やはり俺が部隊を率いるのは間違っている。   作:コノハアサシン

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もうね、書き直しすぎて、自信をなくしてました。
この話でも誰かに気に入ってもらえたら幸いです。


第八話

 

「比企谷か?」

 

「忍田さん…林道さんに迅さんまで……。」

 

聞き覚えのある声に振り返ると忍田本部長達がいた。普段からスーツ姿の忍田本部長や林道支部長はともかく、珍しく迅さんまでスーツ姿だ。

 

「林道と迅に働きすぎだと、引っ張り出されてな。ここに飲みに行くことになったんだ。」

 

 俺と忍田さんが会話をしていると、横では迅さんが大志のことを見つめていた。

 

 何か視えたのだろうか…。

 「忍田さん、この子たち困ってるみたいだから話聞いてあげてくれない?」

 

「構わないが、私でいいのか?」

 

 「この中では一番適任だよ」

 

迅さんがどこまで視えたのか分からないが、俺たち3人は事情を説明した。

 

 「それじゃ、俺のスーツ貸すから比企谷話してきてよ。忍田さんは付いて行ってあげて」

 

「分かった、だが小町ちゃんと大志くんはどうするんだ?」

 

「ウチの支部で預かろう、もちろん大志くんの両親には連絡しておく」

 

 頼もしい大人の協力のおかげで話はどんどん進み、俺はバーに入ることに成功した。

 

 「すみません、忍田さんせっかく飲みに来たのに巻き込んでしまって……。」

 

 「比企谷、私はむしろ嬉しいんだ、こういう隊員としてでは無いところで、お前が誰かを助けようとしているのを見られてな」

 

 「……ありがとうございます、じゃあ川崎見つけたんで話しかけましょうか」

 

 川崎の近くに2人で座って、俺は話しかけた。

 

 「川崎沙希…さんで合ってるか?」

 

「…あんた見たことあるって事は…同じ高校か。そうだけど、何?」

 

 「お前の弟の大志から相談を受けてな、姉の帰りが遅すぎて心配だってな」

 

 大志という単語で一瞬目が合うが、それからは興味も無さげに川崎は話を聞いていた。

 

 「そう、あんたには迷惑かけたね、大志には私から言っとくからこれ以上私達に関わらないで」

 

 「それは無理だ、ここで俺が帰ったらまた大志に適当な事言ってココで働き続けるんだろ?」

 

 「私の事はアンタに関係ないでしょ」

 

「確かに、お前がどこで何時まで働こうが俺には関係ない。だけど大志は俺に相談してきたんだ、大志と俺は関係あるだろ?」

つい、強く言ってしまい、川崎に睨まれる。だがここで折れる訳にもいかない。

 

 「なぁ、知ってるか?大志の奴、お前の事を探して夜遅くに外を出歩いてたんだぜ?」

 

「えっ……。」

 

 「そんでもって、俺が初めて大志と会った時は不良に絡まれてたんだぞ?」

 

 「夜は外に出るなって言ったのに」

 

「夜な夜な歩いたのは大志の判断ミスだからお前のせいではないが、弟の姉を思う気持ちがあっての事だったんだよ」

 

 「……アンタが大志を助けてくれたの?」

 

「警察呼ぶぞって不良を脅しただけだ、助けた内に入らねぇよ」

 

「そう、でも弟をありがとう」

 

 川崎の表情が柔らかくなった。どうやら大志と同じで兄弟愛が強いらしい。

 

 「なぁ、川崎。シフトに融通が効いて、お金もそれなりに貰える仕事があれば、それに就くか?」

 

 「そりゃあ、大志達には結局心配されてるし、そんな仕事があるならね」

 

 「ボーダーに入ってみないか?」

 

 「え、ボーダーってあの界境防衛機関の?」

 

「そうだ、俺はそこで働いて兄妹2人で暮らしている。んで、俺の隣の人はボーダーの本部長なんだ」

 

「比企谷の言った通り、ボーダーで本部長を務めている忍田真史だ。よろしく、川崎さん」

 

 今までずっと黙って俺たちの会話を見ていた忍田さんがようやく動き始めた。

 あとは忍田さんと川崎の意思に任せよう。

 

 ・・・・

 

 「では、この書類を見本を見ながら完成させて比企谷にでも渡してくれ。」

 

「はい、じゃあこれからよろしくお願いします」

 

 川崎には、シフトの自由度と進学のサポートが充実していたところが決め手になったらしい。あとは適性がある事を祈るだけだ。

 

 

 玉狛支部に小町と大志を迎えに戻ると、もう夜中にもなるのに2人は元気よく出迎えてくれた。

 

「お兄ちゃんお帰り〜」

「お帰りなさいっす!」

 

「お、おう、ただいま?どうしたお前ら?」

 

「林道さんから聞いたよ、大志くんのお姉さんボーダーに勧誘したんだって」

 

「なんだ、もう知ってたのか」

 

 「比企谷さん!俺もボーダー隊員になることにしたんっす!」

 

大志はトリオン量の適性を示す紙を向けて言ってきた。

 

 なるほど、この為に迅さんは2人を玉狛に連れていったのか。

 

「そうか、姉さんのことしっかりサポートしてやれよ」

 

 これで川崎兄妹の問題は解決できたと言えるだろう。

 

 

 


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