元人工フラクトライト達と二人の死神物語   作:り け ん

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今回は三話更新になっております。
次話、次々話の見逃しにご注意ください。

三つのエピローグを載せて、現世編・前章は終了となります。


第五十七話 Real world edition epilogue side:二人の死神見習い

翌日。

 

 

「どう? 雄次郎、いいの見つかったー?」

 

「うーん、いやまだ悩んでて……って、ええっ!?」

 

 

背後からかけられた愛梨の声に何の気なしに返事して振り向いたら、雄次郎は大層驚いた。

何せ、自分がまだ小さなビニール袋一つ分しか買えてない段階なのに、愛梨の手にぶら下がる巨大な紙袋が1つ、2つ、3つ、4つ…

 

 

「ず、随分買ったんだね…愛梨」

 

「当然! 生活費以外は、こういう時こそお金の使い所でしょ! まあ、これはちょっと大きな品を選んじゃったせいでもあるけど」

 

 

そう言ってガサリと音を立てつつも両腕にぶら下げた紙袋をアピール。女性の買い物は”長くて多い”と小耳に挟んだことはあるが、愛梨の場合は”早くて多い”ようだ。

 

雄次郎は愛梨の即決力を羨ましくも思いつつ、また悩む。

お土産なんて、買うのは当然初めてのため…正解が分からない。

 

雨涵。お婆ちゃん。石和先生。平子隊長、雛森副隊長、日番谷隊長。伊勢副隊長。真央図書館の司書さん。あと…ちょっと恐れ多いけど、京楽総隊長。

最低限、お世話になったこの九人には買っていきたいとは思う…けど、どんなお土産を買ってくれば喜んでくれるのか、全く分からない!

 

一番付き合いの長かった雨涵でさえ、どういうモノが好きとかそう言った話をほとんどしてこなかった。死神としての鍛錬の話とか、「ユージオとアリスの元いた世界を探すプロジェクト」を手伝ってもらった時の話し合いとか…とにかく、雨涵個人の趣味嗜好についての深掘りをした記憶はない。…これでは、クラスメイト…友達失格なのではないかと、今になって雄次郎は後悔する。

雨涵ですらそうなのに、ましてや隊長達のこととか、お仕事で関わったのみの司書さんとかの趣向なんて言わずもがな、である。ならば、そこまで関係の深くない人にまでお土産を用意する必要はない…そう考えることもできるが…。

 

 

「あっ! さてはまた雄次郎の悪い癖出てるわね〜」

 

「わっ!」

 

 

しゃがみ込んで商品を吟味しつつ後悔と悩みに明け暮れていた雄次郎の体に、どっかりとのしかかる愛梨。

本人は尸魂界の頃の感覚でのじゃれ合いのつもりなのだろうが、愛梨の義骸の全体重+多量のお土産が雄次郎の体に乗っかって非常に重い。幸い、すぐに離れてくれたので情けない呻き声を上げずには済んだ。

 

 

「雄次郎は、感情任せになる時と理屈で考える時のバランスが悪いの! どうせ今、どんなお土産あげたらいいかで悩んでいるんでしょうけど…そんなの、悩むだけ時間の無駄よ。だって、お土産の良し悪しなんて私たちは知らないんだもの!」

 

「うっ…」

 

 

直球の指摘をされて、雄次郎は胸を押さえたい気持ちになった。まさにその、自分が普段世話になってる人たちのことを知らないという事実に落ち込んでいたからだ。

雄次郎はそれで一度落ち込むのだが、愛梨は違った。

 

 

「知らないものは知らない! それならせめて、自分の気持ちで選ぶしかないじゃない! ほとんど0に近い状態からあれこれ考えるよりは、自分の直感を信じて選んだ方が絶対いいわよ! それに…」

 

「それに…?」

 

 

「雄次郎がお土産をあげようとしている人たちはさ…雄次郎が心から選んだお土産なら、どんなものでも喜んでくれる人達じゃない? 私は…ちょっと思い上がってるかもしれないけど、そう信じて買ってるわよー」

 

「だって、私が逆の立場だったら…同じだもの。どんなものでも、お土産なんてもらったら嬉しいじゃない?」

 

