幽霊を笑顔に!!【本編完結】   作:GTP

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最終話 大冒険の始まり

雄也視点

 

 

命の恩人に初恋をした。

 

どこまでも元気いっぱいで、信じられない位にハチャメチャで…とにかく笑顔の眩しい人だった。

 

でもいつしか、貰いっぱなしが苦しくなって…それでも諦めきれなくて…背中を追いかけるつもりで演奏し続けた。

 

その結果、一緒にやり遂げられたものはできた。舞台の上は言葉にできないくらいの思い出で満ちていて、少しは自信もついたのかもしれないけれど…これで追いつけたなんてやっぱり思えない。

 

でも…

 

『あなたのもう一つのお日さまのこと、教えてちょうだい。』

 

あの子はもう、僕がそういう気持ちを押し込んだ部屋の前にいた。

 

 

 

 

「────これが、あの歌の意味で…僕がこころちゃんに隠していたこと。」

 

正直、ノックまでされちゃった感じはするし、居留守が脳裏を過ったりもしたけど…それでも自分で扉を開けた。

 

……言いたいことはきっと伝わっている。

 

あなただけにチョコを渡した理由も、一緒にいると時々そっぽを向いちゃうのも、その時大体赤くなっているのも…恋をしているから。

 

…悪い感じはなさそうだけど、まだ終わりじゃない。気を引き締め直して、ちゃんと返事を…

 

 

 

「雄也!雄也っ!」

 

「ちょっ…近っ…!」

 

 

 

 

 

 

あなたの中のあたしのこと

 

もっとも────っと聞かせてちょうだいっ!!

 

 

 

 

 

 

扉を開け、顔を見ようとした刹那、その人に手を取られ部屋に引き戻された。

 

 

「───こ、こころちゃんの事をどう思ってるのか…?

それはまぁ…可愛いなって………え、嬉しいけどもっと色々聞きたい…!?

…えっと…よりわけ好きなのはやっぱり笑顔に…元気いっぱいなところもだし、楽しいことを見つけた時のわくわくしている顔も……

そ、それと時々…大人みたいに見える時があって………え、いつなったのって?それは────」

 

…自分の気持ちは伝わった。だからこういう話ができている…はず…

 

 

 

「────き、きっかけ?

えっと…こころちゃんを意識し始めたのは…一緒に星を見た時…かな…?」

 

「そう言われてみれば、雄也が不思議な感じになったのもその頃からね。

月も綺麗。みたいな事を言ってなかったかしら?」

 

「ちょっ…!そ、そこまで覚えてるの…!?

……あ、えっと…実は昔、あなたを愛していますを『月が綺麗ですね。』って表現した人がいたらしくて…気づいたのは言った後すぐだったんだけど…

 

「とってもおしゃれな言葉ね!」

 

…ただ、あの告白で言える範囲のことは全部伝えた。一瞬でもそう思った自分をひっぱたきたい…

 

 

 

「───もっと教えて欲しい?沢山ありそうって?

…そりゃ…もちろん色々あるけど……すぐ出てきたのは僕が消えかけた時…かな?

励ましてくれた時のこころちゃん、すっごく眩しくて…

……だからその…もう一度、お礼を言わせてください。」

 

「言葉にしなくても、もうありがとうは受け取ったわ。顔を見ててもわかるもの。」

 

「うぅ…でもお礼言わせてっ!謝罪もさせて!改めて!

出会ったばかりの頃、関わらないでなんて言ってごめんなさい!

消えかけた時、勝手にどこか行ってごめんなさい!

その後も突き放すようなこと言ってごめんなさい!

