2人の笑顔は夕日に輝く   作:ハマの珍人

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 かなり間が空いてしまい、申し訳ありません。
リアルで時間が取りにくくなったことに加え、(スマホで投稿しているのですが)ソフトウェアの更新により、少々打ちづらくなり、これまで以上に不定期な投稿になってしまいます。
申し訳ありません。


第36話

 羽沢珈琲店でバイトを始めた夕輝。そんなある日、姉の日菜が襲来。嫌な予感がする夕輝を連れていった先は謎のスタジオ。

指定された部屋に現れたのは三人の少女たち。

日菜の思惑は!? そして、夕輝の運命は!?

 

 

side 彩

 

 お昼過ぎ、電車を乗り継ぎ目的の駅の改札を抜ける。うん。今日は残高があったから無事に抜けられた。

 いつもだと残高が足らなくてワタワタしちゃうから今日は何かいいことがありそう。……むしろこれがいいことってことはないよね?

 

「あ、彩さん」

 

 駅を出たところで声をかけられ振り返る。

 

「あ、麻弥ちゃん。おはよう!」

 

「おはようございます」

 

 そこにいたのは大和麻弥ちゃん。

アイドルバンド……とはいえ、素人集団の私たちパスパレの中で唯一の楽器経験者。なんでも、スタジオミュージシャン? っていう凄い人なんだとか。麻弥ちゃん自身は

 

「大したことないっすよ。ふへへ」

 

 と言うものの、楽器もまともに演奏できない(リコーダーですら吹けるか怪しい)私からしたら相当凄いことだ。

 

 

 もともとはメンバーが足りなくて、人数合わせのためにサポートとして加入した彼女だけれど、紆余曲折を経て正式にパスパレの一員になった。

 

(でも、あんなことが起こってしまって……麻弥ちゃんには申し訳ないな……)

 

「彩さん? どうかしました?」

 

 麻弥ちゃんの声に暗い思考をよそに追いやる。

 

「え? なんで?」

 

「いえ、こう眉間にシワを寄せて『ムムッ』て感じの顔してましたよ」

 

「嘘! 本当に!?」

 

 麻弥ちゃんに指摘されて眉間を押さえながら揉む。

そんなに顔に出てたのかな?

 

「何か考え事ですか?」

 

「うん……」

 

 

 

 パスパレ(わたしたち)を取り巻く環境は急激に変化した。

前評判では『事務所期待のアイドル系ガールズバンド』という触れ込みだったものの、御披露目の一件以降は腫れ物に触るかのような扱いだ。

 予想外のハプニングとはいえ事務所が受けた損失は大きかったらしく上層部は減給か辞職かを迫られた。それにより補填を……と考えたのだろう。上層部の大半は責任を取って辞職した。

……と言えば聞こえはいいものの、実際は他事務所からヘッドハンティングを受けて移籍したのだ。有力アイドルを手土産にーー。

 

 そんな状況でも、残ってくれた上層部や先輩アイドルもいた。

特に常務は

 

「え? 減給? あぁ。アイドル守れるなら安いもんでしょ? アイドルのお陰で俺ら飯食えてんのよ? 自分の銭数えるよりやることが他にもあるでしょ?」

 

 とまで言ってくれた。

 

 そんな人たちに守られているのに私たちに出来るのはレッスンだけ……ならば早く実力をつけなければ! と、通常のレッスンに加えて自主トレも始めた。……まだみんな揃ったことはないけれど。

 

 

「千聖さん、今日は来てくれるといいですね」

 

「……うん」

 

 ようやくアイドルになれた私や急にアイドルになった日菜ちゃんと麻弥ちゃんと違い、他の二人はもともと芸能界で仕事をしていた。特に千聖ちゃんは忙しい様で自主トレはもちろん、事務所のレッスンに来られない日もあった。

 仕事だからとは分かっているものの、心の中がモヤモヤしていた。

 

 

「アヤさん、マヤさん、おはようございます!」

 

 スタジオに到着すると、すぐさま声をかけられた。

 

「イヴちゃん! おはよう!」

 

「おはようございます」

 

 

 声をかけてきたのは若宮イヴちゃん。日本人のお父さんとフィンランド人のお母さんをもつハーフさん。パスパレのキーボードで、自身はモデルとしても活動してる凄い人。

 初めて会ったときは大人っぽくてクールな人だと思ったけど、予想に反して人懐っこい。私がイヴちゃんと打ち解けるのはそう時間がかからなかった。

 

「今日は午前中撮影でしたっけ? お疲れ様です」

 

「日々是精進、です!」

 

 そしてかなりの日本好き。ひょっとすると私より日本人ぽいかもしれない。

 

「あとは日菜ちゃんと千聖ちゃんか……」

 

「ヒナさんはもう来てるようですよ」

 

「「えっ!?」」

 

 イヴちゃんからのまさかの報告に私と麻弥ちゃんは驚きの声をあげる。

 

「あの日菜ちゃんが……」

 

「一番乗り……」

 

 自由奔放を体現したかのような彼女。来るのは一番最後。時間通りに来ないことも多い彼女が一番なだけに何かありそうで怖い。

 

「ともあれ日菜ちゃんがやる気なうちに始められるように行こうか」

 

 また気が変わると大変だしロッカールームで着替えを済ます。

 

「今日もチサトさんは……」

 

「今のところは何も……」

 

 イヴちゃんの疑問に答えると、彼女は顔を俯かせた。

 

「でも、予定が空いたら来てくれるかもしれないし、先に始めてよう?」

 

「ですね。……えーと、今日はここですね」

 

 麻弥ちゃんが目的の部屋を見つけてドアノブを回す。

 

「おはようございます」

 

