INFINITY WITCHES ~無限大の魔女~   作:AGM-123

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UA1500達成ありがとうございます。

(2019年6月18日追記)現在活動報告で重要なアンケートを行っております。ぜひとも回答をよろしくお願いいたします。


Interlude01 炎の矢 ~アローブレイズ始動~

 

 

 

 

作戦終了より2時間後───

 

コリンズの目の前で、MH-60M(ブラックホーク)がローターを回し、待機していた。先に負傷兵を乗せ、彼は最後に乗り込む。隊員の1人がドアを閉め、ブラックホークは東京を飛び立った。

ここに、さっきまで一緒に戦っていた扶桑陸軍特殊部隊の姿はない。彼らは、生残した1両の軽装甲機動車と、それを運んできたCH-53Kに分乗し、去っていった。去り際に、彼らは自らの部隊名を、コリンズ軍曹のみに教えた。

 

決して存在を語られることのない特殊部隊が“沈黙の部隊”を意味する名を名乗るとは、なかなか洒落がきいている。

彼らとの別れを回想していたコリンズは、無意識のうちにポケットに手をやり、何枚かのドッグタグを取り出していた。その内の1枚、ひしゃげて血に塗れた物は、ベルツ中尉の物だった。

「Leonard・Belts」と刻まれたドッグタグを握りしめ、コリンズはヘリの窓から東京を眺める。血のような赤い夕陽が、街を照らしていた。

この街と自分たちを守って彼は死んだのだ。生き残った自分たちは、ベルツ中尉の分まで戦い、この馬鹿騒ぎを終わらせ、生き残らなければならない。

その思いを胸に秘めたコリンズを乗せ、ブラックホークは国連軍所属の揚陸艦へ向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同日、夜。

私達が間借りしている旧新東京国際空港──成田飛行場の空き格納庫で、ささやかなパーティが開かれた。ヴァイパーの退任祝いと、ストーンヘンジ撃破、東京開放成功の祝賀会を兼ねたものだった。もちろん状況が状況なので、ケータリングサービスの料理といくらかの酒類やソフトドリンクが会議室から借りだされたテーブルに並べられているだけという質素なものであったが。アローズ社の整備兵とグッドフェロー、それに私たちボーンアロー隊の4人という少人数のパーティだったが、それなりに盛り上がった。

 

 

パーティの騒ぎがひと段落着き、オメガと整備員の幾人かが酔いつぶれ、ブロンコがグッドフェローに絡み酒を始めた頃、私はこの場の主役であるはずのヴァイパーがこの場にいないことに気が付く。もう宿舎に帰ったのか、と思って少し探すと、彼女は私達のストライカーユニットが格納してあるハンガーにいた。彼女は私のF-15S/MTDのそばに、赤い航空用塗料の缶を持って立っていた。

「…ヴァイパー?」私が呼びかけると、彼女は気まずげに、「何。見てたの、リーパー」と言った。

「なにをしてたんですか?」と聞いても、彼女はその質問に答えず、塗料の缶をツールワゴンの上に置き、「…頼んだわよ」と一言言って、そのまま宿舎の方へ振り返りもせずに行ってしまった。

 

 

 

翌朝、私たちが目を覚ますと、ヴァイパーはもういなかった。愛機のMiG-21を駆り、M14を担いで、明け方、何処へともなく飛び去っていったのだという。1機分の空きができた格納庫に向かうと、なぜか私の機の周りに、人だかりができていた。整備兵数名と、オメガとブロンコ。

 

「どうしたんですか?」と私がオメガに聞くと、彼女は黙って私のパーソナルマーク、鎌を持った死神を指さした。

彼女の指指す先、死神の頭の脇には、ヴァイパーのトレードマークだった、∞のマークが赤く、はっきりと描かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、成田飛行場会議室。

 

私達がブリーフィングルーム兼待機室として使用しているその会議室には、普段から考えればあり得ないほど多くの人が詰め掛けていた。耐Gスーツを着たパイロットらしい男たちに、なぜかリッジバックス隊のウィッチ達3人。それに見知らぬ数名のウィッチらしき少女。

 

よく見ると、何人かの男には見覚えがある。たまに新聞やニュースに出る、腕利きのエースパイロットたちだとすぐに気づいた。幾人かに至っては二つ名持ち(ネームド)だ。

 

カールスラントの“銀色の犬鷲”に、“灼熱の荒牛”の異名を持つロペズ大尉。リベリオン最強のエースパイロット、“青い魔術師”ことジョシュア・ブリストー大尉もいる。

 

