元人工フラクトライト達と二人の死神物語   作:り け ん

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二話連続更新です。
次話の見逃しにご注意ください。

事情が重なり大変遅れましたことをお詫びいたします。
なんとかこのまま走っていけるよう善処できればと思います


第六十一話 The Knight Commander and the Strongest Soul Reaper

 

話は一週間程前に遡る。

 

 

 

護廷十三隊の恒常任務の一つに『流魂街の巡視』というものがある。

瀞霊廷は流魂街の住人に対して基本的に不干渉を貫いているが、それでも普段から完全放置というわけではなく、死神が一定周期で街を見回ることが定められている。

巡視の理由としては「流魂街に出現する虚の察知・討伐」「流魂街及びその住人に関わるトラブルの解決・采配」そして「流魂街住人の監視」 がある。

例えば、もし万に一つでも流魂街の住人が結託して死神達に対して反乱──尸魂界の長い歴史の中で一度もそのような事態はなかったとされているが──を起こそうものなら、死神側としては相当にやっかいなこととなる。

 

加えて、この任務にはある程度の危険が伴う。虚の討伐が関わる可能性があるから…というのもあるが、それ以上に危険なのが『流魂街の住人』である。

 

流魂街においては、数字の高い地区…瀞霊廷より離れている地区ほど、監視の目が行き届かず治安が悪い。盗人や荒くれ者、人攫いや殺しが彷徨く地域では、死神ですら気を抜いて歩ける場所ではない。

死神としての技術や武術を駆使すれば、貧弱な武器や徒手同然の流魂街住人など本来は物ともしないはず…しかし実際に、流魂街へ巡視に向かって以降消息が途絶える死神の例が報告に上がってくる例は存在する。いかに死神とはいえ、油断や多数からの襲撃を前にしては、流魂街の荒くれに不覚をとることもあるということだろう。加えて、より遠くの地区とあれば危機とあってもそう簡単に仲間の救援が来ることも難しい。

 

 

そう言った事情もあり、遠地区の流魂街巡視任務はある程度腕に覚えのある死神が向かうことが通例となっている。特に、平時においては戦闘特化部隊として名高い十一番隊の隊士が任につくことが多かった。

 

そして、当然今日もその任務のために隊士が数名出向くはずだった…が。

 

 

今日ばかりは、特別な日だった。

 

 

 

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“技術”というよりも”力づく”という言葉が正しいくらいの荒々しい瞬歩によって、駆け抜けることしばらく。ようやく彼は瞬歩を止めてピタリと足を止めた。

目的地らしい目的地を明確に意識しながら駆けてきた訳ではなかった。彼が足を止めた基準は”血の匂い”が感じられるようになったこと。

 

 

「…懐かしいじゃねぇか」

 

 

その男は、小さくそう呟いて微かな笑みをこぼす。とはいっても、実は彼がこの東流魂街七十四地区『腐壕(ふごう)』に来るのは初めてであった。

だがこの荒廃しきった光景と、鼻をつく錆びかけた血の匂いが、彼にとっては高揚と懐かしさすら湧き上がらせるものに他ならない。

 

無自覚に自らの霊圧をより一層強く発しながら、彼はゆっくりと歩み始める。だが、彼が出向くという時点でもはや巡視というのは半ば意味を失っているも同然だった。

なぜなら、ほとんどの荒くれはその霊圧を前に()()()()()()気絶したりしてまともに動けなくなるか、仮に動けるとしても、その人物の纏う”隊長羽織”を前にあらゆる悪しき意欲は失せるだろうからだ。

 

 

護廷十三隊 十一番隊 隊長 更木剣八

 

 

本来、隊長ともあろう立場の人間がこのような末端の仕事を行うことはまずない。…ないのだが、それを咎めようとする人物は存在しない。

戦時にはこれほど頼もしい存在はいないのだが、平時となってくると彼が役に立てることは少ない。平時のメインである書類仕事は大の苦手であり、そのほとんどを部下が──具体的には彼の右腕的存在である第三席が──行っている。

