・セイバーさんがいろんな場所でご飯食べるだけの話しです。
・本格的な料理話ではありません。メニューも基本的に原作に出たものをつかいます。
・不定期更新です
・暇つぶし程度に読んでやるか、ぐらいの気持ちでどうぞ
冬木市、衛宮家。第五次聖杯戦争が終結し半年がたった。戦いが終わったにも関わらずサーヴァント、マスター共に全員が平和に暮らしているという不思議な状態が普通となり各々現在の生活を謳歌している。そんなサーヴァントの一人がこの家にも存在している。サーヴァント・セイバー、聖杯戦争において最優のクラスと言われるクラスで現界した英霊でありその真名はアルトリア・ペンドラゴン、外見は見事な美少女であるが侮るなかれその少女こそ星の聖剣をもつ伝説に名高き騎士王アーサーその人である。
そんな彼女は今!
「お腹が空きました……」
空腹で机に突っ伏していた。現在、衛宮家にはセイバーのみである。家主であり彼女のマスターである衛宮士郎は朝からバイトに行っており遅くまで帰らない。手伝いに来る間桐桜も部活のため学校でありそのサーヴァントであるライダーもバイトに行っている。
そのため基本的にやる事のないセイバーは家に一人という訳である。
士郎より食事代やお小遣いをもらっているので昼食は自分で用意しなければならない。
しかし、そんなセイバーは現在重大な危機に直面していた。
「お金がありません」
金欠である。顔上げ悲痛な表情で財布の中身を机にひっくり返す。財布から出てくるのは少量の小銭のみ。とても今日の昼を乗り切れる額ではない。セイバーのお小遣いは毎月渡される、そして今日は月の最終日、セイバーはペース配分を間違えたのである。
当然、士郎に言えばお昼代くらいは追加で出してくれるだろう。だがそれを他の面々に知られれば…
「セイバーさん少しは抑えないと駄目ですよ」
「何もしてない身でいい身分ですね。少しは自分で働いてみたらどうですか?」
「セイバーちゃんは食いしん坊だから仕方ないのかなー。士郎、私にも何かちょうだーい!」
などなどこの家の面々からの言葉がささる。
「それは避けねばなりません」
桜や大河はともかく同じくサーヴァントの身でありバイトを始めたライダーに言われるのは我慢ならないのだ。
自分でどうにかするしかない、そんな思いで立ち上がり玄関に向かい外に出る。
外に出たからといって当然あてなどない。とりあえず飲食店の揃っている商店街へと足を向け進んでいくが、そもそもお金がないのでどうしようもない。となると、知り合いを頼るというのが残された選択肢だ。だが現世におけるセイバーの知り合いとなると基本的に聖杯戦争の関係者、つまりマスターとサーヴァントである。セイバーは脳内で自分が他のサーヴァントに頼ったさいの状況を想像する……
「なんだテメェの食い扶持も稼げねぇのかオメェは。情けねェなオイ!」
「ほぉ、騎士王様ともあろう者が空腹でさまよっているとは、呆れたものだな本格的に腹ペコ王に改名してはどうかな」
「フハハハハハハハ!どうしたセイバー!この我を食事に誘うためにそんなにも腹を空かして来たのか?フッ、お可愛い奴め」
青、赤、金などなど思いつくだけでも散々である。
「くっ、そのような屈辱を受けるわけには」
頭を振り、脳内に現れた三人を
まず扉だけがその場にあるという不思議に状態だ、あるはずの建物がないのである。そしてもう一つは……
(僅かにですが魔力を感じますね。あきらかに異常です)
しかし、調べた結果それ以外には変わったところはない。鍵がかかっている様子でもなく開けようと思えば簡単に開けることができるのだ。
「入って見ないことにはこれ以上のことはわかりませんね」
しばし考え、セイバーは入ることを決意した。普段ならもう少し考えそうなところだが現在のセイバーは空腹で思考が鈍っていると言わざるをえない。
「危険な気配は感じません。ええ、私の直感がそう告げています!」
決意して、セイバーは扉を開ける。
チリンチリン
扉を開けたことで内側に仕掛けられていた鐘の音が響くと同時に扉の中から声が聞こえてきた。
「いらっしゃい…おや、お客さんは始めてみる顔ですね。というかその服装はこっちのじゃ…」
声の主は少々困惑した顔をした中年の男だった。
