リリカルなのはの世界に転生したと思ったらSAOの中でした 作:aaa
トラックに惹かれて、あっこれ死んだわ。と思って目が覚めたらすげぇヒゲの長い杖持ったおっさんが前にいて「マジごめんミスったわ。という事で転生しような」みたいな事言われて転生した。
何を言ってるのか分からねぇかも知れねぇが安心してくれ。俺もさっぱりだ。
しかも転生先はあの魔法少女リリカルなのは。俺も好きなアニメだしキャラもみんな可愛い。それだけでなく魔法があってそれでどんパチ戦ったり空だって飛べる。
俺だってオタクでゲーマーな訳で空飛んだり魔法でビーム撃ったり可愛いヒロイン達とイチャラブ出来ると言われればやはり胸が踊る気持ちだ。
しかし、しかしだ。
リリカルなのはにはある戦闘民族がいる。言わずもがな高町家の皆さんだ。
はっきり言おう。
ビームより剣のがカッコイイよね。
ていうか今どき騎士だったら剣からビーム出るでしょ。出来なかったら末代までの恥だよ。あの厨二病心を擽る技の数々と名前。
名前だけでなくマジモンでマジキチである流派で人間でありながら音置き去りにしてバビュンバビュンするロマン。
もう剣握るしかねぇっしょ。と思った俺は魔力とかその辺の才能は程々に剣の才能と取り敢えず頑張れば大成するようにして貰った。
そんなもんが特典でいいのかと言われたが分かっちゃいないな、男であれば修行パートですらロマンを感じてしまうのだ。如何に険しく厳しい道のりであったとしても俺カッケーを想像すれば俺は死ぬまで頑張れる。
けど原作どうしよっかなー。まぁ俺なんていなくとも勝手に解決するしいいのかな。あ、けど助けれる人は助けたいな。
そんな訳で転生先と特典が決まって速攻で転生させられた。何か「特別サービスしといた感謝しろよなー」って神様っぽい人が言ってたけど何かどえらいチート付けたんじゃないだろうな?そんなんあっても俺使わねぇぞ。
そして再び目が覚めたら赤ん坊、とかそういう訳でなく幼稚園保育園似通ってそうなぐらいのチビになっていた。
ふっ……これがリアルコナンくんか。と1人感動していたら目の前に泣いてる女の子が。
ていうかこの子「高町なのは」ですやん。
神様は徹底的に俺を原作に絡ませる気らしい。まぁ作品は大好きだし是非もないが俺にオリ主ムーブが出来るだろうか。
惚れさせるのは無理っぽいけど取り敢えず剣さえ強くなれればいいや。と若干投げやりになりつつ「大丈夫?」と話し掛けた。
そこからはもう怒涛の速さだった。
取り敢えず話聞いて慰めて家送り届ける。
↓
泣いてたのが速攻バレて知らん男である俺が側にいたので「貴様何奴!?」とお兄さん恭也さんに睨まれる
↓
小便チビりそうになりながらガクブルしてるとチビなのはが頑張って説明してくれる
↓
誤解解ける
↓
仲良くしてねと言われる
↓
いっつも一緒に遊ぶようになる
どうやら幼なじみ一直線コースらしい。ずっとなのはと一緒にいるからね、もう後ろをよちよちと付いてきて見てるだけで何か微笑ましい。可愛い妹が出来たようなそんな感じだ。
なのはは可愛い。しかし、しかしだ。俺はこの世界にオリ主ムーブをしに来た訳ではない。それはオマケみたいなもので俺としては男のロマンである御神流を極める事が最優先事項というか目的だ。だと言うのにまだ弟子入りすらしてない。
あ、ちゃうやん。ていうかなのはのお父さん。士郎さんまだ死にかけてる所やん。そこからはもっと早かった。
何か家にあったデバイス使って士郎さん治す
↓
起きるまで待機
↓
意識が回復した瞬間隠れるように過ぎ去る
↓
士郎さん全回復。高町家歓喜。
↓
俺「なのはちゃんあ〜そぼ」士「む、君は……」
作戦通りニヤリ
さり気なく俺が助けたたんやで。と悟って貰う事によってここで心優しき士郎さんは「お礼」がしたいと考えるだろう。なんたってなのはちゃんとも仲良くやってるってのは聞いてると思うし何より俺もう親他界してる設定だしそういう子には弱いと思うんだ。
