幽霊を笑顔に!!【本編完結】   作:GTP

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…はい。お待たせしました。

はい…また座礁していました。色々シチュエーション書いてはボツにして…を繰り返し…気づけばこころの誕生日が近づいてました…

その結果、自分としては思い切った話になった気がします。色々これでよかったのか…ともなっています…

解釈違い等ありましたらごめんなさい!


教えてちょうだいっ!(下)

雄也視点

 

 

「……」

 

「来ないの?」

 

「い、行くから大丈夫…」

 

ベットにぺたんと座り、両手を広げたまま不思議そうにしているこころちゃんにどうにか答える。

 

れい姉を見送ってすぐ、自分の部屋にまた戻って、こっちからハグをしたいと伝えて…いざ向き合ったらぶわっと恥ずかしさが襲ってきて…

 

(〜〜〜〜〜っ!)

 

「きゃっ。」

 

でもこんなままでいられるかーっ!と、力尽くで羞恥心を振り切りって距離を詰め、両腕で彼女の体を包んだ。

 

乱暴になってないか不安になったけれど、微かに聞こえた嬉しそうな声と、こっちの背中にも腕が回った感覚で抜け落ちていく。

 

そこから続くのは珍しい無言の時間。最初はただただ落ち着かなかったけれど、柔らかくて…温かくて…いい匂いもして……でも元通りにならない心臓がどこか不思議で…

 

……どのくらいじっとしていたんだろう…いつの間にか落ち着きつつある意識の中、あの子がどう思っているのかが気になったり……

 

「どきどきとぽかぽかがつよくなって…ちょっぴりふわふわしてきて…不思議な気持ちでいっぱいだわ。

あなたもずっとこうだったの?」

 

不意に聞こえた感想は、いつもより柔らかい声色。なんだか頭がぽやーんとしてくる…

 

「そう…だといいな。僕も心臓以外はどこか落ちついてて…な…っ!」

 

きゅーっと回された腕の力が強まる。でも前みたいに締め上げられている感じではなくて…

 

「…本当だわ。思いっきり走った後みたいね。」

 

ハグしたまま僕の鼓動を感じてみたかったみたい。くすくすと楽しそうな笑い声が聞こえて一安心…

 

「ちょっ……それは…っ……」

 

…とはならなかった。ぼんやりとした心持ちはどこへやら、頭の中は意識してしまった柔らかいもので埋め尽くされて…ぐっつぐつに煮え上がり……

 

「あら?急にふにゃっとしたわね。どうしたのかしら?」

 

「………きゅう。」

 

崩れそうになったのを抱き留められたのがトドメだった…

 

(もうダメ…これ多分出る…魂出る…)

 

こんなんじゃどうしようもない…そういう話しないとダメなのかな…まだしたくなかったんだけどな…

 

全身がざわつき、薄れていく意識の中、そんな言葉が虚ろに回っていた…

 

 

 

 

 

 

 

「────う…うーん…はっ。」

 

「目が覚めたのね。」

 

真っ先に視界に入ってきたのはこちらを上から覗き込むこころちゃん。金色のすだれかシャワーを見上げているような不思議な感じだった。

 

でも触れられている感覚がない…髪越しに隣をみれば眠っている僕の体がうっすらと…やっぱり幽体離脱してた…

 

「僕…どのくらい伸びてた?」

 

「時計はみていなかったわね。でも結構すぐ起きたわよ。」

 

あ、ホントだ。まだギリギリお昼になってない。

 

「それにしても、今度はどうしておばけが出て来ちゃったのかしら?」

 

「………」

 

…胸を押し付けられてキャパオーバーしました……なんて言える訳ないじゃん…

 

「………じーっ。」

 

「あ…ちょっ…」

 

言い淀んでいたら、久しぶりの隠し事ね!と、好奇心旺盛に顔を寄せてくる。2人で星を見た時と完全に同じだ…

 

「わ、わかった…白状するから…

どこかで話すつもりではあったけど、どう言えばいいか難しかったんだって…」

 

ずっと待ってもらっていたのに、ここから更に誤魔化すのは気が進まなすぎる…

 

まとまらないなりに、体育座りから正座へと足を直した。

 

「とりあえずその…ハグが嫌ではないからね?

うまく言えないけど…胸の中が温かいもので満たされたし…あなたがよければまたやりたいとは…

ただ…」

 

「ただ?」

 

「鼓動を感じようとして、強くきゅーってしたでしょ?

