2人の笑顔は夕日に輝く   作:ハマの珍人

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第31話

「散らかってるけどどーぞ」

 

「お邪魔しま~す」

 

 モカから連絡を受けて、近場で合流し俺の家に行くことになった。いつもなら羽沢珈琲店(つぐの家)に行くところだろうけど、俺に気を遣ったのか、誰にも聞かれたくない話なのか……

 

「適当に座ってて。飲み物持ってくるから」

 

 部屋に案内してから飲み物を取りに台所へ行く。何か茶菓子はあったっけか……

 

「なにしてんの?」

 

 見つけたカン○リーマ○ムとハ○べ○トとミルクティーを持っていくと、モカがネコが伸びをするような姿勢でこちらに背を向けていた。その手はベッドの下を探っていた。

 

「いや~、男の子の部屋と言ったらお決まりかなぁと思って~」

 

「いや、無いから。むしろあったらどうするつもりなのさ」

 

「後学のために~」

 

「んな勉強はいりません!」

 

 おどけてはいるけど、見つけたら見つけたで赤面するんだろうな。

そもそもそんな本を持っていようなら紗夜姉さんからの特別お説教コース行き確定だ。

 それよりーー

 

(その格好、なかなか危ないものがあるんですけど……)

 

 モカ自身気づいているか分からないが、服が捲れ上がり腰の辺りから白い肌が露になっている。ついでにいえばお尻を左右に揺らしているためなおさら目に悪い。いや、目にはいいんだけれど、心臓には悪い。

 

「ところで話ってなぁに?」

 

 えっ、まさかこんなことするためにうちに来た訳じゃないよね? 違うよね? もしそうなら帰るけど……あ、ここ俺んちだ。

 

「あ、そーだった」

 

 よいしょ、と体勢を整えてモカは俺と向かい合う。

 

「実はーー」

 

「んー……」

 

 モカが話を終えて、ミルクティーで喉を潤す。

俺は話を整理しながら思わず唸る。

 

「つまり、蘭はAfterglow(いつもどおり)華道(いえのこと)で板挟みってことか……」

 

 俺の呟きにカップを両手で挟んだまま、モカがコクリと頷く。

そういえば蘭の家は長く続く華道の家元だって前に聞いたっけ。

蘭のお父さんとしては娘には早くに家を継いでほしいのだろう。

それ以外のことかまけてほしくないのが本音なんだろう。

 一方で蘭もそんなお父さんの気持ちを分かっているんだろうけど、バンドも大事なわけでどっちつかずでいるんだろう。

 それをお父さんに『ごっこ遊び』と言われてしまって、4人とバンドをバカにされたようで、ついムキになってしまったんだろう。

 

 

「で、モカ的にはどう思うの?」

 

 カン○リーマ○ムを1つとって、包みを破って口に咥える。

 

「え?」

 

 聞かれるとは思っていなかったのか、モカは目を見開く。

ムグムグと咀嚼して飲み込む。

 

「とりあえず蘭と蘭のお父さんの話、Afterglowが大変だということは分かった。それで、モカの気持ちはどうなの?」

 

「あたしの、気持ち?」

 

「蘭にはバンドを続けてほしいのか、それとも……」

 

 そう言いながら受け皿から個包装のカン○リーマ○ムを二種類、モカの手前に置く。

 

「あたしは、続けてほしい」

 

 モカは赤い包装の方を取った。蘭の一束の髪を象徴するような赤色をーー

 

「他の三人も同じ気持ちだと思うか?」

 

「うん!」

 

 力強くモカは答えた。その目は、その表情はいつものような眠そうな、そして惚けたようなものではなく覚悟を決めたものだった。

 

「ん~……じゃあ俺も覚悟を決めますかね」

 

 正直怖いところはあるけれど、モカが覚悟を決めたなら俺も腹を括りましょう。

 

「何かするの?」

 

 そう不安そうな顔しなさんな。こっちまで尻込みしちゃうでしょうが。

 

「とりあえずモカは他のメンバーと本気で話し合ってきて。蘭に自分の気持ちをぶちまけちゃいな」

 

 巴の受け売りになっちゃうけど、『思っていることはちゃんと言葉にしないと伝わらない』んだ。

その点、モカは空気を読んでしまって言わないことが多い。幼なじみだから~、と遠慮しているのか、言葉にしなくても分かるからなのか……ともあれ、言いたいこと、不満、何でもいいからぶちまけちゃえ! 昨日今日出会った仲じゃないんだ。そのくらいやっても問題ないだろう。

 

「ゆーくんは? どうするの?」

 

「ちょっくらラスボスとね……」

 

「直接対決? 熱い展開?」

 

 何? 少年マンガみたいな手に汗握る展開を期待してるの?

