最近は塾やら部活やらで忙しくて全然執筆が進まなかったので、前回の投稿からだいぶ時間が空いてしまいました…
実は私受験生なので()、今後もこうして投稿が遅くなることがあるかもしれませんが、どうかご理解いただけると幸いです。
…なんていう言い訳をすませたところで、そろそろ前書きを終わらせたいと思います()
それではどうぞ!
…第五十八中隊に着任した次の日の早朝四時、俺は鳴り響く起床のラッパで起こされた。
服を着替え、備え付けの水道で顔を洗ってから廊下に出ると、兵士がぞろぞろと食堂へ向かっている。
今日は大事な作戦の日だ。食堂できっとそれ関連の集まりがあるのだろう…そう思って俺も食堂へ向かう。
食堂の中に入ると、小隊が各自で点呼を行っているところだった。
その中を通り、食堂の一番奥にいる熊野に近づいて話しかける。
「お早う、隊長さん」
「ん?おぉ、あんたか。ちょうどいい時に来てくれたな。どうだ、よく眠れたか?」
「おかげさまで。ところで、この集まりはなんだい?」
「これか?見りゃわかるだろ、作戦前の最終確認だ。そういえば、あんたにはこの作戦の詳細は伝えてなかったな」
「あぁ。重要な作戦だという事しか聞いていないが」
「確かに重要な作戦だ…が、そこまで長くはかからない。大事な瞬間を逃さない様にしろよ」
熊野がこういったとき、一人の男がこちらに近づき、
「全小隊、点呼完了しました」
と告げる。
「おう、わかった。それじゃ始めるか」
そう言って、熊野は演説台の様なところに登った。咄嗟に、
「気をつけ!」
の号令がかけられる。
「今日の作戦は、我々五十八中隊が韓国に渡ってきてから行ってきた様な小規模な戦闘ではなく、もっと大掛かりな戦闘になるだろう。向こうの、ここから見て北にある韓国軍の基地は、俺たちにとっても相手方にとっても重要な基地だからだ。あの基地を制する事はつまり、龍潭湖、そして湖につながっている水路を制するという事だからだ。ここを落とせるかどうかで、今後の戦いが左右される。決して失敗する事がない様に、注意して、かつ迅速に作戦を進める様に。では作戦の内容を確認するが、まず第一と第四・第五小隊が真正面から攻撃をかけ、敵を撹乱させる。その隙に第二・第三小隊が裏手から回り込み、手早く敵の基地に奇襲をかける。基地が落とされたら後ははさみ打ちの要領だ。それと…」
熊野はここで言葉を切り、俺を指差して言った。
「戦闘中は、ここにいる鈴木記者が取材のためにくっついてくる。一応主戦場から75メートル以内には入らない様に言ってあるが、敵と間違えて打たない様に。以上で作戦の確認を終わるが、何か質問は?」
返事はなかった。
「よし。作戦開始は05:00だ。遅れるなよ」
それを聞いた兵士たちは、武器庫に武器を取りに行ったり、戦車の点検に行ったりと各自の仕事に向かっていった。
熊野も壇上から降りてくる。
「まぁ、ざっと今説明した通りだからな。俺は第一小隊の隊長だから、あんたも真正面からの戦いを取材する事になる。流れ弾に当たらない様にな。それじゃ、身支度を整えに行くとするか」
そう言い、熊野は俺を小さな武器庫の様な所に案内した。中には既に数人の兵士がおり、各々が戦闘準備をしていた。
その中の一人に防弾チョッキの様なものを手渡され、着る様に促されたので服を脱いで着てみたがサイズが合わない。
それを熊野に伝えると、
「あんた、こいつの着方も知らないのか?こいつはな、服の上から着るんだ」
と笑いながら教えてくれた。なるほど、服の上から着ると面白いほどサイズが合う。
次にガスマスクを手渡された。(ガスマスクとは言っても、よく第一次世界大戦の遺物として博物館で見かける様なものより改良されたものの様だった)
それも付け、いよいよ戦いがはじまるんだなどと考えていると、おもむろに周りの兵士が立ち上がった。
どうやら作戦開始時刻が迫ってきているらしい。熊野は武器を、俺はカメラを持って立ち上がり、隊列を組んで(俺はその後ろから)作戦行動に入った。
…拠点から北に約1キロほど移動すると、何やら大きな建物が見えてきた。韓国の旗がたなびいている所からして、あれが敵の本拠地らしい。
すると不意に、一人の兵士に肩を叩かれた。戦闘を始めるから退がっていろ、という合図なのだろう。
言われた通り、100メートルほど離れた草むらに身を隠してカメラを構えた。
その刹那、
「ドンッッッッ!!」
という爆発音が轟いた。どうやら敵の基地にロケットランチャーでも打ち込んだらしいが、爆発音がした方向を見てみると何やら緑に曇っている。
写真を撮っていると銃声がし始めた。そちらの写真も撮らなければと思ってカメラを向けると、そこから見えたのは顔を引きつらせ、苦しそうにマシンガンを乱射している韓国の兵士の姿だった。顔がもの凄く赤く、まるでウイルスにでも感染した様な…
…と、ここで俺の頭の中にふと一つの考えが浮かんだ。
(あの最初に打った弾は、ただの爆弾なんかじゃなく、菌やなんかがたくさん詰まった立派な細菌兵器なのではないか?)