そのため普段の更木剣八といえば稽古場で部下相手に乱取りしているか、散歩がてらの区画見回りや昼寝をしたりしてるかだが…そんな彼が平時でできる仕事らしい仕事といえば、この流魂街の巡視なのだ。隊長格がやるような仕事ではない…のは確かだが、逆に言えばこれほど彼にぴったりな仕事はない。危険と隣り合わせな仕事と言っても、彼にかかれば万が一も起こり得ない。

 

ただ一つ心配されていたのが、方向音痴としても名高い彼が無事に瀞霊廷に帰れるかどうか。それを懸念して十一番隊の三席や五席が共についていこうと名乗りをあげたのだが、半ば強引に振り切られてしまった。現実問題として、たかだか見回りに書類仕事ができる数少ない部下が二人も同伴するのは明らかに無駄なため、その判断は正しいのだが…更木剣八はそこまで深くは考えてはいないだろう。

 

彼はただ、強者と巡り合った際に、一切の邪魔が入らないように念を入れただけのこと。

巡視と銘打っていても、内なる目的はただ一つ。

 

強者との殺し合いである。

 

 

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とは言っても、簡単に出会えると思うほど剣八は楽観的ではなかった。

確かに、死神には流魂街出身といえど類まれなる戦闘力の才能を持つものはたくさんいるが、それでもこの流魂街全体の人口からいえばほんの一握りにすぎない。それほどの戦闘力の持ち主にバッタリ会えるとは到底思えない。なので、剣八からしても何もしないよりマシ。あわよくば…という気持ちで歩いていた。現世風に例えるなら、確率の低い宝くじをとりあえず買ってみるか、という心境に近いだろう。

 

何もしないよりかはマシ、という気持ちで歩きだした更木剣八だったが…その歩みは数分もしないうちにすぐに止まることになる。

 

 

「…?」

 

 

その片目に浮かぶのは、疑問の色。もう一度、鼻をスンを動かして…歩みの方向を変えた。

そこから十数歩も行かない内に、剣八の目の前に一人の人物が現れる。

 

 

「…おい」

 

「ひ……ひぃ!?」

 

 

…というより、剣八の方がその人物の前に現れたと言った方が正しいだろう。なぜならその人物は、腕と肩から血を流しつつ、倒れ伏していたのだから。

そしてその傍らには、真っ二つにへし折れた斬魄刀が転がっていた。ただし、その刀の元々の持ち主が目の前の人物ではないことは、剣八にも容易に察することができた。

 

 

「随分楽しそうなことやってるみてえじゃねえか。なあ、おい。どこでやりあってやがった?」

 

「あ…あ……!」

 

 

怪我を負い、武器も失い、戦意も消え失せ、その状態で強大な霊圧の隊長を前にして、その人物はまともに口を開くことすらできない有様だった。剣八は舌打ちして、仕方なくまた歩みの向きを変えて歩みだす。導き出す目的の方向は半分は勘で、もう半分は…血の匂いを頼りにして、更木剣八は進む。彼にとっては、霊圧云々で探るよりも、()()()()()()()の方がまだ良さそうだと思ったからだ。

 

 

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勘と匂いと元にして歩く更木剣八だったが…歩いていくうちに、またその脳裏に疑問がちらつく。

 

 

最初に歩みを進めていた時、妙に血の匂いが強いのに気がついた。このように高い数字の番区ではどこかしら血の匂いがあるのがむしろ普通だが、それにしても、数歩歩いただけで妙に匂いが鼻がついた。

最初は大規模なドンパチでも始まったのかと思って、剣八は内心高揚していた。だが…こうして歩いていると、明らかな違和感が剣八に伝わってくる。

 

歩いているだけで、そこらで血を流して倒れている住人が散見される。もしドンパチが行われていたならば、それ自体はごく普通の光景だ。

 

 

違うのは()()()()()()()()()()()()ことだ。

 

 