前みたいに苦しくはなかったし、それ自体がいけないことではないんだけど…その時こう…意識しちゃって…」

 

「それを言うのが難しいことなのね。」

 

「…そんな…感じ…」

 

どうしようが壁みたいになって、眼前まで迫ってきている。その中で色々考えて…言葉をまとめて…

 

「───その…ね。男の人が手とかで女の人の胸とか…あと…下着で隠すような場所を触ったり、見たりするのって…簡単にやっちゃいけないことなの。

それこそ、普通はある程度段階を踏んだ恋人同士がやること。みたいな…」

 

……きょとんとしてる…そうかぁ…

 

「それで…きゅーってされた時の僕…そういう部分を連想しちゃって…それでいっぱいいっぱいになっちゃって…」

 

「雄也はあたしのおっぱいが原因でおばけになっちゃったの?」

 

「……簡単に言えばそう……って下から持ち上げない…」

 

そういうところだよもう…

 

「ねぇ雄也、今からその段階を踏んでからやることは出来ないかしら?

我慢はよくないと思うの。」

 

「…………さすがにそれはダメ。

ここで最後までやるのとってもマズくて…最悪ハロハピの皆にも黒服さんにもあなたのご両親にもとんでもない迷惑かけちゃうから…」

 

あたしは大丈夫よ?とか言っちゃってるのがもう大丈夫じゃないんだって…ホントそういうところだよもう……

 

(もう…進むしかない…)

 

あの子からしたら、僕の笑顔に関わってくる部分になってそうだしね…それに、何かあるたび幽体離脱してたらこっちだって困るわけで…

 

「ごめん、ちゃんと伝える。少し長くなるかもしれないけど大丈夫?」

 

幽霊のまま正座して、恥ずかしさをねじ伏せるのに時々失敗しながら考えていることを伝えていく。

 

「───えっと…まずは…」

 

最初は自分が意識していたことを改めて。

 

「───いきなりだけどさ、こころちゃんはその………赤ちゃんってどうやってできるかわかる…?」

 

次に所謂「一線を越える」行為のこと。

 

「───じゃあ、何がマズイかというと…」

 

そこから、今そういう事をやってしまった後のリスクを脱線しないようにしながら…

 

「───もしかして、雄也がミイラの話で真っ赤になっていたのもそういうことなの?」

 

「それはあの…はい…身体のラインを想像してその…ドキッと…」

 

あと…あの件含め、こころちゃんのそういう方面での魅力を少々……

 

 

 

結果───

 

「雄也の伝えたいことは大体わかったわ。

けれど…」

 

「けれど?」

 

「それならやっぱり、先にえっちなことをした方がいいんじゃないかしら?

ヒニング?だって黒服さんにお願いすればきっと用意してくれると思うわ。」

 

「────────」

 

いや黒服さんになんてもの買わせようとしてるのさ…という気持ちと、据え膳…という単語が頭の中で盛大にぶつかり合い。一瞬思考が爆ぜ散った。

 

「……少なくともこっちの刺激、ハグの比にならないかもなんですけど…それで魂抜けちゃいそうのはどうするつもりなのさ…」

 

「美麗やおばさまに聞けばいいじゃない。」

 

「……………………」

 

目頭を押さえて困り果てるれい姉と、大笑いするさらさんがまじまじ浮かんで来る……プライバシーのプの字もない……

 

「…そうね。あなたの顔も体つきも魅力的って言ったし、それで悶々としたことはあったし…人に頼れば課題もどうにかできるのかもしれないけれど…

それしちゃうと…通っていきたい段階をすっ飛ばしちゃう気がするというか…」

 

『軽々しくやっていいことじゃない。』とは間違いなく伝えている以上、あの子なりに信頼してくれているとは思うけど…よくわかってない人を押し倒して…とかやっぱりやりたくないよ…

 

「その段階の中には公園でお話ししたものもあるの?」

 

「……う、うん…デートで色んなところ回ったり…遊んだりとか……あと恥ずかしくて言えてなかったけれど…あーんってしてご飯食べさせあったり…………キス…したり…………ほっ、他にも今出て来ないだけで、きっと色々出来てくると思うから……!」

 

途中すっごく小さい声になったはずなのに「わぁ…!ふふふっ。」と口元に両手の指先を当ててすっごくうれしそうにしている。今までこの声量で聞こえたことないのに…

 

「………こころちゃんはさ…誰かに告白されるのが初めてで、まだわかないことだらけって言ってたでしょ?」

 

「そうよ。」

 

「だからまずは…あなたと関わって僕が感じたものをより知って…それを長くしていけたら嬉しいなって。

…それが、今まとめた僕の気持ち。」

 

あなたはどうしたい?と、静かに、でもまっすぐ視線で問いかける。

 

ドキドキはしているみたいだし、不可能じゃない…とは思いつつも、僕みたいに真っ赤になってドギマギするあの子は正直全く想像つかない。

 

…ハグで魂が抜けた人がこんなこと言うの?みたいな気持ちだってある…

 

