投稿できる時にドンドン投稿したいなって、そう思います。
第十六話 Imposter Capture Mission
「さて…初めましてだな! 霊術院生達! 俺は五番隊三席
「「「はい! よろしくお願いします!!」」」
元気一杯に頭を下げる三人の院生達に、片足が義足になっている死神…石和厳兒はちょっとばかり驚いた様子だったが、すぐに朗らかに笑った。
「ほう、随分元気な院生達だな! そんなに授業が楽しみだったのか?」
「そうですね……でもそれだけじゃなくて、大事な目標ができましたから!」
グッと、力強く拳を握りしめるユージオ。それをみた石和は感心したように自らの顎を撫でた。
「そうか…だが、目標に向かって頑張るには適切な休息も必要だぞ。お前らの目のクマ…最近ちゃんと寝てないだろ? ちゃんと睡眠を取るようにしろ! いいな!」
「「「は…はい!」」」
図星を突かれた三人は、あからさまにギクリとしながらもしっかり返事
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「…どうだ? アリス?」
「うーん……やっぱり難しいわね。他の鬼道と系統がまるっきり違うから、応用が効きにくくて…でも、絶対モノにして見せるんだから!」
「そうだな…アリスなら、きっとできるさ」
自分の掌を見つめながら集中し、微かに汗をかくアリスに声をかける雨涵。院生服を纏った上でも見え隠れする包帯を体の一部に巻いている彼女の視線は、院生寮の部屋の中を舞う黒い蝶……地獄蝶を注意して見つめていた。この地獄蝶は石和厳兒から送られ、この院生寮で飼われることになったものだ。
授業再開一日目に霊術院の前に現れた死神…五番隊第三席 石和厳兒は「今日の先生」とは名乗らず「今後の君たちの担当」と名乗った。そこに疑問を持ったアリスが手を挙げて質問したことの答えとしては、彼こそが霊術院における総責任者になったということであった。今後も先生は日替わりで変わることにはなるが、仮に先生の目処がつかなくても必ず自分が代わりに先生として向かうから安心していいぞ、と優しく笑った。それを聞いた三人は、ほっと安心の息を漏らした。
「今後、何か困ったことがあったらすぐに総責任者の俺に連絡してくれ! …と言いたいところだが、お前達はまだ伝令神機を持ってないだろうし、持てることも許されないだろう。あれはあくまでも死神の仕事道具だからな。なので代わりに、こいつを飼育してもらう! それが今回の授業だ!」
そう言って石和が掲げた虫籠の中に一匹、静かに羽を揺らす地獄蝶に、三人揃って顔を近づけた。
今回の授業で学んだことは二つ。地獄蝶の使い方と飼育方法。使い方は文章にすれば簡単で、蝶を指に止めて伝令したい言葉をイメージする。その後、伝令先の人の霊圧をイメージする。結局のところイメージが重要になる訳だが…言葉のイメージはともかく、霊圧のイメージはまだまだ三人には難しかった。普段ずっと一緒にいるクラスメイト三人の間で地獄蝶の飛ばし合いっこをしてみたのだが、それですら蝶は迷ったようにあっちへフラフラこっちへフラフラしていたために石和先生も一緒になって四人ともハラハラしていた。最終的には目的の人物の元へ辿りつきはしたものの、高々数十歩分の距離へ伝えるために十五分近くかかるようではとても実用に耐えない。
飼育方法についてだが…これについてはまだ簡単であった。地獄蝶は霊力を持つ人が発する霊圧が餌のようなものらしく、時折霊力を持つ人がいる部屋の中で放し飼いにしてやるといいらしい。注意点は二つ。放している間に潰してしまわないことと、部屋の戸締りをしっかりすること。より強い霊圧の方に釣られて、フラフラと部屋から逃げ出してしまうこともあるからだ。
だからこそ、雨涵は今日の授業が終わった今でも部屋に放している地獄蝶を注意しながら見てる訳である。一方のアリスは自らの霊圧を集中させて、何かに取り組んでいる。そして、ユージオはといえば…