「……」

 

 

愛梨もお土産を買うのは初めてなのはずなのになかなかのお土産論を持っていて、思わず雄次郎は目をパチクリさせて動きが止まる。

そこからきっかり一分後、スックと立ち上がった雄次郎は、憑き物が落ちたような顔をしていた。

 

 

「…ありがとう。愛梨。ちょっとこの建物、もう一度最初から見直すよ。何も考えずに心のまま、ね」

 

「結構。ゆっくり見て周りなさい。私は荷物を置きに家に戻るから」

 

 

ちょっと偉そうになった愛梨は、ガサガサといくつもの紙袋をざわつかせながらエレベーターを降りに向かった。

 

 

 

 

数刻後、雄次郎が部屋に持ち帰ったお土産の量は、愛梨とは大差ないほどの量だった。

 

 

*

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そして、夕暮れの日差しが優しく空に満ちる頃。

雄次郎と愛梨は、二人揃って空中にいた。

 

もちろんお互い霊体の状態で、だ。

 

 

「愛梨ー。こっちはいつでも大丈夫だよ」

 

「了解! それじゃ、いくわよー」

 

 

そう呼びかけつつ、雄次郎は背中の斬魄刀を抜き放つ。

それを確認して頷いた愛梨は、雄次郎とは距離がある程度離れた空中に立ったまま、既に抜いていた斬魄刀を顔の前で縦にして構える。

 

 

ふぅーと、息を吐いて……彼女は、静かに呟く。

 

 

「想い巡れ…”金星”」

 

 

その落ち着いた声の解号に反応して、愛梨の斬魄刀が黄色い光に包まれた…のも一瞬。

即座に斬魄刀は、金色の刃が夕暮れ直前の光に反射して輝く両刃の剣に変化した。

 

 

(…綺麗。最初はあんな風な剣になるんだ。あのまま振るっても強そうな…)

 

 

解放の瞬間を見た雄次郎はそんな思考を走らせるが、次の瞬間に愛梨がその綺麗な剣を振るう。

すると、刀身が……消えて、

 

 

(…違う! 分裂したんだ! あの時のような、”星の刃”に!)

 

 

一瞬綺麗さに思考が奪われていたとはいえ、その分裂は”消えた”と錯覚するほどの速さ。分裂して移動する軌跡が微かに黄色い線のように雄次郎の目に映っていたのと、”星の刃”に分裂するという事前知識がなければ気づかなかっただろう。

 

 

咄嗟に雄次郎は地面を蹴って、まずは後方に下がる。

こちらに向かってくるであろう星の刃の軌道を見極めるべく。

 

 

視覚と霊覚を使って星の位置を把握せんとするが…分裂した斬魄刀の霊圧探知は、まだ彼にとっては難しかった。霊力のある生物の体と違って斬魄刀自体は、ほとんど霊圧を発しないからだ。

 

視界に捉えた星の数は二つ。霊圧感知でそれらしきものが一つ…しかし雄次郎は覚えている。あの時みた星の刃の数は…確か、六つも。

 

その瞬間、雄次郎の感知範囲外から強めの霊圧が。

 

 

「そこっ!」

 

 

雄次郎は体を捻って、その正体を見極める前から自分の左斜め下に向かって感覚的に斬魄刀を振り下ろす。

その瞬間に、斬魄刀にジンと響く衝撃。手にまで届くほどの衝撃だったがせいぜい手を強めにぶつけたとかその程度だ。

 

 

(今 受けたのは、たぶん破道の一番…)

 

(あの星は、鬼道を放てる。その瞬間なら、霊圧感知はしやすい!)

 

 

雄次郎の視界の隅に、先ほどは感知できてなかった星が回転しながら離れていくのが一瞬見えた。愛梨の鬼道の発射砲台となり得る星の刃。それを感知しきるのは今の雄次郎には難しいが、鬼道放つ瞬間に発生する霊圧の高まりならば感知は容易。今のように、放たれた破道の一番『衝』を刀で迎撃することもできる。

 

 

しかし、愛梨の斬魄刀の厄介なところはここからだ。

 

 

(…っ! 今度は、二ヶ所同時!)

