この度は半年近くも投稿できず、本当にすみませんでした。
ようやくストーリーの方向性が決まり、少しずつ話も書けるようになってきたので投稿を再開していこうと思います。
またお付き合いいただければ嬉しいです。
では、どうぞ。
2025.3/23 時系列を少し早めました。
突撃!我が家の大掃除!?
雄也視点
自分の母親に歩道橋から突き落とされ、幽体離脱した状態で生活する……
そんな奇妙な体験も終わり、体力を取り戻す為のリハビリが済んだ僕は、以前まで住んでいた家に戻れる事になった。
……まぁ「なった」って簡単に言ったけど。叔父さんも叔母さんも僕のことをすごい心配してたけどね……
話し合ってる時に何度も無理はするな。あんな人の所でひとりぼっちにしてしまって申し訳ない。だから今度は一緒にいさせてくれとか色々心配されて、皆と離れたくないというこっちの気持ちが揺らぎそうだった。
それでもれい姉が
「父さん母さん安心して。雄也の面倒は私が見るから。」
と、二人を根気強く説得してくれて、なんとか僕は東京に残ることができたのだ。ちなみにれい姉も学生アパートを引き払って僕の家で暮らす事になった。
そして、そこからのリハビリ生活は、肩の荷が降りたこともあってかますます楽しいものになっていった。
「お腹が痛い人も、怪我をしてしまった人も、あたしたちがみーんな笑顔にしてみせるわ!!」
ある時はハロハピの慰問ライブをお客さんとして楽しんだり
「あれ〜?ゆーくんに買って来たパンがない〜。おかしーなー。」
(もう僕にパン渡す気ないでしょ……)
別の日には誘惑に勝てなかった青葉さんがまた空の紙袋をもってきたり
「それでね、彩ちゃんが……」
「ひ、日菜先輩!お見舞いもいいですが生徒会のお仕事してくださいっ!」
急に日菜先輩が来たと思ったらAfterglowのキーボードの人に連行されてったり
「わっ、我は冥府から蘇りし亡霊の……
ねぇこれやっぱり恥ずかしいんだけど……」
「えーっ!?カッコいいじゃん!!」
実は幽霊の僕が見えていたあこちゃんとカッコいい?名乗りの練習をしたりと。入院しているとは思えない位盛りだくさんだった。だったんだけど……
「あれ?マホウノ・キーボード君だ。」
「え、あの、はい?」
「ねぇキーボード君。雄也君ってどこにいるかしらない?」
「いやその、僕が雄也なんですけど……」
花園さんは何でここまで来れたんだろう……ちなみにギターで1曲プレゼントしてくれた。すごくカッコよかった。
とまあ、瞬く間に時間は過ぎてついに迎えた退院初日。7ヶ月半ぶりに帰宅した僕の家は────
「はぁ……ここもひどい……」
埃まみれだった。
しかも家中の窓を開けていくせいでみるみる寒くなってくし……幽体離脱で周りの温度を感じなかったのがこんな風に響いてくるなんて……
ピンポーン───
「お、お客さん?」
幽体離脱する前は暖房つけないようにしてたんだけどなぁ……と、寒さと埃で早くも滅入りそうになっていた僕を家のチャイムが現実に引き戻してきた。
れい姉は午前中だけ講義の筈だし……一体誰だろう?
