元人工フラクトライト達と二人の死神物語   作:り け ん

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今までのノロノロっぷりから一転して突然展開が急になります。
つまり急展開ってやつです。


第十三話 Battle of Persuasion

ひらりひらりと鱗粉のような緑色の霊子粉を微かに散らしながらその黒き蝶は空を舞っていた。

思考の狭き普通の虫のようにあっちこっちへフラフラしている…のではなく、一つの明確な目的地に向かって、その蝶はひたすらに空を舞っていた。

 

 

蝶はとある人物達の霊圧を認識し…その刷り込まれた本能にしたがって

徐々に羽の動きを調整し、スピードを落としていく。

目的の霊圧の強弱から適切に互いの位置と距離を測りつつ着陸地点を見極め始めると同時に、対象の人物が蝶に気付いて、少しばかり戸惑いながら人差し指を差し出した。黒き蝶は狙いを定めるとよりゆっくりと動きを調節し…一切の音なく、その体を人差し指に預けた。

 

 

 

指に蝶を乗せた人物の脳裏に”言葉”が伝道し、

その人物は慣れぬ感覚にピクリと一瞬体を震わせた。

 

 

 

それによって、ようやく役割を終えたその蝶はまたヒラヒラと飛び去り、元あるべき場所へ戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…どう?」

 

 

地獄蝶が視界から消え去った頃、ポニーテールの金髪少女...アリスが少しだけ心配そうに声をかけた。そして声をかけられた少年─ユージオはようやくハッと意識を手繰り寄せると、後ろのアリスに向き直った。

 

 

「…五日後に授業再開。当日朝八時に霊術院前に集合……だって」

 

「ん、そう…なのね…」

 

 

ユージオにとっては、楽しかった授業がまた受けられるという、非常に好ましい知らせ。

アリスにとっては、ずっとおあずけにされてきた授業がようやく決まった、心躍る知らせ。

 

 

そうであった…はずなのに。

 

 

 

今この場には、共に手を取り合って喜び合える仲間が一人、欠けていた。

 

 

 

 

 

 

 

もう一人の仲間…雨涵が視線も言葉も交わさなくなり、

そして姿すらも、二人の前にほとんど見せなくなってから…既に三日が経過していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…僕、やっぱり……ちゃんと、正面から雨涵に聞きたい。…どうして、僕らから雨涵が離れたのか…何が、あったのかって」

 

 

閉じられた手元の本をぐっと強く握りしめながら、ユージオはからっからに絞り出した声を出した。それを聞いたアリスは、積み上げられていた本の山へ伸ばした手を引っ込めて、ユージオに向き直った。

 

 

「やっと降参…ってわけね?」

 

 

皮肉のような、意味深な言葉を呟いたアリスは、それでいて安心したように大きく息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

雨涵が何の前触れもなく二人から強く距離を取り始めた時、

二人の反応には少しばかり差が出ていたのだ。

ユージオは呆然となって体が硬直し、アリスは酷く狼狽して、なんとか事情を聞き出すために雨涵を捕まえようとした。だが、雨涵は元々三人の中でも素の身体能力が高く、彼女が逃げに徹するとアリスはすぐに見失ってしまう。真相不明の決別が起こったその日の夜、アリスは自らの部屋に閉じこもる雨涵に対し、半ば無理矢理にでも話を聞こうと動き出したが、それを止めたのはユージオだった。

 

 

「…少し、時間をおいて…暫く一人にしてあげよう。考える時間さえあれば、きっと……だって、こんなの、は」

 

 

なにかのまちがいだ、とユージオは震える声を発した。アリスはそんなユージオに反論するために口を開きかけたが、彼の蒼白な顔色を見て、一度口を閉じた。

口ではああ言っていても、心の底はユージオとアリスが感じていることは一緒なのだ。雨涵があのようになってしまった理由は全く分からないが──多分、時間とかで解決するような問題じゃないんだと。アリスはそれを分かっていたから、雨涵へ直談判を試みた。ユージオはそれを分かっていたけど…それでも、「なにかのまちがい」であることを望んだのだ。

 

そして、望み続けて三日が経って…ユージオは『降参』した。

望みが絶たれていることをこの三日間で嫌というほど実感し…今日の授業開始日程の知らせがトドメとなって、ユージオはアリスと同じ強硬策──すなわち、雨涵を無理矢理にでも問い質す行動をとることを決意したのだ。

 

 

 

「…で、さ。もう一回確認したいんだけど…」

 

「全く心当たりないわ。伊勢副隊長について行った時も、雨涵はいつも通りだったわ。で、ユージオの方も?」

 

「もちろん、僕も心当たりはないよ。あの日は、夜にアリスや雨涵と同時に別れてからそれっきりだから」

 

