遠坂姉妹の物語   作:燐酸

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第2話 三月 誕生日

「桜、誕生日おめでとう」

 今日は三月二日、私の妹の誕生日。今年は士郎に頼んで二人きりで祝わせてもらうことにした。早くから桜のために用意した料理。結局中華が多くなったのは我ながらどうだと思うわ……。

「ありがとうございます、姉さん。姉さんに二人でお祝いしてもらえるなんて、夢にも思いませんでした」

「毎年ちゃんと祝って来たわよね」

「そうですね。でもいつも衛宮の家で、先輩や藤村先生と一緒でしたよね。遠坂の家で姉さんにお祝いてもらえるなんて……」

「はいはい、湿っぽくなるのもあれだし、食べましょうか」

「そうですね、姉さん」

「お酒は飲む?」

「はい」

「イタリア産のワインよ、しっかり味わいなさい」

 最近、桜と二人きりで話す機会なんてあまりなかったので、話に花が咲く。桜の口からでるのは衛宮の家のことばかり。あの朴念仁のことで愚痴っているが、顔は幸せそうね。

 

 夕食後、桜が後片付けをしようとするが、

「今日の桜はお姫様。家事なんてしないの。そこで待っていないさい」

「いいんですか、じゃあお言葉に甘えてさせてもらいますね」

「桜お茶飲む?」

「はーい」

 ロンドンから持ってきたお茶を選ぶ。これから誕生日のメインイベントね。

「私ケーキ作ってみたの、食べてくれる?」

「姉さんのケーキ?」

「でもその前に」

 部屋の明かりを暗くして、ろうそくに火をともす。

「改めて、ハッピーバースデー、桜」

「ありがとうございます、姉さん」

 桜が一気に火を吹き消す。

「さっ食べましょ」

 ケーキを切り分けて桜に渡す。

 一口食べて、うっかりがないことを確認。これなら桜にも喜んでもらえる。

 …………はずなのに。

「桜、食べないの…………?」

「…………………………………………」

 桜はうつむいている。何か盛大な失敗をしてしまったかしら………。

「桜?」

「…………………………………………姉さん、さっき今日の私はお姫様って言いましたよね……?」

 うん、確かに言った。

「なら、私のわがまま聞いてもらえますか?」

「何よ?」

「あの…………その…………」

「だから、何?」

「………………姉さんに食べさせて欲しいなって…………」

 

 その言葉を聞いたあと、少し考えて私は席を立つことにする。

「やっぱダメですよねっ、何言ってるんだろう私」

 ほんとに……もう……

「可愛いわね、あなた」

 可愛い可愛い妹をしっかり抱きしめる。

「えっ、姉さん!?苦しいです…」

 桜のケーキに手を伸ばす。

「はい、あーん」

 一口分ケーキを差し出す。桜は一瞬戸惑ったようだけど、結局ついばんだ。

「美味しいです、姉さん………。もう一回いいですか」

 恥ずかしながらも嬉しそう。お願いを聞いて二回目を差し出す。桜は嬉しそうに頬張る。

「姉さん、ありがとうございます」

 可愛いから三回目。

「もう十分です、後は自分で食べますからぁ」

「ダメよ、自分で言い出したことでしょ。今度は私が満足するまでね」

 結局最後まで桜にフォークを使わせてあげなかったわ。

 

 

 

 姉さんにお願いしたら、十倍以上になって帰ってきました。私にケーキを食べさせることに満足した姉さんは何か高そうな紙袋を持ってきました。

「桜、はい誕生日プレゼント」

 この袋、前に雑誌で見た記憶があるフランスの高級ブランドのものです。

「わざわざパリまで行って、仕入れてきたんだから」

「いいんですか、私がもらっても……」

「気合いの入った贈り物を遠慮された方がショックよ。だから遠慮なく受け取りなさい」

「でも、私に似合うかな……」

「私の目を疑うの?大丈夫絶対にあなたに似合うわよ。」

「じゃあ姉さんを信じますね!」

「ええ、そうしなさい」

 中身はなんだでしょう、楽しみです。

 

 