「よいしょっと…お待たせ! 雨涵! アリス!」
「おお、お帰り。ユージオ。アリス一旦練習は休んだらどうだ? ユージオも帰ってきたし」
「ん、んんー…そう、ね。ちょっと疲れてきたわ」
二人のいる部屋に、数冊の本を胸に抱えて部屋に帰ってきた。それを確認した雨涵は一度地獄蝶を誘導して虫籠に戻し、アリスは汗を手巾で拭って息を吐いた。
「ユージオ、手の包帯は取れたのか?」
「うん。刀を持つのはもう一日待ってって言われたけど。雨涵の方こそ、体の火傷…大丈夫?」
「日常生活になら支障はないくらいだ。けど、明日救護詰所まで見せに行くまでは安静にということだ」
お互いに怪我を労る二人を見て、アリスは少しだけ心配そうにしながらも自らのノートを広げた。
「それじゃ…ちょうどいいし、例のヤツを始めたいわね。…その前に、ユージオ?」
「うん、しっかり確認してきた…僕の見る限りじゃ、この院生寮周辺に人の気配はなかったよ」
「そう、それじゃ…一応用心しながら、始めましょうか。作戦会議を」
少しばかりもったいぶったように、オホンと咳払いするアリス。雨涵は地獄蝶の入った虫籠を一度文机に置いて椅子を手繰り寄せて座り、ユージオはベッドに座って抱えていた本を隣に置いた。
アリスの言う作戦会議…とは、『ユージオ&アリスの偽者捕獲大作戦』の会議のこと。会議は今回が第一回目である。そしてちなみにこの作戦名の命名者はユージオ。またどこかの本から影響されたようだ。
「えーっと、じゃ……僕の調べた結果を、発表するね」
ユージオは、ベッドの上に積まれた本からまずは一冊目を手に取った。
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「まず、僕らの偽者の正体について一番可能性が高いのは……これじゃないかなって」
ペラペラとページをめくっていたユージオが手を止めて、床に目当てのページを開いてある文字を指差す。
「『霊骸』? ...教科書にも載ってない言葉よね、これ」
「そうだな。だが、私は大分前に少し聞いたことがある。確か…義魂丸の実験開発のためや、霊力を失った死神のリハビリのための専用義骸のことを『霊骸』と…そう呼ぶらしいな」
首を捻るアリスに解説を加える雨涵。ユージオは雨涵の解説に同意するように頷きながら指で文字を辿る。
「そう…多分、僕らの姿を真似たりするなら『霊骸』を使うのが一番可能性が高い。霊圧もその本人とほぼ変わらないくらい真似られるらしいし。だけど、問題は……」
「そんなことをする理由が分からない、か?」
言葉の後を受け継いだ雨涵に、ユージオは神妙な顔で頷いた。アリスはユージオの提示した本を手に取って自分で文字を追っていく。彼女は眉根を寄せて考え込んでいるようだ。
「それに、霊骸って普通の死神でもそうそう手に入るものじゃないみたいね。技術開発局に保管されているらしいから、その局員とか…十二番隊の死神ならこっそり持ち出せるかしら…」
「……………」
アリスが呟くように考察する側で、「十二番隊」の言葉を聞いていたユージオの表情が目に見えて曇ってくる。雨涵はチラリとその様子を見て心配そうに眉間を寄せたが……何も言わなかった。代わりに、ベッドに積まれている別の本を先に手に取った。
「こっちは……精神病の本? 一見、関係なさそうに見えるが…」
「ああ、それは…ね」
その本をみたユージオの顔がさっきよりもう二割増しで曇ってきた。自分で持ってきた本を見て顔を曇らせるのは一見どうも理にかなっていないように感じるが…当の本人は、アリスから本を受け取って自分の手でとあるページを開き、バッと開いて二人に見えるように持ち上げた。
「ここ。解離性同一性障害の項目。一般的には、”二重人格”って呼ばれているやつなんだけど…」
「二重、人格…」
アリスにとっては聞き慣れない言葉だった。しかしここでもやはり、ある程度は物知りな雨涵が少しばかり怪訝な顔で補足をする。