「そうよね。それは私も同じなのよね」

 

 

 

スラスラと言葉を交わし合うアリスとユージオ。というのもこのやりとりは既に十回以上、二人の間で繰り返されているのだ。突然の雨涵の拒絶は、自分達に原因があるのではないか。そんな疑惑を洗い出すべく、二人は何度も何度もあの日の回想を繰り返し続けていた。だが、繰り返せば繰り返すほど二人には分からなくなるばかりであった。

 

 

「普通に考えるなら…やっぱり、何かあった……それも」

 

「あの日の夜……それくらいしか、思い当たる時間がない…よね」

 

 

お互い寝る直前、雨涵は普通の様子だった。そこから一晩明けてから雨涵の態度が大きく変わったとなれば、当然そういう結論になる。だが…結局そこで推理は行き詰まる。何かあったとは言っても、その『何か』が二人には見当もつかない。雨涵の身に一体何が起きたのか? 過去にでも行かない限り、それをユージオ達だけで確認する術はない。

 

やはり、残された手は…

 

 

「直接、聞くしかないわよね……。無理してでも、ね」

 

「………」

 

 

ため息と共にアリスが口にした言葉を受けて、ユージオは唇を強くひき結んだ。手にも力が入り、握りしめた拳が微かに震える。アリスはそんなユージオを見て、少しばかり表情を曇らせる。…一瞬の沈黙の後、再びアリスが口を開いた。

 

 

「ユージオ……あなた、雨涵相手に...本気、出せるの?」

 

「……僕、は」

 

 

ユージオの声は、蚊の鳴くように小さく…顔色は、少しばかり青かった。

 

 

 

 

 

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まだ外は日の昇らず、薄暗い。この瀞霊廷の中でもまだ大部分の人達が眠っているような時間。そんな時間に、雨涵は目を覚ました。

実のところ、雨涵は眠りが浅く、この時間に起きるのはいつものことであった。普段通りなら、ここから二度寝すればちょうど一般的な時間に起きることができる。だが…雨涵は再び目を閉じることなく、そのまま体を起こした。ベッドから降り、力のない瞳のままノロノロと院生服を見に纏い、浅打。

 

着替え終わった雨涵は、どことなく表情に陰りを見せながらも…ジッと部屋の中心に立ち、集中する。そしてその集中を崩さないまま、一歩一歩慎重に歩いて部屋のドアをゆっくりと開ける。

夜に比べればマシだが、まだまだ暗い廊下。そこに自分以外の人の気配が全くないことを確認したことで、雨涵は少しばかり集中を緩めて、息を吐いた。

 

今、雨涵が最も顔を合わせたくない『二人』の姿がないこと。それに雨涵は安堵した。本来ならば、寮を出て霊術院から離れ、霊術院が見えなくなる距離まで離れてようやく安心できていたというのに。ただ…ここ数日、その『二人』はまるであちらからも自分を避けているが如く、静かになっていた。五日ほど前は、必死と形容すべき勢いで自らに声をかけようとしてきたというのに。

 

 

クラスメイトを強く拒絶し、一人になろうとしている今の自分が心地よい気分であるとは言い難い。だが、あの二人と共にいることほど辛いことはない。…少なくとも、今は。

受け入れられないのだ。あの現実を頭の中で反復するたびに、胸の痛みが止まらなくなる。あの二人が何をしていようと、どんな『関係』にあろうと、自分には関係ないことのはずだ。そう何十回も言い聞かせても、より苦しくなるだけだった。

 

この痛みが無くなる時は、来るのだろうか。いや…来たとしても……再び、自分はあの二人の側に立てるのか? …もう、こんなことをしてしまった自分は…二度と…

 

 

 

 

そこまで考えた時…ふと、雨涵の足が止まった。

 

 

 

 

何も感じていない、はずだった。

それでも雨涵が足を止めたのは無意識からではなく……気のせいか、虫の知らせか、第六感か…言葉にできぬ感触を雨涵は覚えたのだ。

 

 

 

今、雨涵がいるのは酷く損傷している霊術院前。ここまで来る頃には雨涵はすっかり集中も警戒も解いて、自然体で歩いていた。その上、頭の中はグルグルと考え事を巡らせていたのだ。だが…その虫の知らせに従って、雨涵はその場に立ったまま、もう一度集中した。

 

 

すると、雨涵は勢いよく目を見開いた。そしてバッと勢いよく振り返って、上の方を見上げた。

 

 

 

 

 

 

そこには、雨涵が感知した通りの人物がいた。

ほぼ倒壊しきった霊術院の天辺、屋根の瓦礫に危なげに立つその人物の表情は、遠くて見えない。

 

見えるのは…逆三角形に軌跡を描く、黄色い鬼道の光だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心臓が口から飛び出るよう、とはまさに今この気持ちを言うのだろうと、アリスは思った。