倒れている住人は全員、生きている。血を流す怪我をしている者がほとんどだが、そのいずれも致命傷とはいい難い程度だ。無論、そのまま放置しておけば失血死するだろうが、適当でもとりあえず止血すれば命に関わることはないだろう。更木剣八に言わせれば怪我の内に入らないくらいだ。

流魂街住人の無作為なドンパチで、こうも手加減し合うような戦いがあったとは考えにくい。となると、考えられる可能性は…。

 

剣八の口角が、微かに上がる。

おそらく、”一人だけ”だ。流魂街の荒くれ達を相手取り、全員を”怪我”で済ませるくらいの加減で戦えるヤツが、一人だけ。そこらの有象無象と隔絶した強さがなければ、出来ない芸当だ。

 

それほどの腕前があるなら、殺すのも容易だろうに。それをしない気性は、荒くれ達にとっては幸運だろうし…その強さが本当ならば剣八にとっては………

 

 

僥倖となる。

 

 

*

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*

 

 

やがて、更木剣八の足取りが止まる。その片目が、目前に大きな岩に座っている一人の男を見定めて細まった。

ただし…剣八の視線に映る男は対象的に、目を閉じたまま眠っているように見えた。

 

座っている状態でも分かる男の頑丈な体躯は、剣八に迫るほどの大きさ。顔に刻まれつつある皺から、そう若くはない年齢(人間基準)と分かるが、その年齢まで鍛え上げたと分かる筋肉の膨らみも同時に感じ取れる。そして、青の着物の隙間から覗くその体には、まるで歴戦を経験していたかのような古傷が見える。

 

だが…そこに、最近ついたような新しい傷は何一つなかった。

豪傑という言葉が似合うような、そんな男だった。

 

剣八が、無造作に腰の刀に手を置く。その瞬間に、男の瞼がゆっくりと持ち上がる。

その男の肩に立て掛けてあった刀……斬魄刀がカチャリと音を立てて揺れると同時に、淡い水色の瞳が剣八の視線と交差した。

 

 

「よう」

 

 

剣八は、気楽な風に声をかける。

 

 

「ここいらで楽しそうなことしてんのは、手前(てめえ)みてぇだな」

 

「…楽しんでるつもりは、ねえんだけどな」

 

 

深みのある錆び声が、剣八の言葉に応える。

 

 

「ここいらの連中は、やめろと言っても剣で斬りかかってくるもんだからな。仕方なくこの剣で相手したんだ。ま、俺の剣というより”拾い物に近い”が…命までは取っちゃいねぇよ」

 

「そうかよ。そいつぁ楽しそうだ」

 

 

さり気なく男の価値観とはズレた言葉を返した剣八が、無造作に置いていた右手の下の刀…その柄を握った。

 

 

「もう充分休んでんだろ? なら次は…俺も混ぜてもらおうじゃねえか、なあ?」

 

「……まあ、待ってくれよ。あんたともやりあう気はないし…知りたいことが、山のようにある」

 

 

刀を抱えてゆっくりと立ち上がりながら、男は瞳を動かして観察する。

 

 

「あんたのその身なり…この村の人間とは違う。どこかの組織か…統治してる側の人間か?」

 

「……まあな。人間っつーか…俺ぁ『死神』だ」

 

「…しに……『神』だと?」

 

 

微かに眉を潜めた男に対し、改めて剣八は名乗りを上げる。

 

 

「護廷十三隊 十一番隊隊長 更木剣八だ」

 

「流魂街を騒がす輩は討伐する…って建前だが、んなこたぁどうでもいい…!」

 

 

右手に握った柄を持ち、剣八はゆっくりと刀を引き抜く。鈍い色の鋼が、日の光に反射を始める。

 

 

「俺はここに、手前(てめえ)と殺し合いに来た…!」

 

 

 

 

 

 

「こりゃあ…オレの質問は聞く気がなさそうだな…」

 

 

剣八の様子を見て小さく息を吐いた男は、ゆったりと立ち上がった。

一見、気だるげに見えるその様子だが、その動きを見た剣八は微かに目を細める。

 

 

(…隙がねえな)

 

 

