2人の笑顔は夕日に輝く   作:ハマの珍人

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 FILM LIVE、見てきました。
ストーリー形式じゃなくて、本当にライブ形式だったんですね。

 曲以外の音もこだわっててビックリしました。
劇中歌コレクションも買ったんですが、全曲が1番のみ。
 ただ、ライブ中にこんなやり取りがあったんだ~っていうミニドラマ的なのがありました。
 ハロハピとRoseliaは必聴ですね。


第27話

「ここよ」

 

 湊先輩に手を引かれること数十分。ようやく目的地に到着したのか無事に解放された。

 

(おかしい。同い年くらいの女性に手を引かれるって、もっとドキドキするものだと思ってたのに……)

 

 美人の類に入る湊先輩に手を引かれて一緒に走る。字面で見ればリア充爆発しろ案件なんだろうけどそんな甘酸っぱいものではなかった。

 場所も目的も告げられずに見た目からは想像出来ない力で引かれながらひたすら走る。目的地が分からないから曲がる方向も分からず、時には遠心力で振り回され、時には慣性の法則で湊先輩にぶつかりそうになる。

 

(このドキドキは青春のときめきなんかじゃなくて、命の危険によるドキドキ……)

 

「疲れた顔してるけど、大丈夫かしら?」

 

「アー、ダイジョウブデス。モンダイナイデス」

 

 心配してくれるのは嬉しい。もっとも、あなたが元凶でなければだけど……

 

「そう。立ち話もなんだし、入りましょう」

 

「それはいいんですけど……ここどこなんです?」

 

 先程の話を聞くために、どこかの喫茶店とかにでも引っ張られるのかと思ったが、どこからどう見ても閑静な住宅街だ。

そろそろ説明してほしい。

 

「ここは私の家よ」

 

(へぇ~、湊のいーー)

 

「えぇー!!?」

 

 表情も変えずにさらっというものだから普通に受け入れそうになった。叫び声をあげてしまった俺は悪くないよね?

 

「お昼時とはいえ、大声をあげるのは勘弁してもらいたいのだけど……」

 

 眉をひそめて不満を露にする湊先輩だけど、告知無しでご自宅に連れてこられたらこうなると思います。

 

「いえ、なんの情報もなしの状態だとこうなりますって」

 

「ちなみに隣はリサの家よ」

 

「そうじゃなくて……」

 

 確かに情報はほしいとは言ったけど、そういう情報じゃなくて……

 

「いいから入るわよ」

 

 質問禁止、拒否権なし、ごちゃごちゃ言わずに入れ……言葉以上に黄褐色の目が語っていた。

 

「ただいま」

 

 こちらを一瞥してから何事もなかったかのようにご自宅に入っていった。

 

「お、お邪魔します」

 

 断りを入れて玄関に入る。すでに俺のためにだろうか、スリッパが一足準備されていた。

 

「友希那~? 帰ったの~?」

 

 靴を揃えてスリッパに履き替えたタイミングで奥から声が聞こえた。続いてパタパタとスリッパを鳴らしながら足音が近づいてきた。

 

「おかえりなさい」

 

 現れたのは湊先輩によく似た女性。違うのは目の輝き具合と表情の柔らかさだろうか。

 

(お姉さん……かな?)

 

 

「あら? あら!?」

 

 

 こちらに気づいたのか、ズズイっと近づいてきた。

 

「こ、こんにちは」

 

「こんにちは♪ 友希那のお友達?」

 

 湊先輩と瓜二つな見た目でこんなに明るいと違和感を覚える。

 

(紗夜姉さんと日菜ねぇを初めてみる人もこんな気持ちなのかな……)

 

 

「氷川夕輝、学校の後輩よ」

 

「はじめまして、氷川夕輝です! いつもみな、友希那先輩にはお世話になってます」

 

 緊張してしまい、声が裏返ってしまった。

ついでに言えば、日頃『湊先輩』と呼んでいるため『友希那先輩』と呼ぶと少しむず痒い感じがした。

 

「はじめまして♪ 友希那の母です。娘と仲良くしてくれてるみたいで嬉しいわ」

 

「お母さん!?」

 

「別にあなたのお母さんじゃないのだけれど……」

 

 俺の驚きに眉をひそめて苦言を呈する湊先輩。

だけど、そうじゃなくて……

 

「てっきりお姉さんかと……」

 

「あら♪ お世辞でも嬉しいわ!」

 