「つまり、私が見たユージオとアリスの姿は紛れもなく本人のものだった…だけどその体を使っていたのは、今こうして私が話しているユージオとアリスではなく、二人の心にいるもう一人の…別のユージオとアリスだった……ということだな」
「うーん……理解できなくはないけど、頭が痛くなってくる話に聞こえるわ。そんなこと、あるのかしら…」
「えと……雨涵は、さ。僕と戦った時のこと…覚えてる?」
「ああ。………ん、そうか。…なるほどな」
ユージオの言わんとする事をただ一人察せる雨涵は、あえて遠回しにはせず直接的に理解の返事をした。
「やはり、あの時”私を殺そうとしたユージオ”は…お前じゃないってことか」
「っ!?」
アリスは雨涵の告げた言葉に目を見開いて驚き、ユージオがコクリと頷くのを見てまた声にならない音を喉から出して驚いた。だが、間抜けに開けた口を手で隠しながら閉じたアリスは、二人に説明を求めるようにジトッと視線を送った。
そんな視線を受けて益々気まずそうになったユージオだが、それでも説明責任をはたそうするかのように再び口を開いた。
「し、信じられないかもしれない…けど、戦いの最中…僕の体が、まるで自分のものじゃないかのように動いた時があったんだ。なんだろう……その、内側から別の何かが体を引っ張っているかのような、すごい変な感覚…」
「……ま、確かに信じられないような話ではあるわね。…でもユージオが嘘をつく方がありえない話だし。それに、雨涵は……」
「ああ。確かにユージオは戦いの中、雰囲気が明らかに変貌した時があった。あの時の殺気は演技でもそうそう出せるもんじゃない。それ、に……」
今まで見たことないほどの勢いとスピードを持った、閃光を纏う剣撃。
正直、雨涵が最も不可解だったのは別人のようになったユージオよりも、恐ろしいほどの威力を持つあの光を纏った刀の攻撃だ。こうして本にも載っている二重人格についてはまだ理解の余地があるものの、あの時の現象については一切納得いく答えが思いつかない。隊長格の死神達に聞けばひょっとしたら…とは思うものの、ユージオやアリスとは違い自分はそんなに隊長格と縁が深い訳ではない。それにもし隊長格の口からですら「知らない」とかの言葉が出たらどうしよう──とも思う。
中途半端に言葉を止めて口を閉じる雨涵に、アリスもユージオも不思議そうな目を向ける。結局雨涵は奇妙な咳払いをすることで誤魔化した。今の会議はあくまでユージオとアリスの偽物についての議題だ。今自分が気になっている疑問は関係ない。
「とにかく、ユージオの”二重人格”説については本人と私が少なからず実感している以上、可能性がない訳ではないと思うが……問題はアリスがどうなのか、って話だ」
「私は何回か雨涵と戦ってるけど、体が勝手に動く経験はないわねー」
なんだかまたもや議論の行き止まりが見えてきてしまったためか、会議の発案者であるアリスが小さなアクビを漏らし始めた。しかしそのアクビの意味は決して”退屈”だけを意味するものじゃない。
「あ…そろそろ”仮眠”の時間になっちゃったみたい」
「あら? どうりで眠いと思った。でも、随分早く感じるわ」
「う…た、多分僕が本を探すのに手間取ったからかな……ごめんなさい」
「いや、ユージオは悪くないだろう。ちゃんと仕事をしてきただけじゃないか」
「そうよー。会議ならまた明日じっくりやればいいわ……
先ほどの眠そうにアクビこいてた様子はどこへやら、左手に拳を打ちつけるという女の子らしからぬ気合の入れ方をするアリス。
結局、十分後には一度就寝することにはなるのだが。
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深夜。
