人ってなんのために生きているだろう。
俺、
その人の名前は
俺と兄と両親は三上さんの家族にただただ、お礼とお詫びを繰り返していた。
それを聞いていても、未だにピンと来ていない。まさか、初めての葬式が三上さんになるなんて。あの人確か、童貞だったよな。もし生きていれば、童貞のまま死ぬのって、どんな気分なのか聞いて見たかったな。……いや、流石に不謹慎だよな。それにそれだと死んでないし。
お坊さんのお経を聴きながら俺はみかみさんとの思い出を思い返す。
初めて会ったのは、飲み会で酔い潰れた兄を連れて来た時だった。偶々、やっていたゲームをしながら出迎えると三上さんが俺のやっていたゲームにめちゃくちゃ食いついて。そのまま、その場で3時間も談笑してしまった。大学じゃあ、ろくに友達も作れなかった俺には時たま三上さんとやるゲームは楽しかったな。……まさか、本当に亡くなるなんて。
葬式も終わり、三上さんの親族や知人たちが帰った葬式場で兄貴は項垂れていた。その側には婚約者の
しばらくして、兄貴が立ち上がりどこかへ向かおうとした。
「兄貴。どこへ行くんだ?」」
「幸成……なに、ちょっと先輩の遺言を果たそうと……」
遺言………三上さんが死に際に兄貴になにを頼んだんだ?
「どんな内容なんだ?」
「先輩のPCを風呂に沈めて、電気流して、データを完全に消去してやってくれって」
………あの人らしいなぁ。
「それって、風呂に沈める意味ある? 普通にメモリーカードを抜いて折ればいいんじゃないか」
「ダメだ! そんな事! これは、先輩の最後の頼みなんだぞ!」
ガッと、肩を掴み兄貴が詰め寄ってくる。
「わかった、わかった。じゃあ、俺が代わりにPC沈めるから。兄貴は家帰って寝とけ」
「ダメだ。これは先輩が俺に頼んだ事だ」
「どうせ田村って言ってたんだろ。それなら、俺も田村だし問題ねーよ」
俺の言い分に「だが……」とまだしぶる兄貴。しょうがない、ダメ押しにもう一言。
「それに、兄貴。ほとんど寝てないだろ。うっかり、こけて感電死しちゃいました〜なんてことになったら三上さんも浮かばれないよ」
「………わかった。頼んだぞ、幸成」
ふふふ……兄貴よ俺が代わりに三上さんのPCを沈める理由を言わないが心の中で言ってやろう。
それは……過去に俺は三上さんにエロ本を見つけられ散々茶化されたのだ! だから! あの人が保存しているであろうエロ系統モノを見てやろうという理由だ!
てな訳で、俺は三上さんが住んでいたマンションの一室についた。
早速、PCを立ち上げフォルダの中を調べまくった。
結果……三上さんに変わった性癖は無かった。というか、結構俺好みのものが多くて、むしろダメにするより持って帰りたいと思ってしまう。
………ん? なんだ、このフォルダ。1つだけ何故か文字化けしている謎のフォルダを見つけ、俺は興味半分でそれを開いた。
「……『五聖勇者伝』?」
聞いた事ないな〜。
…………! もしや、この五聖勇者伝って三上さんが書いたネット小説か!?
これか! これが、PCをダメにしたかった本当の理由だったのか! ふふふ、いったいどんな内容なんだ? 自分を主人公にした厨二感全開の痛〜い内容なのかな〜。
どれどれ〜……って、ほとんど書いてないじゃん。なんか、プロットみたいなのが書いてあるだけだ。
概要はとある異世界で終末の予言がなされた。
その終末は幾重にも重なる災厄の波がいずれ世界を滅ぼすというもの。
災厄を逃れる為、人々は異世界から勇者を呼んで助けを乞うたとか何とか。
うーん、なんかどっかで聞いたことあるようなやつだな。
そして召喚された5人の勇者はそれぞれ武器を所持していた。
剣、槍、弓、拳、そして盾。
………拳はギリ武器として認めるが、流石に盾は違うだろ。
などと苦笑しながら続きを流し見ていく。
勇者達は力をつけるため旅立ち、己を磨き、災厄の波に備える。
ドラゴンなんかを倒して大活躍する剣の勇者。仲間思いの槍の勇者。悪政を行う大臣を退治する弓の勇者。
何このよくある内容を足しまくったやつ。三上さんまねるにしても、自分のものにしないとダメですよ。
《確認しました。ユニークスキル『模倣者』を獲得……成功しました》
……今、なんか聞こえたような。気のせいか……
それはそうとなんで拳と盾はのことが書いてないんだ?
「………あれ」
考え込んでいると急に視界がぼやけて俺は意識を失った。