 喜びを露にするお母さんを見ると、本当に湊先輩と親子なのか、と思ってしまう。

当の湊先輩は額を押さえてため息ついてるし。

 

「母さん、この辺でいいかしら? やることがあるのだけれど……」

 

「は~い♪ じゃあ、お昼出来たら呼ぶわね」

 

 そう言って湊先輩は廊下を進んでいった。俺も失礼します、とお母さんに頭を下げて湊先輩の後を追った。

 

 

「明るいお母さんですね」

 

「時々子供っぽいところもあるけどね」

 

「なるほど、だから湊先輩はこうも落ち着いているんですね?」

 

「……どういう意味かしら?」

 

 はた、と歩みを止めてこちらを一瞥する湊先輩。その視線はまさに氷の眼差しだった。

 

「いえ、深い意味はないです!」

 

「……そう」

 

 慌てて取り繕うと、興味を無くしたのか再び歩き出す。

 

「えっと……今度はどちらに?」

 

「ここよ」

 

 突き当たりのドアを開くとーー

 

「ここって?」

 

 目の前にはいくつかのギターやベース、ドラムにキーボード。スピーカーやエフェクターの類が置いてあった。

 

「スタジオよ」

 

「スタジオ!?」

 

 湊先輩の部屋に連れていかれるのかと思ったら、予想の斜め上を行った。

 

(自宅にスタジオって……そう言えば湊先輩のお父さんはミュージシャンって言ってたし可笑しくはないのかな?)

 

「夕輝、あなたはキーボード弾けるのよね?」

 

 ここに来てようやく本題に入る。……正直お腹いっぱいなんだけど。

 

「いえ、弾けませんよ」

 

「嘘。先ほど弾いているのを見たわ」

 

 腕を組み、俺の反論をバッサリ切り捨てる湊先輩はさながら名探偵のようだ。

 

「弾くどころか、スコアすら読めません。俺の実力で弾ける曲は……『カエルの合唱』、くらいですかね」

 

 もう少し頑張れば『ネコ踏んじゃった』も弾けますけどね、と笑う。

 

「じゃあ、さっきのは何?」

 

 何? って聞かれて説明は出来るんだけど、問題は信じてもらえるか、なんだよなぁ。

 

「弾いている人のマネをした、って言ったら信じます?」

 

「にわかには信じがたいわね」

 

 湊先輩の反応は大体予想通りだったけど、バッサリとは否定しなかっただけいいか。

 

「じゃあ、例えば……」

 

 キーボードの前に立ち、ポーンと鍵盤を1つ弾いてから指を動かし始める。

 

『BLACK SHOUT』のサビの部分。弾き始めた途端に湊先輩が息を飲んだ音が聞こえた。

 

 

 

「どう見えました?」

 

 湊先輩からの答えを予想しつつも訊ねる。きっと今の俺の顔はモカみたいにニヤついてるんだろうな。

 

「あなたが弾いてるはずなのに、燐子が弾いてるように見えたわ」

 

 自分でいいながらもどこか信じられない、と行った様子の湊先輩。

 

「燐子さんの指の動かし方、テンポ、体の揺らし具合、呼吸のタイミング……全てを『マネした』結果です」

 

「最初は音階も分からなくて、燐子さんが弾いた鍵盤を覚えて同じ鍵盤を弾く、ということを念頭に置いてましたけどね」

 

 

 燐子さんが加入する前、まだ『Roselia』が名前もなかった頃、動画に合わせてピアノを弾いていたのを何度も見ていたから自然と覚えた。

 

「他の曲も弾けたりするのかしら?」

 

 湊先輩の疑問はもっともだ。

 

「少なくとも、『BLACK SHOUT』と『RE :birth day』はそれなりに……といったところです」

 

 燐子さんが弾いてるのを見て覚えた2曲。つぐが弾いていたのはもう少し見れば覚えられるかな。

 

「そう……ちなみにキーボード以外は弾けるのかしら?」

 

「どうでしょう?」

 

 ギターやベースはコードを覚えなければいけないし、ドラムはただ叩けばいいわけでもないし……

 

「試してみる?」

 

「試して……って」

 

「楽器はあるわけだし、なんなら私が教えるわよ?」

 

 そう言いながら近くのギターを手に取る湊先輩。

 

「えっ!? 湊先輩、楽器出来るんですか!?」

 