殆どの野生動物が存在しない瀞霊廷においても、誰かのペットなのかごく稀にフクロウの鳴き声が響き渡る。そして、そんな鳴き声にもピクリと体を震わせて警戒するほど神経を張り詰めているユージオとアリスは、それぞれ部屋の壁とドアに耳を当て、慎重に音と気配を探っていた。
「…………」
「………!」
「………」
そんなユージオの肩を軽く叩いて後ろから合図したのは、雨涵。合図を受けたユージオは音を極力立てないよう慎重に立ち上がって移動し、そのユージオの位置には代わりに雨涵が座る。そして交代したユージオは、先ほどまで雨涵が横になっていたベッドへと向かった。
こんな深夜にこの三人が一体何をやっているのかと言えば、『ユージオ&アリスの偽者捕獲大作戦』である。
実施する作戦内容は至って単純。唯一出現の目撃情報がある夜の時間帯に三人で見張り、その姿を確認したら三人で一気にとっ捕まえる。二人が起きて一人が寝るというシフトを組みつつ、かつて偽物が現れたという部屋の隣に張り込んで音や気配に耳を澄ますのだ。
そう、石和先生に寝不足を看破されたのも、先ほど作戦会議後に仮眠をとったのも全てこの夜の張り込みのため。石和先生にしっかり寝るように言われた際は返事こそしたものの、三人とも守る気はなかった。大人しく言うことを聞いて引くに引けない事情があるからだ。
張り込み自体はずっと気をつけて見張るだけで行為自体に面白さがある訳ではないが…それでも三人とも、この夜の時間は嫌いではなかった。それは子供の性とでも言うべきもので、大人に咎められながらも内緒で企てに取り組むことへの背徳感と高揚感の入り混じったものでもある。とはいえそれはあくまでも副次的な感情であり、この企てはあくまで三人──もとい、ユージオとアリスにとっては真剣な試みなのだ。必ずや、偽者をとっ捕まえて、その目的と企みを吐かせるという。
深夜の張り込みを始めてから、四日が経とうとしている。
しかし、今日もまだ偽物は現れない……。
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『ユージオ&アリスの偽物捕獲大作戦』と並行して、毎日の授業も続いていく。
授業内容自体に大した変化は無く、座学・鬼道・白打・斬術のいずれかを一日数時間受講するといった形のままだ。ただ前回までの授業の日々と違うのは、新たなクラスメイト…アリス・ツーベルクと共に学んでいることだ。
座学の授業では、何か先生が問いかけをするとユージオとアリスの手がほぼ同速度で上がる。するとお互いの間で一瞬火花を散らした後に、「僕(私)の方を指してください」と言わんばかりに先生の方をジッと見据える。先生に指された方は心なしか自信たっぷりに答え、指されなかった方は肩を落として腕を下ろす。まるでクイズ大会の光景だなと雨涵は思う。ちなみに実際に指されて答えた際の正答率は二人とも100%である。
対等に
白打の授業においては、今度は今まで大して目立っていなかった雨涵が台頭を始める。雨涵がユージオやアリスと組み手を始めると数分以内に決着がついてしまう。そのため、大抵は先生が雨涵と実技を交えた指導を行い、その間ユージオとアリスが互いに組み手を行い、時々ユージオ&アリスサイドにも先生が助言をしに行く…というような光景が一般的だった。最初の頃、ユージオとアリスが組み手を行うとアリスが大抵勝利を収めていた。しかしそのうちなんとなくユージオが手加減をしているように感じたアリスがユージオを問いただした所、「アリスの胸とかに触れてしまったら失礼になっちゃう」ことを気にして身が入っていなかったことを顔を赤らめて告白した。それに呆れ果てたアリスが言い放った「じゃああなた、女性型の虚と戦うことになったらそんなこと気にして手加減した挙句、殺されるつもり?」という言葉で気持ち改まったようである。”女性型の虚”なんてものが存在するのかどうかという疑問もあるが。
そして、斬術の授業においては…
「おおおっ!」
「はあっ!」
緑色の柄を持つ斬魄刀と、濃い青色の柄を持つ斬魄刀同士がぶつかり合って甲高い音を立てる。
