この素晴らしくあざとい後輩との冒険者生活はまちがっている。   作:水刀 言心

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本当にお久しぶりです。

何かもう度々申し訳ございません(土下座)。

今回はまたもや説明回となっておりますが、前話の後の流れをざっくりダイジェストでお送りしております。

そしてオリジナルスキル、及びルーンナイトの設定を捏造しまくりです。ご注意下さい。

お楽しみ頂けると幸いです。


第15話 然して、彼と彼女は野に放たれる

 

 

 

 

 

異世界に転生して2週間程が過ぎた今日この頃。

 

アクセルから馬で1日ほどの距離にある、とある農村を訪れていた俺と一色は…………。

 

 

「あーもう!! きりがなさ過ぎませんかねぇっ!!」

 

「口じゃ無くて手ぇ動かせっ!! 齧られんぞっ!!」

 

 

現在、農村近郊の森で、無数のコボルトに囲まれていた。

 

 

 

 

 

ことの発端は6日前に遡る。

 

あれから紆余曲折はあったものの、俺と一色は無事にギルドのお手伝いクエストを終えた。

 

ついでにルナさんに頼んだ後任の指導員も見つかり、4日間はその人達からの指導…………もとい、合同訓練を行い、折々でこちらもルナさんに顔繋ぎを依頼した、様々なジョブの冒険者達から、必要なスキルを教わり、訓練で効果を確認しながら、モンスターとの戦いにも備えた。

 

幸運だったのは、勤務2日目に、モンスターを倒さずとも、経験値を多く含む食材を食べれば、レベルが上がる、という事実に気付けたことだろう。

 

おかげで、俺と一色は、多少の散財はしたものの、モンスターと戦わずして、初の討伐クエスト時にはレベル5になり、チートの影響か、ただでさえ暴力的だったステータスが、さらに上昇していた。

 

勿論、こちらもチートのおかげでスキルポイントもアホ程増えた。

 

その為、俺と一色は有り余るスキルポイントを注ぎ込み、ギルドで収集した情報を基に、チートの影響で冒険者カードに出現した古今東西のレアスキルを数々取得。

 

綿密な計画を立て、万全を期して初の討伐クエスト、『3日間でジャイアントトード5頭の討伐』に挑んだ。

 

 

…………結果はお察しである。

 

 

チートスキルにチート装備、過剰なステータスと十分な訓練期間。

 

それらを俺は過小評価し過ぎていたらしい。

 

3日で5頭どころか、俺たちは1時間で20頭を超えるジャイアントトードを討伐した。

 

なお、たまたま付近を通りすがり、その光景を目撃した冒険者は震えながらこう語った。

 

 

『あれは討伐じゃない、虐殺だ。』

 

 

…………いやだって、あんなデカいカエル目の当たりにしたら、流石にパニックにもなるじゃん?

 

慌てた俺と一色は冷静さを失い、取得したスキルをフル活用。

 

一色の支援魔法を掛けられるだけ掛け、装備の専用スキルをはじめとした、凶悪な攻撃スキルを遠慮なしに乱発し、俺と一色はカエル相手に、それはもう見事な無双を披露した。

 

周囲を瞬く間に荒野へと変えてしまう程に。

 

…………余談だが、先程の冒険者は、威圧スキルで殺気を撒き散らし、目庇の奥で狂化により真紅に染まった眼光を煌めかせ暴れ回る俺を、リビングアーマーというアンデッドモンスターの変種だと誤認。

 

更には、傍らにいた一色を、それを討伐する為に送り込まれた、凄腕冒険者だと勘違いしたまま、見たままの情報をギルドへ報告。

 

即座に討伐隊が組織され、俺の討伐と一色の救援の為に、その討伐隊が差し向けられるという事件が発生した。

 

…………なお、討伐隊は俺を確認するなり、問答無用で魔法や矢を乱射。

 

スキルやらでそれを咄嗟に防いだ俺は、すぐに誤解を解こうとしたが、既に遅かった。

 

 

 

俺が攻撃されたことで、一色がガチギレしたのだ。

 

 

 

殺気に気付き俺は待ったをかけようとしたが、一色は止める間もなく法衣のスキルで上空へ移動。

 

そして間髪入れず、支援魔法マシマシで全力の魔槍投擲。

 

死人こそ出なかったものの、その日一番の威力で放たれた魔槍は、討伐隊の眼前に、巨大隕石が落下したかの如き巨大なクレーターを生み出した。

 