ちょっとゲスいけどこれも我が夢の為。
そんな訳で早速弟子入りした。
修行は楽しくもあり地獄でもあった。死ぬ前は強豪校のスポーツ部に推薦で入ってたから気合いや根性ってのは自信があったんだが正直舐めてた。
だって基礎学んで速攻で山篭もって1ヶ月生き残れとかそれ幼稚園もそこそこな餓鬼にやらせますか普通?食べ物は無くなるし熊は襲ってくるしでマジで死にかけた。
士郎さん曰く「君は不思議な力を持っているだろう?なら大丈夫だ」と山に放り投げられた訳だがまぁそれ無かったらやりませんでしたよね流石に。え、黙ってないで答えてくださいよ。笑顔で黙られるとマジでシャレになんないですよ。
そんな訳で俺の修行の毎日が始まった。ずっと修行しているとなのはが寂しそうにするもんだから定期的に休みを挟みながらだが俺の毎日は充実していた。
まぁそりゃずっと遊んでたやつが遊んでくれなくなったら寂しくなるよね。
特典であるちゃんと努力したら大成する程度の剣の才能もちゃんと生きているのか少しずつ俺の実力は伸びて行った。
基礎をやっとマスターした時点で何か脳内に声が。ふっ、これがリアルテレパシーってやつか。って今のユーノくんですよね?
えもう原作ですか?早ないですかね?
そして色々あって解決。この目でフェイトとなのはがリボン交換するシーンが見れて1ファンとして感無量である。ハンカチ持ってきて良かった。あ、因みにアリシアとプレシアさんも救済した。
まぁそこは気合でな。なんたって俺は御神流の剣士だからね(ドヤ顔)
そして何かフェイトに一緒に写真撮ろうってせがまれて腕を取られた。ほんとフェイトは天然さんだなー、俺じゃなかったら危なかったぞ。と内心微笑ましく思っていると反対側の手も誰かに取られた。え、なのはちゃんなんでそんな笑顔なん?可愛いけど何か威圧感やばいよ?それ小学生が出せる雰囲気とちゃいますよね?
とまぁそんな感じでハッピーエンド第一部完
そして再び修行パート。
色々と力不足な所を思い知った俺は闇の書事件が起きるまでにもっと強くなろうと決意した。魔法はそこそこに俺はひたすら修行に打ち込んだ。
その結果。
襲ってきたヴィータを返り討ちにしてしまったでござる。
いや違うんだ。何か気配感じてバシュって斬ったらヴィータやってんて。そんなつもり無かってんて。そして駆けつけてきたヴォルケンリッター全員纏めて返り討ちにした。
いやホントごめん。てかこのままじゃなのは達の強化フラグ建たなくね?
やべぇと焦って色々頑張った俺は無事に闇の書事件を解決。
あれだね人間やれば出来るんだって思ったよ。けど土壇場で神速出来なかったらマジで死んでたわ。やっぱり普段の修行は嘘をつかないってことだな。
だがもしあの時神速が使えてなかったら?
間違いなく俺は死んでいた。こんなんではダメだ。もっと俺は強くならなければならない。そこから俺またより一層修行にうちこんだ。どうやら神速が使えた事で士郎さんも覚悟を決めたみたいで様々な技を教えてくれるようになった。そうだ、俺はもっと強くならなければならない。俺TUEEEEならぬ俺カッケーを達成するには、何より御神流のカッコ良さを引き出すにはもっと修行をして強くならなければならない。
なのはが心配して色々言ってくれるがそれでも俺は止まれない。
フェイトも、そしてあれから仲良くなったはやても俺を止めようとしてくる。ふむ、別に無理してないんだけどなぁ。いやだって普通に楽しいし何より強くなればもっと俺カッケーできるし。あれだよこの前銃弾を斬れてまじテンション上がったから多分今最高にハイにキマってるからマジで止めんじゃねぇぞ……
とか言ってたら師匠、もとい士郎さんと恭也さんに止められたでござる。
そしてこれでもしてちょいと休めやとなのは達がゲームくれたでござる。まぁそこまで言われちゃあね。げ、ゲームが楽しそうだっからじゃないからね!やっぱり心配させちゃ悪いからだよ!
