やっぱりバレンタインはやらんとでしょ!
と思ったので作りました。タイトルを「どたばたバレンタイン」にしようとしたら本家バンドリのイベント名と微妙に被ったりもしました…
それで今回、執筆を再開してから書いてみたいなーと思いつつ、なかなかタイミングを作れなかったキャラを僅かながら出しています。
いきなりの登場になってしまいましたが、作品内では前話と今回で多少の時間が経過しているので、前話が終わってすぐ辺りでお客さんとして来て…みたいなイメージです。そのため雄也とも面識があります。あの人なら豆腐屋に来ててもそんなおかしくはないはず…
雄也視点
路上ライブを始めて1か月と少し、あの男の子からのリクエストに応えて何かをつかめたような、不要な力を正しく抜けるようになったような…そんな気がする。実際お客さんも少しずつ増えてきたし、なにより自分自身が演奏を楽しめるようになって調子も良いし、朧気にやろうとしてた事を始められたからね。
そんな今は2月のちょうど真ん中。うるう年じゃなければ28日ある月の本当に真ん中。なので───
「こっちじゃなくて…これでもなくて…あ、あった…!
日頃の感謝です。えっと…どうぞっ!」
なんか落ち着かず、クッキーを焼いてみたのだった。やりたかった事はまた別ね。
それはそうと、クッキー渡すのはホワイトデーじゃない?とは自分でも思う…最初はトリュフや生チョコも考えてたんだけど、薫先輩が沢山もらうだろう…ということで、あとチョコや生クリームで出費が増々かさみそうなので…こうなった。冷凍すればそれなりには大丈夫なはずだし……チョコも買ったけどね…業務用のを1人分…
そんな贈り物の渡し先でぱっと浮かんだのはハロハピの皆、演奏先のアーケードの人達。場所を提供してくれたさらさん。もちろんれい姉。それから最近は来る頻度が減ったとはいえ、年明けからお世話になっている市ヶ谷さんと花園さん。僕が消えかけた時に励ましてくれたまりなさんや青葉さん達。
こういう経験は全くないのもあって、そこまで連絡を取り合ってない人はどうしよう…みたいな事も思いつつ、送りたい人達にはあらかじめ連絡してたんだけど…
『ゆーくん!バレンタインにお菓子作るんでしょ?あたしとおねーちゃんの分もちょーだい!』
『日菜先輩!?いやでも大丈夫なんですか渡して…というかどうやって僕の連絡先を…!?』
アイドルバンド所属だし、ファンレターを事務所に?なんて考えてた日菜先輩からまさかの直談判をされ、そこから悩み直して…結局、幽体離脱以降の…というか、僕の異性の知り合いほぼ全員に連絡することにしたのだった。紗夜先輩に事情話したらめちゃくちゃ困ってたよ…
…そんなこんなで迎えたバレンタイン当日は土曜日。1人につき1枚、フードペンでクッキーに絵を描いたり、その日にやる路上ライブの練習も欠かさなかったりで、ここ数日は結構忙しかったんだけど───
「これ、うさぎの形だ。」
「あ、うん。型売ってたから…たくさん面倒見てるんだよね?」
「うん!20羽いる!」
「すご…」
「…これ…まさかタマガ…じゃなくて…写真送ったウチの盆栽か?」
「あ、そうそう!はぁ〜…伝わってよかったぁ…」
「…ったく、どこに気合い入れてんだか…」
演奏前に来てくれた2人とそんなやりとりをしたり…盆栽クッキーの絵、枝と輪郭とお鉢…みたいな感じで不安だったんだよね…でも市ヶ谷さん何言いかけたんだろう…多摩川?東京の?
