人間嫌いのヒーローアカデミア   作:丑こく参り

3 / 4
目覚める龍

(ここは、何処だ……?確か俺はあの男に何かを注入されたんだよな…。となると病院か…はたまた死後の世界とか言うものか?)

さとりは地平線の果てまで真っ白で何も無い空間で目を覚まし、この状況を整理していた。

 

(体は動かない。声も出せない。意識だけある。…本当に何なんだ?おい!誰かいるのか!?返事をしてくれ!!)

自分の置かれている状況を整理したさとりは意識の中で出来る限りの大声をだした。

 

ー問おう、少年。

 

(なっ!?)

さとりの心の声に反応したのか野太い男の声がさとりの脳内に直接響いた。そして、声の主はこう切り出した。

 

ー君は何のためにヒーローを目指す。

 

(何なんだこいつは?だけれどこの状況なら答えるしかないな。)

さとりは考えをまとめ、答えた。

 

(人を憎んだからだ。)

 

さとりの回答はまるで怨敵に対する反応に似たような口調で質問に答えた。

さとりのオリジン。それは誰よりも人を憎んだが故に誰よりも人に憧れたものだった。

彼の両親はヴィランであり、ヒーローに捕まった。その際、ヒーローとヴィラン。どちらも対して変わらない事がわかってしまった。

そして、親戚の家に預けられ、育てられていた時に『自分は人間として壊れている』ことに気がついてしまった。

彼が気がついて直ぐに行ったこと。それは人を観察する事だった。人を観察して自分の壊れている箇所を理解するためだ。

そして、多くのことを学び人間らしさを取り戻していった。けれど『人間を好きになれない』ことだけは治らなかった。

だからこそ『誰かの為に力を振るえる』ヒーローに憧れたのだ。

 

ー 人の体を失くしてまでの願いか?

 

(当たり前だ。何かを得るには犠牲が必要だ。)

 

ー 力が欲しいか?

 

(ああ。欲しい。あの恐怖を、あの絶望を越えれる力が欲しい!!)

 

ー なら行け、少年。

 

(え、んな!?)

突如、さとりの体は浮きはじめ、彼が驚いている間に白い世界から放りだされ、意識を失くした。

 

 

==================

 

 

「はぁ、はぁ……。な、何だったんだあの夢は。」

さとりはまるで悪夢にうなされたように冷や汗をかきながら病院のベッドに起きた。

この病院はさとりが意識を失くした場所から程近い大きな医療施設である。

 

「先生!!患者さんが起きました!!」

何処からか看護師と思われる人の声がきこえた。おそらく、直ぐにでも医者がくるだろう。

(あれ?心の声が聞こえてこない?)

ふと、さとりは今までヘッドフォンをつけることで聞こえなくしていた声に違和感を持ち、ベッドから立ち上がり、腕についていたチューブを引き抜き、近くの鏡に歩いていった。

(…そこまで長く眠っていなかったのか。けど歩きづらいし目線も高いな。)

そうさとりは考えながら鏡までたどり着いた。

 

(なんだ…これは…。)

そして鏡に写った己の姿に絶句した。

鏡に写っているさとりの姿は、全身が元気そうな褐色をしており、瞳孔は縦に割れ、左目は金色、右目は銀色をしており、髪の毛は腰あたりまで垂れ下がり、その色も雪のような白髪、耳は歪ながらも尖っており、頭には後ろに伸びた角が二本はえている上、黒い鱗に覆われた尾まである。更に身長も伸びており、150センチ程だった身長が10センチ程のびている。

(本当に何があったんだ!?)

 

「と、君、ベッドから動かないで。一時間程意識を失っていたとはいえ、ちゃんとした検査を受けてもらわないと。」

「…わかった。」

病室に入ってきた医者の意見を素直に受け入れベッドに腰かける。

 

「さとり!?大丈夫だった!?」

突如、病室のドアを勢いよくあけ、一人の少女が入ってきた。

その女性は身長が前のさとりより少し大きく、両腕に桜色の翼が生え、翼の色より少し濃い色をした、可愛らしい少女である。

彼女の名前は六道 鳥歌《ちょうか》さとりの親戚であり『ソングヒーロー セイレーン』という歌手兼ヒーローである。

「大丈夫だ鳥歌。何か見た目は変わっているけど問題ない。そして抱きつこうとするな、他の人の迷惑になる。」

「他何て今はどうでもいいわ!本当にどこも問題ないの!?何でそんな姿になっているの!?」

「あぁうるさい。取り敢えず静かにできないのか!」

鳥歌は矢継ぎ早にさとりに質問をし、それをさとりはスルーして鳥歌に注意する。

鳥歌は誰よりもさとりを愛しており、ある意味過保護に育ててきた。そのため、さとりに何かあったら仕事を放り投げてでもさとりの元に駆けつけて来てしまうのだ。

 

(母親としてはそれでいいけどヒーローとしてはアウトだろ…。)

さとりがうんざりとした顔で鳥歌を見ていると医者が話しかけてきた。

「ここに運ばれて来る前、何があったか覚えているかい?」

「ーその話し、私にも聞かせてくれないかい?」

病室ののドアが開き、そこから骸骨のようなガリガリの男が現れた。無論、さとりや鳥歌には知り合いではなく、見たことすらない。

「あぁ、失敬。私の名前は八木 俊典。オールマイトの事務所で働いている者だ。」

「「!?」」

八木と名乗る男は重々しい口調で自分の存在について話す。

オールマイト。それはこの超人社会の中で多くの人を助け、多くのヴィランを捕まえてきたナンバーワンと言われているヒーローの名前だ。つまり、この男は自らを『オールマイトの関係者』と言ったのだ。

「俺は構いません。…俺をこの体にした男の正体がなんなのか知りたいからな。それなら、多くの情報を持っていそうな人間はちょうどいい。……他言無用だぞ?」

「HAHAHAHA!!問題無いさ六道少年。私は口が固い方なのだよ。」

(何かオールマイトに似た口調だな…。まあいっか。)

「じゃあ話し始めるか。」




六道 鳥歌《ろくどう ちょうか》

ヒーローネーム 『ソングヒーロー セイレーン』

個性:セイレーン

鳥の異形型と音に関する発動型の複合型
鳥と同じように空中戦を得意としており、空中での戦いならオールマイト以上。
更に歌を歌うことで傷を癒したりする事などができる。ただし、歌は様々種類があるが一度に一つしか歌えず自分には効果がない。
ヒーローランキングでは11位

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。