『ワンパンマン』+『PROTOTYPE』で、クロスネタ 作:蜜柑ブタ
妊娠表現有り、注意。
流血もあります。注意。
あと、なんとなく、ボロス→サイタマっぽいかも。
「まったく…、自由にして良いとは言ったが…。」
「すみません。博士。」
「詳しいことは聞かないでおく。」
ジーナス博士は、データをパソコンに入力しながら呆れたように言った。
俺の腹の、データ。
俺の腹は、今…、臨月間近の妊婦のように膨らんでいる。
「しかし…、これは…。」
「悪食なのは自覚してますよ。けど、あの時…、なんか呼ばれたような気がして、つい…。」
それは、先日起こった、宇宙人襲来の事件のことだった。
宇宙から突如、巨大な戦艦がやってきて、攻撃を仕掛けてきた。
ヒーロー協会は、S級ヒーロー達を招集し、討伐に当たらせた。
結果は、ヒーロー達の勝利。
けれど…、俺は知っている。
あの戦いの真の勝利者は、サイタマだったと。
あの宇宙船の中には、とんでもない敵がいたのは、感じた。
サイタマが単独で宇宙船に潜入し、その敵と戦い、倒したのだ。
そして、崩壊した宇宙船の瓦礫の中に、オレを呼ぶ声が聞こえた気がして探した。
見つけたのは、血痕…、いや染みにもならないような、小さな汚れに見えるモノ。
それが“生きている”ことに気づいたときには、オレは、ソレを舐め取っていた。
そして後日。
オレの腹の中に胎動するモノが現れた。
それは、あっという間に成長し、今にも生まれてきそうな状態まで来た。
「まず言えることは…、シリン、おまえが身籠もっているのは人間ではないということだ。」
「分かってますよ。ただの人間がこんな早く成長するわけないじゃないですか。」
「…それはさておき、どうするつもりだね?」
「ここまで成長したなら、もう生まれるのを待つしかありませんよ。」
オレは、膨れている腹を撫でた。
腹の中にいるモノが早く出たいと言っている気がする。
オレは処女ではないが、身籠もったことはない。もちろん、旦那もいないし、恋人もいない。……体の関係だけの相手なら何人かはいたが。
「育てるのなら、私もそれなりに力になろう。」
「ありがとうございます。けど……。」
ドクリッと腹が脈動した。
この子は……。
「必要は無いかもしれませんが…、ね。」
腹の中にいるソレがボコボコと内側から蹴り、殴り、暴れる。
いてぇし、苦しいんだよ! 生まれるならさっさとしろ!
博士が慌てて、アーマードゴリラを呼んでいる。
次の瞬間、腹が割けた。
それに伴い蠢くオレのウィルス変異細胞が花開くように開き、大量の羊水とともにズルリッと這い出てきた胎児は、俺が座っていたベットの上を真っ赤に染めながら、みるみるうちに五歳児ぐらいに成長した。
はあ、はあ…っと呼吸が乱れる中、ソレが出て行った腹が元通りにぺったんこになった。
ソレがパチリッと一つ目の目を開け、オレをジロリッと見た。
「…生んでやったのに、なんだその顔は?」
オレがニヤッと笑って脂汗のにじむ顔を歪めると、ソレは、スッと目を細めた。
「…あんたが…オレを呼んだんだろ?」
「……さてな?」
ソレが喋った。
「驚いた。すでに言語を解するのかね?」
ぼう然としていた博士が言った。
「貴様は?」
「彼は、ジーナス博士。オレの恩人だ。」
「ふん。貴様には聞いていない。」
「オレは、シリン。あんた、名前は? 名前ぐらい覚えてないか?」
「………………ボロスだ。」
「へえ、案外素直だな。てっきり、言わないのかと思った。」
「まがいなりにも、この俺を再生させた母胎だろう? それなりに敬意はある。」
「へえ…。」
オレのことを母胎だと分かってるのか。
「中々に、居心地はよかったぞ。この俺を最初に生んだ母胎に比べれば遙かにな。」
「そりゃどうも。」
「しかし、俺を生んで死なんとはなな。」
「はーん? あんたの種族って、生むと死ぬタイプ?」
「そうだ。」
ボロスいわく、ボロスの種族は、強い個体ほど母胎とした生物(相手の女性は種族は問わないらしい)にかかる負担が大きく、特にボロスは、これまでの歴史でもっとも強い個体として生まれてきたらしい。
宇宙の覇者となるべく強者を求めて、藁にも縋る思いで占いに従い地球に来たところ、S級ヒーロー達とサイタマとの戦いとなり…、そして…。
「…サイタマに負けた。」
「ふっ…。」
ボロスは、風呂場でシャワーを浴び、その後タオルで頭を拭きながら、どこか満足げだった。
赤黒く染まっていた髪の毛も、本当はピンク色だと分かった。そして、肌の色は、不気味に青白く、稲妻のような血管のような黒い模様の筋が肌の上に走っている。
「…負けた割には、満足そうだな。」
「俺自身のすべてをかけて戦い、負けたのだ。悔いなどない。」
「オレは、呼ばれたような気がしたけどな。ボロスの細胞に。」
「貴様の胎内で感じたが、貴様の内に封印してあるウィルスは、俺の種族と相性がいいらしい。俺が呼んだのではなく、貴様が勝手に共鳴して呼ばれてきたのだろう。」
「ふーん。オレは、てっきり、未練があってオレを呼んだのかと思ったけど。」
すると、ボロスは、ふいに黙った。
「なに? 心当たりがある?」
「……戦いに関しては悔いはない。だが、ひとつ気がかりがあったかもしれん。」
「それって、サイタマのこと?」
「……かもしれん。」
「あんたが腹にいたとき、なんだかサイタマのことばかり気になった。あんたがサイタマのことを思ってたからだな。」
「…奴は、強すぎた。」
「だろうな。オレも戦ってみたけど、ホント、強い。強すぎる。…悲しくなるほどに。」
「貴様もサイタマに負けたか?」
「ああ。友人達を殺された復讐のために戦ったんだ。」
「ほう。ずいぶんと小さい理由だな。」
「小さくない。俺にとって帰る場所であり、居場所をくれた仲間だったんだ。それを奪われた悲しみも怒りも、宇宙の覇者を目指してたボロスには分からないよ。」
オレは、フンッと鼻で笑ってやった。
ボロスは、くっくっと笑うだけだった。
「それで? あんたは、どうするんだ? その姿でサイタマに会いに行くのか?」
「お前の体細胞のおかげでこうして意思疎通も、体の稼働もできているが、表面上の話だ。サイタマとの再会は、体が安定してからだ。」
「ほーん。その顔は、世話しろって感じか?」
「お前が本意でオレを蘇生させたのだ。それぐらいはしてもらおう。」
ボロスは、そう言って笑いやがった。
ボロス戦後、ボロスの細胞を拾って体内で再生させたシリンさん。
とくに考えもなくやったことです。
PROTOTYPEに登場するあのウィルスとボロスの種族との相性が良いというのは、捏造ですので。