彼女たちの日常(短編集)   作:_Aster_

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久々に書いたらあまり書かない感じの文章になりました。
部屋でゆっくりイチャイチャって良いですよねぇ!!

ネタバレ成分が少しだけありますので本編クリア後がおススメです。


梅雨の一日(あやせ)

「ぐっ、ぬぬぬぬぬ」

「なぁあやせ、そろそろ諦めた方が……」

「それはダメ! ゼッタイにこいつを倒してから行くんだから!」

 

 休日の昼下がり。今日は雨が降っていたのであやせと俺は部屋で遊ぶことにした。

 部屋でゲームをするだけでも、あやせと一緒に居られれば十分に楽しい。不満はない、のだが……

 

「そいつは倒さなくても良いんだろ? だったら他のところからーー」

「それじゃあ私の気が収まらないの!」

 

 あやせの負けず嫌いにも困ったものだ。かれこれ1時間ほどはもう同じ場面を繰り返し見ている。昔に買ったは良いがクリアできていなかったゲームを、折角だからといつも通り俺がプレイしていた。俺がやっているのを見てか、あやせが珍しくやりたいと言うのでボス戦でコントローラーを手渡したのが間違いだった。

 

「せめて二人プレイにしよう。そうしたら勝てるかもしれないだろ?」

「……わかった」

 

 俺の提案を渋々といった調子で受ける。妥協案だが、受け入れてくれて良かった。あれだけ見ていれば、敵のパターンは頭に入っている。

 

 

 

ーー数分後。

 

「よし。勝てたな」

「……私死んでたけどね」

 

 どうしても苦手なのか、わかってはいるのだろうが死んでしまうあやせ。

 

「クリアはできたからいいじゃないか」

「…………」

 

 どうにも納得できない顔で黙り込む。

……正直、これ以上同じ場面を見るのは飽きてしまったのだが。

 

「……じゃあ、次のやつは私が倒すから」

「わかったよ」

 

 何とか受け入れてくれたようだ。俺は、次のボスが弱いことだけを祈ってもう一度コントローラーを握った。

 

 

 

「……無理」

「……だろうなぁ」

 

 さらに数十分後。そこには俺が一応渡したコントローラーを力なく床に置くあやせがいた。それもそのはず、敵がネコ型のボスなのだ。しかも割と可愛くデフォルメまでされて。

 

「これはずるいじゃない!」

「まぁ、無くはないよな」

「やめやめ! いくらゲームでも、こんなに可愛い猫ちゃんを倒すのはダメ!」

 

 そういうと、ゲームを切ってしまう。あやせの前では、今後このゲームがクリアまで行けることはないだろう。

 

「さて、どうしよっか」

「雨止まないな」

 

 二人して窓の外を見る。梅雨の時期ということもあってか、雨はざぁざぁと降り続いていた。

 

「暁」

「どうした?」

 

 ぼうっとしたまま数分後、あやせが話し出す。

 

「私を、好きになってくれてありがとうね」

「……どうした、急に。雨でアンニュイになってるのか」

「っ……茶化さないでよ。本当に、感謝してるんだから」

 

 真面目な顔で言ったかと思えば、軽く俺を叩いて顔を赤くしそう言うあやせ。

……真面目な顔が綺麗で、つい茶化してしまったことは隠しておこう。

 

「暁が来てから、私もその周りのことも変わった。命を助けてもらったし、みんなとももっと仲良くなれた。それにお姉ちゃんのこともーー」

「それはあやせが頑張ったからだ」

 

 あやせの言葉を遮って言う。

 

「俺がいてもいなくても、あやせはきっと上手くできたさ」

「……でも、暁がいなかったら私は今こんなに幸せな気持ちじゃなかった。そうでしょ?」

 

 俺の顔をしっかりと見てそう言い切る。本当にどうして急にそんなことを言われているのかはわからないが、その目には俺への気持ちがこめられていた。

 

「あぁ、観念するよ。どういたしまして」

「うん。最初からそれで良いのよ。アナタはもう、私のものなんだから」

 

……ひどく強引だ。だが不思議と、そんな彼女も愛おしく思える。

 

「わ、私も、アナタのものなんだから……」

 

 あやせはそう言って俺の胸に顔を埋める。少し言葉に詰まっているところがまた可愛らしい。

 

「えいっ」

「っ……!?」

 

 あやせに押し倒される形で、俺は床に仰向けになる。

 

「ねぇ、暁……」

 

 俺を見るその目と小さな声は、何度も見て聞いているがいまだに慣れない、熱に浮かされたものだった。

 

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