何か頭に被ってフルダイブをするMMORPGらしい。なんかすげーなぁとその時俺は特に何も考えずあの言葉を口にしていた。
「リンクスタート」
色々な初期設定をし終わって目を開けるとそこは広大な草原だった。やべぇこれがゲーム?最近のゲームまじヤバすぎだろ。テンション上がった俺は初期武器である剣を振り回してイノシシみたいな敵を斬り殺しながら進むと何か剣を色々振って何かの練習?をしてる2人組。
ん?何か何処かで見たことある人のような……
って唸ってたらいきなりテレポート。うぇ?と間抜けな声を出していると空に浮かんだフード被った変な奴がこう言った。
「私の名前は茅場晶彦」
え、これってSAOってゲームですか?
マジですかデスゲームですか。えぇ……
俺リリカルなのはの世界に転生したんだよね?何故にSAOなん?
そこで俺は初めて理解した。あの時神様が言っていた「特別サービス」の意味を。
―――――――――
斬る斬る斬る。ひたすら斬る。
命の、血が通らないただのデータの塊を無感情に斬り捨てる。
「ギャー!」
「おせぇよ」
背後から湧いてきたコボルトを背を向けながら一閃。斬られたコボルトは胴体と首が泣き別れし一撃でその身をポリゴンへと変える。遅い、そして何より弱過ぎる。
ジュエルシードの思念体はもっと賢かった。
プレシアさんは近付く事さえ困難だった。
ヴォルケンリッター達は倒しても何度も立ち上がってきた。
闇の書はその圧倒的力と魔力で本当にギリギリの戦いだった。
それらには命があってデータであってもそこにはしっかりと命が宿っていた。彼ら彼女らはもっと強かった。死を覚悟したのなんて数え切れない。
アルゴリズムに沿って決められた行動しか取れない命が宿らないデータの塊如き相手にはならなかった。
もはやこのゲームはデスゲームと化した。ここはもうプレイヤーを閉じ込めるためのデータの檻でしかない。そんなデータやプログラム如きが己をここに縛り付けているという現状が堪らなく彼の神経を逆撫でする。
「俺は早くここから出なくちゃならない、ならないんだ」
デスゲームが始まって、俺達がここSAOに囚われて2日目。彼折締 剣斗は初期装備でボス部屋の前にやって来ていた。
最初SAOだと分かっても特に俺は焦らなかった。自分の剣に自信があるとか俺なら直ぐにクリア出来るとかそういう意味ではない。
だってこのSAOは俺がいなくたってクリアされるんだから。俺はこのSAOの主要人物である「クライン」と主人公である「キリト」の姿は確認している。だから彼らに任せればいい。何もしないで始まりの街周辺で御神流の修行だけしていれば勝手にここから抜け出せる。だから何も焦ることは無い。そう思っていた。
だから俺はここがデスゲームになっても何処か他人事のように思っていた。
「そう、思ってたんだけどなぁ」
しかしここは迷宮区の一番奥、ボス部屋の前にいる。休むこと無く敵を例外なく
アイテムは補充なんてせず、装備はNPCから買った市販の安物が大量にあるだけ。文字通り一直線にここまで突っ走ってきた。やれば意外といけるものであった。敵がデータの塊でなければこうはいかなかったかも知れないが現に自分は今ここにいる。
さて、後はさっさとボスを倒せばいい。これを100回繰り返せばそれで終わり。
「待って」
ボス部屋に踏み入ろうとして止まった。
誰だ一体こんな危険地帯にやってきた馬鹿は。それを言っちまえば自分なんて馬鹿の最前線を突っ走っているんだけどな。
振り向くとフードを被って背中には初期装備、ではなく何だか上等そうな槍を装備している。けどフード、ねぇ。
「なんだよ。ていうかまずフードを取ってくれ、今フード被った奴を見てるとそれだけで斬りたくなっちまう」
「そう。それは困る」
茅場晶彦と名乗っていた赤いフードのアバターが脳裏にチラつく。俺はアイツを許せない、俺の大切な人を傷付けたアイツだけは。
そして目の前の人物はフードを取った。