 

 

運が良かったのか愛梨がわざと意図したのかは不明だが、今度は雄次郎が視覚で捉えていた二つの星の刃から攻撃の予兆を感知。雄次郎が二つの星から視線を離さないようにしつつ体を反転させて体勢を整えたの同時に、星が鬼道を放つ。

 

破道の二番『切』と破道の一番『衝』を…()()()()で。

 

 

「!!」

 

 

二つの星から、三つの攻撃。

星一つにつき一つの攻撃しか飛んでこないと、雄次郎は知らずのうちに危険な固定観念を脳裏に持っていたために、危ういことになった。

斬魄刀で『切』と『衝』を同時に迎撃し、残り一発の『衝』は斬り払った勢いのまま体を回転で躱すが、かなり無理な体勢だ。

その無理に捻った体の背後に星をまた二つ感知…!

 

 

「縛道の…三十九! 円閘扇(えんこうせん)!」

 

 

体を咄嗟に戻すのは間に合わないと判断。まだ攻撃も放たれてはいないが、雄次郎は腕だけを感知した方に伸ばして鬼道の盾を作る。もしあの星がフェイクだとしたらただ無駄な行動になってしまうが…逆に本当に攻撃が飛んでくる場合、こうしなければ防げなかった。

 

しかし雄次郎の想定通り、円閘扇の盾の向こう側から攻撃がぶつかり複雑な音を立ててるのが聞こえる。

その隙に雄次郎は再び体を戻して正面…今まで見る余裕すらなかった愛梨…いや”アリス”の方に顔を向ける。

 

刃がなくなった剣を縦に構えたまま険しい顔をしているアリスを見据えた瞬間、雄次郎とアリスの間に星が三つ立ち塞がる。…が、雄次郎はその星の動きを読んでいた。

 

 

「破道の三十一…赤火砲!」

 

「!」

 

 

雄次郎が刀の持手と逆の手で放った鬼道は、赤き爆発の砲弾。

対する彼女は…これを星の鬼道で防ぐことを選んだ。アリスが意識で指令を出すと、三つの星のうちの一つが同じ赤火砲を放つ。

 

二つの爆発は相殺され、雄次郎とアリスの間に中規模な爆発が巻き起こる。

 

当然、お互いに視界は塞がれる。

爆発による霊圧の拡散により霊覚感知も働きづらく、これでは星で狙いはつけ難い。星が三つも爆発に巻き込まれたが、それくらいで傷がつくほど斬魄刀は軟じゃない。

 

なぜ、接近戦主体の雄次郎がわざわざアリスの得意分野である鬼道で勝負を挑んできたか。

その答えは…一つしかない。

 

 

まだ爆発の黒煙と熱気が渦巻く中、そこを突っ切って一つの影が現れる。

赤火砲で爆発を巻き起こして、目くらましと霊覚のかく乱を図った。全ては、雄次郎が接近戦に持ち込むため。

 

 

「っ…!破道星舞(はどうせいぶ) 八四番(はちよんばん)雷嵐直下(らいらんちょっか)!!」

 

 

アリスはそれを予期して、とっさに下がって距離を取っていた。その上で咄嗟に破道星舞…この斬魄刀でしか放てない、アリスの独自鬼道が放たれる。

破道の四番『白雷』と破道の八番『直空』の融合により、渦巻く風が雷を伴い巻き起こる。霊力消費も少ない割に威力と範囲が大き目のこの鬼道は、咄嗟の迎撃にピッタリであった。

 

あと数瞬速ければ、雄次郎を風で吹き飛ばしつつ雷の麻痺によって動きを止められただろう。

 

だが、雄次郎の速度はアリスの動きより遥かに速かった。その上先ほどの赤火砲で三つの星は分散された。今鬼道を放ったの三つの星の位置は遠く、防御に戻すのは間に合わ…

 

 

ガッ!

