『ワンパンマン』+『PROTOTYPE』で、クロスネタ 作:蜜柑ブタ
ただし! オリ主さんに、殺されてます。注意!!
そのヒーローを喰って、ヒーロー協会と、サイタマの現状をオリ主は知ります。
切断表現などのグロ注意。
サイタマに負けてから数日が経った。
進化の家は今まで積み上げてきたものを捨てて、なぜかたこ焼き屋にリニューアルした。
たこ焼きなんて食ったことがなかったが、食ってみると美味かった。たこって美味いんだな。最高。
この世界にやってきてもう2年以上が経つのだが、オレはこの世界についてまだよく知らない。閉鎖的な場所で過ごしてたから仕方ないし、オレ自身そこまで興味がなかったというのもある。
進化の家が悪だくみをやめた今オレはブラブラと外を散策している。
初めて普通の人間が住む街に来てみたが、建物も生活スタイルも前いた世界とそう変わらないようだ。
……一部を除いては。
「ハハハハ! 俺様は…、ぎゃあああ!」
この間オレが戦ったヒーロー、サイタマが一撃で怪物を倒していた。
片手に買い物袋を持ってる姿がなんともミスマッチな光景だ。さっきまで逃げ惑っていた人間達が呆気にとられている。そりゃそうだ。さっきまで暴れていた怪物が若い男の一撃で死んだのだ。
サイタマは黄色いヒーローの格好じゃなく、普通の服を着ていた。だから余計に違和感がある。
サイタマは周りに目もくれず、買い物袋を持ったままその場から歩いて去って行った。
人ごみにまぎれているオレは、その背中を見送った。
するとオレは、強い殺気を感じ取った。
オレに向けられたものではないが、近い位置から感じ取った。
「あいつ…、絶対インチキしてるに決まってる」
強い妬みのこもった女の声が聞こえた。
オレは、少し気になって、その声の主を目で探した。
クッキーか? お菓子の形をした飾りが目を引く、随分と派手な格好の女がいた。
武器も手にしている。こちらもキャンディーのような形をしているが、これは斧だ。デザインはあれだが殺傷能力はそれなりにあるだろう。
顔立ちは格好とマッチする愛らしいものだが、怒りと嫉妬で歪んでいて台無しだ。
この女は、サイタマに怒りを覚えているのか? なぜだ?
女はやがて踵を返してどこかへ去って行った。
オレは、そのあとを追った。
あとを追ううちに、気が付くとサイタマを発見した。今日だけで二度目だ。
自販機で飲み物を選んでいる。
その様子を、クッキー柄の格好の女が窺っている。
「あんなハゲで新人の癖に、なんでもう私より順位が上になってんのよ、絶対おかしいじゃない。絶対インチキに決まってるわ。見てなさい、このクッキーミカちゃんがインチキを暴いて成敗してやるんだから」
……何を言っているのか分からない。
順位? 新人? インチキ? サイタマが?
ヒーローであるはずのサイタマを妬む理由がまったく分からない。そもそもヒーローに順位があるのか?
どうなっているんだ、この世界は?
「まったく分からない…。」
「ちょっと、あんた、そこで何してんの?」
頭を抑えてへたり込んでいたら、クッキーミカという女に話しかけられた。サイタマはもう自販機の前からいなくなっていた。
「気分が悪いの? 大丈夫?」
中腰になって、オレの顔色を窺う。さっきまで歪んでいた顔が嘘のように変わっていた。純粋にオレのことを心配しているようだ。根は悪い奴ではないらしい。
ああ…、それにしても…、身体が疼く。
「ねえ、聞いてる?」
若い女……。喰えば…滋養に…なるだろうな。
「えっ…。」
オレは、クッキーミカの腕を掴んで引っ張った。
そして。
「-----っ!!??」
しかし寸前でクッキーミカがオレの肩にキャンディー型の斧を突き刺してオレの手から逃れた。
「な、何よ? あんた、怪人!?」
ウジュルウジュルと蠢く俺の細胞を見て、クッキーミカは驚愕していた。
しかしすぐにキリッと顔を引き締めて、ポーズを取った。
「私はヒーロー、クッキーミカ! 街の平和を脅かす悪は成敗するわ!」
「ヒーロー? おまえが…?」
こんなに弱い奴が、サイタマと同じヒーローだと?