ただフードを取っただけだと言うのに俺はただずっとその姿に見惚れていた。綺麗だと思った。フードからこぼれ落ちるように姿を表したのは透き通るように白い髪、丁度肩ぐらいまで伸びた髪を手で整えて此方を見ている彼女は何処か幻想的で一瞬ここがデスゲームであるのも忘れるぐらいに。
「……なに?」
「あ、わりぃ。綺麗だなって思ってな」
「それって口説いてる?」
「ここがデスゲームじゃなきゃそれもいいんだがな。生憎と今はそんな気分じゃないな」
スカイブルーの瞳をジト目にして俺を見てくる彼女に俺はやれやれと手を挙げてそう言った。きっとこんな出会いじゃなければ恋をしていたのかも知れない。
それぐらい彼女は美しいと俺は思った。
「で、俺に何の用だ?今俺忙しいんだけど」
「大丈夫直ぐに済む。まず1つ、私も連れてって」
「なんで……」
「まずは話を聞いて。2つ目は何故貴方はモンスターを一撃でソードスキルも使わず一撃で倒せるのか教えて欲しい」
冗談だろ?と聞いてみても真っ直ぐ目を逸らさずこっちを見る彼女の目が本気だと語っている。ならそれはいい、守るべきものが自分以外に1つ増えるだけだ。
しかし2つ目。
何故ソードスキルを使わないでモンスターを一撃で倒せるのか?という質問。
「取り敢えず2つ目の質問な。俺も知らん、死ねやと思って斬ったらワンパンだった」
「嘘……」
「いや俺もさっき言われてやっと気が付いたわ。何でだろうな、まぁ所詮はデータの塊って事だろ」
正直自分も分からない。そもそも言われるまでそれを疑問に思うことすら無かった。ただたかが血の通わぬデータの塊だと思って斬っていただけで特別なスキルも装備も何一つ使っていない。
そう説明してもまだ疑う彼女にならばと俺は自分のステータスとインベントリを可視化して彼女へと見せる。
「……本当、みたい。けどそんなに簡単にステータスは可視化しない方がいい」
「別に見られても困るもんねーしな。それにまだ弄ってない初期の状態だし」
「本当に意味が分からない……」
はぁ、と頭を抱えてため息をはかれる。いや待て。何故お前がため息を付く。俺がため息つきたいわ。
しかしこれで俺の身の潔白は証明されたわけだが。
「取り敢えず、信じる。信じ難いけど」
「まぁそうだわな」
「けど最後に1つ教えて欲しい」
「なんでもどーぞ。美少女に質問攻めされるってのも悪きゃねーしな」
「ん、じゃあ遠慮なく。なんで貴方はそんなに強くいれるの?怖くないの?」
美少女、と言われて満更でもないのかほんのり頬が朱に染まるのを見逃さない。なのはやフェイト、はやてもかなりの美少女だが目の前の彼女も相当。
彼女は俺を強いと言った。だが違う、そうじゃない。嘘は許さないと彼女の瞳が力強く俺を射抜く。けどその瞳の奥が何処か揺れ動いているようにも見える。
何故俺はこんな所でこんな話をしているのか、それを不思議に思わなくもない。こんな話無視して突き進んでしまえばいい。けど何故か俺は彼女から目が離せない。
「俺は、強くなんかないさ」
「嘘。だって……」
「だっても何も無い。少なくとも俺は強いとは思ってない、けど俺は何としてもあの茅場のクソ野郎をぶった斬って現実に戻らなくちゃならない」
「なんでそこまで……」
「泣いてたんだ」
「えっ?」
「泣いてたんだよ。守りたいって思った奴らが。ちょっと俺は現実で無理してたみたいでさ、そいつらがこのゲームをくれて。心配掛けて気を使わせてここに送り出した奴らが泣いてたんだ。だから俺は帰らなくちゃならない、笑顔でいい暇つぶしになったわって帰らなくちゃならないんだ」
デスゲーム発言があった時少しだが現実世界の様子が映し出された。ニュースでSAOの事が流れていてそこにナーヴギアを被ってベッドに横たわっている俺の周りをなのはとフェイト、はやてが俺の手を握って泣いていたんだ。それを見て他人事のように思っていたデスゲームに俺も参加しているんだと強く実感したと同時に自分が情けなくて、そして茅場晶彦を必ずぶった斬ってやると誓った。
確かに俺はここまでやりたいようにやってフェイトやはやて達を助けたのも何処か義務感というか流されるようにしていたって自覚もある。