ダメ押しに、地面に突き立った魔槍の柄へと降り立った一色は、崩れ落ちる討伐隊の面々を冷たく見下ろすと、例の空恐ろしい声色で告げた。

 

 

『は? 何ですか? バカなんですか? そんなに○にたいんですか? そうですか…………よし、ぶっ○します。』

 

 

この時一色と対峙した冒険者たちには、狂化によって真紅に輝く眼光で、自分たちを射抜くように睨みつけた一色が、人の姿をしたエンシェントドラゴンに見えたそうな。

 

状況は飲み込めずとも、彼らは本能で自らのなすべきことを理解したのだろう。

 

彼らが怒り狂う一色を鎮める為にとった行動。

 

 

それ即ちDOGEZAである。

 

 

しかしブチギレムカチャッカファイヤーインフェルノ状態の一色は、その程度では治まらず。

 

ふわりと地面へ降り立つと、槍を引き抜き、その柄を地面へ、ずどん、と叩きつけた。

 

その衝撃は凄まじく、DOGEZA敢行中の討伐隊一行の体が、一瞬浮く程だった。

 

恐慌一歩手前な彼らに、一色は相変わらずな、絶対零度の声色で告げた。

 

 

『…………謝る相手が違いませんかね?』

 

 

次の瞬間、全速力で俺の眼前へと駆けつけ、目にも留まらぬ速さでDOGEZAを繰り出す、屈強な冒険者達。

 

その光景に、俺は思わず震えた。

 

一色への恐怖でな。

 

無論、直接その殺意というか、怒気を向けられた冒険者達は言わずもがな。

 

この日アクセルに、『イッシキ イロハ並びにヒキガヤ ハチマンを敵に回してはならない』という暗黙の掟が生まれた。

 

…………まぁ、俺もギルド内で派手に暴れたしな。

 

冒険者達の見事なDOGEZAによって、どうにか矛を納めた一色。

 

しかし本当の問題はその後だった。

 

ギルドにてクエストの達成報告を行った俺と一色は、そのままルナさんから事情聴取を受け、当然ながら過剰防衛だとお叱りを受けた。

 

しかも、俺たちが派手に暴れ過ぎた所為で、繁殖期が近づき、アクセル周辺に集まっていたジャイアントトードが、方々へ散らばってしまう可能性があるという。

 

流石に自分達のせいで、周辺の村落で人死にが出る、というのは看過しがたい。

 

結局、ルナさんとの協議の結果、俺と一色は『1週間でアクセル周辺の生態系を調査せよ』という緊急の調査クエストを請け負うことに。

 

具体的な内容としては、ギルドが指定するアクセル近郊の村落を回り、ジャイアントトードの流入が無いかを確認する、そして存在が確認された場合、速かにこれの討伐を、という至ってシンプルなもの。

 

ただし、結構な距離を移動することになりそうだった為、俺は馬を借り、乗馬スキルの取得を考えたのだが、珍しく一色に止められた。

 

 

『わたしにいい考えがあります!』

 

 

某司令官のような台詞で、あざとくドヤる一色に、俺は不安しか感じなかった。

 

…………そして、その不安は的中する。

 

詳しくは後述するが、一色が馬の代わりに提案した移動法は、確かに馬より速く、コストも掛からないものだった。

 

ただ、その代償に、俺はこの1週間で20数回のスカイダイビングを経験する羽目になり、少しでも心労を減らす為、一切の迷い無くテレポートを習得する羽目になった。

 

…………2度と調査クエストなんて受けねぇぞ。

 

そんな風に、俺の心に多少の傷跡を残したものの、クエスト自体は順長に経過し、この6日間で10数頭のジャイアントトードやゴブリン、大物だとオーガなどを討伐した。

 

そして残すチェックポイントも、あと2箇所となったクエスト最終日。

 

最初に訪れた村の近郊で、事件は起こった。

 

それが冒頭での惨状である。

 

 

 

 

 

「まさかコボルトの群れに出くわすなんてな…………!!」

 

 

悪態を吐きながら、俺は手にした魔剣、マクベスを一閃、数匹のコボルトを纏めて両断する。

 

視界の隅では、一色が俺と同様に魔槍、ハムレットでコボルトを纏めて薙ぎ払っていた。

 

 