だが、雨涵に気づかれたとはいえ、今更鬼道を止める訳にはいかない。

 

まだ日も昇らぬ今日この時に、必ず雨涵から事情を聞くのだ。

 

 

 

そう、それこそ…()()()()()()()

 

 

 

 

 

作戦の基本は単純。『縛道で雨涵を拘束する』ことだ。

だが、その作戦を成し遂げるために、より緻密に作戦を煮詰めていく必要があった。

 

 

 

まず、雨涵の強い警戒を解くために、あえてこちらから雨涵を距離を取るように行動した。

一人になりたいかのように拒絶の行動をとる雨涵の意に添うようにした訳だが、これには雨涵の気を少しでも緩める以外にも、理由がある。

 

雨涵を捕らえるための極秘特訓をするため、だ。

 

下手な距離から鬼道を放とうとしても、その前に霊圧感知によって存在がバレてしまう。先に逃亡されてしまっても鬼道を当てることは不可能ではないだろうが、成功率は低いだろう。ただでさえ基礎身体能力が高い雨涵を相手にするのだ。ベストなのは、雨涵も感知できない距離から鬼道を放つことだが、問題点が二つある。

 

一つは、一体どの程度の距離から鬼道を放てば雨涵に感知されないのか、それが分からないということだ。念には念を入れると言うならば、うんと遠い距離から仕掛ける必要があるが…すると第二の問題が立ち塞がる。

 

つまり、そんな遠い距離から鬼道を放ったとしても結局途中で察知されてしまうのではないか、という懸念だ。直前で避けられるようなことがあっては水の泡というもの。だが…こればっかりは仕方ないというものであろう。いくらなんでも自分に迫りくる縛道に、当たる直前まで気付かないなんてあまり期待するものではない。

 

この二つ目の大きな問題に対し、アリスは解決策を思いつかなかった。

だから、アリスは特訓したのだ。解決はできないけれども、この問題を強引に乗り越えるために。

 

 

つまり…途中で気付かれても、とっさに躱せないほどのスピードで、鬼道を放てれば。

そもそも…気付かれるより早く雨涵の体を射止められるほどのスピードで、鬼道を放てれば。

 

 

アリスが最近習得したこの鬼道。この四日間で、アリスがずっと練習してたのは全て…この鬼道の速度を上げるためだけなのだから。

 

 

 

 

 

 

その結果、たとえ霊術院の屋上からという遠距離射撃になろうとも、雨涵に気付かれさえしなければ捕らえられるという手応えを掴めるまで練度を高められた。

 

 

ただ──今はその前提は崩されている。

こちらの姿を確認した雨涵は、機敏な動きで踵を返し、駆け出した。

 

 

「…仕方ないわね……!」

 

 

アリスはグッと息を飲み込むと、右手で逆三角形の軌道を描き…巨大な三つの嘴を生み出した。

そして…雨涵の逃げる方向と速さを直感で計り、そして四日間の特訓の成果を放った。

 

 

 

 

 

「縛道の三十! 嘴突三閃(しとつさんせん)!」

 

 

 

 

 

雨涵に気づかれた以上、四日間の特訓の成果でもあるこの鬼道でも決定打にならないと、アリスは既に察していた。いかにスピードが速かろうと、雨涵からしてみればタイミングを見計らって上手く躱せば済むことだ。真っ直ぐに進むだけで、途中の軌道変更もできない術では、一度躱されればどうにもならない。

 

だが…アリスの「仕方ない」という呟きは、決して諦めの言葉ではない。

()()()()()()()雨涵を捕まえて事情を聞くというのが、今回の決意なのだから。

 

そう、雨涵に気づかれた場合でも…アリスには考えがあった。

避けられるのが問題というならば…避けられる瞬間を狙えばいい。

嘴突三閃が雨涵を捉える瞬間に、今ここから更に鬼道を放って、雨涵の動きを妨害できる鬼道。

それに該当する鬼道が……一つだけある。

 

 

(雨涵……当たったら、ゴメン!)

