アフターストーリー、ようやく一つ仕上がりました。
まだやりたいことが纏りきってはいない状況ですが、書き出せる限りやっていこうと思います。
教えてちょうだいっ!(上)
雄也視点
「───やっぱりすり抜けちゃうわね。」
「そうだね…数珠一つだと片腕が限界みたい。
…というか…」
「というか?」
「持ってきてくれた黒服さんに申し訳ないけど…一旦体に戻りたいなって。
この状態、周りの温度がわからないから…」
朝ごはんもまだだし…と小さく付け加えた。蔑ろにしすぎてまた風邪引いた…なんて嫌だからね。本当に…
「体はお家にあるのよね?それなら、あたしもお邪魔していいかしら?」
「…大丈夫…だね。こっちは夜にやる打ち上げまで予定ないし…」
『恋人同士だとどんな事をするの?』…みたいな話から、ひとまず言える範囲のそれらしい事を挙げていって、あるワードに飛びついてきたのまではいいんだけど…大冒険の始まりにしてはみるみる慎ましやかになっていくような…とはいえやりたいこと的に室内のほうが良さげだし…仕方ないか。
後は…
「もう一つ、お願いがあるんだけど…いい?」
「ええ、聞かせてちょうだい。」
「家に帰るまで…手をつないでて欲しいなって…」
「頼まれなくてもそうするつもりよ。
…あら?」
出された手を両手で包み、自分の顎の下くらいまで持ち上げる。
きょとんとしている顔が…やっぱり可愛かった。語彙力のなさがもどかしい…
「…もう片手も数珠に触ってて欲しいんだけど…
…そうだね、手の中に入れちゃおっか。」
両手を両手で包み直してから目を瞑り、額を寄せる。
「伝えたりなかったの。
こころちゃん、僕が幽霊でも気にしないで手を取ってくれてたでしょ?」
手を取った状態で遊園地やショッピングモールを駆けずり回られたこともあれば、僕が泣き止むのを待っててくれたこともある。
「それが本当は……すごく、すごく…嬉しかった。」
他にも沢山の思い出はあるし、いい加減くどい気もする。
でも伝えたい。言葉と一緒に、手からも気持ちを送っていく。
両方の手の甲は冷たくも温かくもなくて、柔らかくて、でもちゃんと骨の硬さも感じて…
当たり前なのに、それがどこか不思議だった。
「雄也はあたしにありがとうが沢山あるのね。」
また素敵な気持ちを教えてもらえたわ。なんて嬉しそうな声がする。引かれなくてよかった…
「…なんか、我慢できなくなっちゃった。初めて手を繋いだのはこっちで…またこうして出会えるかわからないって考えると…」
目を開ければやっぱり満開。ちょっと力が抜けて、抱えていた言葉がこぼれ落ちていく。
「心配しなくてもきっと大丈夫よ。また出会える気がするもの。」
「そうなの?」
「そうよ!」
特に根拠とかないんだろうな…でも、どこか気持ちが軽くなった気がした。
「───おかえり。結構長かったわね。」
「ただいま。ちょっと色々あって…あ、お客さん来てるから鍵開けてほしいんだけど…」
「1回そっちでやってみたら?ポルターガイストの確認がてら。」
「え、使えるの…?」
ドアに意識を向けて、ツマミをつまんで回すイメージを…
「あ、開いた…」
マスターした時から感覚が変わったとかもない…いや、悪いことじゃないんだろうけど…
「お邪魔するわ!
あら、今度は何を考えてるの?」
「あ、こころちゃんだったのね。いらっしゃい。」
「わ、入ってたのね…あ、実は…」
自分の靴をぱたぱた鳴らすと喜びの声があがった。
「物を動かす魔法もそのままなのね!」
「…また出れるかわからないのに…」
そりゃ…これからこころちゃんとやりたいことのほうがずーっと大切で優先だけども…後ろ髪を2〜3本つままれて引っぱられてる感じが…
「もしかしたらだけど、自分の意思で幽体離脱できるんじゃない?今日だけでも3回くらい入って出てやってたんだし。」
「やっぱりお化けになれるんじゃない!早速試してみましょっ!」
「まだ確定じゃないし、その前に朝ご飯ね。あ、こころちゃんは……」
やることがはっきりして、改めて1日が動き出していく。
「────それじゃ、手を合わせて…」
「「いただきます。」」
簡単なものだけど、まずは2人で朝ご飯。洗い物までこころちゃんは楽しそうだった。
「────ベッドに腰掛けたけど…ここからどうすればいいの?」
「そうね…一先ずそれっぽく念じてみて『出たい』とか『出して』とか。」
(出たい…………来た。大きいざわつきが1回…)
「前兆みたいなの来た!たぶんいけるかも…って、なんで2人して笑ってるのさ?」
「後ろみればわかる。」
「後ろ…ってうわぁ!?で、出てたんだ…」
それから自分で幽体離脱できるかを試したんだけど、あっさりできてびっくりした。二重の意味で…
「半年以上も戻れなかったんだし、どっかでまた出てくるだろうとは思ってたけど…
ここまでノータイムで自由にやれるの、話でしか聞いたことないわ。」
「えぇ…」
「すごいわすごいわっ!雄也はお化けの名人なのね!」
「それを言うなら…幽体離脱の名人。とかじゃない?」
れい姉すら困惑していたらしい中、一番嬉しそうなのもこころちゃんだった。
そして────
「そう。ちゃんと言えたのね。」
「うん。まだ自信はないけど…ってぎゃっ!!?」
「ったく…こういう時くらいシャンとしなさいっての。」
「いったぁ……」
「雄也が笑顔にならない時は背中を叩けばいいのかしら?」
「…こういうのは私みたいな人がやった方が良さげかな?
こころちゃんはこころちゃんがいいと思ったやり方で雄也を元気づけてあげて。」
「あら、そうなのね。それなら……」
(ほら、あんたがジメッてるせいで…)
(だからって…思いっきりやることないじゃんかぁ…)
「?」
多分背中にモミジが出来たけど…とりあえず、ここまでは順調…かな?
あとはバイトに行くれい姉を見送って……
「────じゃ、じゃあ…する?…ハグ…」
「ええ。今ならきっと、あの感覚に出会えるわ。」
やりたいことの再挑戦…だね。
閲覧ありがとうございました。
クリスマスにどうにか間に合わせようとしていたのですが、ちょっと遅かったですね…
次回は書いている通り、イチャイチャマシマシでやれたらなと思います。