「桜、お風呂沸いたわよー」

「はーい」

「ねぇ桜、一緒にお風呂入らない?」

「えぇー私となんか入りたいんですか」

 姉さんの誘いに混乱して訳のわからない発言が出てしまいます。

「裸のつき合いってやつよ、さあ行くわよ」

「姉さんと一緒って変じゃありません?」

「変じゃないわよ、実の姉妹が一緒にお風呂入って文句いうやつなんていないわよ」

「そういうものなんですか……」

「ほら行くわよ」

 私は姉さんにバスルームに強制連行されました。

 正直、二人で入浴なんてシチュエーションになれません。先輩とならなんとか耐えられると思いますが、あのスタイルバッチリの姉さんととなると……。

「ほら早くなさい」

「うぅー」

「ほーら、何恥ずかしがってんのよ。早く脱ぎなさい。脱がないなら無理やりにでも…」

「うきゃぁ」

 なんでしょう。今日は私のための日のはずなのに、姉さんにいいようにおもちゃにされている気がします。

 

「ほら、ここ座ってから、髪洗ってあげる」

「はい……」

 結局、姉さんになされるがままにされています。でもさすがにスーパーウーマンやっている姉さんだけあります。髪の毛のお手入れもとても上手で、気がついたら私は姉さんに頭を預けていました。

「はい、おしまい。今度は桜、お願い」

「はーい」

 姉さんと場所を変わろうとしたときです。

「姉さん……この傷痕は……」

 姉さんのお腹に大きな傷痕がありました。

「これってあのときの」

「ええそうよあの時にあんたにつけられたものよ」

「ごめんなさい……」

「いいのよ、桜は十分謝ったじゃない。それに一度魔術で消そうかなと思ったんだけどね」

「消せるなら消した方がいいですよ…」

「なんでかな、桜からもらったと思うと消すに消せなくなっちゃったの」

 あんな酷いことをしたのに攻めるどころか思ってくれている。私のまわりにいる人がみんな優しくて……

「うっ……うぅ………」

「なーに泣いてんのよ………」

「ごっ……ごめんなさい」

「だーかーらー謝んなってーの。それよりも桜、なによこれ、このけしからん胸。あんたまた大きくなったんじゃない!!」

「わっ!きゃあ!」

「半分私によこしなさい‼」

訂正、やっぱ姉さんは姉さんです。

 

 

 

 桜の女の子らしい体を堪能した後、二人で体を流したあと、お湯に浸かる。

「やっぱり二人だと狭いですよね」

「別にいいじゃない。てか士郎の家、地味にお風呂大きいわよね」

「なんで姉さん知ってるんですか…」

 妹がジト目で聞いてくる。

「ときどき士郎の家に泊まってるんだから知らないわけないでしょうが。それとも何、私と士郎ができているとでも」

「そんなわけないですよね……」

「当たり前じゃない。大切な妹が大切にしている旦那よ、私がとれるわけないじゃない。まっ桜がくれるってなら遠慮なくもらうけどねー」

「だっ、だめです。たとえ姉さんでもそれだけは譲れません。先輩は私のものなんです!」

「桜ー顔真っ赤よ」

「きゃあ」

 恥ずかしさのあまり顔を半分沈める桜。やっぱり私の妹は可愛いわ。

「桜、おいで」

「はい」

 桜を抱き寄せる。

 

 桜を胸に抱きながらポツリとこぼす。

「普通の姉妹は何歳の時にこんなことしてるのかな…………って、桜?」

 いつの間にか桜は可愛い寝息をたてている。

「ったく、こんなとこ寝たら風邪ひくってのに…」

 でも可愛いから許す。

「お…ねえ……ちゃん……」

 うぐっ、あざといわねこの子、寝言よね?

「好き……」

 私はため息をはいた。

 

 

 

「桜、起きなさい‼」

 ふぇ?

「桜、ここお風呂よ、熟睡したら風邪っぴきコースよ。しかも私を道連れにして」

 うわぁ私、お風呂のなかでうたた寝してしまっていました。

「ほら、意識をしっかり持ちなさい」

 姉さんに起こしてもらえるってのも貴重な体験です。お風呂を出て二人で寝巻きに着替えます。姉さんはやっぱり猫柄。好きなんでしょうね。私は無難なもの。最近は先輩にと一緒に浴衣も着るんですが、うっかりするとがっつりはだけるので、今日はパス。

 

 