「あの、どちら様ですか?」
「あたしよっ!」
「こっ、こころちゃん!?」
ドアの向こうから聞こえる弾むような声に寒さとか色んな気持ちが吹っ飛ぶ。
「いっ、いらっしゃい…急にどうしたの!?」
玄関を開けるとそこには毛糸のニット帽にベージュのダッフルコートというもこもこな格好のこころちゃんがいた。暖かそうだなぁ……
「雄也が今日退院するっていうからお家に遊びに来たの!お邪魔してもいいかしら?」
「う、ウチに!?あ、でもそれは……」
「それは?」
「いやその、これから掃除とか片付けとか色々しなくちゃいけなくて……」
首を傾げられてしまって慌てて答える。色々と事態が急すぎて頭が回らないけど、今の家は誰かが上がれる状態ではない。
「せっかく来てもらったのにごめんね。連絡とかあればもっと早く片付けてたんだけど……」
「あたし、雄也の連絡先を教えてもらってないわ。」
「あっ……」
そうだった…僕のスマホ、突き落とされた時に完全に壊れちゃったから連絡も何もじゃん…新しくしてもらえたけど…
「雄也の連絡先、あたしに教えてちょうだい。」
「あ、うん……」
嬉しいわ!これからはスマホでもたーっくさんお話しできるわね!と、いつも遠りのこころちゃんに対してこっちは心ここにあらず。
本当になんてこと無く、それでいてまっすぐ言えちゃうんだもんなぁ……僕には絶対できないよ……
「それに、せっかく来たのだからあたしもそのお方付けや掃除を手伝いたいのだけど、いいかしら?」
「あー……」
やっぱりそうなるよね……ただなぁ……
「それはうれしいけど…気持ちだけうけとっておきたいかも……」
「あら、それはどうして?」
「えっと、申し訳ないといいますか……」
いやなんで敬語になってんのさ……
「そんなことないわ。お家がどんどん綺麗になっていくのってワクワクするもの。」
いやいや2人でだって大変だよ……
「御安心ください。私達も清掃をお手伝い致します。」
「うわ。ビックリした……」
黒服さんまでいつの間に……というかもうハタキとかハンディタイプの掃除機とか持ってきてるんだけど……
そのまま唸ること数十秒………
「うぅ……わ、わかりました…お手伝いをお願いします……」
この現実にはとても勝てそうになかった。このままだと近所の人達にびっくりされちゃうだろうし……
「あ、ストップこころちゃん。掃除する前にお願いがあるんだけど……」
「?」
「家の掃除中はマスクした方がいいかも。さっきも言ったけどここ、埃ひどいから……」
こころちゃんはボーカルだし、喉を大切にしないと。
それから数分後……
「準備できたわ!」
「ず、随分気合い入ってるね……」
一旦着替えるとのことで黒服さんに連れられていったこころちゃん。マスクだけでなくニット帽がバンダナに変わり、赤いセーターの上にミッシェルのワッペンが縫い付けられたエプロンを着て戻ってきた。なんか家庭科の調理実習みたい。
(けど、こういう格好も似合ってるなぁ……)
いつもとはまた違う雰囲気に「いいな…」位しか言えない自分がもどかしい。こころちゃんだったらきっと何着ても似合うのだろうけど……
「雄也、玄関はあけないの?」
「…あっ。」
そうだよ掃除掃除っ!こころちゃんがキョトンとしてるじゃん!!
「そ、そうだよね!ごめん!とりあえずあがって。」
「ええ!お邪魔するわ!」
玄関を開けてこころちゃんと黒服さんを招待する。
「一面真っ白ね。まるで雪が降ったみたいだわ。」
「あはは……言われてみると確かに……」
これがホントに雪だったら地獄だけどね……主に靴下が。
「窓開けてるけど寒くはない?」
「へっちゃらよ。」
気温も全く気にしていない様子。やっぱり強いなぁ……
「それじゃあリビングは黒服さん達が掃除するって言ってくれたし、僕らは2階から掃除していこうか。」
「わかったわ。2階にはどんな部屋があるのかしら?」
「家族の部屋だね。元々使ってた僕の部屋に、これかられい姉になる予定の部屋。あともう1つ。」
ちなみにれい姉の部屋にする予定の場所は元々母さんの部屋で、もう1つは父さんの寝室だ。本当は逆にしたかったんだけど、れい姉が大丈夫と言って聞かなかったのだ。
「それならあたし、雄也のお部屋に行ってみたいわ!」
「………」
落ち着いてこれ掃除だから。そういう意味じゃないから。予想だって出来てたでしょ?
そう自分に言い聞かせて、上がりそうな体温を全力でねじ伏せにかかるのだけど……
「雄也?さっきから様子が変よ? 」
ダメだ全然振り払えない……こころちゃんの一言一言に気をとられて、緊張で喋れなくなって、それが向こうにバレバレなせいで更に固まって……なんなのさこの悪循環は……
「な、なんでもないから大丈夫……それじゃあ僕の部屋、行こ?」
このままでは掃除が始まりそうにもない。不思議そうにしているこころちゃんを見ないようにして、僕は先に階段を駆け上がっていった。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
投稿していない間も色々内容を練ってはいたのですが、しっくり来ないまま時間が過ぎていって気がつけばもう年の瀬に……本当に遅くなってしまいました。
それでは次回もお楽しみに