知らず知らずのうちに顔が歪む。
「そうよ、ここであったが最後、成敗されなさい!」
クッキーミカが芝居がかった身振り手振りで喋りながら、武器を振るった。
「くらえ、クッキーボマー!」
そう言って投げた物は、飴玉の形をした、爆弾だった。
オレはその爆発に巻き込まれた。だがオレの身体を傷つけるほどの威力はない。
「クッキーカッター!」
そう言って投げたのは、四角いクッキーの形をした刃物だった。
オレはそれを指で摘んで、放り捨てた。
「くっ、中々やるわね!」
「弱いな。おまえ、なんなんだ?」
「えっ?」
「どうしてサイタマを憎んでいる? 弱いくせに。」
「あ、あんた、あのハゲのこと知って…! それよりあいつと知り合いなわけ? アハハ、そっかあのハゲ、こうやって怪人と結託して自分を強く見せてたんだ! これがあいつのインチキだったのね!」
「何を言っている?」
「インチキのために怪人と結託したなんてバレたらあいつもうおしまいよ。協会から除名されるでしょうね! このことを公にすれば私の順位も一気に上がるはずだわ! 一石二鳥よ!」
「言っていることが分からない。」
「教える必要なんてないわ。怪人め。さっさと倒れなさいよ!」
クッキーミカがキャンディー型の斧を振った。
オレは、クローでキャンディー型の斧とクッキーミカの手をバラバラに切り刻んだ。
「---っ!? ひ、ぎぃああああああ!?」
サクサクと綺麗に切られた彼女の手と斧は、アスファルトの上に散らばった。切られた切断面から鮮血が吹き出している。
汚い悲鳴を上げている。耳障りだ。
「あぁ…あ、た、たすけ…て…。」
クッキーミカがアスファルトに膝をつき、体を折り曲げて腕の傷口を押さえつけながら、涙と鼻汁でグチャグチャの顔をあげて、俺に助けを求めた。
「これが…ヒーロー? 命乞いをするのが?」
オレは、堪え切れず笑った。あまりに滑稽だったからだ。
オレが人間じゃないと分かった途端、何をどう結びつけたのか、サイタマがインチキ(怪人と結託して八百長)をしていると勝手に解釈して、オレを倒すと意気込んだくせに、片手を切られただけであっさり戦意喪失し、しかも命乞いまでした。
こんなものが、サイタマと同じヒーロー?
こんなものが、ヒーローであるはずが、ない。
オレの巨大なツメが彼女の胴体を貫いた。
断末魔をあげる暇を与えず、分解吸収した。
吸収した途端、頭の中を駆け巡ったのは、クッキーミカが持っていた記憶。
それで理解したことは、ヒーロー協会というものが存在し、この世界でのヒーローとはヒーロー協会に登録されたヒーローのことを指し示すものだということだった。
約3年ほど前に設立されたものらしいが、サイタマがヒーロー協会に登録したのはかなり最近のことだったらしい。新人でありながら凄まじい速度で上位にのし上がっていくサイタマに、他のヒーローが妬みの感情を持っているらしい。
「くだらない…。」
ロクな強さもヒーローとしての精神も持ち合わせていないクズが、サイタマを妬むなどお門違いだ。
ヒーローが悪と戦うという設定が現実に起こっているこの世界は、変なところでリアルなようだ。人間のくだらない部分ばかりが目立ってやがるぜ。
それからふと気が付いた。
これだけ騒がしいことが起こっているのに誰も来ないのだ。どうやらこの辺りはゴーストタウンらしい。なんで気が付かなかったんだオレは。
まあ、どうでもいいことだ。
若い、それも一応はヒーローとして活躍するために鍛えられた人間だったクッキーミカは、普通の人間を喰った時より栄養があった。
ヒーロー協会というからには、まだまだたくさんのヒーローがいるに違いない。
オレは、無意識に唇を舌で舐めていた。
「おい? そこのおまえ、一体何をやってる! その血はなんだ!?」
後ろの方から声が聞こえたので振り向くと、鎧を着ている男がいた。
身なりと片手に懐中電灯を持っているところを見ると、夜間のパトロールの最中だったようだ。体格からして、この男もヒーローだろう。
クッキーミカというヒーローで、もう味は覚えた。
「あんた、ヒーローか?」
首を傾けながら尋ねてみると、武器を手にした男が一歩下がりながら俺を睨みつけてきた。
「そうか。ヒーローなら、大歓迎するぜ。」
食い物としてな。
身体から出した無数の触手で絡みとり、名前も知らないヒーローを捕食した。
駆け巡る養分で身体が隅々まで満たされ、オレは気持ちよくなった。
ウマイ。
そうだ、これからは、ヒーローを喰おう。ついでに怪人も喰ってしまおう。きっとヒーローとは違う味がするだろうから。
獲物が見つからなければ、その辺の人間でも喰えばいい。
ああ、本当にオレは人間ではなくなってしまったんだなとしみじみ思うが、オレはそれを受け入れて生きると決めた。
オレは、次の獲物を探しに夜の街へと繰り出した。
オレのことが世間とヒーロー協会に知られるのは、そう遠くない未来だろう。
オリジナルヒーロー設定
・クッキーミカ
C級100位以下のヒーロー。
お菓子のクッキーのようなデザインをあしらった衣装でヒーロー活動をしているロリ系ヒーロー。(年齢不詳)
じわじわと順位を上げていくサイタマに反感を持ち、サイタマのインチキを暴こうとしたが、シリンに出くわす。
シリンと戦ったが、あっさり倒されたあげくシリンの爪で串刺しされて捕食される。
シリンは、彼女を捕食してヒーロー協会のことを知った。
最後の方に出てきたヒーローらしき人物は、名前も知られないまま喰われました。
こんなんでも、オリ主・シリンの力は、半分以下。