「これは数奇な運命が紡ぎし
「あこ、雄也がクッキー渡せなくなってるぞ?」
「あ…うん!いただきます!ゆーやんっ!」
「め、召し上がれ…」
「いや〜、なかなかのお手前でしたな〜。」
「ど、どうも…って、もう完食したんだ…青葉さんのは10枚位入れたんだけど…」
「よゆーよゆー。あと5袋はよゆー。」
「えぇ…」
「にしても、雄也はモカとも知り合いだったんだな。」
「…う、うん。色々あって…え、青葉さんおかわり!?あ、まってそれまりなさん達に渡すのーっ!」
演奏後にはヒヤヒヤさせられたり…冗談だとしても心臓に悪いってば…
「こ、こちらお収めください…日菜先輩の分もありますので…」
「はい…ありがとうございます…」
「くすっ…紗夜も雄也も表情カタすぎ…賞状授与みたいじゃん…」
「仕方ないでしょう!日菜の頼みとはいえ、あまり褒められた行為ではないのだから…!」
「先輩は今日パスパレのスケジュール入ってますし、そもそも親族の方や業者さん以外、事務所に食べ物送るのNGでしたからね…
…あ、今井先輩の分は…こちらです。」
「おっ、サーンキュ♪それじゃアタシも…
はい、ハッピーバレンタインねっ☆」
自分から「渡したい」を伝える時、こころちゃんとは違う方面で緊張した2人が一緒に来たりもした。今井先輩みたいな人と縁ができるとは思わなかったよ…しかもドリンクとかじゃなくてお豆腐買いに来るとは…
…と言った感じにアーケードでの用事は完了。次は────
「お忙しい中すみません…」
「平気平気!スタッフの皆も楽しみにしてたしね。
それで、この後キミは…
「まりなさーん!ちょっといいですかー!?」
あ、はーい!
ごめんね。呼ばれちゃった。」
「あ、えっと…お邪魔しました。
チョコレートありがとうございます。」
「うん!気をつけて行ってきてね。」
これで残ったクッキーの袋は5つ…やっぱり忙しかったし大変ではあったけど、断る人が居なかった事、濃淡あっても皆笑っていた事が嬉しくて、疲れも寒さもそんなに感じなかった。
最後の行き先はもちろん、久しぶりの弦巻邸。話したいこともあるとのことで来て欲しいと言われていたのだ。
話したいこと…ハロハピの皆で…それってやっぱり…
「───いらっしゃい雄也!待ってたわ!」
「お邪魔します。待たせてごめんね。」
出迎えたのは変わらない満開の笑顔。やっぱりまだ眩しくはあるけれど、それなりには良くなった…のかも。
「久しぶり!ゆーくん!」
「久しぶりはぐみちゃん。元気してた?」
「うん!はぐみ、ゆーくんのお菓子、とっても楽しみにしてたんだ!」
皆とはチャットでやりとりしてたし、道でばったり…が何回かあったり、出先であっちが路上ライブをしていたり、女性ファンに囲まれてるのが見えたり、道に迷って家の前を通りすがってたり…買い出しやその後の家事に飛び入り参加してきたり…みたいな感じでちょくちょく…いや、割と会ってるね…でも、5人全員でこういう形はあの宣言以来だ。
「結構もらってるじゃん。よかったね。」
「そう…だね。ありがたいよ…」
沢山クッキーの入っていた手さげの膨らみは今もそんなに変わっていない。こういうイベント、ずっと無縁だったからね…というか、貰った事自体が生まれて初めてだから…いや本当に…
「さぁ、バレンタインを始めるわよ!」
「「おー!」」
「あ…お、おー…」
完全に出遅れ、美咲さんにちょっと笑われた。…こころちゃん、もう1回やろうとしなくていいから…いいから…
とまぁ…そんな感じで始まったハロハピとのお菓子交換会は…
「───あ、クッキーにミッシェル描かれてる。」
「うん。やっぱり描くならミッシェルかなって…
美咲さんもチョコレートありがとね。」
「そんな大したものじゃないけどね…
まぁでも、どういたしまして。」
この後すぐ「雄也、そのミッシェルの分はないのかしら?」と指摘されてちょっと焦ったり…
「ゆーくん!はぐみの特製コロッケどーだった?」
「…すごく美味しかった…サクサクで…ホクホクで…ご馳走様でした。」
「…!頑張ってよかったーっ!