例えば、今この瞬間に自分が斬りかかったとしても、相手は即座にその傍らの剣で応戦してくるだろう。

霊圧等の判断基準なくしても分かる。目の前の男の持つ戦闘の経験からなる、体の動き。ただ立ち上がるという何気ない動き一つとっても、無意識に現れるその感覚。それを見抜くことができる。

 

膨大な闘いの経験を持つ更木剣八も、同じだからだ。

 

一分の隙もさらさないまま、男は右手で傍らの刀の柄を握った。

 

 

「だが…せめて、だ」

 

「この戦いが終わったら、教えちゃくれねぇか?この”世界”のことを…色々とな」

 

 

「ああ…んなことなら、構わねえよ。だから、とっとと刀を抜きやがれ」

 

「余計なことを考えるんじゃねえよ。これからは、闘いのことを考えろ」

 

 

男の要望に対して気軽に約束を交わした剣八が、刀を振り抜いて構える。

男は、左手の鞘を腰の帯に差すと、どっしりと腰を鎮めて刀を構えた。

 

 

手前(てめえ)、名は」

 

「………名か。そうだな…今となっちゃ、どっちで名乗ろうか…迷うとこだが」

 

 

 

「久しぶりに、こう名乗ろうか。オレの名は、ベルクーリ・ハーレンツ。今は、ただの剣士だ」

 

「そうかよ!それじゃあ剣士らしく、この闘いを楽しもうぜ! ベルクーリ!!」

 

 

そう叫んだ剣八は、大地を揺らし一気に距離を詰め、愛刀を振りかぶった。

 

 

*

*

*

*

*

 

 

ガッ キィイ!!

 

 

「はっはァ!!」

 

「…っ!」

 

 

刀が、交差する。

二人の踏み込みにより、地から砂塵が舞う。その砂を切り裂き、剣撃がぶつかり合う。

 

その巨体からは想像もつかないほどの跳躍から振り下ろす刀の一撃。それをベルクーリは受け止めるのではなく、振り下ろしの瞬間に側面から刀を当てて軌道をずらす。剣八はそこから即座に剣の軌道を変えての斬り払いを放つが、半歩下がったベルクーリに躱され宙を斬る。しかし、そこから勢いを止めずにさらなる一回転の勢いからの一撃…だが、その剣が一回りしてベルクーリを襲うより早く、隙の時間を縫い込むようにベルクーリの一閃が剣八の首筋を狙い叩き込まれる。

 

ガッ!!

 

それに対し剣八は、なんと空いていた左手で剣の側面をぶっ叩いて勢いを止める。その瞬間に右手の刀が回転の勢いを持って襲いかかり…甲高い音を立てて、両者の剣が拮抗する。

数秒の拮抗の後…徐々に、両手で握ったベルクーリの刀が、片腕で振るった剣八の刀を押し退けはじめる。

 

 

「……はァ!」

 

「っ!!」

 

 

しかし、剣八が笑みを深めた瞬間に、ベルクーリの刀が一気に下方へ押し戻される。しかしその瞬間にベルクーリが刀を斜めに傾けて剣八の刀をいなし、咄嗟に後ろに下がる。

 

 

距離が空く二人。ベルクーリは顔を顰めつつ改めて刀を構え直し、剣八は今の手応えを元に、自らの霊圧を調整する。

 

 

──もう少し…いけるみてぇだな……!

 

 

*

*

*

 

 

更木剣八は、常にギリギリの死闘を望んでいる。

彼が渇望するのは、強者との命の削り合いで生じる魂の熱。それに近いものを少しでも感じるため、更木剣八は最初の剣撃で相手の実力を測り、それに合わせて力を調()()()()。それによって、自分より実力が劣る相手でも、自らが望む死闘に近づけるのだ。

かつて更木剣八は、自らの過去とその癖が生じて、本人が本気を出しているつもりでも力を開放できていない──所謂”枷”で無意識に自らを縛りつけていたが、ある闘いを気に剣八は自らの力を完璧にコントロールできるようになった。…あくまで”始解まで”に限る話だが。

