幽霊を笑顔に!!【本編完結】   作:GTP

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…3年ぶりですね、皆様お久しぶりです。

正直もうダメかと思いましたが、スクリーンの向こうで迷子のまま進んでいく5人から勇気をもらえました。

まだ終わらせられるかわかりませんし、キャラをちゃんとなぞれているか不安ですが、やれるところまでやってみようと思います。

尚、当初書く予定だったフラッシュモブはボツになりました。ご了承下さい。


また、みんなと…

雄也視点

 

 

「「「「ら、ライブをやらないっ!?」」」」

 

「あ、いや…そういうわけじゃなくて…」

 

休日に行われた久しぶりの作戦会議は、弦巻邸が揺れんばかりの皆の声から始まった。

 

「なんでなんで!?ゆーくんもしかして…はぐみ達と演奏するの嫌だったの!?」

 

「ち、違うよっ!そんなこと…!ってはぐみちゃん!?」

 

どうしよう泣いかせちゃったじゃん!えっと…えっと…!

 

「はぐみ、まだ悲しむのは早いんじゃないかな?」

 

「…ぐすっ…どうして、薫くん?」

 

「雄也がハロハピの事を急に嫌いになるとは思えないからね。きっと何か、特別な理由があると思ったのさ。」

 

「そうよはぐみ!雄也はきっと素敵なアイデアがあるんじゃないかしら。」

 

「そうなの?ゆーくん……」

 

「あー…僕が思いついたわけじゃないけどね…実は昨日──」

 

 

 

 

 

「おー!待ってたよぉ。さあさあ掛けて頂戴な。」

 

「お、お邪魔します…えっと…」

 

江波(えなみ)さら。さらおばさんとでも呼んどくれ。

レモンティーでいいかい?」

 

「あ、はい。お願いします。」

 

午前中の補講を終え、僕が向かったのは喫茶店のエヴァース。来た目的は3つあって、まずは幽霊のときにした約束を果たすのと────

 

「その、あの時はご迷惑をおかけしました…色々な方に連絡させてしまったんですよね…」

 

2つ目は消えかけた時の事を謝りたかったのだ。すっかり遅くなっちゃったけど…

 

「迷惑なんてとんでもない。こういう人助けは珍しいって人も霊も(みんな)張り切ってた位なんだから。それに…」

 

「うぎゃー!!」

 

「なんでパンケーキが爆発するんだ…!!」

 

「超大物新人もスカウトできたからねぇ。お陰で楽しくやらせてもらっとるよ。」

 

「れい姉…」

 

そう。家に戻ってからしばらくして、れい姉はエヴァースでバイトを始めたのだ。3つ目の目的はその件で挨拶みたいな事をするべきなのかな…という気持ちから。やっぱり考えすぎかな…

 

「元々お客さんや知り合いから話は聞いてはいたんだけどね。普段は優しいけど悪霊怨霊には果てしなく容赦ないお姉さんがいるって。

…そういうのは態と取り憑かせて多機能トイレまでつれてった後、引っ剥がしてボコボコに…とまでは思わなかったけど。」

 

「…」

 

れい姉がその手の話を具体的にしない理由がわかった気がした…悪霊に取り憑かれに行くってなんなのさ…危なくないの?危ないよね?

 

「もちろん、素人がやるもんじゃないからね?おばちゃんだって遠慮したいさ。」

 

「はい…」

 

やっぱり危なかったみたいだ…

 

「ま、あの子は東京出身じゃないんだろ?理解してくれる()()周りにいなかったのかもね。

けど昔は昔。今はおばちゃん達もいるんだし、兄ちゃんは大船に乗ったつもりでいなさいな。」

 

「…わかりました。れい姉の事、お願いします。」

 

「うん。変な事とかあったら遠慮なく連絡しなよ?放置は基本よくないからね。」

 

「は、はい…」

 

霊に対して僕ができることはきっとない…そう思った。だって僕、幽霊やっててもひとりぼっちだった訳で…

 

「さてと…この話はここまでにして…」

 

「え、えっと…どうしました…?」

 

カウンターから乗り出すようにしてじーっと顔を見られる。すごく落ち着かない…

 

「来たときから思ってたんだけど、兄ちゃん、なんか前に見たときより浮かない顔してないかい?」

 

「あ、い、いえ!そんなことないです…本当に…」

 

「…美麗ちゃんからも聞いてたけど…嘘も隠し事も恐ろしく下手だねぇ…」

 

