2人の笑顔は夕日に輝く   作:ハマの珍人

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 プロローグの時点でお気に入り登録していただいた方。ありがとうございます。
 作者はバンドリ、ガルパはまだガチ、と呼べるほどではなく、第1章のイベントコミュもほとんど見てない状態です。
 なので、ここおかしいぞ。ここはこんな設定じゃないっけというところがあれば教えていただければ幸いです。
また、コミュを見直しながら書いたりするので、遅拙になる場合があります。すみません。


第1話

「これにて第○回 羽丘学園入学式を終了します。このあとは――」

 

 ようやく入学式が終わり、ふぅっとため息とともに脱力する。別に緊張することはないとは思うんだけど、こういった式典とかは何かとあがってしまう。

しかし――

 

(本当に男子生徒少ないのな)

 

 羽丘学園。もともとは羽丘女学園という名で、この地域有数の進学校であり、名前の通り女子高だった。

 それが経営方針の偏光なのか、今年度より共学化を図り男子生徒の受け入れも開始したのだが――

 

(俺含めて5人しかいないね)

 

 元女子高というのもあって気後れする部分があるのだろう。男としては憧れはあっても、自分1人だけかもしれないと考えると入学まではいかなかったのだろう。

 

(まぁ、1人だったとしても通うつもりだったしな)

 

 目的のために羽丘に来たわけだから、たとえ男子生徒が俺1人でも気にはしなかったけど、同じ境遇の人間がいるならありがたいことだ。

 もっとも、全員クラスがバラバラなのはちょっと……と思わなくもないけれど。

 

「っと、移動しなきゃ」

 

 物思いに耽っていたら、新入生の大半が移動してた。

たしかこのあと各教室に行ってオリエンテーションみたいなことをするんだっけ。

 

「クラスは……A組だっけか」

 

 立ち上がり、これから1年を過ごすことになる教室へ――

 

 ドーン!

 

「のわっ!?」

 

 急に後ろから衝撃がきた。驚きの声が漏れるが、体勢を崩すことなくなんとか踏ん張る。

 

「ゆーくん見~っけた!」ギュッ

 

 この学校で俺をそんな風に親しみを込めて呼ぶ人は1人しかいない。

 

「日菜ね……氷川先輩」

 

「ゆーくん。入学おめでとう!」

 

 振り返れば満面の笑みで喜んでくれるのは1人の女生徒。俺と同じ、アイスグリーンの髪を肩口ぐらいに切りそろえられ、毛先を三つ編みにしている。ややつり目のその目はまるで好奇心旺盛な猫を思わせるように爛々とかがやいている。彼女は俺の下の姉、氷川日菜。

 

「でも、その呼び方はるん♪ ってこないなぁ」

 

 一転、不満を露わにする。

 

「いや、るんってなんですか」

 

「るん!は るん♪ だよ」

 

 いつものことながら、その独特な表現は人を混乱させることも多々あった。

特に多用されるのがこの『るん♪』であり、テンションが上がった時に使われるのだろう。

 

「いつもみたいに『日菜ねぇ』って呼んでいいんだよ~」

 

「いや、学校ではちょっと……」

 

「あたしは気にしないよ~?」

 

「俺が気にするんです!」

 

 学校でそう呼んだらどんな目で見られるか……

 

「でも、さっき『日菜ねぇ』って言いそうになってたよね?」

 

「うぐっ」

 

 バレてた。どうしても人間、咄嗟の時には素が出てしまうようだ。反省反省。

 

「姉弟なのはたしかですが、これからは先輩後輩の関係でもあるわけですし、『親しきと仲にも礼儀あり』ともいいますしね」

 

 そもそも男ってだけで注目されそうなのに、『日菜ねぇ』、『ゆーくん』と呼び合ってたらなおさら注目を集めかねない。

 日菜ねぇが俺を『ゆーくん』と呼ぶのは止められないだろう。止められたなら小学校高学年の時点で止められただろうし。

 でも、俺が『日菜ねぇ』と呼ぶのは断固拒否しなければいけない。

 

 

「でもさ、ゆーくんも『氷川』だし、おかしくない?」

 

「……確かに」ハッ

 

 これが同じ名字でも身内でなければ問題はないだろう。でも身内で名字+先輩は他人行儀過ぎる気がする。

日菜ねぇ風に言えば、るん♪ としないのも頷ける。

 