「全く次から次へと…………! これもう上空から魔槍ズドン、で殲滅しちゃったらダメですかね!?」

 

「やめとけ。調査クエストの範囲と期間が増えるだけだ…………!」

 

 

コボルトに近付かれないよう、適確に魔槍を振るいながら、苛立ちを隠そうともせず、空恐ろしい事を口走る一色。

 

それに対し、冷静にツッコミながらも、彼女が言う通り、このままでは埒があかないと、俺も感じ始めていた。

 

敵感知スキルで、無数のコボルトの接近に気付いた俺と一色は、すぐにも森の中では見通しの良い、開けた空間へと移動。

 

おかげで不利にならず、防衛に成功してはいるが、いかんせん数が多過ぎる。

 

このままではジリ貧になる事は明白。

 

…………ここは多少強引だが、こじ開けるしかない。

 

即座に決断し、握っていたマクベスに、魔力を通す。

 

ばちっ、という放電音とともに、マクベスの剣身が、黒い稲妻に覆われ、次第にその稲妻は剣身を延長するように纏わり付き、漆黒の刃を形成していく。

 

 

「リベリオン。」

 

 

そして長大な魔力の刃を、自分側のコボルトの群れ目掛けて薙ぎ払った。

 

 

 

俺たちがエリス様に託された呪いの装備には、それぞれの名に因んだ専用スキルが付与されている。

 

俺が持つ両手剣は『簒奪の魔剣 マクベス』。

 

その名に冠する通り、付与されたスキルは『簒奪スキル』。

 

マクベスの刃を、一太刀でも浴びた対象が死亡した時、そのステータスの1割を、永続的に所有者のステータスへと加算するという、反則じみたスキルだ。

 

詳しい理屈は不明だが、この世界の理である経験値システムに、何らかの形で干渉しているとのこと。

 

そしてマクベス、というか簒奪スキルには、この効果をより効率よく運用する為、派生スキルが搭載されている。

 

それが前述の『リベリオン』であり、その効果は見ての通り、魔力を注ぐことで、マクベスの剣身を延長し、攻撃範囲を広げる、というもの。

 

押しも押されぬ、現状俺にとってのメインウェポンである。

 

…………意外と地味なとこが、俺っぽいとか思っちゃダメ。

 

 

 

半円状にコボルトを薙ぎ払った俺は、すぐさま左手で一色の腕を掴み、こちらへと引き寄せる。

 

 

「わひゃっ!? せんぱいっ!?」

 

 

一色が驚きの声を上げるが、それを黙殺し、くるりと立ち位置を入れ替え、再びマクベスを一閃。

 

円状に敵を処理して、すかさず一色に指示を飛ばす。

 

 

「一色! 結界だ!!」

 

「っ!? サンクチュアリっ!!」

 

 

一色がそう口にした瞬間、彼女を中心に出現する魔法陣。

 

そして、魔法陣は立体構造へと変遷し、ドーム状に俺たちを覆う城壁と化す。

 

 

 

レアスキル『結界魔法スキル』。

 

一定以上の魔力を持つクルセイダーが、稀に習得可能となる驚異的な防御魔法。

 

チートの影響で俺と一色の場合、その『稀に』という接頭語は適応範囲がガバガバになっている。

 

当然の様に、一色はそれを習得できた。

 

そして極められたそれは、史上最高の火力である爆裂魔法すら防ぎ切るという。

 

まさに不破の城壁。

 

もっとも、今回は詠唱を破棄していた為、効果範囲も強度もかなり控えめだが。

 

 

 

一先ずの安全が確保された事で、俺は深く安堵の溜息を吐く。

 

少々強引だったかも知れないが、他に思い付かなかったし、上手くいったのだからよしとしよう。

 

そう思いながら、一色へと向き直ると。

 

 

「むぅぅぅ…………。」

 

 

ここ最近、すっかりお馴染みとなった膨れっ面が、そこにあった。

 

 

「何よ? 今回は報告する余裕なんてなかったでしょうが?」

 

「それは…………そうなんですけど。でもでも! 事前に一言でも言ってくれたら、もっと堪能できたじゃないですかぁ!?」

 

「いや、何の話だよ?」

 

「ヒロイン気分を、です! 今のくるっ、てやつ、ダンスみたいでしたし、せんぱいに庇われてる感じが素敵だったじゃないですかぁ!!」

 

「…………お前、意外と余裕だったろ?」

 

 