 

 

遠くの雨涵と、それに迫る嘴突三閃。それとの位置関係を瞬時に計算してタイミングを計り、指を向けて霊圧を込めた。

 

 

 

「破道の四! 白雷(びゃくらい)!」

 

 

 

そう、最も速度の早いものと言えば、雷光系の鬼道。

白雷といえば、威力は一桁番台の鬼道そのものではあるが、速度だけ見れば全鬼道でもトップクラスなのだ。

それは当然…嘴突三閃よりも早く、雨涵の元へ到達する。

 

 

だが、それはあくまで雨涵を狙ったものではなく…アリスの放った白雷は、雨涵の側を掠めて壁を穿った。

白雷は雨涵に危害を加えることこそなかったものの、雨涵からしてみれば突然側を掠めていった雷に対して反応しない訳にはいかない。

嘴突三閃を躱すための回避行動を取ろうとしていた雨涵は、白雷に対して反射的に反応して体を捻ってしまい…その隙をついて、三つの黄色い嘴が雨涵の体を射止めた。

 

 

両腕と腰、合わせて三つの部分を鬼道によって地面に拘束された雨涵を遠目に確認し、ようやくアリスは緊張から一旦解かれ、ホッと息をついた。白雷は当たらなかったし、地面に縫いつけられたとはいえ、衝撃はそれほどでもないから怪我もしてないだろう。少々手荒だったかもしれないが、これ以上こんな関係を続けるのは、耐えられないのだ。…話だけでも聞いて、一体何が起きたのかを突き止めたい……

 

 

 

 

 

そうアリスが思い、霊術院屋上から降りるために段差の方へ振り向いた瞬間…大きな爆発の音が彼女の鼓膜を震わせた。

 

 

「え……!?」

 

 

一体何が、とアリスが再び遠くの雨涵の方へ視線を向けると…微かながらの煙が立ち上っていた。

そして遠くに蹲っている雨涵は、もはや地面に拘束などされてなかった。

 

 

(嘘、なんで……あ、まさか…!?)

 

 

あの状況で爆発を起こす手段といえば、やはり鬼道。そして…雨涵に使える範囲での番号で爆発を起こせる鬼道と言えば、アリスには一つしか思いつかない。

 

 

破道の十『膨炎』

 

 

その鬼道が持つ番号とは裏腹に、威力()()を見るならば、なんと三十番台にも劣らぬほどの力を持つ。それは、今しがた雨涵を拘束してた三十番台の嘴突三閃を打ち砕いたことからも見てとれる。

だが、アリスは雨涵がそんな手に出るとは全くもって考えていなかった。その理由は、今遠くでよろよろと立ち上がる雨涵の姿を見れば一目瞭然である。

 

『膨炎』を説明するならば「手元から強力な爆発を起こす」鬼道だ。消費霊力の割に威力は絶大ではあるのだが()()という部分が曲者なのだ。そんなに近くで強力な爆発を起こせば、自分だってタダではすまない。腕を思い切り伸ばして使用することでなんとか実用に耐えるレベルであり、今雨涵がやったように自らを拘束する縛道を破壊するように使うとなると…それはもはや自爆に近い。自らへのダメージだって相当なものだ。

 

だからこそ、アリスは全く想定していなかった。自らの体を大きく傷つけてまで、自分たちから逃れようとするなど。

 

 

 

少しばかり不安定な様子で走り去っていく雨涵を見ても、アリスはしばらく自分の足に根が生えたかのように、動くことができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

霊術院の周辺の道は壁が破損している場所も多く、道というよりも小さな広場が断続的に繋がっているかのような地形になっている場所が多い。そんな道すがら、雨涵は突如膝をついて壁に寄り掛かった。

少しばかり震える手で、雨涵は自らの体を確認する。腕と胸元、それに首辺りに火傷の跡が見てとれる。それを視界に収めた雨涵は数十秒間だけ目を閉じて脱力していたが、その後はすぐに立ち上がり、今度はしっかりとした足取りで走り出した。

 

 

こんな体の痛みなんて、なんともない。

決して解消せぬ心の痛みに比べれば。

 

 

アリス──彼女が自分を縛道で捕らえようとした理由くらい、分かる。

いや、むしろ普段からそれを警戒していたくらいだ。ただ、今日の油断を突かれた結果、危うい場面となってしまった。

 

無理…無理なのだ。

顔を合わせることなど、絶対に。

 

もう、どんな顔をして、

どんな気持ちで、

どんな立場として、

 

二人に接していいのか、全く分からない。

 

 

 

 

胸を締め付ける痛みを抱えて、走る雨涵。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな彼女は、突如として…

首筋に冷たいものを感じた。

 

 

 

 

 

自分の喉元を引き裂こうとするような、

冷たい氷の蛇のような、『殺気』を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!」

 

 

体が、反射よりも早いタイミング…言わば”本能的”とでも言うべきスピードで動いた。

これまでの進行方向とは真逆──後方へと勢いよく跳ねた。

 

少しばかり着地し損ねて体をぐらつかせたが、すぐに体勢を保持して、戦闘態勢に構える。

そして…雨涵の目が驚きに見開かれる。

 

 

 

 

 

先ほどまで、雨涵がいた場所に……一人の少年が立っていた。

雨涵のクラスメイトである少年は、その緑色の瞳に深い悲しみを湛えつつ…抜き身の斬魄刀を構えて、雨涵の行手を塞いでいた。

 

 

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