今回は主人公がこころに怒鳴る場面があります。ご注意下さい。
雄也視点
「どこにいるんだろ……」
あの娘に文句を言おうと勢いよく家を出たのはいいが、場所を聞き忘れてしまった。
れい姉に場所を聞いてくればよかった……とりあえず大学の方に行けばビラを配っているところがあるかな?と考えていたら。
「ようやく見つけたわ!!」
と後ろからいきなり声をかけられてびくっとした。声に覚えがあるので振り返るとやっぱり探していたあの娘だった。
「ねえ、今回は何をするのかしら?」
悪びれているようには全く見えなかった。こっちの気持ちも知らないで………
「………いてよ。」
「?」
「僕のことなんか放っておいてよ!!めちゃくちゃな事ばかりしてすごい迷惑!!僕は誰かと関わりたくなんかないんだよ!!」
思わず声を荒げてしまった。
「そんなことないわ!だって………」
「だってじゃない!!君に僕の気持ちなんか解るわけないよ!!」
相手の話を最後まで聞かずに話しだす。マズいとは思ったけど一回ついてしまった勢いを止めることはできなかった。
「だいたい僕周りから見えてないんだよ!?君傍から見たら何もないところに話しかけてるようにしか見えないんだよ!?おまけに黒服さん達と一緒に追いかけて来るせいで疲れるし、周りの迷惑にもなるし、なによりこっちがすごい恥ずかしいんだよ!!」
相手の返事も聞かず、もう話しかけないで!!と言い捨て僕はその場から走って逃げた。彼女は追ってはこなかった。
これで静かに過ごせるんじゃないかと思ってみたが、どういうわけか嬉しく思えなかった。それどころか言い過ぎてしまったという罪悪感と、こんなことが言いたかったのかなという疑問で頭の中はぐちゃぐちゃになっていくばかりで、がむしゃらに走って誤魔化すしかなかった。
美麗視点
「───そういうことだったのね。」
ようやく事態が飲み込めた。目の前にいるのは雄也ではなく黒い服の人たちとビラを配っていた女の子。
あのとき雄也は何も言わずに家を出てしまったので慌てて追いかけると───
「なによりこっちがすごく恥ずかしいんだよ!」
家の近くで誰かに怒鳴り散らして走り去る彼を見つけた。
「あ、そこの花咲の人、ちょっとストップ。」
そこで、雄也を追いかけようとした彼女に声をかけ、近くの喫茶店で今まで何があったか教えてもらい今に至る。話が伝わりにくいところがあったりスケールが凄まじくて苦労したけど。
「とりあえず、大人数で雄也を追いかけまわすのはよくないと思うわ………」
そんなことされたらいくら大人しいあいつだって困るしキレるよ。
「そうかしら?あたしは楽しいと思うのだけど。」
「あいつは絶対楽しくなかったと思うよ……」
純粋に解ってないのか……話を聞けば聞くほど彼女は色々な意味で次元が違ったけれど。悪意があるようには全く見えなかった。むしろ周りの目を全く気にせずどんどん話しかけていくのは純粋にすごいとさえ思える。
なので、私は一つ質問をしてみた。
「ねえ、あなたはなんで雄也に声をかけたの?」
彼女が初対面の相手、しかも幽霊に声をかける理由が知りたかった。
「あたし、雄也を笑顔にしたいの!!」
「笑顔?」
「ええ!!あたし、誰かの笑顔を見るのが大好きなの!!雄也の笑顔もきっと素敵だと思うわ!!」
さらに続ける。
「さっきは怒られてしまったけど、あたし、雄也は一人で寂しくしてるように見えたの。だからまたあの子の楽しいことを一緒に探したいわ!!」
「へぇ……」
ここまで明るく前向きで、まっすぐな人は初めてだ。きっと彼女にとって相手が人か幽霊かとか、周りの目がどうかなんて大した問題ではないのだろう。
私は子供の頃から今までいろいろな霊を見てきた。体の怪我や症状の軽い人、命に関わる程の重症を負ってしまった人。もう還る体がなく、執念でこの世に留まっている幽霊も沢山いた。
話を聞いてみると家族や恋人の心配をする人もいれば、自分の人生を嘆く人も周囲に当たり散らす人もいた。中には自分に何が起こったかわからず泣きじゃくっている小さい子供もいた。
最終的に体に戻ることができ、後に本人と再会したこともないわけではない。けれど、ある日を境に行方が分からなくなってしまうことなんかしばしばだった。
私自身そういうものを見すぎたせいもあったのと、雄也の事情を詳しく知れたのは最近ということもあり、彼にどういう言葉をかけてあげたらいいのかわからなかった。あいつはもう体に戻れないんじゃないか。もう助けられないのではないかと思うと悔しくてたまらなかった。
でも……
「こころちゃん、だっけ?」
もしかしたら……
「私にも、雄也を笑顔にするお手伝い、させてくれないかしら。」
この娘となら雄也を変えられるのではないかと思えた。大学生の今を逃したら忙しくなってしまうだろう。そうなれば……
「ええ!!よろしくお願いするわ!!美麗!!」
こころちゃんは満面の笑みで答えてくれた。まるで太陽みたいだ。
そのあと、改めての自己紹介と連絡先を交換してこころちゃんとは別れた。
苗字に聞き覚えがあると思ったらあの弦巻財閥のお嬢様だったのね。羽女の後輩から彼女のうわさは聞いたことがあるけど全然いい子じゃない。
(よし!!)
帰る途中に心の中でガッツポーズをして気合を入れる。きっとこれが最後のチャンスだ。ここまできたらたとえ雄也に嫌われたとしてもやってやろうじゃないの!
UAとお気に入り登録だけでなく評価までしてくださって本当にありがとうございます!!しばらくニヤニヤが止まりませんでした(笑)
れい姉は女性にしては長身です(薫さんより少し小さいくらい)。それに対して雄也はあまりいい育ち方ができてないかなと思ったので身長はこころ位にしてみました。最初にも書きましたが。
次回かその次でハロハピメンバーが全員集合します。お楽しみに!!
追記
ルーキー日刊で98位にランクインしてて目を疑いました。本当にうれしいです!!