「あなた……誰がRoseliaの作曲してると思ってるのよ……」

 

 ジト目でこちらを見たあと、ストラップを掛けてかき鳴らす。

 

「」

 

 その技術の高さに閉口してしまう。あいにくと知識がないものの、すごいことが分かる。

 

「ここは防音だし、気にすることはないわ。やってみましょう」

 

 結局押し切られる形で湊先輩のギターレッスンを受けることになった。

 

 

 

 

「ねね、学校での友希那ってどんな感じなの?」

 

 湊先輩のお母さんに呼ばれ、ダイニングでお昼をご馳走になっている。

話の内容は学校での湊先輩の様子。

 

「友希那先輩は最初、近寄りがたい人かなぁと思ったんですけど、表に出すのが苦手なだけで優しい人なんだなって思います!」

 

「そうなのよね~。そういうところは父親に似ちゃったみたいで~。友達もリサちゃんぐらいしかいなくて~……リサちゃんには本当に感謝してるわ~」

 

「母さん、余計なことは言わなくてもいいの」

 

 湊先輩が止めようとするものの、その程度じゃ止まらない。

 

「それにしても、友希那をこんなに慕ってくれる子がいるとは思わなかったわ。こんな娘だけど、これからもお願いね?」

 

「いえ、こちらこそよろしくお願いします!」

 

 湊先輩は『好きにして』と言わんばかりに盛大にため息をついた。

 

 

「悪かったわね。連れてきてしまって」

 

「いえ、ただ次からは目的地を先に言っていただければ幸いです」

 

 珍しくしおらしい湊先輩にこれ幸いと小言をいうと、頬を膨らませながらも

 

「善処するわ」

 

 と返ってきた。

正直なところ、そこは善処ではなくてやっていただきたいところだ。

 

「じゃあ、湊先輩、また学校でーー」

 

「待ちなさい」

 

 帰ろうとするタイミングで急に呼び止められた。

 

「『友希那』でいいわ。あれだけ母さんと話してるときは名前呼びだったのだもの。今さら直すなんて不自然よ」

 

 珍しくも湊先輩からの提案だ。ありがたく受けるとしよう。

 

「じゃあ、友希那先輩。また明日」

 

「えぇ。また明日」

 

 ふんわりと微笑んだ友希那先輩の笑顔に見送られ、湊家をあとにした。

 

 

 side 友希那

 

「いい子よね。夕輝『ちゃん』。あんな後輩大事にしなきゃダメよ? あなたを慕ってくれる子なんてそうそういないだろうし……」

 

 いつの間にか後ろにいた母さんが言った。

私もそう思う。最初の印象こそそんなに良くなかったものの、何かと夕輝は気にかけてくれる。ただーー

 

「夕輝は男の子よ、母さん」

 

「えっ!? 男の子だったの!? 友希那が家に男の子を連れてきた!? キャー、今夜はお赤飯ね!」

 

 1人騒いで家の中に戻ってしまった。

 

(言わなければよかったかしら……)

 

 この後父さんに報告するだろうことを考え、思わずため息をついた。

 

side out

 

 

「あ、今週のジャン○読んでなかった」

 

 友希那先輩の家から帰る途中、ふと週刊誌を読んでなかったことに気付き、最寄りのコンビニに入った。

 

「サンシャイ~ン」

 

 入店を知らせるチャイムと入店にそぐわないあいさつをされた。

いや、サンシャインってなんぞ?

 そう思い、カウンターに目をやるとーー

 

「あ、ゆーくんだ」

 

 見知った白髪にぼーっとした顔のモカが店の制服を来て立っていた。

 

「モカ、何してんの?」

 

「見ての通り、モカちゃんは労働に勤しんでるんですよ~」

 

 だろうね。そうじゃなきゃわざわざ制服着てカウンターの中にいるわけないし。でも、聞きたいことはそうじゃない。

 

「いや、バンドの練習は?」

 

「お~? 今日は休みだよ~」

 

「いや、そんなわけ……」

 

 モカが嘘をついているとは思わないが、ライブハウスでつぐは練習していたわけだしーー

 

「本当は練習だったんだけど、()()()()()()()()って言ったから今日はお休みになったんだよ」

 

「……は?」

 

 モカの発言に俺は頭が回らなかった。

 

ポピパ、ハロハピ編も書いた方がいい?

  • 許す! 書くことを許す!
  • ただでさえ話進まんのだからやめーや!!
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