ゆーくんもソフトボールのクッキーありがとね!」
「どういたしまして。今度はお店でコロッケ買わせてね。」
何だかんだでずっと食べれてなかった物を頂けたり。
「花音先輩のはこちらです。クラゲを描いてみました。」
「わぁ……ねぇ雄也君。このクラゲは何かを見て描いたの?」
「写真を見ながらやりました。けど名前忘れちゃって…
えっと…確か食べれる種類だったような…」
「それなら…エチゼンクラゲかな?」
「あ、はい!多分それです!」
線が太いなりに、クラゲのイラストを若干リアルに寄せてよかったかも…と内心ホっとしたり…*1
「雄也、このクッキーに描かれているのは…」
「…映画の撮影開始の時に『カンッ!』って鳴らす道具です…
すみません。迷走しました…」
「卑下することはないよ。雄也はこれを私に食べてもらいたかった。そうなのだろう?」
「それは…もちろん…ムリして欲しくもないですけど…」
「その思いがあるなら、君も「瀬田薫」を彩る立派な演出家さ。
さしずめ、このクッキーが飾りたてるのは演劇の幕が開ける瞬間の私…かな?」
「そっ、そんな大役を!?いや嬉しいですけど沢山もらってるんですし、食べ過ぎで身体壊したりとかしないでくださいよ!?」
こっちはいいチョコをもらってしまった事に加え、文字通り山程贈り物を貰っている人にお菓子を渡しづらくなったり…と、もう一つの話題を忘れたわけじゃないにしても、みんなでわいわいやるのはやっぱり楽しかった。
そして────
「こころちゃんには…これ…どうぞ…」
「クッキーに描かれているのは…ハロハピのマークね!」
「正解。こころちゃんはハロハピのリーダーだから…
ちょっとありきたりかもだけど…」
「そんなことないわ。こういう贈り物を貰うのは初めてだもの。」
「え…!?あ、でもそっか。こういうイラストを単体はそんなにか…」
「ええ、だからとーっても嬉しいわ!ありがとう雄也!」
「ど、どういたしまして…そこまで喜んでくれるとこっちも嬉しい…んだけど…
……その、こころちゃん…」
「?」
「等身大のミッシェルチョコレート、それも一人につき一体って…僕達これどうすればいいのさ…」
結局、チョコミッシェルズはミニサイズに作り直しということで、写真撮影したあと黒服さんたちに連れて行かれたのだった。
「───出来上がりまではしばらくかかるって。
こころ、この時間使ってあの話しない?」
「名案ね美咲!
それじゃあ…作戦会議を始めるわよ!」
「「「お…おー!」」」
「こ、今度は言えた…あ、えっと…!
話って…事前に聞いてた事だよね?…どんな内容なの?」
「春休み、あなたの路上ライブに参加しようと思ってたの!
その事で前からハロハピの皆で話し合ってたのだけど────」
最近の子が知ってるかはわからないけど、もし通じちゃったら気まずくなってたかもだし、正しく老婆心ってやつさね。
ここまで読んでくださってありがとうございます。雄也と面識のあるバンドリキャラ、全員集合回でした。
ということで、書きたかったのはリサ姉でした。筑前煮の材料で高野豆腐を…みたいな思いつきが始まりだったのですが、調べてみたら使わないという…精進料理ではお肉の代わりで油揚げ、とかはあるそうですが。
ちなみに豆腐屋のお客さんとして出せないかなーと思ってたキャラは他に2人いまして
「たのもーっ!こちらにリクエストを受付中のキーボーディストさんがいると聞きました!
アナタがそのユークンさんですか?」
「豆腐屋さんの前でライブってなんかウケるんですけど!
あ、
みたいなセリフを考えてました。イヴと透子らしく書けてるといいのですが…