出来上がるまで結構色々考え、悩みながら書いたものですが
もしよければ読んでいってください。
雄也視点
弦巻さんに連れ出されたあと僕はリムジンの中で黒服さんから大まかな事情は教えてもらった。
彼女がガールズバンドでボーカルをしていること、この後急遽自宅で次のライブの作戦会議を行うこと。
そこまで聞いて彼女のやりたいことは大方予想できた。それと同時に嫌な予感も……
そして、その嫌な予感は的中してしまった。
作戦会議が始まって早々、最初はとても賑やかだったメンバーの皆さんが急に僕が見えるようになって静まり返ってしまった。というか一人に至っては気絶しちゃったよ……
気まずい……どうしよう……今すごく帰りたいんだけど……
とすでに居たたまれなくなっていると───
「え、えーっと……君が、こころちゃんの言ってた人?」
水色の髪の人が聞いてきた。
「あ……はい……駒沢雄也です……」
「い、いつからいたの……?」
「さ、最初から……です。」
「も、もしかして……幽霊……なの……?」
「……はい……」
「「「!!?」」」
皆の表情が一変した。もうやだ立って回れ右してダッシュで帰りたい!!
けどこの空気を何とかしないと僕のせいで作戦会議が───
「あ、いや、でも僕死んだわけではないですし祟ったり呪ったりもできませんしその……あの……」
「…」
取り繕えてない怖がらせてる!!なに余計なこと言っちゃってるの僕!?
「そ、そうなんだ……」
やっぱり引かれちゃったよ!せっかく怖いのこらえて話しかけてきてくれたのに!!
再び場が静まり返ってしまった。
どうしよう待ってどうしようどうしよう……駄目だパニックで考えが形にならない!!
「すごいわ!雄也は幽霊だったのね!あたし初めて見たわ!」
え───
ある意味、この弦巻さんの唐突な天然ボケがとどめだった。ここでパニックに追い打ちをかけるように遊園地の疲れがぶり返し、僕は色々と限界を超えて完全にフリーズしてしまった。
それからしばらく頭を抱えて動けなくなっていると──
「だ、大丈夫……?」
水色髪の人が心配そうに声を掛けてきた。
おそるおそる顔を上げると既に怖がっている人はいなくて……というか弦巻さん以外はみんな困惑と心配が混じったような目でこっちを見ていた。気絶していた人も含めて。
僕が一人でテンパって自爆したのが結果的にプラスに働いたみたいだ。
そして結局、作戦会議は翌日に持ち越しとなった。
「おかえり。なんか大変だったみたいだけど……大丈夫?」
ふらふらになりながら帰宅すると、れい姉が心配そうに出迎えてきた。事情は弦巻さんから聞いたのかな?自分が叩き出した手前、責任を感じているのだろう。
「だいじょーぶ……」
なんとか返事をするけど、想像以上に死にそうな声になってしまった。
「いや全然そう見えないから……嫌なら、こころちゃんに私も言うけど……」
「いい……いわないで……」
もう何も考えたくなかった。
読んでいただきありがとうございます。
本来ははぐみとこころで場を和ませる予定だったのですが。こころ以外がハピハピ島のイベントで普通にお化けを怖がっていたのでボツにしました。
そこからどう軌道修正して話をつなげるものかと色々考えた結果、雄也に自爆してもらうことになりました。
今回は結構悩まされましたがこの話のおかげで別のボツにしていた案が復活できそうです。お楽しみに。
最後に昨日のルーキー日刊で58位になれました!!皆さんにここまで読んでもらえるとは……本当にありがとうございます!!