 

当然、このベルクーリとの対峙においても、最初の応酬で加減の調整を行っていた。

そしてその中で、剣八はベルクーリの実力を…その奥に秘めたものまで見抜かんとする。

 

 

再び剣八は地を蹴り、ベルクーリに迫り刀を振り上げる。

対するベルクーリもその剣撃に応じて一歩踏み出し、剣八の刀の軌道を縫うようにズラし剣八の胸元を狙う…が、強引に刀の軌道を変えた剣八がベルクーリの刀を弾く。

 

その時、ベルクーリの両手に響く衝撃と痺れ。彼の瞳が微かに険しくなると同時に、剣八の刀が再びベルクーリの首元を狙い横薙ぎに振るわれる。

 

体を半回転。その勢いでベルクーリは剣八の刀を受け止める。腕に…衝撃が、より強く響く。

 

 

「……あんた、随分と剣の威力が変わってるじゃねえか。まるで、別人と戦ってるみてえだ」

 

「ハッ! そんだけ言えるっつうんなら、もうちったぁやれるってこったなぁ!!」

 

 

ゴリ押しにも近い理屈で、剣八が更にもう一歩踏み込み力を込める。ベルクーリが刀を斜めに滑らせその力を受け流し、剣八の刀を弾きながら後方に下がる。

 

 

「随分…力加減が上手いみてえだな。正直、見た目でちょっと誤解してたぜ」

 

「言うじゃねえか。だがそいつぁ…()()()()ってやつじゃねえのか?」

 

「…………」

 

 

二人の剣撃は一度停止している。が…もし第三者がこの場にいれば、二人の間の空気は、より熱が上がったように感じられるだろう。

剣八は軽く舌なめずりすると、自らの斬魄刀を向ける。向けるその先は、ベルクーリが握っている斬魄刀へ。

 

 

「その得物…随分使いづらそうにしてたじゃねえか」

 

「……」

 

「無駄に太刀筋ズラしたりしやがって…正直、それで斬っちまってたら興ざめだったが……うまくやれてはいるみてぇだな」

 

 

更木剣八は、理論的に闘いを分析するタイプではない。

だが…彼が特に敏感なのは、相手が如何に”全力を出せていないか”。自らの力を抑え、調整するのが癖となっている剣八だからこそ分かる、その目利き。

 

奥底に根付く闘いの本能が告げる。目前のベルクーリには、まだ…出していない力があると。

 

 

「だがよ…てめえ、その得物が本気じゃねえんだろ?」

 

「…………」

 

「とっとと()()しやがれ。じゃねえと…」

 

 

 

 

──闘いが、すぐに終わっちまうだろうが………!

 

 

 

 

更に、二人の間の温度が上がる。

いや……正確には、剣八から発せられる霊圧の奔流が更に荒れ、熱を帯びているのだ。

ベルクーリは、霊圧(それ)の存在は感じ取れてはいたが、名を知らない。故に闘いに昂揚する相手の”心意”の圧が顕著に表れていると解釈していた。

 

 

そして、それが荒れ狂うようにこちらに圧をかけてくる以上…適度な闘いだけで終わらせる訳にもいかないことを察した。この圧、この心意…更木剣八の言う通り、ここから手を抜こうものなら……

 

 

「…………仕方ねぇか」

 

 

今のこの世界で、自らの全力が生前の全力とどれほど違うかは分からないが…

ベルクーリは…内に湧き上がってきていた高揚の感情を、”心意”として刃に纏う。

 

 

そう。穏便に済めばそれに越したことないと思うベルクーリの心中だったが……その根底では更木剣八とほぼ同質、”戦闘そのものへの歓び”は確かにあったのだ。

 

 

未知なる世界で立ちはだかる未知なる強敵。

もはや、穏やかに闘いを終わらせることは不可能。

 

 

ならば今度は、ただ 純粋なる正の心意で、

 

 

 

「瞬宵一刻 迫り来れ! “時穿剣”!!」

 

 

 

全力で、立ち向かうのみ。

 

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