「…」

 

悩み相談に来たわけじゃない。だからどうにか誤魔化そうしたけど…全然ダメじゃん…

 

「この際だしその理由を教えてすっきりしちゃわないかい?」

 

「え、え…!?既に迷惑かけたのにそんな…」

 

「迷惑なんてとんでもない!おばちゃんはお節介に生きてるからねぇ。だからほら、人助けだと思ってさ。」

 

「え、えぇ…」

 

…と、言うわけで…頭の中でまとまってもいない悩みの単語をさらさんに伝えていったのだが────

 

 

 

 

 

「なるほどねぇ。彼女さんからまたライブしようって誘われたのに喜べないと。」

 

「つっ、付き合ってません!」

 

「あれ、そうだったっけ?」

 

あっという間に話の要点をまとめ、分かりやすくしてしまった。彼女じゃないけど…

 

「まぁそれは置いといて…兄ちゃんはもう演奏はしなくていいのかい?」

 

「それは……ちょっと……」

 

ふるふると首を横に動かす。幽霊の時、皆とやったライブのことを忘れるなんて無理だよ…

 

「やる気はあると。なら…」

 

そうだと思った。と言いたげな様子。そのまま暫く考えてから───

 

「その悩み、兄ちゃん「誰?」ってならない人になりゃ解決じゃないかい?」

 

「……へ?」

 

「要するに、音楽絡みでちょっとした有名人になっちゃえばいいんじゃないかって思ったのさ。」

 

「な、え……?」

 

「嫌なのかい?」

 

「い、嫌ではないんですが…大丈夫なんでしょうか。こんなことして……」

 

「大丈夫ってのは?」

 

「じ、実は僕、出席日数がたりてなくてこれから追試と…あと転入の試験とかがありまして…」

 

「落ち着いてからでもいいじゃないか。もうすぐなんでしょ?」

 

「え、まぁ…」

 

…確かに今日明日とは言ってなかった…けど…

 

「ま、結構思い切った話だからね。バンドのみんなとも相談するなりしてゆっくり考えなさいな。ただ…」

 

笑顔なのはかわらないけど、どこか気まずそうだ。

 

「先に断っとくけど、ウチの前でライブってのは厳しいんだよねぇ…

ここは路地裏だし、おばちゃんの大事なお客さんがよく思ってくれるかはわからないから。*1

だから場所に関しては……あ。そういえば…」

 

「ば、場所まで心当たりがあるんですか!?」

 

「連絡してみなきゃだけど、まぁきっと大丈夫さね。なんなら喜んでくれそうだし。」

 

「……」

 

この人何者なのさ…

 

「お、まだ何かある。って顔してるねぇ。」

 

「い、いえ…そんなことは……」

 

「ここまで来たんだし言っちゃいなって。どんな事でも怒りゃしないからさ。」

 

「い、いやでも…」

 

「ふーむ…なるほど。

『この婆さんの言ってることやったって根本的な解決になるわけねーじゃん。』

って所かねぇ?」

 

「そっ、そこまでは思ってません!」

 

「近いことは思ってたと。」

 

「あ、いやその…」

 

嘘でしょ…表情だけでわかるって…僕ってそんな分かりやすいの!?

 

「伊達に人間も幽霊も相手してないんだよぉ?このくらいはおちゃのこさいさいさね。

で、本題だけど───」

 

カウンターからずいっ。とまた顔を寄せてくる。

 

「直接的な解決にはならなくても、関係を進めることはできんじゃないかい?

このままだと兄ちゃん、あの子とまともに話もできなくなっちゃいそうだし。」

 

「そ、それは…」

 

暗に「現実みなさい」と言われてしまった。恥ずかしいし情けないしでもう帰りたい…

 

「それに…変に拗れられると生霊がでるかもだし。こんな事言いたかないけども。」

 

「いっ、生霊!?僕からですか!?」

 

「そうそう。ああいうのって色々と厄介でねぇ…」

 

「そんな…」

 

「ま、いざとなってもおばちゃんも美麗ちゃんもいるわけだし、どうとでもなるさね。」

 

「……」

 

自身満々に二の腕をぱんぱん叩くさらさん。僕から生霊が出たりしたら一体どうなるんだろう…

 

「とにかく、ゆっくり考えなさいな。」

 

 

 

 

 

 

「──ということがありまして……」

 

 

「…」

 

僕の話(れい姉のところと生霊云々と好きな人のことを除いて)を聞いた皆の反応は案の定というか、ほぼほぼ全員びっくり強めだった。

 

「や、やっぱり急だったよね…ごめん…でも…!」

 

椅子から立ち上がり、頭を下げて思いの丈を吐き出す。だってそう決めたから…!

