ウワッハッハッハッハッハッハ!
どうやら今はコミケの時期らしいな!しかし残念なことに、禁忌とされている徹夜をしている者たちがいるらしい。
彼らの元にはスモウが説得に向かったので大丈夫だろうな!任せておけばいいさ!ウワッハッハ
ちゃんと寝て、朝起きて、太陽を賛美して出発しようではないか!
では今日も、太陽賛美ッ!
デストロイヤーの中へ侵入した不死人は、困り果てていた。
機動要塞として設計されたデストロイヤーの中には、親切に地図や道案内の標識などは無かった。たとえあったとしても読めないのだが。景色が変わらない道をあてもなく散策していた不死人だったが、後ろからの足音に振り向いた。
何も見えないが、近くに来ている。警備システムが動いていたのだろう。幸い、ここは一本道だ。竜狩りの弓に矢をつがえて、出現に備える。
足音が近づいてきた。頭らしきものが見えた。
今だッ!
「うわっ! チクショー、なんなんだよこの道……少しは整備しとけよ。歩きづらいったらねぇ」
運良く、床に伸びた配線に足を引っ掛けたカズマの頭上を豪速の矢が通る。
「間一髪だったわねカズマ」
「なにが?」
「なにがって、ほら」
アクアの指差す方向、自分の頭上を見たカズマの顔に、汗が噴き出した。
「あとちょっとで、頭パーンって破裂してたわよ」
「カズマさん、ほんとに運がいいんですね」
至極冷静に言うアクアに、カズマは若干引いていた。仲間が死にかけたというのに、こいつには心はないのかと。
「ああ、そういや無かったな」
「ねぇ、なんか馬鹿にされたような気がするんですけど。なに考えてたのよ」
「よし!気を取り直して進むぞー。まだトラップがあるだろうから、慎重に行こうか!」
「ちょっとカズマ! なに考えたのか言いなさい、言わないと神の鉄拳を食らわすわよ、言わなくても食らわす!」
「どっちにしろ殴られんじゃねぇか! こんなところで仲間割れしてる場合じゃねぇんだよ。早く動力源を探さないと…」
カズマの頭を危うく破裂させそうになった不死人は、ちょうど良かったと、三人に声をかけた。
「ちょうど良かったカズマ、共に行動しよう」
「ひいやあああ!ぁ…って、騎士さんじゃねーか、心臓が止まるかと思ったよ。いきなり話しかけないでくれ!」
「ん、そうか。気をつけよう。ところでアクアはどうしたのだ? 倒れてしまったが」
カズマが振り向くと、アクアが白眼をむいて倒れていた。
「あ〜、いつものことだから気にすんな」
「そうか」
慣れとは恐ろしいものだ。
散々の再会をしたカズマたちと不死人は、共にデストロイヤー内を散策する。
残り時間が無くなっていき、焦りが強まってきた一行の前に他の冒険者チームが現れる。更に動力源を見つけたと言うのだ。
「案内してくれ!」
案内されて入った動力室には、他にも冒険者がいた。その中にはダクネスやダストの姿もあった。
こちらに気がついたダクネスが、駆け寄ってくる。
「カズマ、間に合って良かった。単刀直入に聞くが、この動力源…なんとかする策は思いつかないか」
部屋の中央奥には、円柱型の水槽が置かれていた。その中で浮かぶ丸いものこそが、このデストロイヤーの動力源であり、爆弾そのもののコロナタイトなのだ。
「いくらなんでもいきなり過ぎだろ! だいたい、俺にそんなことできるわけないに決まってんじゃねーかこの駄クネスが!」
いい加減にしてくれと、カズマは心の底から思っていた。こんな時だというのに、このド変態クルセイダーは貶されることをわかって、おかしなことを言っている。しかし……。
「そうだよな……すまない。自分でも馬鹿なことを言ってるのは理解できる。だが、お前の発想力ととんでもない閃きに私たちはいつも救われてきたから……つい、すまない。忘れてくれ」
「……………」
一歩、二歩三歩とダクネスから離れる。いや、目の前の人物はダクネスなのか。悪魔に取り憑かれたと言われた方がまだ納得できる。
「アクア、ちょっとダクネスに浄化魔法かけて」
「ハァ? なんでダクネスにそんなことしなきゃいけないのよ。悪魔に取り憑かれてるわけじゃあるまいし」