「貴方はいったい……いえそれより此処はいったいどこなのでしょうか?」
対するセイバーもまた魔力を帯びた扉の先が普通の料理屋で出てきた人物が明らかにコックのような服装をしていることに困惑していた。
店主の方はセイバーの反応に納得した様子で口を開いた。
「えと、ここはねこやっていうしがない洋食、料理屋ですよ」
「料理屋ですか?まあ確かに見た目通りではありますが何故こんなところに?」
「いやお客さんがどの『扉』を使って来たのかは知りませんがどうにもいろんなとこに勝手に現れるみたいなんですよ」
男は慣れたものなのか『扉』の仕組みについて簡単に語ってくれた。
目の前の男がこの店の店主であり、この扉は七日に一度だけ異世界に通じるのだという。
「不思議なこともあるのですね」
「ええまあ。つっても俺も実際にはよくわかってないんですがね」
説明を聞きセイバーは改めて店内を見渡してみる。
正直、あまり変わったところは見当たらない。マスターであるシロウに何度か連れていってもらった店にも似た雰囲気の店があったように思うというのがセイバーの抱いた感想である。とても異世界のようには見えない。
「まあ、せっかくなんて何か食べていきませんか?」
「そうですね。ではいただきます」
店主からの言葉で自分の状態、つまり空腹感を思い出し反射的に答えてしまったセイバーだがすぐに自分が何故途方に暮れていたのかを思い出す。
「良かった、それじゃメニューを……」
「すみません、店主!」
「どうしました?」
「申し訳ないのですが私は今お金がありません」
お金がない。自分が食事を取れない致命的な理由を店主に打ち明ける。
「ああ、そういう事でしたら大丈夫ですよ。うちは始めてのお客さんにはツケでもオッケーにしてるんで」
「そうなのですか!?」
「ええ。うちを料理屋だと知らずに入ってくる人も結構いるんで」
驚くセイバーに店主はツケでも良い理由を語った。
「なんで初回はまた次来ることがあればでいいですよ。メニュー持ってきますね。お客さん、サマナーク語は読めますかね?」
「さまなーく語?」
ツケで良いという店主の言葉に感動すら覚えていたセイバーは店主の口から突如出てきた知らない言葉に困惑した。
「あれサマナーク語は読めませんか、まいったな一応いくつかメニューを用意してるんでどこか読める言葉はありますかね?」
「では日本語でお願いします」
「え?」
「なにか?」
「お客さん、こっちの人ですか?」
「こっちとは?」
「いや、お客さん日本の方ですか?」
「そうですね、私は日本人ではありませんが今は日本に住んでいますよ」
セイバーはさも当然ですという顔で告げるが店主としては驚愕の事実である。七日に一度の土曜の日には店の入り口は異世界に繋がるはずが自分の住んでいる日本に扉が現れたとなるとかなりのイレギュラーである。
「ちなみにお客さんの住んでる場所はどこです?」
「日本の冬木という場所ですが」
もしかしたら普通に店の入り口から入って来たのかもしれないと地名を聞いてみるも知らない地名である。少なくとも自分が店を構えている場所の近辺ではないとますます首をひねることになる。
「とりあえずメニューをどうぞ」
「ありがとうございます!」
考えた結果、店主はとりあえず目の前のお客に料理を出すことにした、もともと詳しい原理など理解していないため今この場で自分が考えたところで答えは出ないと諦めたとも言える。
(今度、ばあちゃんにでも聞いてみるか)
ひとまずこの場所で自分のするべきことは来てくれたお客さんに料理を出すことだと気持ちを切り替える。
「お客さん決まりましたか?」
「少し待っていただきたい」
メニューを渡されたセイバーはというとメニューに書かれた数多くの料理名に目移りしていた。
「なんでしたら今日のところは日替わり定食にしときますか?」
「……そうですね。でしたらそれでお願いします」
空腹感も限界に近いのでセイバーは店主の言葉に頷くことにした。
「はいよ。すぐに作るんで少々お待ちを」
店主はお水とおしぼりをテーブルに置いて、厨房に入っていった。
