彼女たちの日常(短編集)   作:_Aster_

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三司あやせで2回目のワンライ挑戦です。
仕事でリアルタイム参加ができなかったのと、1時間15分かかってるのでワンライとはという感じでしたねこれは…

あやせ√アフター後想定です!


あやデレ

 在原暁。私の彼氏で、主観を抜きにしても……そこそこかっこいいと思う。少なくとも七海さんや千咲さん、二条院さんに式部先輩からは好意的に接されている。七海さんは兄弟だから少し違うかもしれないが。

 であればこそ、自分の彼氏が他の女の子といることに不安を覚えても仕方ないーーと思う。嫉妬するのも当然、だろう。というか、そう思わないともう自分がしていることが恥ずかしくなってくる。私のわがままでただ暁を困らせているだけではないのか。

(あぁ……なんか不安になってきた……何やってるんだろ私……)

 私は、寮の自分の部屋にいた。時刻は休日の真昼間。暁と一緒に何かしていてもおかしくない時間だ。だが、私は自分の部屋でひとりぼっちだ。こうなったのは私のーーいや、暁のせいだ。

 

 

 

 私は、朝食をとるため食堂へと向かっていた。暁とは、食堂の前で待ち合わせて一緒にご飯を食べる予定だ。

 

「あっ、暁ー……?」

 

 私の声がだんだんと落ちていったのは、暁が式部先輩に抱きついていたからだった。手を後ろについて、尻餅をついたように座っている式部先輩と、それを前から抱きしめるように覆いかぶさっている暁。というか胸に顔を埋めている。私の思考をフリーズさせるには充分な条件だった。

 

「…………おはようございます」

 

 とりあえず当たり障りのない挨拶をしてみる。

 

「えっ、あっ、三司さん!?これは違くて!私がちょっと暁君を驚かせようとしたらこんなことに……」

「あやせ!?というか、すまん!茉優先輩!」

 

 私が声をかけると、二人はワタワタして離れ、立ち上がった。どうしたらそんな倒れ方になるのだ……という疑問は心の中だけに押し込めておく。

 

「分かっていますよ、式部先輩。誤解なんてしません。どうせまた暁がなにかやらかしたんじゃないですか?」

「ちげぇよ!今回ばっかりは俺は悪くない!」

「そうそう!三司さん、アタシが悪いの……ちょっといたずらしたらね……?」

「そうですか……じゃあ今回は、式部先輩に免じて暁を許します」

「俺が悪いのは変わらないのか……」

「あはは……そ、それじゃあ朝ごはん食べに行こっか!」

 

 これ以上空気を悪くする必要もない。式部先輩を信用しているのは本当だから。そう思った私はその言葉に頷くと、三人で食堂へと向かった。

 

 

 

「皆さん、おはようございます」

「おはようございます、あやせ先輩に式部先輩、それに暁君」

「先輩方、おはようございまーす!」

「おはよう。今日もいい朝だな」

「おはよう。時間かかったみたいだね?」

 

 既に座っていた七海さん、千咲さん、二条院さん、周防くんと朝の挨拶を交わす。

 ワイワイガヤガヤと友達と一緒に朝ごはんを食べる。私の好きな時間の一つだ。

 

 

 

 食事が終わって、食堂を後にする。

 

「ねぇ暁、今日はーー」

 

 私は暁の方を振り向いたが、そこに暁はいなかった。よくみると、少し離れたところで同じクラスの女の子と話している。

 

「ごめんね在原君!絶対お返しはするから!」

「いや気にするな。楽しんでこいよ」

 

 そんな会話を交わして、女の子の方は寮の出口へと小走りで行く。

 

「どうしたの?」

 

 私は暁の元まで行くと、疑問を口にした。

 

「あぁ、あやせ。なんでも、学院の先生に頼まれごとをしていたらしいんだが、彼氏との予定が急に入ってしまったらしくてな……代わりに引き受けてやることにした」

「ふぅん。それって、すぐ終わりそうなの?」

「いや、これが結構面倒そうで、資料整理をしないとだから、時間がかかるかもな……」

「…………そう、なんだ。じゃあ、私部屋に戻ってるから」

 

 私は暁にそうそっけなく言うと、スタスタと自分の部屋の方に向かった。

 

「あっ、おいあやせ!?」

 

 暁の言葉が聞こえたが、私は振り向かなかった。

 

 

 

 あの時の私はおかしかった。今となってはそう言える。朝の式部先輩とのことで私もイタズラしてやろうなんて思っていたのもある。勝手に休日の予定をそっちにされちゃって、嫉妬の気持ちもある。だが、それならそれで一緒に手伝えばよかった。

……ツンツンするだなんて、慣れないことはするものじゃないかも。

(あーもー……構って欲しくてわざと素っ気なくするなんて、付き合いたてのカップルか!そもそも私そんなキャラじゃないでしょぉ……)

 自分の行動でここまで後悔するとは。私は連絡しようにもなかなかできなくて目の前に置いたままの携帯を見ながら、悶々と頭の中で後悔を繰り返していた。

ーーノックの音は突然で、私は変な声を上げてしまった。

 

「ひゃいぃ!?」

「あやせ?俺だ」

「あ…………暁?」

 

 咄嗟のことで、私はそんな返事をしたまま、固まってしまった。

 

「入っても、いいか?」

「あ、はい!どうぞ」

 

 そんなかしこまった返事をしてしまったが、暁は気にせず部屋に入ってきた。

 

「すまなかった」

 

 部屋に入ってきた直後、暁はそう言って軽く頭を下げる。私はまたしても、そう正直に謝られると、私の中の罪悪感がムクムクと大きくなる。

 

「うっ……その、私こそ、ごめん。なんか面倒くさいことしちゃって……構って、欲しかったから……」

 

 恥ずかしさもあったが、今はしっかりと気持ちを伝えるべきだ。私はそう思って赤裸々に自分の気持ちを口にした。

 

「勝手に予定を入れてしまったこと……でいいんだよな?もちろん、埋め合わせは絶対にする」

「ううん。一緒にいてくれれば……それでいい」

 

 やっと言えた私の本音。やっぱり暁相手に気持ちを隠すなんて慣れないことはするものじゃない。そう改めて感じた。

 

 少し落ち着いて、一つの疑問が私の頭に浮かぶ。

 

「そう言えば暁、頼まれてたことは?結構かかるんじゃなかったの?」

「あぁ……俺の能力の話は前したよな?」

「うん。脳のコントロールがなんとかで……」

「それだ。全力で校舎までダッシュして、脳の処理能力をあげてすぐに終わらせてきた」

「えっ!?そんなことに能力を使ったの……?バカじゃないの?」

「いやバカはないだろう……」

 

 驚いてそんなことを言ってしまったが、私は嬉しい気持ちでいっぱいだった。だって、それだけ暁がすぐに駆けつけてくれようとしてくれたから。そんなくだらないことに全力を注いでまで、すぐにきてくれたから。

(はぁ……やっぱり私は、あなたのことが好きなんだなぁ……)

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