流されるように転生して流されるようにオリ主ムーブをして。けど原作イベントを消化する度に守りたいって思えるようになって。それで修行しまくって心配されてゲームに閉じ込められてこのザマだ。
本当に救えない、なんて酷いやつなんだろうか。
「俺は強くなんかない。いつも誰かに背中を支えて貰ってやっとなんだ、けど背中をいつも支えてくれた奴らはここには居ない」
ジュエルシードの時だって、闇の書の時だって俺一人じゃ絶対に何も出来なかった。なのはやユーノがいて、フェイトやクロノがいて、はやてやヴォルケンリッター達がいて。そんな彼女達に背中を押してもらってやっと掴めた勝利だった。
けどそんな心強い彼女達はここにはいない。いつも画面の外から見ていた強くて輝いている彼女達はいない。正真正銘俺は今1人で、ここからは1人で戦って勝利しなくちゃならない。
神様も趣味が悪過ぎるぜ。ここまで見越してやってたのなら相当腹黒い、奴はロキとかヘラとかその辺に違いない。男だけど。
「という訳で俺行くわ」
背を向けて1歩踏み出す。ここから俺は初めてオリ主をする、正真正銘主人公の助けはなしで冒険をする。腰に吊るした片手剣を抜く、いつも慣れしんだ小太刀とは違って長いしぶっといが斬れれば問題はない。
さぁ、いっちょやりますか!
たったったったった。
……。
また1歩踏み出す。
たった。
…………。
そして振り向く。
?
「いや首傾げて心底不思議そうにされても困るんだけど」
いやなんで付いてくるんだよ。話聞いてた?俺今からソロプレイするからって話聞いてた?
「そっちこそ話聞いてた?私もついて行くって言ったはず」
「ナチュラルに心読むなよ」
「大丈夫。私こう見えて結構強い、らくしょーだから」
ふんっ。と槍を構える姿は様になっていて何故か目はキラキラしてるように見える。いや可愛いけどそうじゃないだろ。俺は強くない、誰かを近くにいる奴ぐらい守れるようにって強くなろうとしてきたつもりだけどそれでも絶対なんてない。ここは現実じゃないからぶった斬ってもHPがある限りボスは死なない。勝手が色々違うのだ。
引き留めようとする俺に彼女は首を振る。
「なら私が貴方の背中を守る」
真っ直ぐと俺を見詰める。
目を見ればそれが冗談なんかじゃなくて本気なのだと分かる。けどなんでそんな事を。
「その背中を守る人がいないのなら私がなる、足でまといにはならない。私は……貴方のその強さに惹かれて跡を付けた。話を聞いて確信した、貴方は間違いなくここをクリアする」
買いかぶりだ。俺にはそんな大層な強さなんてない。それに俺がやらなくても主人公がここにはいる。じっと息を殺して待っていてもどうせクリアはされる。
続けて彼女は言う。
「貴方が背中を押してもらわなければダメって泣き言言うなら私が押したげる」
「けどそれじゃ君が……」
「死ぬかもね、けど」
背を向けて初雪のように綺麗な白髪を靡かせながら彼女は振り返りながら微笑んでいった。
「貴方が守ってくれるでしょ?」
不覚にも見とれてしまった。
ぐつぐつと心の奥底から熱い何かが溢れてくる。ずっと閉じ込めて封じていた熱い想いが溢れてくる。
惚れたら負けって良く言うがほんとその通りだな。あぁ、こりゃ俺の負けだ。こんないい女にここまで言わせたんだ。ならば俺のやる事なんて決まっている。
「あぁいいぜ。守ってやる、お前は俺が現実世界に返してやるさ。けどそうだな……無事に帰れたらデートしてくれよ。それだけで俺は無敵になれそうだ」
「それで無敵バフが掛かるなら良いよ。けど甘いものは忘れないでね」
「あぁ任せとけ。すげぇ美味しいシュークリームとケーキがある店を知ってんだ必ずそこに連れてってやる」
「楽しみ。それは必ず帰らないと」
手を差し出す。
それを不思議そうに見詰めて首を傾げている彼女にパーティ申請を送りながら俺は言った。
「俺はケント。これから宜しく頼むぜ相棒」
「ん。私はレナ、宜しくどーぞ」
そうして俺達はボス部屋に足並み揃えて踏み出した。