしたのはいいけれど、お客さんの視線が集まるのを感じて思わず目を逸らしてしまった。
僕の事が見えていない人が多いのだろうけど、どう頑張ったって学ランは浮くよ…これなら僕も仮装したかったなぁ……
「素敵な二人と一緒に早速新曲を演奏するわ!!『キミがいなくちゃっ!』続けて『ふわふわ☆ゆめいろサンドイッチ』!」
え、ホントに最後の曲からやっちゃうの!?しかも出だしが僕のソロだから責任重大じゃん!!
恥ずかしがるのも束の間、ポルターガイストでスコアのページをめくった後に一旦深呼吸。
僕の準備が出来たのを見てから松原先輩のカウント音がステージに響いた。
そんな感じで始まったライブだけど弦巻さんはいつも通り元気いっぱいだ。
最初こそ曲調に合わせてかパフォーマンスは控えめだったけど、二曲目からはステップを踏んだりマリーとハイタッチしたりするのは序の口。サビでバク宙をしたり側転をしたりと「これでもか!!」というくらいにはじけ続けている。
そうやってお客さんだけでなく自分達までどんどん盛り立てていく姿はまるで「さあ、行くわよっ!」と手を引いてるみたいだ。
(なんか、いつもこんな感じだなぁ……)
演奏しながら心の中でちょっとだけ苦笑いが出てしまった。
何もかも諦めぼーっとしていた僕に声を掛け、落ち込んだ時は励ましてくれて、いろんな場所に一緒に行ってくれて……
弦巻さんはいつも僕の手を引いてくれる。もちろん気にかけてくれるのは嬉しいのだけれど、いつも何もできないままリードされているのはやっぱり情けなくも感じていた。
でも今回は───
(なんだろう。こっちも熱くなってきた。)
気合い全開とかメラメラ燃えるとはまた少し違う。弦巻さんに合わせたい。そんな気持ちが何の突っかかりもなくまっすぐにキーボードに伝わっていくような不思議な感覚。彼女の格好も合まって本当に魔法をかけられたみたいだ。
そんな魔法をかけられたのはきっと僕だけじゃない。瀬田先輩も、松原先輩も、北沢さんも、ミッシェルも、声は全然聞こえないけど練習やリハーサルの時とはまた違う音色が、表情が楽しそうにしてるのを物語っている。
暗がりに目が慣れて次第に見えてきたお客さんの笑顔がさらに自分達の演奏を後押し、どんどん大きくなっていく不思議な熱を体感していたらあっという間に最初の二曲が終わってしまった。
「お疲れ様。頑張ってたね駒沢君。」
「ありがとミッシェル……」
現在MC中。一息ついた僕にマイクを切ったミッシェルがこっそり声を掛けてくれた。もちろん彼女もハロウィン仕様だし、手を振ったりするパフォーマンスも忘れない。…念のためミッシェルの後ろに回っておこう…基本見えないとは思うけど…
「まさか最初からラストの曲をやるなんて……」
「まあセトリ通りに行かないのがこころだしね……」
それはそれでどうなの……スタッフさん大変じゃん。
「でもやっぱりあの子はすごいよね。こうやってみんな巻き込んでいくのになんだかんだでうまくやっちゃうんだから……」
男の子と、しかも幽霊といっしょにライブやるガールズバンドなんてあたし達位だよ……と苦笑いするミッシェル。
ふと、先週のリハーサルの日の朝、弦巻さんと話した事を思い出した。
「ん?何か良いことでもあったの?」
「この間弦巻さんが言ってたんだ。『自分はバンドでなら世界を笑顔にできると思っている』って。
そのときの弦巻さん、凄く眩しかったんだけどいまいち実感が持てなかったんだよね……
でも、今こうやってみんなの笑顔を見てたらなんか本当に叶っちゃいそうだなって……」
その弦巻さんは「あたしたちハロハピからのプレゼントよ!」とお客さん達に向けてお菓子を振り撒いている。予定通りなら。
ピアノのコンクールも好きだったけど、それとはまた全然違う。自分だけじゃなくて、メンバーの皆やお客さんとも一緒に音楽を作り上げていく感覚。こんな景色が見れるなんて思わなかった。ましてや関われるなんて……僕がその力になれるなんて考えたこともなかった。
「ライブに誘ってくれてありがとう。本当に楽しいよ。」
「……」
あれ?返事がない。
「も、もしかして迷惑だった?」
「いやまぁ、あたしも何だかんだ楽しいよ?今回は割と大変だったけど…「ごめん…」
いいってば。それにそういうのはさ、あたしよりも先にこころに伝えた方がよかったんじゃない?言い出しっぺなんだし、キミはあの子のことが好きなんでしょ?」
「そっ、それは……!」
感謝と呆れが入り交じった不意討ちで真っ赤になった次の瞬間、突然ステージが暗転した。
「怪盗ハロハッピーただいま参上。お菓子の代わりに子猫ちゃんたちの心を頂きに来たよ。」
瀬田先輩の声に観客が一気に沸き立つ。
「さてと……そろそろ次の曲だね。準備はいい?」
「う、うん!いつでもいけるよ!」
ミッシェルの後ろから出てキーボードに向かい、鍵盤に意識を向ける。次の曲はセトリ通りに『ゴーカ!ごーかい!?ファントムシーフ!』怪盗ハロハッピーに扮した瀬田先輩のパフォーマンスが楽しみだ。
……よし、最後まで楽しみつくそう。あの笑顔に応えられるように、引っ張ってもらわなくてもついていけるように、肩を並べて演奏できるように、もっと、もっと────!
おまけ 他バンドメンバーのライブ反応
たえ「あの子、マホウノ・キーボードって言うんだ。キラキラネームかな?」
有咲(おたえは何言ってんだ……?)
モカ「らーん、だいじょーぶー?」
蘭「別に?あのキーボード、機械が演奏してるだけだし……って、なんでモカにやけてんの?」
モカ「ん~?べっつに~?」
モカ(ゆーくんつぐってハピってますな~。だけど、お化けが苦手なみんなには何も言わないであげるモカちゃんなのであった~)
彩「あのキーボードすごいな。誰もいないのにどうやって演奏してるんだろう?」
日菜「実はね……お化けが演奏してんだよ!」
彩「えっ!ホント!?」
麻弥「いやいや、お化けなんているわけないじゃないですか。実際何も見えませんし。」
彩「だ、だよねー……」
日菜(ホントにゆーくんが演奏してんだけどなー。でもこれはこれで「るんっ♪」てくるかも!)
あこ「今宵、還る場所無き亡霊は舞台に降り立ち、鍵盤を……えっと……バーンと!!」
友希那(亡霊……?一体あこには何が見えているのかしら?確かにあのキーボード、良くも悪くも機械が演奏しているように見えないのだけれど…)
ここまで読んでくださってありがとうございます。ライブ回はいかがでしたか?
今回初登場のゲストは蘭ちゃん、彩ちゃん、友希菜さん、あこちゃんでした。
色んなキャラのセリフを考えるのはとても楽しかったのですが、彩ちゃんのセリフだけ最後まで悩まされました。違和感があったらごめんなさい。
パスパレで一番好きなの彩ちゃんなのに…ぐぬぬ…
次回から話が動き出します。途中からシリアスな展開になるのでご注意ください。