キ─────ィン。

 

 

「「……!!」」

 

 

ぶつかり合う鈍い音と、金属音。

雄次郎の”未開放”の斬魄刀と、刃のない剣の鍔の部分がぶつかり合い、拮抗する。

 

そのまま十秒ほど。両者は動かなかった…が。

突如、勢いもよくバッとお互いに離れて距離を取る。

 

雄次郎は斬魄刀を背中に収め、

アリスは六つの星を呼び寄せると、剣の柄に一列に並ばせ…それは一つの剣に戻る。

そしてその剣は再び封印状態に戻り…”アリス”が”愛梨”に戻ったその瞬間。

 

 

「「ぷはー----!!」」

 

 

重苦しい空気を吹き飛ばすかのように息を吐き、雄次郎と愛梨は空中に寝っ転がった。

 

 

*

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「思った通り、愛梨はすごいや。あれだけ強力な始解…しかも、習得してから10日ちょっとで、あれだけの動きができるなんて」

 

 

部屋に戻った雄次郎は、素直な感嘆の言葉を伝える。それは決して過剰な褒め言葉というわけではない。

実際、自在に軌道を変えて飛び回り鬼道を放ってくる六つの星を前に雄次郎は翻弄されていた。愛梨の放つ鬼道が一番台のものだったからなんとか対応できてたが、愛梨が本気だったなら赤火砲 黄火閃 蒼火墜などの連続攻撃を行っていたはず…。もしそうされていたのなら、雄次郎は無傷では済まなかった。

一方の愛梨は、早めの晩御飯を部屋備え付きの冷蔵庫から取り出しつつ答える。

 

 

「私なんてまだまだよ。星の操作に集中してると、どうしても自分への攻撃の反応が遅れちゃう。さっきのだって、もし雄次郎がアインクラッド流を使ってたら受けきれず、斬られてたわ…。そういえば、せっかく模擬戦するなら、雄次郎も始解すればよかったんじゃない? そうしてたら、もっと…」

 

「まあ、僕の始解は…しばらくは封印かな。”もっと強くなるため”に、”戦うべき相手”がいるから…ね」

 

「…?」

 

 

雄次郎は、自分の斬魄刀を見つめながら小さく呟いた。

愛梨にはよく分からないが、アリスから「心意」についての体験談と心構えを聞いてからと言うものの、雄次郎の様子が少し変わったように思える。と言っても性格や人格が変わったという大袈裟なものではなく…どうにも何か頭で考えを持っていて、それを実行するために準備をしているように思える。

 

愛梨はそれを詮索するつもりはないし、雄次郎のことだ。悪いことや不義理なことを企んでないことは信用できる。ただアリスが言っていた通り、「思い詰めすぎない」かどうかだけが、不安である。

 

夕飯を温めつつ回る電子レンジ内の皿を見つつ、愛梨が話す。

 

 

「明日…お昼頃に尸魂界へ帰る予定けど、この後 雄次郎はどうするの?」

 

「僕…僕は、夜になったら、もう一度見に行く予定なんだ。映画を」

 

「えいがを…?」

 

 

電子レンジから取り出した夕飯の熱さと雄次郎の言葉で二重に驚く愛梨。

 

 

「本当は二回も見に行くつもりはなかったけど…明日帰る前に、『心』に焼きつけておくべきだと思って」

 

「…それも、”もっと強くなるため”かしら?」

 

 

夕飯を机の上に置いて自分の推測を何気なく口にすると、雄次郎はピタリとちょっとの間動きを止めた後…フッと小さく笑った。

 

 

「これで強くなれるかは、僕の『心』と『意志』次第だけど……やってみせるよ。必ず」

 

 

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現世へ帰還する、最終日。

二人の計画としては、午前中に最後の現世散策をした後に、念の為人目のつかない場所を選んで穿界門を開いで現世に帰還する予定でいた。

 

それぞれ自由行動していたが、全くの偶然で同じ本屋でバッタリと出会って、お互い思わず笑顔になりながら一緒に本屋を後にしたり、部屋に戻ってみると愛梨が衝動買いしたという絵本…漫画が43冊積まれていたりと、比較的平和に事が進んだ。

 

しかし大変なのは、いざ帰還のための準備をしようと思った瞬間。

雄次郎も愛梨も…大事なことを忘れていた。

 