それに、これはあくまでこっち側の要求。最後にあの子の求めるものが数段飛ばしなら…言った手前、腹を括るつもりだった。色々と…

 

…そんな気持ちすら持ち上げようとする下心には呆れつつ、頭の中でバシバシひっぱたきつづけた…

 

そして…

 

「わかったわ!それなら改めて、あたしと恋人らしい事をたーっくさんしていきましょっ!」

 

…思わず、大きく息が漏れた。

 

「なんだかちょっとだけ残念そうね。」

 

「もう本能とか習性なんだろうね…自分でもどうかと思う…」

 

だから気にしないこと。それにこのため息には安心もあるから。と念押ししておく。

 

予想していたけれど、本当に純粋な人だった。授業で習っていなかったら「赤ちゃんはコウノトリが連れてくるのでしょ?」とか言ってしまいそうなくらいには…

 

「恋をすると、あべこべだらけになる人もいるのね。」

 

「…ホントね……」

 

ますますため息しか出てこない…幽体離脱してた時間よりは短く済んだとはいえ、冬が始まって終わるまでうんうんやってた訳だからね…気持ちを何度持て余したか…

 

「…じーっ。」

 

そんな僕の気持ちを知ってか知らずか「次はなにをするの?」と言いたげな瞳がこちらに向けられている。呆れられたりはないのが一安心ではあるんだけど…

 

「………」

 

一つ…いや二つ、ここでやりたいことができた。

 

その動機が感謝からなのか、欲からなのか…自分でもよくわからない。

 

そういう言動で誤魔化してるだけじゃ…そんな気持ちがブレーキになる。

 

でも、あんな顔を見たら…悪く受け止めてしまわないのなら…

 

(…戻らせて。)

 

横に寝かされた自分の肩に触れて、心の中で念じる。

 

戻った体を起こし、一先ず伸びをしたり、手のひらを握ったり開いたり……

 

(…なんかマネしてる…)

 

…え、じんわりぽかぽかしてくる?あー…座りっぱなしだったもんね…

 

では、気を取り直して…

 

「ねぇ……もう一回、ハグに挑戦してみたいんだけど……

……ダメ?」

 

「ええ、いいわよ。」

 

「…ありがと……今度は抜けないようにやってみるから…」

 

「どういたしまして。

おねだりしている雄也、子供みたいで可愛かったわ。」

 

「…むぅ…」

 

そういう扱いしないでほしいんですけど…そっちは大人っぽい雰囲気纏って笑ってるし…

 

なんか出鼻を挫かれた気がする反面、力みが抜けた感じもする。これなら魂も…

 

「…えいっ。」

 

「ぎゅーっ。」

 

むすっとした気持ちに引っ張られ、さっきより少し力を入れて抱きしめた。苦しいとかは…大丈夫そうかな?

 

「お化けは大丈夫そうかしら?」

 

「うん…」

 

気持ちが変わったせいか、そっちの問題は無さそうだけど、柔らかくて、温かくて…入れてた力がもう抜けてしまいそう…

 

でも、やりたいことはまだできてない。

 

「……!」

 

後頭部に手を回して、指で髪をなぞる。しばらくそうやったら今度は手櫛で…ってすご…全然指が引っかからない……

 

「なでなでされるのって、こんなに気持ちがいいのね。

あたしもやっていいかしら?」

 

「…いいよ。どうぞ。」

 

頭をわしゃわしゃやられる予感は外れ、こっちの真似をするように何回か髪の輪郭をなぞられた後、すーっと髪を梳かれていく。

 

「あなたの髪、さらさらしてるわね。」

 

「…僕の髪はそうでもないよ…

あなたなら兎も角…」

 

触れられた所から、じーんと甘く痺れるような感覚がゆっくり広がって…これもクセになりそうで…

 

(今回はこの辺でも…いや、いやいやいや…!)

 

なでなでが止まったタイミングで、両肩に手を置いて少し距離を作る。

 

「…こころちゃん。」

 

「なぁに?」

 

「な…!……も、もう少しだけ…そのままでいて…」

 

ほんのり朱色がさした頬に、少しだけとろんとした目に、どきりと大きく心臓が跳ねる。

 

ぼんやり話すか考えていたことがみるみる溶けていく。

 

それでも……

 

 

「……大好き。」

 

 

「!」

 

瞼を瞑った世界の中、頬の柔らかさが記憶に焼き付いた。

 

「……」

 

元の距離感に戻ってから目を開けると、視界の隅で丸く見開かれた目がぱちくりしている。

 

「……!」

 

でもそれは本当にあっという間。ぱあっ…!と弾けた笑顔がすぐアップになって……

 

「ん゙っ…!」

 

…思うことは色々あるけど……初めてが鉄の味。みたいな事にならなくてよかったよ…お互いに…

 




ここまで読んでくださってありがとうございました。

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