あの兵士があんなに辛そうにして戦っているのはそのせいなのではないか。そう考えてみると、あの緑色の曇りの意味も理解できる。ここへ来る途中で見た死体も、こうして殺されたのだろう。
この有様を戦いと呼ぶのも気がひけるほどに、戦闘はひどい有様だった。
手の震えで銃を取り落としてやられる者。ウイルスのためか精神が錯乱し、味方に襲いかかる者。銃をあらぬ方向に撃つ者など、韓国軍にはまともに戦える兵士はほぼいない様な有様だった。
とこの時、相手側の方に一両の戦車が現れた。砲塔の根元に「共産の犬を駆逐しろ!」、反対側には「栄光ある太極旗の元に」といった意味のハングルがペイントされている。
その戦車が軍に向かって砲弾を撃ち込んだ。
その砲弾は一人のかわいそうな兵士の足元に着弾して大爆発を起こし、兵士は吹っ飛ばされてこちら側へ飛んできた。
100メートルを軽く飛んできたのだから命はないだろうと思ってその方向へ近づくと、なんとその兵士には傷一つなかった。
あまりに驚いたのでつい、
「うわぁぁっっ!」
と声を出してしまった。その兵士は大袈裟に首を振って、
「なんだい、いきなり大声を出して…まさか、僕が死んだと思った訳じゃないだろう?」
と聞いてきた。俺が恐る恐る頷くと、
「あいにく、これくらいで死ぬほど日本の…おっと、今は東亞か…東亞の技術は柔じゃないからね」
と言った。
「こんなことを聞いたら失礼かもしれないが…どうして生き延びたんだ?」
「あぁ、こいつが守ってくれたんだ。君も付けてるだろ?」
そういって、彼は例の防弾チョッキを指差した。
「こいつが車でいうエアバッグの役割をしてくれるんだ。爆発の時の衝撃はだいぶ軽減される。あとはこの戦闘服、こいつが熱を遮ってくれたおかげで、俺は火傷ひとつ負ってない」
「な、なるほど…にわかには信じがたいが、そんなハイテク機器だったのか、これ」
「ちょっとは見直したかい?さて、さっさと戦場に戻らないと隊長にどやされちまうしそろそろ戻るか。記者さん、いい記事書いてくれよ」
そういって、彼は走って戦場に向かっていった。
しばらくその姿を目で追った後、改めて戦場を見渡してみると、もはやまともに戦っている韓国軍兵士は数人しかいなかった。先ほどあの兵士を吹き飛ばした戦車は砲塔部分が吹き飛ばされ、
炎上していた。
…東亞の軍隊はこんなにも圧倒的だったのか。
第二次大戦が終わってからこの方、自衛隊はあれど軍隊はないという状態を80年近く続けてきたとは思えないほどの力量差に、俺は自分の目が信じられないでいた。
間も無くして抵抗していた最後の兵士が倒れ、戦闘終了を告げる
…戦闘が終了したそのちょうど一時間後、俺は占領された基地の会議室で熊野の演説を聞いていた。
熊野はいつにも増した大声で、
「…我々がこの基地を占領したことにより、我が国の朝鮮半島への侵攻作戦にまた一つ貢献したことになる。戦いが始まる前にも言ったが、ここを落とすということは、龍潭湖の水系を統括することに他ならないからである。だが、こうして戦うのももう後少しの辛抱だ。実は先ほど、本土から最重要の電報が入った。その内容だが、『我々の第一〇七大隊並びに五十三大隊は、朝鮮の軍と協力し、ソウルを半径五キロメートルで包囲している。この包囲の環は狭められつつあり。この輪に加わることのできる小隊、中隊、並びに大隊は、直ちにソウルに向けて進軍せよ』とこうだ。どうだお前ら、敵国の首都を落とす名誉が欲しくないか?」
ここで熊野は一旦言葉を切った。(実際には、その電報の内容を聞いた兵士たちのざわめきで、話を中断せざるをえなかった)
兵士たちが落ち着くのを待って、熊野はこう言葉を続けた。
「よしわかった。だったらやることは簡単だ。これからすぐにソウルに向かう…と言いたいところだが、皆戦いで疲れているだろうから、出発は明日の14:00とする。それまでにしっかり疲れを取って、俺たちの手で朝鮮半島を真っ赤に染め上げてやろうぜ!!」
熊野はこう言って演説を終わらせ、会議室は万雷の拍手に包まれた。
その拍手を背中で聞きながら、俺は会議室を後にし、新たに割り振られた自分の部屋に、今日の分の報告書を書くために戻っていった。
部屋に戻ると、会議室の方から「インターナショナル」の合唱が聞こえてきた。
それを聞いていると、この歌声が朝鮮半島全土に響き渡っていくように思えた…
共産元年 8月 27日分報告書
報告者:鈴木 一
今日は昨日の報告書にも書いた通り、柳条湖付近の韓国軍基地占領作戦に同行、同作戦の取材を行った。
敵の戦力はざっと300人程度と戦車が一両。小さな基地のようだが、ここで柳条湖の水系の管理を行っているらしい。
作戦は、囮を使って敵を錯乱させた隙に裏をつくというもので、私は囮の方に同行して取材を行った。
結果はもちろん我が軍の勝利だが、作戦中に主に二つ驚くべきことがあった。
一つは、我が軍の兵器の中に細菌兵器があったこと。
もう一つは、取材中に戦車に撃たれた兵士が、擦り傷を一つ作っただけで済んだこと。
この二つである。
どちらの技術も軍事機密のためあまり詳しくは教えてもらえないが、我が国の圧倒的な科学力が我が軍を勝利に導いていることは確かである。
明後日にはソウルへ向かって出発する予定のため、あまりこの基地にも長くはいられないが、できる限りゆっくりしたいと思う。
取材で撮った写真は同封しておくが、数があまりに多いので、よく見て選んで欲しい。
以上