兜越しで伝わらないだろうが、目一杯のジト目を向ける。

 

すると一色はきゃるん☆とでもSEが付きそうな程、見事に膨れっ面から笑顔に早変わり。

 

 

「それだけ、せんぱいのこと、信頼してるってことですよ?」

 

 

などと、抜かし始めた。

 

 

「ぐっ…………だからあざといんだよっ…………。」

 

 

そうは言いつつも、正直その笑顔と言葉に、ちょっとどころか大いにときめいてしまい、思わず声が上ずる。

 

そんな俺の内心は、一色には筒抜けなのだろう。

 

にんまりと満足げに、彼女は笑った。

 

 

「それで、結局どうしますか? 詠唱省いたから、結界もそんなに保ちませんし…………貼り直します?」

 

 

今までのやりとりが、まるでなかったかのように、真面目な話を始める一色。

 

…………情緒不安定ってレベルじゃないんですけど? 

 

女子のそういう切り替えの速さって、ときどき怖いんだが。

 

とはいえ、いつまでも戯れてる場合じゃない。

 

彼女の言葉通り、結界は外のコボルトによる攻撃で軋み、所々亀裂が生じ始めている。

 

咳払い一つ、俺も思考を切り替えると、右手でマクベスを顔の前に水平に持ち上げ、剣身に左手を添えた。

 

 

「貼り直しは必要ない。強化魔法込みの上級氷結魔法と魔法剣で一掃する。結界が割れたら、お前は出来るだけ上に退避しとけ。」

 

「なるほどです。あ、支援魔法はご入用ですか?」

 

「あー…………今回はいらんだろ。というか、それやったら結局被害が広がりそうだ。」

 

「確かに…………それじゃあ、後は頼れる先輩にお任せです♪」

 

 

言いながら、法衣の裾のちょんとつまみ上げ、優雅にお辞儀して見せる一色。

 

様になっているその仕草は、ある種幻想的で見惚れそうになったが、俺はそれに触れず、魔法の詠唱に集中した。

 

 

「マジックエンハンス。」

 

 

瞬間、俺の足元に魔法陣が出現し、赤い光が舞い踊る。

 

 

 

レアスキル『強化魔法スキル』。

 

アークウィザード、もしくはルーンナイトが、例によって、稀に習得可能なスキル。

 

数種類の効果があり、全て『○○○エンハンス』と結ばれるそれらは、自己のステータスを一時的に強化する魔法だ。

 

支援魔法と違い、自分にしか使用出来ず、物理的ステータスの場合は体力の消費も強化倍率に応じて上昇し、魔法効果を増強した場合、消費魔力も倍になる、というデメリットが存在する。

 

そして今使用した『マジックエンハンス』は、直後に使用した魔法の威力を、消費魔力が2倍になるものの、その威力をも2倍にする、という超強化スキルである。

 

 

 

そして1つ目の詠唱を終えた俺は、すぐに次の詠唱へ移る。

 

そして完成した魔法を、高らかに宣言する。

 

 

「カースドクリスタルプリズン。」

 

 

術者周囲を、速攻で氷結させる、氷結系の最上位魔法。

 

…………何か『氷結系最上位』って響きが、そこはかとなく負けフラグ臭いが、ここは目を瞑ろう。

 

俺は完成した魔法を、直ぐに解き放つ事はせず、続け様に、最後の仕込みを発動した。

 

 

「リロード。」

 

 

そう唱えると、完成していた上級魔法は、魔法陣ごとマクベスの刃へと吸い込まれていく。

 

 

 

職業スキル『魔法剣スキル』。

 

これは俺が使う中では珍しく、ルーンナイトであれば、誰しもが習得可能なスキルだ。

 

とはいえ、習得にかかるスキルポイントが高く、加えてかなりの高ステータスが要求される為、本来は駆け出し程度が習得できるスキルではない。

 

しかし俺たちなら(以下略。

 

魔法剣スキルは非常にシンプルなスキルであり、要は完成した魔法を近接武器に付与し、発動ワードで斬撃と同時に解放するというもの。

 

その際、魔法の効果を知力と魔力だけでなく、筋力のステータスも考慮し算出する。

 

ただし、魔法を付与する武器は、最低でもミスリルクラスの魔法金属製である必要があり、それ以下の物質製だと、開放と同時に得物が砕け散る、という欠陥が存在する。

 

当然、マクベスならば問題は無い。

 