 挨拶をすると、部屋の中にいた人物がこちらに振り返った。

ただその人物は、『日菜ちゃん』ではなかった。

日菜ちゃんより背が高く不満げに腕を組んでいた。

 

「紗夜ちゃん!?」

 

 思い当たる人物の名前を口にして驚いた。

 

side out

 

 

「紗夜ちゃん!?」

 

 見覚えのある……というかよく通っているファーストフード店のピンク髪の店員がそこにいた。というか彩さんだった。

いつも髪をおろしてるから忘れてたけど、そういえばライブではツインテールにしてたっけ。

 

(というか、また間違えた? この人)

 

 何度か顔を合わせているのに、また紗夜姉さんと間違えられた。

そんなに似ているかと鏡を見て状況確認。

 

 紗夜姉さんには及ばないものの、入学当初よりは伸びた髪……日菜ねぇぐらいのそれは、あるいは紗夜姉さんが髪を切ったと思われてもおかしくはない。

 次に身長……日菜ねぇとは10センチ、紗夜姉さんとは4センチ違うから、遠くから見たら紗夜姉さんに見えても不思議はない。

 そして先程からこちらを見つめているもう一人の自分は、いかにも不機嫌ーー空腹に加え、訳も分からないでこんなとこに連れてこられればそうもなるーーそうに腕を組んでいた。それは図らずとも紗夜姉さんのよくする行動に似ていた。

 

 ……結果、客観的に見ても間違えられる可能性あり。

 

(わりと頻繁に顔合わせてるんだけどなぁ……)

 

 

「あ~……丸山さん? 俺です、俺」

 

「あれ!? 夕輝くん!?」

 

 お、気づいた……って当たり前か。これで気づかなかったら……ちょっと……ねえ?

 

「ユウキさん! おはようございます!」

 

 元気よくあいさつしてきたのは、色白ハーフの美人……若宮イヴさん。なんと、羽沢珈琲店でバイトしているのだ。初めて会ったときは心底驚いた。……もっとも彼女の接客には驚かされることが多いのだけれど……一応バイトの先輩なんですけどねぇ?

 

「えっと……おはようございます?」

 

 一応昼だし、業界用語的な意味だとは思うけれど……俺は業界人ではない。

 

「ユウキさんは変わり身の術が使えるんですね!」

 

「はい?」

 

 若宮さんの言動には慣れてきたつもりではあるけれど、時々予想の遥か上を行かれることがある。たぶんこれは2番目位だろうか。

 ちなみに1番は『らっしゃい! 何握りましょう!』(バイト中)だろうか。

おにぎり? 手? どっちにしても別なお店になりそうだ。

 

「一瞬サヨさんかと思いました」

 

 あぁ、そういえば若宮さんも花咲川だったっけ。じゃあ、風紀委員の紗夜姉さんとも認識があるわけだ。

 

「失礼。紗夜さんって、もしかしてRoseliaの紗夜さんですか?」

 

 ここで残った一人が口を開く。

パスパレというバンドの屋台骨……というか、唯一のバンド経験者。大和麻弥先輩。

 

「麻弥ちゃん、知ってるの?」

 

「知ってるも何も、あの『孤高の歌姫』湊友希那さんが組んだバンドのギタリストですよ!?」

 

 そこから咲き乱れる大和先輩のマシンガントーク。

当事者……というか事情を知っている俺からしても、何でそんなの知ってるの? とも思える情報の数々に驚く。

というか、『大和』なのにマシンガンって……と考えてしまう。

 

 

「えっと……改めまして、こうして話すのは初めて……ですよね?」

 

 同じ学校に通い、顔見知りではあるものの、こうして面と向かって話すのは初めてだ。もっとも、『パスパレの大和麻弥』が同じ学校の先輩だという事実に気づいたのは日菜ねぇに言われたからだけれど。

 

「は、はい。あ、でもお噂はかねがね……」

 

 先程のボルテージが嘘の様に消沈してしまった大和先輩。

その噂の出所を考えると、きっとろくでもないことなのだろう。

 

「ところで、何で夕輝くんがここに?」

 

 少し遠回りしたものの、核心に近づくべく丸山さんが質問してきた。

 

「それが……」

 

『それが?』

 

 ゴクリと固唾をのむ三人。

 

「俺にも分かりません」

 

『え?』

 

 俺の答えに不思議ちゃん(日菜ねぇ)を見るかの表情を浮かべる三人。

 

「そもそも、バイト終わりに拉致されて、なんの説明もなくここに連れてこられたんです」

 

 ついでにお昼も食べてないんです、とぼやく。

 

「それで……日菜ちゃんは?」

 

 と言った途端に図ったかのようにドアが開きーー

 

「おっ待たせ~」

 

 

 元凶(日菜ねぇ)が姿を現す。

 

「ごめんねぇ。ゆーくんに○ックでお昼買ってきたんだけど、ここ飲食禁止なの忘れてて、どうしようもなく食べてたら時間かかっちゃった」

 

 ペロッと舌を出す日菜ねぇを見た瞬間、俺の中で何かが音をたてて切れた。

 

 

 後に目撃した三人は語る。

 

「すごい軽やかに日菜ちゃんに向かっていったと思ったら、日菜ちゃんの表情が強張ってた」

 

「たぶん、脳天にチョップを入れたんでしょうけど……してはいけないような音がしましたよ。ジブン、あんな音がするチョップは見たことがないです」

 

「崩れ落ちるヒナさんを抱き止めて寝かせる様は仕事人みたいでした!」

 

 その後、呆然とする三人を尻目に、

 

「すみません、十分ほど出てきますね?」

 

 そう一言断りを入れて、修羅は部屋を出ていった。

ポピパ、ハロハピ編も書いた方がいい?

  • 許す! 書くことを許す!
  • ただでさえ話進まんのだからやめーや!!
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