お前心読めてるんじゃねーのか。と内心思いながら、それを表に出さず冷静にアクアを諭す。
「どう見たって、いつものダクネスじゃない。多分、偽物か悪霊か何かが取り憑いてるに違いない。さあ早く浄化魔法を」
「悪霊とかだったら、臭いでわかるわよ。第一偽物だとして、どうして私たちを助けるようなことを言うのよ?」
いつもは知能レベルがチンパンジー並みの癖に、変なところで勘を働かせやがって。その働きをいつものクエストに使ってくれたらどれだけ楽になることか。
と、内心思いながら、それを表に出さず冷静にアクアを諭す。
「こんなところで最低レベルの頭を使う暇があれば、クエストで使えよ駄女神が。偽物じゃないとしても、絶対に普通じゃないだろ!」
ことはできず、本音をぶちまけてしまう。それを聞いたアクアは、頬を膨らませ顔を真っ赤にして掴みかかった。
「いでででで!!! お前巫山戯ろよこんなところで喧嘩してる場合じゃねぇだろうが!」
「元はカズマが悪口言ったんじゃない!謝って!ねえ謝って!」
「お前ら痴話喧嘩もいい加減にしろよ〜」
危機が迫っている状況でよくも喧嘩できるなと、ダストは呆れを通り越して感心した。ダストの制止の声に「どこが痴話喧嘩だッ!」と声を揃えて言う2人は周囲の冒険者に無理やり引き剥がされた。
一連のやりとりがされてる横で、不死人はじっとコロナタイトを観察していた。これほどの巨大なものを動かすだけのエネルギーが、あの玉に内包されている。
火継ぎの儀式であれを持っていれば、きっと完全な火継ぎができるだけじゃない。儀式を半永久的にしなくて済むのではないか。そんな期待を込めてウィズに取り出せないかと聞いた不死人だが、返答は期待したものとは違っていた。
「火継ぎ、がどんなものかわかりませんが…少なくともあのコロナタイトは無理だと思います。暴走してますし、もう爆発する直前ですから」
出来ないのか、と落胆する不死人はそういえばと思い出して冒険者たちをかき分けてコロナタイトの前に来る。
武器を2つともしまった不死人は、右手に黒い光を灯した。それを見たウィズと幾人かの経験豊富な冒険者が壁まで跳んで距離をとった。
「全員下がってください!」
ウィズは臨戦態勢で、手の照準を不死人に当てていた。赤黒いナニカが不死人の右手で蠢いていた。少なくともあれが人に向けられたら死ぬよりも恐ろしいことになることは、容易に想像できた。
カズマは、例のごとく泡を吹いて倒れたアクアを背負って不死人を見ていた。普通ならああいう秘められた力的なのは転生者の自分が持ってるべきだろう。邪気眼系中二病っぽいなどなど、くだらないことを思っていた。
『ダークハンド』
闇のソウルによって人間性を奪うことのできる吸精の業をなし、さらに盾としても使える。
その手を不死人は水槽に突き立てた。割れる、と頭を抱えた冒険者たちだが、ガラスは割れることはなかった。まるでその部分だけ
「めぐみん。俺、もう何が起こっても驚かない自信あるよ」
「奇遇ですね、私もですよカズマ」
そのまま不死人はコロナタイトを手に取り、勢いよく取り出した。爆発すると思われたそれは、次第に光を失っていく。代わりに不死人をとてつもない充実感が満たしていく。忘れていた何か。とっくの昔に捨て去った何かが不死人の全身を巡っていく。
周囲の冒険者たちもそれを視覚で感じていた。コロナタイトを持つ手から全身へ広がっていく光の奔流は、美しく見えた。
「お、おおっ……おおおおおおおお!」
喜びを雄叫びにして表す。血が沸き立つ感覚、高揚する感覚、歓喜の感情。これまで希薄だった感情は命のガソリンを入れられたように次から次へと取り戻していく。
光は明るさを増して、部屋中を包み込んだ。
勝った!このすば 完!
これで不死人は感情を取り戻したので、もうバッドエンドになることはないだろうな。もう安心だ、おれは部屋でぐっすり寝させてもらうぜ
私にいい考えがある。不死人に魔王を討伐してもらうんだ。
やったか!?