ここからはいつも通りの仕事である。たとえお客がどこの世界の人だろうが人以外でも関係はない。店主は己が作れる最高の料理をお客に出すだけである。迷いのない流れるような作業で料理を作り上げていく。
しばらくして、調理を終えた店主はセイバーの待つ席に皿を並べていく。
「おお、これが本日の日替わり定食ですか?」
店主が並べたシンプルながら丁寧に盛り付けられた料理はセイバーの期待値を大きく高めた。
「はい、本日の日替わり定食のメンチカツ定食です」
メンチカツ、その料理自体は珍しいものではない。商店街の揚げ物店などでは定番のメニューだ。
「付け合わせはライスで良かったですかね?パンもありますが?」
「いえ、ライスで問題ありません」
「そりゃ良かった。スープはお代わり自由なんでいつでもどうぞ。食べ方は……問題ないですね」
異世界のお客にはこちら側の料理の食べ方を知らない者がほとんどなためいつもの要領て説明しようとしたが目の前の女性は日本から来たということを思い出し必要ないと判断した。
「ええ、ありがとうございます」
ごゆっくりどうぞ、と言葉を残したのち店主は厨房の奥に引っ込む。
セイバーもまたいただきます、と手を合わせ目の前に出されたメンチカツ定食にとりかかる。現代の食事にも慣れたものソースをかけナイフとフォークを使いメンチカツを一口大に切り分ける。
ナイフはサクリという音と共にすんなり入り切り口から肉汁が溢れ出す。揚げたてならではともいえる光景にごくりと唾を飲み込み口に運ぶ。
「これは……」
衣の軽い食感のあとに口の中に広がる肉汁、ソースとの相性も抜群である。見事な料理です、呟き一口また一口と食べ進めていく。レモンをかけるとまたひとつアクセントが加わりセイバーは手を止めることなく無言で食べ進めた。ライス、スープまでしっかりと食べ終わり最後にごちそうさまでした、と手を合わせ食事を終えた。
「お口にはあったみたいでしたがどうでしたかね?」
「見事な腕前でした。とても満足です」
食事を終えたところで厨房から出てきた店主の問いにセイバーは素直な感想を伝えた。店主も言葉は少なくとも満足そうな顔のセイバーを見て安心した。
「そいつはよかったです」
「本当にありがとうございました。おかげで今日をのりきれます」
店主はセイバーの大袈裟なお礼に僅かに笑いをこぼす。
「それでは私はそろそろ戻りますが、代金の方は本当に大丈夫ですか?……いえ、お金はないのですが。どうやら私が来たのはイレギュラーな様子でしたので」
「かまいませんよ。あんだけ美味そうに食べてくれたんなら料理人冥利につきるってもんですよ。代金はまた縁があった時に」
「わかりました。貴方に感謝を。この恩は忘れません、扉のあった場所には必ずまた足を運んでみます」
「是非。それと最初に言ったようにおそらく扉は異世界に繋がるのと同じように七日に一度現れると思うんで、なんでまたその時に試してみてください」
店主の言葉に必ずくると応えセイバーは席を立ち扉に向かう。
「またのご来店をお待ちしてます」
店主の言葉を背に扉を開けて外にでる。パタンと、扉が閉じるとまるで最初から何もなかったように扉は消えてしまった。
しかし、セイバーはまたあの店に行けるという予感があった。
「それにしてもあの店主の声はどこかで?」
今更ながらとても身近で聞いたことのあるような声であったと思い出し首をひねりながら
その後、冬木には七日に一度洋食屋のねこやに繋がる扉は出現し続けることになり、セイバーは無事店主にお金を払うことができた。しかし、冬木に現れた扉は最低限の魔力を持ったものしか見ることはできなかった。それでも、セイバーをはじめとした何人かのサーヴァントとマスターが時たま店を訪ねていくそうだ。
アーチャー「セイバー、どうかしたかのかね?」
セイバー「はっ!?その声です!なるほどアーチャーでしたか。口調が違うのでわかりませんでした」
アーチャー「なんの話だ……」
みたいな会話が後日あったとかなかったとか。
いろんな世界に繋がる理由はどっかのうっかり娘が宝石剣の実験に失敗したせいでなんやかんや繋がったみたいな感じで。
異世界食堂の洋食屋ねこやはセイバーさんの世界になく並行世界にある的な感じでお願いします。
次回もまたセイバーさんがどこかの世界におじゃまします