「先に居間に戻ってて」

 私が居間に戻るとき、姉さんはどこかに電話をしてました。

「姉さん、どこに電話をかけたんですか?」

「ああ、明日の朝ごはん作るのめんどくさいから出前を注文したわ」

「朝から出前をしてるお店あるんですか?」

「ちょっとしたツテでね」

「はぁ……?」

 姉さんのことだから、なにか弱みを握ってるとかありそうです……。

「桜、桜、どうかしたの」

「いえ、ナンデモナイデス」

「そう、ならいいわ。……桜、今から地下行くわよ」

「地下ですか」

 地下というとはつまり、

「姉さんの工房ですか?」

 この屋敷の地下にあるのは魔術師の家の心臓部、工房です。そこには家族でもあまり入れることはありません。

「そうよ、そこにもうひとつプレゼントを用意しているわ」

 まだプレゼントがあるみたいです。地下に向かうと、姉さんは一組の宝石を出してきます。

「桜、これどんなものかわかる?」

「ルビーですね…しかもすごい魔力がたまっている…」

「さすがにあなたも遠坂の娘か。そうよこれは私の礼装、お父様の形見の宝石よ」

「これをくれるんですか?」

「いいえ、これはあげないわ。桜のはこっち」

 姉さんが取り出したのは、まったく同じデザインのペンダントでした。ただ違うのは……

「サファイアですか、けど魔力はスッカラカンみたいですね……」

「スッカラカンもなにも、これ私が作った新品よ。魔力が入ってるわけないじゃない」

「これを私にくれるんですか?とても高かったですよね……」

 こんな大粒のサファイア、七桁で済まないはず……。

「こんな時にもお金の心配?」

「だって姉さん、いつもお金ないって言ってますよね……」

「しっかり者ね、桜は。これは婚約祝いもかねてプレゼントするから大事にして頂戴」

「いいんですか?」

「ええ、受け取りなさい。これでおそろいでしょ」

「ありがとうございます、姉さん」

「あと桜、このサファイアあなたが加工しなさい」

「何をするんですか?」

「桜、あなたがこれに自分の魔力を込めなさい」

 その言葉が意味することは……。

「私に遠坂の魔術を教えてくれるんですか?」

「少しだけね、さすがに遠坂の真髄は教えてあげられないけど、基本的な魔力運用なら……」

「いいんですか……うれしい……」

姉さんの教えを受ける……、なにか懐かしい感じがします。

「基本は教えられるけど、あなたの属性は虚数だから応用は私には無理よ。そのあとは自分で見つけなさい」

「はい。……今日から教えてくれるんですか?」

「少しだけやってみる?」

「はい、ぜひ!」

「じゃあ最初からこのサファイアだと怖いからこれで練習しましょう」

 最初は小さな水晶から始まりました。

 

 

「やっぱり難しいですね……」

「そんなもんね、私だって最初は同じだったわよ。何個宝石ぶっ壊したか……」

 長い間知らなかった遠坂の魔術。私が水晶をたくさん粉々にしている横で、姉さんは私に教えながら、さらっと自分の日課をこなしていたようです。

「あんまりこんを詰めすぎるのもよくないからこれくらいにしましょうか」

「はーい」

 まだ練習したいけど、なんだかフラフラします。慣れない魔術を使ったからかな…。姉さんに連れられて姉さんの寝室へ。この前は突然でどぎまぎしたけれど、今日は疲れたので一気にダイビング。

 

「桜、ちょっとしたこっちへ来なさい」

 呼ばれて、近づくと

「きゃぁ」

 肩をがしっとつかまれて倒される。頭が落ちた場所は姉さんの膝の上。ちょっと強引すぎます……。けどなんだろう、あったかい気持ちになる。なので、転がってぎゅーっと姉さんを抱きしめる…。すると上から姉さんの手が降りてきました。

 

 

 

 桜を膝の上に無理やり転がしてみると、桜は私のお腹に抱きついてきた。この子、ほんと可愛い……。計算でやってないわよね。もしそうならあざといとしか言えないわ。頭を撫でたくなったので紫陽花色の髪に触れる。

 ふと肝心なことを聞いていないことを思い出す。

「ねぇ桜、あなたいつから士郎のこと好きだったの?」

「……………いつから好きだったのかな……」

 桜がぽつりと答え始める。

「先輩のことを知ったのは、姉さんと同じときです。あの夕焼けの中で、できもしないことをあきらめない人を初めて見ました」

「あの時あんたもいたの?」

「ええ、姉さんも見ているとは、私も思っても見ませんでした……」

「っ、あははは」

「なんで笑うんですか姉さん!」

「いやぁ、同じタイミングってほんとに姉妹なんだなって、私たち」

 体を起こした桜を私はぎゅっと抱きしめる。

「姉さん……」

「それでは続きは?」

「いつ好きになったのはわかりません……。ただ衛宮のお屋敷に通っていく間に、先輩の側から離れたくなくなりました。先輩がこんな私にも居場所をくれたから」

 間桐桜には居場所がなかった。でも今の桜が平穏な居場所を持てることは姉としてあのバカに感謝しなければと思う。

「今でも時々思うんです……。この私がこんな生活を享受していいのかなって……」

 二言目にこれだ、バカなのこの妹は?