「だから~、日菜ねぇでいいよね?」

 

「それは……」

 

「ね?」ズイッ

 

 目をキラキラさせながら一歩近づいてくる日菜ねぇ。

この目には弱いんだ。昔からこの目で見つめられると選択肢が無くなった気がして、気づいたら日菜ねぇの言うとおりになってしまってることがある。

 

(だけど……踏ん張れ……俺)

 

 逆境の中、いい策がないか考える。上の姉みたいに秀才ではないけど、日菜ねぇみたいに天才でもないけど、確かに俺にも氷川家のDNAが受け継がれているはずなんだ。

 この土壇場で思いつく最良の一手……。

 

「ひ……い」

 

「ん~?」

 

「日菜先輩……でダメですか?」モジモジ

 

「っ!!」ズッキューン

 

 どうしても人前で『日菜ねぇ』と呼ぶのが恥ずかしい俺が何とか考え、たどり着いたのはこの呼び方。

 でも、呼んだ途端に、日菜ねぇは顔を俯かせてしまった。

 

「日菜……先輩?」

 

「いい……」ガシッ

 

 日菜ねぇが両手で俺の肩を掴み――

 

「すごくいい! るるるるるん♪ってきた!」

 

「えっ……」

 

 思いのほか、日菜ねぇには好評だったようで、『日菜先輩』と呼ぶことで落ち着いた。

 

 この時は気づかなかったが、右手で左肘を抑え、目線を斜め下に下げ、さらに顔を赤らめていたらしい。

 変なところで変な才能が芽生えてしまったようだ。

 

 

「ところで、日菜先輩はなんでいるんですか?」

 

 入学式である今日は在校生は休みだったはず……

 

「今日は式の片づけのために来たんだよ」

 

「あ、そうなん……ですね」

 

 そういえば、受付に座ってた人も先輩だったっけ。

じゃあ日菜ねぇがいてもおかしくはないのか。

 

「ところでゆーくんは何組なの?」

 

「俺はA組……あ! 忘れてた!!」

 

 オリエンテーションがあるのに日菜ねぇと話していて忘れていた。周り見渡すと新入生は1人もいなくなってるし……

 

「日菜~。何やってるの?」

 

「その子は?」

 

 と、このタイミングで日菜ねぇの知り合いだろう。先輩が2人やって来た。

 

「あたしの弟のゆーくんだよ」

 

 いや、それじゃあ日菜ねぇの弟ってことしか伝わってないからね!?

 

「はじめまして氷川夕輝です。姉がいつもお世話になってます」

 

 最低限の自己紹介をして頭を下げる。

 

「お、日菜よりしっかりしてるね」

 

「でしょ? あたしの自慢の弟だからね」

 

「いや、あんた貶されてるんだけど……」

 

 本当はちゃんと挨拶をするべきなんだろうけど……

 

「今日からは自分もお世話になります! すみませんが、教室へ行かなくてはいけないので失礼します!」

 

 一礼して急いで教室へむかう。

 

 

 教室へ戻るとほとんどの席が埋まっていた。先生は……まだ来てないようだ。

それは良かったんだけど……。

 

「――」

 

 教室中の視線が俺に向けられる。紅一点ならぬ黒一点だしね。注目されることは覚悟してたよ。それに、日菜ねぇと話してたもんだから多少時間が経ってしまっている。

 1番最初とか、1番人が多いタイミングで教室へ来ていればそれほど気にしなくとも良かったのだろう。

 ここで何かひと言でも言える胆力とか知らない人ともさらっと仲良くなれるほどのコミュ力があればいいんだろうけど、あいにくとそんなものは持ち合わせていない。日菜ねぇが産まれた時に全部持っていってしまったのだろう。少しくらいあとに産まれる人のために残しておいてくれてもよかったのに。

 

 さらに問題としては、空いている席が2つあることだろう。1つだけなら愛想笑いを浮かべ、座る際に前後左右の人に『よろしく』と挨拶すればいい。

ただ、2つ空いていると、座った結果、『そこ、私の席なんだけど』と言われて慌ただしく避けるという気まずいイベントがおこりかねない。

 

 前に新幹線に乗ったときにそんなイベントが発生してしまい、テンパって新幹線を降りてしまったことがあったため、少々トラウマなんだよね。

 