 

 

全ての仕込みが完了した瞬間、ガラスが砕けるような、けたたましい破砕音が響き渡り、結界が崩壊する。

 

瞬間、視界の端で笑みを浮かべた一色は、上空を一瞥したかと思うと、まるでそこに、初めからいなかったように掻き消えた。

 

 

 

一色が纏う法衣は『転換の法衣 オセロー』。

 

冠する名の通り、転換…………即ち、入れ替えの力が付与されている。

 

『転換スキル セットスライド』。

 

一色自身と、彼女が視界で認識した対象を、生物無生物問わず、任意に入れ替える能力。

 

消費魔力は対象の質量と、対象間の距離に応じて増大するが、基本的には法衣に蓄積された魔力で賄えるとのこと。

 

前述のジャイアントトード虐殺事件において、一色が上空に移動する際に使用したスキルである。

 

曰く、空気と自分の位置を入れ替えている、とのことだが、視界に映らない物質も対象になることに、若干の疑問が残らなくもない。

 

なお、物体の入れ替えに際し、運動エネルギーも入れ替えてしまう為、飛び道具を相手の近くに移動させる等の使い方は出来ないらしい。

 

…………察しのいい皆さんはもうお気づきだろう。

 

何を隠そう、一色が言った良い考えとは、即ちこのセットスライドを用いた超長距離跳躍である。

 

俺が一色を抱えることで、2人を同一対象と見做し、あとは前述の通りの方法で上空へ移動。

 

訓練期間中に『千里眼スキル』を取得した一色にとって、視界が開けた上空から、

十数キロ離れた目標地点を探す程度朝飯前だったのだ。

 

確かに効率的だったことは認めよう。

 

ついでに、所謂お姫様抱っこをされた一色は、大変楽しそうだった。

 

反対に、ヘルムの下の俺の顔は蒼白だっただろう。

 

繰り返され、そして慣れることなどない浮遊感を、日に何度も味合わされ、何なら治ったはずの目の腐り濁りがぶり返していたまであるかも知れん。

 

絶叫マシンなんて目じゃない、トラウマ必至の壮絶体験であった…………。

 

 

 

さて、一色が上空に退避した事を確認し、俺は両手でマクベスを握り込むと、剣先を後方へ逸らすように、ぐぐぐ、と腰を捻った。

 

腕、肩、腰、大腿、脛部、足裏…………全身の力が、余す事なく斬撃に伝わるよう、スキルによって最適化された動きをなぞる。

 

動かぬ俺目掛け、涎を撒き散らしながら殺到するコボルトの群れ。

 

されどその動きは、あまりにも鈍い。

 

限界まで引き絞られた弓を放つが如く、漆黒の大剣を振り抜いた。

 

 

「バーストッ!!」

 

 

同時に、魔法剣発動用の句を告げる。

 

大きく円を描いた剣線を、追いかけるように舞う、圧倒的な冷気の渦。

 

刹那、襲いくるコボルトの群れは…………。

 

 

 

一切の抵抗も許されず、巨大な氷壁に飲まれた。

 

 

 

 

 

 







最後までご覧頂き、ありがとうございました。

8ヶ月ぶりの更新、お待ち頂いていた皆様、大変申し訳ございませんでした。

度々のスランプに、コロナ禍をまるで無視して増えていく仕事によって、執筆活動にまるで取り組めなかった、というのが主な更新地帯の理由でございます。

執筆できない間も、少しずつとは言え伸びていく閲覧数と、温かな感想メッセージに励まされ、恥ずかしながら戻ってまいりました。

また度々、更新が滞る事があるかと思いますが、今後ともお付き合い頂けると幸いです。

それでは、久々に本日の言い訳コーナーをば。



①お使い&初討伐クエストダイジェスト
 拙作の2人は、言うに及ばず高ステータスですので、特に苦労なく初クエストを終えると考えられる為、さらっと流そうと考えたのですが…………思いの外いろはに暴れられました。

②スキル説明会
 オリジナルスキル&装備のお披露目です。
とはいえ、まだ呪いの装備は半分残っていますし、いろはの戦闘スタイルも全容を明かせていませんので、次回も説明回じみてしまう気が…………。
が、頑張ります!



以上、本日の言い訳コーナーでした。

なるべく早く、次回をお送り出来るよう、鋭意努力して行きたいと思います。

それでは、また次回の更新でお会いしましょう。
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