生憎と手に汗どころか、冷や汗かくのは俺だけだぞ?

端から見たらくっそ面白くないから打ち切り確定だな。

 

「なぁに、単なる世間話さ」

 

 縁側で日向ぼっこしながらお茶を飲みつつ、のどかに終わるならなおよし。

 とは言うけれど、まさか剣道、柔道、空手、合気道……合わせて10何段という化け物ではないよね!? 合気道なら必要に駈られて多少の心得はあるけど……ま、まぁ蘭のお父さんは華道の家元だしぃ? さすがに怪我する恐れのある武道をやっているとは思えないし……大丈夫大丈夫。……たぶん、おそらく、maybe……

 

「ところでモカさんや……」

 

 思考の海から戻りモカに目を向けると、カン○リーマ○ムを頬張っていた。なにこの小動物。

 

「ん~……ゴクン……なに~?」

 

「いや、ラスボスのところに行く前に聞きたいことがあるんだけどさ……」

 

 ラスボスの前にフラグイベント……ってわけでもないけど、俺自身清算しなきゃいけないことがある。先にそちらを済ますとしよう。

 

 

 

???side

 

「っと……そろそろ休憩入れな~い?」

 

「そうね……じゃあ10分休憩ね」

 

 いつものスタジオで行われている練習。いつもと違うところがあるとすれば、メンバーが一人足りないこと。

友希那からは今週最初の練習の時に、彼がしばらく来られないことを聞いていた。

 もっとも、『彼』は演奏しないから演奏自体に問題はない。

それでも、あこや燐子はどこか気落ちしているように見える。

友希那も注意はするけれど、いつものように『やる気がないなら帰って!』とまでは言わない。

音合わせになればしっかりとこなす。けれども、いつもなら演奏が終わる度に褒めてくれたり、逆に気になった点を言ってくれる彼がいないだけで少し物寂しく感じてしまう。

 

(馴れ合い……とは言わないけど、飴と鞭ってところかな?)

 

 Roseliaは圧倒的に『鞭』が多い。目指すところが目指すところだし、もともと友希那も紗夜もストイックだ。そこを軋轢が起こらないように上手く緩衝材になっているのがアタシだったり、彼だったりするんだけど……アタシも気が回らない時には彼が上手くとりなしてくれていた。

 

(夕輝がいないだけで、ここまで変わるのかぁ)

 

 なんとも言えない気持ちを水分と共に喉の奥へと押し流す。

 

ブー ブー

 

「ん?」

 

 マナーモードにしていたスマホが振動した。

手に取り、確認するとーー

 

(ま~た何かやらかしたなぁ~☆)

 

 そこには今日はいない彼が自分を頼って送ってきたメッセージが表示されていた。

しょうがないなぁと思いながらも、何かと頼りにされている彼から頼られるとなると悪い気がしなかった。

 

(『これは、貸し1だぞ☆』っと)

 

「リサ? どうかしたの?」

 

「え? 何が?」

 

 友希那が怪訝そうな顔でこちらを見ている。

 

「顔がにやけているようだけれど?」

 

「え? そ、そう?」

 

 思わずニヤニヤしていたようだ。危ない危ない。

 

「何かあったの?」

 

「ん~ん。な~んにも☆」

 

 そう言うと、友希那は追求することなくあっさりと引き下がった。

 

(ん~……こっちはともかく、もう1つはそんなに詳しいわけじゃないんだよなぁ……)

 

 でも、頼られている以上何かしら答えを提示しなければと休憩時間の間に調べて、返信する。

 

『ありがとうございます。このお礼はいつか』

 

 そっけない一言だったものの、寂しさが吹き飛ぶには十分だった。

 

 

「よっしゃ~、やるぞ~!」

 

「リサ、本当になんともないの?」

 

「ひどいなぁ~! ここからの練習はちゃんと気を引き締めていくからね☆」

 

 こんなことでやる気が出るなんて、我ながらげんきんだなぁ。

 

 side out

 

 

 

 

 

 

 

ポピパ、ハロハピ編も書いた方がいい?

  • 許す! 書くことを許す!
  • ただでさえ話進まんのだからやめーや!!
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