幻想怪奇目録 ー人と天狗の奇妙な関係ー   作:ガーヘル313

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投稿が遅れてしまい大変申し訳ございません。完結はしますので、どうかゆっくりとお待ちください


94話 戦闘

 霊夢は霊力を練り上げながら、無差別に攻撃を続けるタタラを注意深く観察していた。

 

人によってある程度の法則性のある弾幕は、パターンを記憶できれば回避は容易い。実際、タタラの単調で変化に乏しい弾幕は記憶も容易で、1回も見れば最適な攻略法が頭に浮かんだ。

 

 襲いかかる光球の群れを紙一重でかわし、自身に追従する陰陽玉から、至近距離で光弾を浴びせる。しかし、彼女の放った攻撃はタタラの手前で光と威力を急速に弱めて失活してしまい、風前の灯火の如く虚しく消えていく。

 

 勝負が始まって数回同じ事の繰り返しをしているが、いくら此方が仕掛けても、タタラを取り巻く緑色の霧のような物に阻まれ、痛手を負わせられない。

紫の情報では、剣等の実体がある攻撃でなければ通用しないらしいが、そもそも手元にあるのはお清めした針程度で、考えて使わなければあっという間に手も足も出なくなる為、隙を作るにも弾幕に頼らざるを得ないのだ。

 

 霊夢は欠けた月の浮かぶ方角を見上げ、溜め息をつく。

 

 

(頼みの綱があんなんじゃ、どうしようもないわね)

 

 サンカが戻ってくるまで時間を稼げれば良いと紫から言われているが、あの様子では命を繋ぎとめるまで間に合わないだろう。行き先から考えるにおよそ何をする気なのか見当はつくが、もし上手くいかなかったら、あれをどうすれば良いのだろうか。

 

 

(そろそろ来るかしら)

 

 ヒキガエルの鳴き声に似た音を聞き取ると、赤く発光する光球を平坦に敷き詰めて壁を作り、防御の姿勢をとる。直後に爆発音が連続して発生し、壁に少しだけヒビが入った。持ち応えはしたが、次の攻撃は防ぎきれるだろうか。

 

 

「まったく、よくもあんなのを幻想郷に入れてくれたわね。鬱陶しいったらありゃしないわ」

 

 愚痴を言いつつ大幣で肩を叩きながら待ち受けていると、背後に殺気を感じて回避を行いつつ、大幣で急所を防御する。

 

 

「スペルカード、夢想ー」

 

 スペルを宣言し、背後をとった者へ弾幕を叩き込もうとしたが、霊夢は途中で攻撃を止めた。殺気を向けてきた相手は人型を逸脱した怪物ではなく、ミニ八卦炉を構え、血走った目で睨みつける友人だったのだ。

 

 

「魔理沙!?」

 

 腕を蹴り上げると、八卦炉から極大射程のレーザーが打ち出される。頭上を通り過ぎた光の柱は土を巻き上げ、砕けた石や土が顔に当たって頬を切った。魔理沙はミニ八卦炉を投げ捨て、霊夢に襲い掛かる。

 

 

「ふざけてる場合なの!?ちゃんと相手を見なさい!」

 

 攻撃を軽く往なすと、ヨタヨタと足をもたつかせながら倒れた。霊夢が顔を覗き込むと、彼女は酩酊しているのか焦点の定まらぬ目をしており、起き上がりながら再度掴みかかって来た。

 

 

「いい加減にしなさい!」

 

 明らかに様子がおかしいが、歯向かうなら容赦はしない。印を結んでから大幣で顔を引っ叩き、怯んでいる隙に護符を押し付けて自由を奪い、邪魔にならない場所へ転がした。緑色の粘着物が撒き散らされる。

 

 改めて境内の方を見る。幸いにも効力を保っているらしく、弾幕をしっかり弾いて天狗達や境内を守っていた。

 一安心ではあるが、勝負が長引けば長引くほど効力を失う代物なのであまり呑気にしていられない。手早くカタを付けなければいけないだろう。

 

 

「やるしかないわね・・・スペルカード、結界・光と闇の網目」

 

 見かねた紫がスペルを唱えると、現れた大玉の光球から光線を放ち、タタラの動きを阻害させる。そこへ小さな弾幕をバラまいて薙ぎ払うが、やはり微塵も利いていない。しかしながら、自由に動けないのは霊夢にとって好機だ。

 

 針を投擲する。針は額の真ん中を正確に捉え、風切り音を立てて飛翔していく。

 

 

『グゲッ』

 

 奇声と共に鈍い音を立てて見事命中した。ぶつけた箇所は粉々になっており、頭からは血ではなく悪臭を放つ液体を流し、心なしか頭蓋が変形したようにも見えた。物理攻撃はかなり効果的なのだろう。

 

 霊夢はタタラの殺気が増幅したのを感じ、再度針を投擲しようと袖の中に手を入れる。

 

 

『・・・冥獄・明星虚空』

 

 閃光。直後に鈍い痛みが駆け巡り、紫共々鳥居まで弾かれたように飛ばされる。

 

 霊夢は結界に焼かれる前に能力を使用して空へと上昇し、紫は隙間を開いて逃げ込んだ。タタラは暴れ狂う鼠花火のように、四方八方に向かって弾幕を乱発する。

 

 

「くっ!」

 

 濁流のように滅茶苦茶に襲い掛かる攻撃の中、改めて針を投げて攻撃する。だが、その針は割って入った魔理沙に遮られ、彼女の胸に深々と突き刺さった。

 

 確かに動きは封じたはず-霊夢が面食らうと、投げつけられたように魔理沙が不自然な姿勢で体当たりしてきた。同時に焦げ臭い臭気が鼻孔に流れ込む。

 

 

「まさかアンタ・・・スペルカード!夢想転生!」

 

 諸共弾幕を浴びせるつもりだと気づき、彼女を蹴り飛ばして射線から排除し、僅差でスペルを発動した。宙に浮いた状態の彼女には弾幕は直撃せず、まるで透過するような挙動を見せており、どれほど強大な力であっても、彼女の能力の前には無意味に等しいのだと証明しているようだった。

 

 あらゆる物から宙に浮く。それは正に、霊夢の真骨頂なのである。

 

「アイツに何をしたの?答えによってはタダじゃおかないわ」

『ヒッ・・・ヒヒ・・・答える義務は-』

 

 タタラの姿が忽然と消える。攻撃が効かない事に恐れをなして逃げたのか?霊夢が肩の力を抜こうとしたその時、既にタタラは次の行動へと移っていた。

 

 

『スペルカード。冥符・インドラの矢』

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