それでも…僕を助けてくれて、ここに居させてくれて…見つけてくれて…!本当にありがとうございました!」

 

「ええ!どういたしまして!」

 

火のついた好奇心は留まるところを知らない。結局、こころちゃんはかつての開かずの間で「あれはなに?」「これはなに?」を小一時間し続けたのだった…

 

 

 

「────それで…さ、こころちゃんはその…僕の事をどうおもってるの…?」

 

結局、僕が質問できたのはまだ言えそうにない所以外をあらかた聞き尽くされてからだった。エッチに見えた所とか、自分でも重い…ってなった所とか…その辺は…ね…

 

「初めて出会った時は、あなたの事を魔法使いだと思ってたわ。」

 

「魔法使いって…まぁ、すり抜けたり宙に浮いたりできるからね…」

 

ハロハピの皆が見えるようになった時、そこですれ違いが発覚してれい姉が頭抱えたんだっけ…確認って大事だね…

 

「壁を通れるのも、空を飛べるのも、とっても楽しそうでいろんなことが出来そうなのに、会うといつもぼんやりしてるのが不思議だったの。」

 

「つまり、よくわからない人だったと…」

 

「そうなるわね。そこから、あなたがお化けってわかってまた別のわからないが生まれたわ。」

 

「…さっきも言った…挙動不審の所とか?」

 

「それもあるけど、雄也は考え事をしてばかりだもの。

可愛くて素敵な笑顔なのにもったいないわよ。」

 

「…そういうところだってばぁ…っ!」

 

コンプレックスのことも、そこに触れられても不快感が出てこないことも既にバレている。狭まった視界の中で彼女が微笑んでいた。

 

「目を覚ましたときに教えてもらえたけれど、やっぱりあたし、あなたが笑顔から遠ざかっちゃった理由はよくわからないわ。

今はお父様にもお母様にも会えなくて、お母様の事になるとものすごくお腹が痛そうになって…そこから先はどうしても忘れちゃうの。」

 

「…無理にわかろうとしなくていいからね。」

 

「ええ。美麗やおばさまにも言われたわ。」

 

2人といつそんな話を…

 

「それでもあたし、あのお話を聞いてからあなたの笑顔がもっと見たくなったの。

昔のことをわかってあげられなくても、いーっぱい笑って、楽しいこともたーっくさんして…そうやって新しい昔を作っていけば、振り返っても落ち込んじゃったりしないでしょ?」

 

「だからちょくちょく家に来てたのね…大体家事か練習か宿題だったけど…」

 

「確かにあまり遊んだりはしなかったわね。でも、あたしは楽しかったわよ。

料理している顔を眺めたり、お手伝いをしたり、初めてぎゅーっとしたときには暖かい不思議な気持ちになれたり…色んな初めましてに出会えるもの。

あなたのことがどんどんわかっていくのも、絵本を読んだり冒険をしているみたいだったわ。」

 

「……」

 

本当に言葉通りで、お世辞も誤魔化しも一切ないんだよね…あの子の眩しさに悩んでいた自分が垣間見えて、どんな顔していいかわからなくなったけど…

 

「また難しい顔をしているわね。でも、雄也だって嫌じゃなかったでしょ?」

 

「まぁ…うん…新鮮だったよ。色々と……」

 

返事はできた、けれど浮き上がる申し訳なさはやっぱり抱えきれそうになくて…

 

「…そんな状態で、あの歌やチョコのことになったからやっぱり気になり続けてたと…

…でもそれ、絵本のページが増えた上、まだ読まないでって言ってるみたいじゃん…

…ごめんなさい。ずっと待たせっぱなしで…」

 

「謝らなくても大丈夫よ。そのページにはきっと、とっても素敵なことが書いてある。そう思っていたもの。」

 

…もう僕、この人に一生敵わないや…

 

 

 

 

 

「────じゃあ、今は…」

 

「わからないわ!」

 

「がくっ…」

 

そ、即答…しかも笑顔って…

 

「あなたの秘密を教えてもらって、なんだか世界が広がった気がするもの!

大冒険の始まりみたいにわくわくして…ちょっぴりどきどきしてて…あの時みたいに暖かくて…きっとあたしが知らないこともたーっくさんあって…!

今すぐには伝えきれそうにないわ!

だから────」

 

 

 

 

 

これからも楽しいこと、い─────っぱいしましょう!

 

…楽しいことってなにするのさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それはもちろん…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これから考えるの!さぁ、一緒に探すわよ!

 

 

 

 

─────うん!




これにて、本編は終了となります。

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。

とはいえ、書き直しやアフターストーリー等、何割ボツになるかは別としても、この話でやりたいことはまだまだあります。

もし、それを仕上げて投稿した際、お時間がありましたら再び本作を手にとってくださると幸いです。
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