元人工フラクトライト達と二人の死神物語   作:り け ん

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今回は二話更新してます。
前話の見逃しに、ご注意ください。



劇的に短い話ですが、今回の話でやっと、
第一チェックポイント...って感じです。


ソウルソサエティ・ビリービング
第十二話 FRI END ?


その晩。

すっかり夜の帳も下り、一寸先もまともに見えなくなった院生寮において、雨涵は廊下を歩いていた。理由は単純に厠だ。用を済ませ、自分の部屋に戻る足取りの最中…雨涵は"何か"に気づいた。

 

 

 

 

 

 

幸運にも、今日女性死神協会の余り物から譲り受けた懐中電灯を、”音”のする方へ向けた。

この皆寝静まった深夜に、自分以外に発する音と言えば、ユージオとアリスの寝息ぐらいなはずだ。そして、そんな音は扉を超えて雨涵のいる廊下まで届くはずがない。

 

 

 

 

 

 

すると…残る可能性は、雨涵達院生以外の何者かが…この寮にいる?

 

 

 

 

 

 

 

雨涵は、無人の廊下を照らす懐中電灯の電源を切り、再び耳を澄ます。更に極力足音を廃して、歩みを進めていく雨涵。

 

 

 

 

(……ここか?)

 

 

 

 

 

雨涵が立ち止まったドアの前……この部屋は、ユージオ達の部屋から二つ分離れた部屋。

当然──ここは、無人でなくてはおかしい場所のはずだ。

 

 

 

 

(さっきより、声が聞こえてきた位置はズレてる気がするが…だけど今は、間違いなくここから声が聞こえてくる)

 

 

 

 

 

最初聞こえてきた位置は、ユージオ達の部屋から近かったと思ったが…今聞こえてくる”話し声”は、確かに目の前の扉の向こうからだった。さっきのは気のせいだろう、と意識を切り替え、より一層ドアの向こうにいる何者かの"声"に集中する。

 

 

 

 

 

 

(…二人分、声が聞こえるような……内容までは聞き取れないか)

 

(院生寮に入るようなヤツに心当たりは全くないが…こんな夜更に部屋一つを秘密裏に使うとあれば…何かしら一物抱えている輩な可能性が高い)

 

(……せめて、姿だけでも…)

 

 

 

 

 

 

 

元々の家柄の事情もあり、雨涵の思考は一気に鋭くなり…最悪の事態までもが脳裏にチラついてくる。相手の正体も分からぬ以上、正面から突入するのは下策である。せめて敵の正体を見定めるべきだと、雨涵は考えた。

ドアの隙間から、と一瞬考えたが…その前に、雨涵は鍵穴の存在に着目した。この鍵穴は、部屋の内部を覗けるタイプのものか……と試してみたところ、思いの外この鍵穴は風通しが良く、扉の向こう側を見ることが比較的容易であった。

 

 

 

だが…部屋は電気がつけられておらず暗いまま。確かにそこに二人分の人影は視認できるのだが…顔どころか、大まかなシルエットすらほとんど不明瞭だ。

 

 

 

 

 

(……この背丈…大人のものじゃない。私とほぼ変わらないほどの…)

 

 

 

 

 

そう、雨涵が訝しんだその瞬間。

窓から照りつける月光が、部屋の内部を一瞬だけ明るくした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その結果、雨涵は部屋の光景と…その人影達の正体を見た。

いや…”見てしまった”。

 

 

 

彼女が夢想だにしなかった…衝撃的で、絶望的な光景を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨涵は、鍵穴から眼を離すと…一気に脱力し、扉の前に座り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

信じられなかった。見た者も、そこで行われていた行為も。

 

嘘だ、と絞り出したい声すらも枯れて、音にすらならない。

 

 

 

 

 

 

考えると、吐き気がする。頭が、金槌で殴られたようにガンガンと痛む。

 

息が続かない。まるで過呼吸になったかのように、安定しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嗚呼…自分は、こんなにも、弱かったのかと、思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友達が、”嘘”をついていたと知っただけで。

クラスメイトが、ずっと黙って、偽っていたということを知っただけで。

 

 

 

 

こんなにも、苦しいのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、”二人”は、とうに…自分から離れていったのだと、知った。

自分はもう、”二人”の隣に立てる立場ではないのだと、知った。

 

 

 

 

 

 

それもまた、苦しい。

 

 

 

 

何も、変わっていない。

家族が、二度と自分の手の届かない場所へ行ってしまった時と同じように、苦しい。

ここまで来ても、自分は同じ悲しみ、苦しみに耐えられない。

 

 

 

 

 

 

 

いや……違う。

 

同じでは…ない。

 

 

 

 

 

 

これから、自分は……二度と”二人”の隣に立てないと、知っておきながら…

”二人”と過ごしていかなくては…いけないのだ。

 

 

 

 

 

決して手の届かぬ場所と知りながら、偽りの立場として接し続けること。

それは、雨涵にとって絶望の生殺しでしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*

 

*

 

*

 

*

 

*

 

*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝。

 

 

 

「あ、雨涵! おはよう!」

 

「………」

 

 

 

 

その日を、境として。

 

 

 

 

「…? どうしたの? 雨涵」

 

「………」

 

「え、ちょっと待って、雨涵!?」

 

 

 

 

雨涵は、”二人”と視線を交わすこともなく、

 

 

 

 

「…あら、雨涵! おはよう!」

 

「………」

 

「雨涵…? どうしたの? こんな朝から、どこに…?」

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

”二人”と、言葉を交わすことも、なくなった。

 




心情描写を描くのは難しいです。ホント。
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