現世のものは、そのままでは尸魂界には持ち込めない。現世の「器子」の物質は、全て「霊子」に変換しなければならないのだ。もちろん、たくさん用意したお土産や、愛梨が衝動買いした漫画43冊も…全て。

 

元々現世の物質を尸魂界に持ち込むことは基本的に想定されてないため、特別な用途に使うもの以外の穿界門には霊子変換機能はない。お土産を持って帰ること自体は検疫局を通過すれば問題ないことを事前に確認済みではあるが、問題は、この大量のお土産を一つ一つ小型の霊子変換器を通して変換する必要があること。

 

まるで機械の一部にでもなったかの如く、延々とお土産を霊子変換器に通し続け…全ての霊子化が終わる頃には、午後三時を回っていた。

もはや二人にとって、名残を惜しんだり今までの現世駐在を振り返ったりする余裕はなかった。

万が一、帰還が間に合わなくなったりしたら今度こそ面目の立ちようがない。

 

両手、肩、背中。身体中あらゆる所にお土産と荷物をくくりつけた雄次郎と愛梨が、人通りの少ない河川敷に立つ。たかだか10歳前後の男の子と女の子が埋もれそうなくらいのお土産をくくりつけているその様子は、明らかに異常な光景だった。普通の人には見えない霊体状態だったことは、本当に良かったと言える。ただ、見た目ほど二人は重さを感じてはいなかった。伊達に死神としての訓練を重ね、戦うに足る霊力を身につけていないというわけだ。ただし、この小さな体では持つための手の長さや体の大きさに難があるのが悩みどころではあった。

 

 

文字通り手一杯な状態でも、なんとか雄次郎は数本の指を操り…斬魄刀を宙に差し出してくるりと半回転。そうすることによって、その斬魄刀を起点として穿界門は開かれる。その一方で、愛理の方は地獄蝶を解放する。

 

背中にいっぱい荷を背負うために、いつもと違う腰部分に差した鞘に斬魄刀をしまうと、急ぎ現世へ帰還するために足を踏み出す…

 

 

前に足を止めた雄次郎は、ふと後ろを振り向いた。

当然、そこには誰もいない…が。

 

 

 

この世界には、キリトさんがいる。

 

 

 

最初はキリトさんが、ユージオとアリスの世界…”人界”という世界への手がかりとなり得る人物だと思っていた。しかし、それ”だけ”ではなかった。

彼は…兄が、ユージオが…確かに求めた存在であり、その逆でもある。

 

キリトさんとユージオ。二人は、並々ならぬ想いで繋がってる。

自分達が推し量ることはおそらく不可能なくらいに、深く。

 

 

 

それを、”二度と”途切れさせる訳には、いかない。

 

 

 

今、兄が斬魄刀の中で何を想い、苦しんでいるのか……全てわかっているとは言わないけど。

自分達のやってることが、必ずしも全てを幸せにするとは限らないけど。

 

 

 

それでも。

 

 

 

(…もうちょっとだけ、待ってて。兄さん)

 

(キリトさんと、兄さんの再会を………今度こそ、完全に…成し遂げるから)

 

 

 

 

雄次郎は、”二つの決意”を胸に…前を向いて、愛梨と共に穿界門へ一歩踏み出す。

 

 

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(……僕は、もっと強くなる)

 

(そうすれば…きっとあの時の質問の答えを、見つけられる)

 

 

 

 

 

───何も与えられないのに、どうして君はその人を護るの?

 

 

 

 

 

(そうだ…その問いに、すぐ答えられない自分が、”護る”なんて、軽々しく言えない)

 

(だからといって、この場ですぐに答えを出すのは、違うと思った。僕にはまだ、護るための強さがないから)

 

(”強くなれる理由”によって、僕が本当に人を護るための力を身につけた時までに…貴方の質問の答えを見つけて、直接 貴方に伝えたい)

 

 

 

 

(…だから、もうちょっとだけ。待っていてください……”騎士さん”)




【こぼれ設定話 その9】
愛梨が始解を習得したのは、現世に来てから。
第四十六話の日誌に、始解の特訓にのめり込んだ結果の愛梨の姿が書かれてます。
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