「また足捌きが甘い! 完全にモノにするまでは足に対する意識を疎かにするな!」
「「はいっ!」」
今日の斬術講師の鋭いアドバイスに、アリスとユージオは揃って返事をした。そして、また剣撃の交わし合いが再開する。その二人の立ち会いを、壁に寄りかかって座る雨涵は真剣な瞳で見つめていた。ただしそれは二人の技術を盗もうとするためではなかった。それは、二人の人格に変化がないかを見極めるため。
そもそも、今やっているような真剣の手合わせ自体は先生から申しつけられたものではない。ユージオ達三人が揃って先生にお願いをしたのだ。真剣での立ち合い訓練をしてみたいと。最初は妙な顔をされたが、ユージオとアリスの竹刀の扱いがほぼ完璧になっているのを確認した上で許可をされたのだ。もちろん、こんなお願いをしたのには理由がある。
ユージオと雨涵が戦ったあの日。あの日のように刀を用いて戦っていればユージオの人格が変わる瞬間が来るのではないか。あるいは、アリスもまた戦いで人格が変わることがあるかもしれない。という考え方のもとで実行してはいるのだが、今のところ雨涵の目から見てもその兆候はない。後で戦っている本人達に聞いても特に実感はないのだという。ただまあその検証を抜きにしても、真剣での立ち合いはどうにも二人にとっては楽しいものらしく、その後授業外でも雨涵を交えた三人交代で勝負をすることも多々あった。その時に互いを傷つけてしまわないよう、寸止めの技術も大分向上した。
全体的に見れば、以前の授業の日々よりも大分
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そんな風に雨涵がちょっと悩み始めた頃の話だった。
毎日の院生達に授業を教えてくれる先生に、珍しい人物がやってきたのだ。
微妙に空が曇ってきた、ある日のこと。
「え、あなたは……確か」
「あ、嘘……ひ、檜佐木さん!?」
「よう、アリス。元気にしてたか?」
左頬に「69」の刺青が彫られた袖なしの死覇装を纏う、九番隊副隊長兼瀞霊廷通信編集長 檜佐木修兵が三人の院生を出迎えた。
ユージオと雨涵は数回言葉を交わしたことしかないが、印象深い隊長格の一人だ。見た目も特徴的ながら、新しいクラスメイト…アリスの到着を知らせてくれた人でもあるからだ。
奇しくも既に何人もの隊長格と顔を合わせた経験を持つユージオと雨涵は、今更隊長格と突然顔を合わせることになっても驚きはしないが、アリスの驚きようは檜佐木の事情を知ってるが故のものであった。
「どうしたんですか!? 副隊長の仕事と瀞霊廷通信の仕事で死ぬほど忙しいって言ってたじゃないですか!?」
「ああ…忙しいのは確かだけどな。お前達のために数時間の工面がつけられないほど、融通の効かない立場という訳じゃねえぞ。オレくらいの立場になると、多少のムチャだって通るってもんだ」
どこか得意げに胸を張る檜佐木副隊長。一応は後輩となる彼らに向かってのアピールだったのだろうが、院生三人にとっては、「檜佐木副隊長スゴイ!」となるよりも、そんな檜佐木副隊長がわざわざ「ムチャ」までして三人の前にきた理由の方が気になっていた。
「そんなことより檜佐木さん! ひょっとして私達に何か特別な用事でもあるんですか?」
「”そんなことより”ってアリスお前……ま、まあいいか。見立ては間違ってねえ。久しぶりにアリスの様子を見たかったってのもあるが…一つ、用事を預かっていてな」
そういうと檜佐木は肩に背負っていたバッグを掲げてみせた。そのバッグに一体なんの用事がと三人揃って首をひねりかけたが、檜佐木はそのバッグを後ろの地面に置いてしまった。
「だがまずは! お前達三人には授業を受けてもらうぞ。曲がりなりにも今日の俺は先生として派遣されたんだ。しっかりと仕事をこなさないといけないからな! しっかりついてこいよ!」
「「「は、はい!」」」