 

「揃ってるわね。私が誰だか知らないって人も多いでしょうけど、まぁそのまま聞いて頂戴」とグッドフェローが切り出す。

 

「対ユージア軍との交戦に向けて、国連軍からアローズを正規軍として迎え入れたいとの要請があり、アローズ社はこれを了承したわ。アローズ社所属各隊はこれをもって解隊。これより軍事参謀委員会直下の独立強襲部隊、タスクフォース118“アローブレイズ”として再始動します」

ボーンアロー隊の面々とその他パイロット達からどよめきが上がる。なるほど。独立コマンドであった私達をかき集め、1つの部隊とするのか。

 

アローブレイズ、“炎の矢”とは悪くないネーミングセンスだ。エンブレムは、銀色の3つの鏃。

 

「私は引き続き指揮官を務めるわ。正規軍所属の飛行隊も共に解隊、再編。ケイ・ナガセ中尉以下、リッジバックス隊もアローブレイズに編入されます」今度のどよめきはリッジバックスからだ。

 

「また、世界各国から戦果著しい飛行隊、傭兵達も我が部隊に編入されるわ」

 

プロジェクターに表示されたのは10個近い部隊章。うち2つは私達とリッジバックスの物なので、新しく編入されるのはそれ以外のいくつかの部隊。それぞれの部隊章の下には、“エスパーダ”“クロウ”“シュネー”“ズィルパー”“ウィザード”などなどと書かれている。

 

ヒスパニア、リベリオン、カールスラントと、様々な国の言語で表記された色とりどり個性豊かなエンブレム。それを見つつ、グッドフェローが再び切り出す。

 

「私達は国連独立コマンドから正規軍になったけど、今までどおり、報酬は頂くわ」その一言に、何人かから安堵のため息と喜びの歓声が聞こえる。当然だろう。今までのような、いや今まで以上に危険な任務に就きながら、給料まで正規軍と同じ定額制にされたらたまったものではない。ざわめきが収まるのを待って、グッドフェローが切り出す。

 

「これより、各ユーラシア大陸防衛戦において、“永久の解放作戦”を開始します。……そうそう、新入り達に言っておくわ。ここでは一番稼いだ奴が全ての行為を優先されるのよ。金と名声が欲しいんなら、うちのエースを抜くことね」

 

彼女の言葉と共に表示されたエンブレムを見て、何人かのパイロットが呻き声を上げた。

 

 

「こいつが例のエース、“死神”か…」「死神がなんだ、俺がやってやる」「戦果は関係ない。最後まで飛んでいた者が勝者だ」「…何時の時代もこういう奴がいる。私はその全てを墜としてきたのだ」「焦る事はない。迷わずにいつもどおり飛べば勝てる」どよめきに紛れ、それぞれの部隊長が部下に言い聞かせているらしい言葉も聞こえてくる。

 

 

彼らの目をくぎ付けにしたエンブレム、

 

 

 

それは、ボロボロの黒いローブを羽織り、鎌を持った死神に、紅い無限大のマークと、“Reaper”の6文字をあしらったものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻──???──

 

『再稼働まであと24時間』“彼”の言葉と共に、『DISCONNECTED』と表示されていた“私”の目の前のディスプレイに、24時間分のカウントダウンが表示される。

 

「えー、つまんないの…」と言って見るも、『しばらくお休み下さい、マスター……』と返されただけ。まあ、退屈極まりない講義がないだけマシ、といったところか。

 

 

それにしても今回は手ひどくやられた。UAV(クオックス)は全て撃墜され、“私”自身も撃ち落とされた。ベイルアウトした“1本線”とやらの隊長を何の気なしに撃ってみてから、人が変わったように攻めてきた2人のウィッチ。

 

内1人は、3ヶ月ほど前に出会ったボーンアロー4とかいう奴だった。白、青、黒の特徴的なカラーリングのF-15改造型を用いる彼女。

 

前はポンコツ同然のF-4Eだったのに、今度は最新鋭機。少し撃墜難易度が上昇している。「まあいいか。今度あったら、真っ先に墜としてやろうっと」“私”はそう独り言を言うと、目を閉じた。

 

 

そして、いつしか、お気に入りのゲームBGMの鼻歌を歌いつつ、“私”は眠りに落ちていった。ボーンアロー4、死神と名乗る彼女との第3ラウンドを心待ちにしながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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