 閑話休題

 

 誰かに聞けばいいんだけど、黒一点。加えて羽丘は中等部からそのままエスカレーター式に上がってくる内部入学が大半のため、完全にアウェーな空気なのだ。

 

(どっちだ、どっちが俺の席なんだ……)

 

 好奇の視線に耐えかねながらも、入口で途方に暮れていると――

 

「早く入りなよ」

 

「あ、ごめん」

 

 後ろから声をかけられ、謝りながら振り向くと――

黒髪ショートの女生徒が不満げにこちらを見ていた。

特筆すべきは――

 

(メッシュ入ってらっしゃる)

 

 驚きはしたものの、邪魔にならないように横にずれると、彼女はスタスタと自分の席へ向かった。

 

(あ、彼女が隣の席なのね)

 

 ともあれ、自分の席が分かったことで問題も無事に解決。無事に席について、当初の予定通り前後左右に挨拶をした。

 左隣に座る彼女もぶっきらぼうながらも挨拶を返してくれた。どこか自分の姉に似ていると思ったのは内緒だ。

 

 

 風呂から上がり自室に戻る前に、ある1室の前で立ち止まる。

 

(ギターの音が聞こえないってことは……終わったかな?)

 

 コンコンコン

 

 寝ている可能性も考慮して控えめにノックする。

 

()()()俺だけど……」

 

「……入って」

 

 許可をもらい部屋に入り、ドアを閉める。

部屋の主は勉強中だったのだろう。机に座っていたが、椅子を動かし、こちらに向き直る。

 

 俺や日菜ねぇと同じくアイスグリーンの髪を伸ばし、目は日菜ねぇとは違い、俺と同じくたれ目。ただ、与える印象は日菜ねぇとは違い、クールで出来る女性という感じ。上の姉、氷川紗夜。

 

「勉強中だったかな? ごめんね」

 

「構わないわ。ちょうど切りのいいところまで終わったし。それで?」

 

「うん。今日も……いいかな?」

 

「約束だものね。とりあえず、座りなさい」

 

 姉に促され、床に座る。

 

「ベッドでも構わないのよ?」

 

「こっちでいいや」

 

「そう……」

 

 俺と紗夜姉さんの中での夜の約束。それは――

 

「1曲でいいのかしら?」

 

「ワンフレーズでもいいよ」

 

 紗夜姉さんの演奏を聴かせてもらうこと。

 

 

 いつ頃だっただろうか、紗夜姉さんが部屋でギターを練習しているところを見てしまった。

あの時の紗夜姉さんのばつの悪そうな顔は今でも覚えている。ひと言で言えばいたずらが見つかった子どものようだった。

紗夜姉さんとギターってあまりイメージが湧かなかったけれど、新しく見つけた拠り所だったのだろう。日菜ねぇはおろか、誰にも他言しないことを誓った。

その代わりと言ってはなんだけど、夜に演奏を聴かせてほしいと頼んだのだった。

 

 

 紗夜姉さんの演奏が終わり、控えめながらも拍手した。

 

「姉さん。本当に上手くなったね」

 

「まだよ。こんなもので満足してはいられない。もっともっと練習しなくては」

 

 姉さんの頑張りを知っている俺からしたら、十分だと思うけれど、紗夜姉さんからしたらまだまだらしい。

無理に止めるのもよくないし、そもそもそんな権利は俺にはない。だから――

 

ギュッ

 

「姉さんの頑張りは俺が1番知ってる。でも、時には少し休むことも大事だからね?」ナデナデ

 

「夕輝……うん……」

 

 これまで頑張って頑張って、頑張り続けた紗夜姉さんを労い、誉めて、肯定してあげること。それが俺に出来る唯一のことだから。

 

「夕輝。改めて入学おめでとう」

 

「ありがとう。姉さん」

 

 

 紗夜姉さんが落ち着いたところで、俺は自分の部屋に戻った。




 一応夕輝くんの設定的ななにか(仮)

身長   165㎝

誕生日  9月14日

髪の長さ 日菜よりちょっと短め。

目    たれ目

体格   華奢で時々女の子に間違えられる。

顔つき  いわゆる女顔

ポピパ、ハロハピ編も書いた方がいい?

  • 許す! 書くことを許す!
  • ただでさえ話進まんのだからやめーや!!
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