「さーくーらー、だからなんでそう言うこと言うの!居場所をくれるってことはその人が桜に側に居て欲しいってことじゃないの、違う?だからその思いに答えなきゃダメじゃない‼」

「でも……あんなことをした私に……」

「でももなにもないわ‼特に士郎には言っちゃダメよ。あんなにズタボロになってでもあんたを迎えに行った。士郎はどれだけあんたのことを大事に思っているか考えなさい」

「私に思ってもらう資格があるんでしょうか……」

「選ばれることに資格なんていらないわ。衛宮君があなたを守りたいって言うなら、あなたは甘んじて守られてなさい」

「うぐっ……ぐすっ」

「また泣く……何が不満なのよ」

「ぐすっ………私の……まわりにっ……やさしい人がこんなにいたんだなって……先輩や藤村先生………それにおねえちゃん……」

「ならしっかり思いを受け止めて、幸せになりなさい」

「はい」

私は大切な妹をしっかりと抱きしめる。しばらくすると泣きつかれたのか桜は寝息をたて始めた。

「おやすみ、桜」

 

 

  夢を見る。

 

  おねえちゃんがよんでいる。

 

  おねえちゃんとおめかしして、

  おでかけです。

  ぷくぷくの心はいっぱいで、

  ふわふわそらを飛んでいる。

 

  気づいたらおねえちゃんがみあたりません。

 

  ふらふらとさがします。

 

  さがしているとそこにいたのは素敵な王子様。

 

  おもわずその人にとびつきます。

 

 

「うぉぉ、桜、どうしたんだ」

 

  夢の中、飛び付いた王子様は先輩です。かっこいいなー

 

 ふぇ?

 なぜか先輩の声がやけにハッキリと聞こえます。

 どうやら現実でも飛び付いてしまっているみたいです。

 そのことに理性が気がつくと、

「うきゃぁぁぁーー」

 ベットの一番奥まで跳ね退きます。

「…………………」

「…………………おはよう、桜」

「………………………………おはようございます………………先輩………………………………………………なんでいるんですか?」

「いや、遠坂に呼び出されて、朝飯を作りに」

 昨日の出前のお店は先輩でしたか。

「なーに衛宮君、朝から私のベットで何しているのかしら?」

「いや、俺は何もしてないぞ。桜がとつぜ…ぼふぇ!」

「きゃあーーー言わないでください‼」

 急いで先輩の口を封じます。もし姉さんに知られたら向こう半年のからかいネタにされてしまいます。

「なーにやっちゃったの、桜?」

 姉さんの顔を見ないようにします。絶対にあくまのような笑顔が張り付いているに違いありません。

「なんでもないですー」

「なんだ思わず抱きついたかと、それともキスしちゃった?」

「見てたんですか!?」

「あら、図星?」

「うぅ…」

 自爆してしまいました…

「それよりも桜、自分で自分の旦那様殺すつもりなの?」

「ふぇ…………?あっ!嫌ぁぁーー、先輩しっかりしてくださいぃぃぃーーーー」

「なん……で……さ……」

 

「朝から痴情のもつれからの殺人未遂事件を目撃するとわね」

「うぅ……」

 最悪な寝起き……。いえ、起きた瞬間だけは最高でした。というかなんで姉さんが起きてるの、寝起きは私より酷いはずなのに……。姉さんにつられて、ダイニングへ。手伝いますといったけれど、姉さんに今日もダメと言われて食卓に無理矢理座らせられました。

「シェフー、朝ごはんまだー?」

「準備はできてるぞ、メインは何がいい?」

「んー、オムレツってお願いできる?」

「お安いご用だ」

「じゃあお願い、桜はどうする?」

「……姉さんと同じでいいです」

「かしこまりました」

 先輩がキッチンへ戻っていく。手際よくオムレツを作る音がする。やっぱりまだ先輩を見習わないと……。

「できたぞ、あとサラダとスープもできてる。トーストはもう少し待ってくれ」

 てきぱきと朝ごはんがならべられます。

「じゃあ食べましょうか」

「はい、いただきます」

 