 

「け、けど僕っ!皆とまた演奏したいっ!今度は幽霊でもフラッシュモブでもなくて…ガールズバンドのみんなと今の、この状態で一緒にライブをしたいからっ!

だから、だからっ…!時間を下さい!」

 

わがままだと思う。迷惑をかけてると思う。せっかく皆が考えてくれてたことを断るのが申し訳なくて仕方ない。

 

でも、眠れなくなったまま考え続けても、やりたくないという気持ちは作りようがない。むしろ作りたくない。だって悩みの中にそれがない。ちょっと失敗した朝ご飯を食べるれい姉にそう指摘されてはっとした。

 

伝えてからまた始まる、長いのか短いのか分からなくなる時間。何回経験してもこれだけは慣れそうにはなかったけれど────

 

「…まぁ、いいんじゃない?このまま燻られているよりは…ね。」

 

「うん。私も応援してるから…頑張ってね。雄也君。」

 

「嫌いになった訳じゃなくてよかったーっ!はぐみ、ゆーくんの演奏絶対聴きにいくからね!!」

 

「嗚呼!聖夜を前にこんなに喜ばしい知らせをもらえるなんて!この感謝の気持を君にどう伝えよう…!」

 

「とーっても素敵なアイデアね!あたし、あなたのことをもっともーっと応援したくなったわ!」

 

「あ、ありがとう…みんな…」

 

無我夢中だった、うまく言えたかなんてわからない…けれど…

 

伝わった…みんな聞いてくれた…答えてくれた…受け入れてくれた…笑ってくれた…!よかった…よかった…!本当に…

 

「…あっ…」

 

「…!どうしたんだい雄也!?まさか体調が…」

 

「あ、いえ…力抜けちゃって…」

 

糸が切れたように椅子に座り込んだせいで、また皆に心配されちゃった…こころちゃんだけ「あら?」って言いそうな感じだったけど…

 

「あとその…実は昨日、緊張であまり寝れなくて…」

 

「それなら、ここでお休みしていくのはどうかしら?ベッドなら沢山あるわよ。」

 

「いやそんな悪いって…」

 

「駒沢様、寝室の準備ができました。」

 

「…」

 

いや早すぎでしょ準備…けど正直、うっすらこうなる予感もあった…慣れつつある自分が母さんやれい姉とは別の意味で怖い…

 

そして会議は僕がフラッシュモブを断ったのもあってすぐに終了。そのまま別室に案内されることになった。でもなんでダブルベットなのさ…

 

(横になったはいいけど…広くて落ち着かない…)

 

退院したばかりの時、何回か廊下で寝ようとして、その都度れい姉に蹴飛ばされてたからね…今は寒くてやれないけど…

 

そんなだから正直不安だったけど、こだわりがあるであろう寝具の力は凄まじく、睡魔はあっさり来てくれたのだった。

 

そして───

  

「…ん…?寝てた…────!!?」

 

こころちゃんが添い寝してくれたおかげで目覚めもバッチリだった…だからシングルにしなかったのね…魂抜けそうな位ビックリしたよ…

 

「んっ…あら?雄也も起きたのね!よく眠れたかしら?」

 

「あ、うん…おかげさまで…」

 

ただその、やっぱり寝顔は可愛かったです…少ししか見れなかったけど…今度は間近だったし…

*1
怨霊とか悪霊の方向に寄っていくと賑やかな所を避ける傾向があるんだって。なりかけくらいなら軌道修正できることもあるみたい。




ここまで読んでくださってありがとうございます。

書きそびれましたが、エヴァースの旦那さんの名前は江波(じん)さんです。 

あとこれは余談というより裏設定的なものですが、上京する前のれい姉をここまで強くしたのは幽霊の師匠がいたから…みたいな事を前々から考えていました。

今回、その特訓の一環でめちゃくちゃ取り憑かれ慣れてるイメージが出来たので軽く触れてみた次第です。

そして番外編その2で触れたれい姉のスタンスですが、おばさん。もとい、さらさんにほぼほぼ掘っくり返されました。

次回は路上ライブ先でのエピソードをあるキャラ視点でお送りしようと思っています。
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