「はい、トースト焼けたぞ、付け合わせは?」

「バターとジャムで、冷蔵庫にあったわよね?」

「ちょっと待っててくれ」

 先輩がバターとジャムをとって戻ってくる。

「そう言えば先輩は、朝ごはん食べないんですか?」

「ああ、家で食べてきたから大丈夫。家には朝飯作らないと文句言う虎がいるからな」

「先輩ダメじゃないですか、先生のこと虎とか言ったらダメですよ。先生に伝えておきますね」

「それは勘弁してください桜さん……」

 

「ねぇ衛宮君、ちゃんとこの後の予定空けてあるわよね?」

「ああもちろん」

 ん?先輩と姉さんが約束でもしているのかな……?

「じゃあ後は桜のことお願いね、私は二度寝するわ」

「あれ今日も姉さんとじゃ……」

「んなわけないでしょ、誕生日の次の日も独占するようなマネはしないわ。衛宮君と楽しんでらっしゃい」

 

 朝ごはんのあと先輩が食器を片付けています。手伝おうと思ったけれど、

「桜、こっちに来なさい」

 姉さんに呼び出されます。

「このあと衛宮君と二人きりなんだからしっかり準備しなさい。せっかくなんだから昨日私があげた服になさい」

 姉さんに言われて着替えます。先輩はどう思ってくれるんだろう……

「次は髪型ね、どうしようかしら…」

 うーん……と姉さんが悩んでいる。

「いつも髪の毛下ろしているわよね…。よし今日はアップにしてみない?」

「あんまりやったことないです。」

「じゃあた試しにやって見ましょうか?」

 

「そう言えばまだあんたこのリボンつけてるの?」

「それは姉さんがくれた大事なものだから……」

「…………ありがと、まだ大事にしてくれて…………。でも今日は別のにしましょう」

 私の赤いリボンがほどかれる。鏡の中の姉さんが自分のリボンを片方ほどく。

「今日は私の貸してあげる」

 姉さんのリボンが結わえられる。

「ほらいい感じになったわ。あとはメイクね」

 

「さあ出来上がり、どうかしら?」

 鏡の中にいつもの私とは違う私がいました。

「姉さんすごいです…」

「せっかくなんだから桜も綺麗になるスキルを覚えなさい。そして衛宮君をドギマギさせてやりさい。」

「はい……がんばります!」

「さっ、衛宮君の所へ行きましょうか」

 

 

「衛宮君ー?片付け終わった?」

「もう終わってるぞ」

「じゃあお姫様を呼ぶわよ。桜ー、来なさい」

 胸が高鳴ります。先輩、私は綺麗になりましたか?

「……………………………」

「……………………………先輩?なにかおかしいですか?」

「なに黙ってんのよ。女の子が頑張っているだから、あんたも気のきいた言葉をぐらいかけなさいってーの!!」

「ああ、何もおかしくない。いつもよりとても綺麗だよ、桜」

「…………先輩、ありがとうございます!!」

 思わず我慢できなくて抱きついちゃう。

「おぉぉ」

 先輩は突然のことでも甘やかしてくれる、やっぱりやさしい人。側にいれてうれしいなぁ。

「私の家でいつまでいちゃついてんのよ、早く出てってくれない?私、そろそろ眠いんだけど」

「ヤバイな、遠坂の地が出て始めている」

「みたいですねー、早く行きましょうか」

「ああそうしよう」

 

 姉さんが玄関まで見送りに来ます。

「今日は朝からありがとね、衛宮君。またお願いするわ」

「はいりょーかい」

「桜、今日もあなたはお姫様なんだからわがままに振る舞いなさい」

「はい、わかっていますよー」

「じゃあ、今日も楽しんでくるのよ。行ってらっしゃい、桜」

「はい行ってきます、姉さん」

 

「桜、今日はどこに行きたい?」

「んー先輩とならどこでもいいです」

「それじゃなんかいつも通りじゃないか」

「そうですねー…………。じゃあ新都のホテル行きませんか?そのホテルのレストランでケーキバイキングやっているみたいなんです」

「桜は食いしん坊だなー」

「うるさいです、先輩」

「ごめんごめん、桜。行こうか」

 先輩が手を出してきましたが、ちょっとむかついちゃったので腕に抱きついてあげます。ドキドキしちゃえばいいんです…………私もしていますから。

 

 

 

くうくうおなかがなったのでふたりであまいものがたべたいな!!

 

 

 

 

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