元人工フラクトライト達と二人の死神物語   作:り け ん

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二話連続更新です。
次話の見逃しにご注意ください。

今年はまともに更新できず申し訳ありません。
生存報告を兼ねた投稿になります。


第六十三話 Five-person meeting ①

「ざ…更木隊長と……戦ったんですか!?」

 

 

島崎雄次郎は、思わず素っ頓狂な声を出した。自分でも驚くくらいに外れた音程で。

 

 

「…強かったなァ、あの男は。最後まで戦ってたら…俺はここにいたかも怪しいな」

 

 

思い出すように独りごちるベルクーリだったが、命の危機を経験したとは思えないほど平然とした口ぶりだった。

一方、雄次郎と愛梨は開いた口が塞がらない。護廷十三隊 隊長。その中でも戦闘特化部隊の十一番隊 最高戦力の一角である更木隊長と渡り合ったというのか。死神を目指して鍛錬してる自分たちは、更木隊長相手に数秒も持つ自信はない。特に、更木隊長の霊圧を一度身近で感じている雄次郎は、今も震えが蘇ってくるほどだ。

 

死神としての鍛錬を一切行ったことのないであろうはずなのに、更木隊長と渡り合うこの男。だが、闘いに関して全く素人とはとても思えない。雄次郎と愛梨も、観察すればそれくらいの分別はつく。

 

何より、自分たちが観察せずとも…自分たちの兄姉が、この男性のことを知っている。

 

 

「だが、こちらの総隊長サンが止めに来て…結果、俺はここにいる。この世界について、色々と教えてはもらった……正直、まだ飲み込めねえ部分は多いがな」

 

「そこの二人も…そうなんじゃねえか?」

 

 

ベルクーリが視線を向けた先。彼の向かい側のソファーに座すユージオとアリスは小さく唾を飲み込む動作をする。

飲み込めてない部分…そう、確かに二人はこの世界に来てから、懸念・不安……そして、”後悔”を心の奥底に押し込めたまま、今日まで妹弟達を見守ってきた。自分たちの人生や気持ちは、もう終わったものだとして。

しかし…目の前にいるのは、かつて自分たちと同じ世界にいたはずの…世界最古の騎士、ベルクーリ・シンセシス・ワン。彼の…()()()()()()、ユージオとアリスにとって、特別な……!

 

 

「ベルクーリ……あなたがここにいるということは……まさか…?」

 

 

 

 

「おう、二人と同じく…俺は、死んだ。……戦争でな」

 

「せん、そう…」

 

 

喉がつまったように、ユージオはその言葉をうまく反復することができなかった。戦争…その意味は知っているものの、当然彼には経験したこともなく、耳にすることもなかった。

 

……いや。

 

 

────きたるべき闇の軍勢の総侵攻に、現在の整合騎士団では抗しきれないとお考えだったのは、騎士長ベルクーリ閣下も、副長ファナティオ殿も御同様でした。そして…この私も。無論、我ら騎士団は、最後の一騎までも戦い抜き果てる覚悟でしたが、しかし最高司祭様には、騎士団なきあとの無辜の民びとを守る手立てはおありだったのですか。よもやお一人で、かの国の大軍勢を滅ぼし尽くせるなどとお考えだったわけではありますまい!

 

 

 

────……俺とユージオは二年前、果ての山脈を貫く洞窟の奥で、反対側の入り口から侵入してきたゴブリンの集団と戦った。きっと、当時その周辺を受け持っていた整合騎士が見落としたんだろう。そんなことが、これからは頻繁に起きる。やがて侵入は侵略に変わり、あなたがこれまで苦心して維持……あるいは停滞させてきたこの世界は、容赦ない破壊と暴力に晒される。そんなこと、もちろんあなただって望んじゃいないだろう。

 

 

「……っ」

 

 

ユージオの脳裏に、突如声が響いた。いや、正確には”蘇った”というべきか。

戦争という言葉ではないが、ほぼ意味を同じくする侵攻 侵略という言葉。あのときの…二人の言葉。長いその言葉が、一字一句違わず、ユージオの脳裏に浮かんだ。

 

一方、アリスは少し興奮したように上半身を乗り出して、上ずった声で尋ねる。

 

 

「ねえ、おじさん! ベルクーリの小父さんは…本当に、私達の…ルーリッドの村の…!」

 

 

その問を聞いたベルクーリの瞳は…優しく、緩んだ。

 

 

「そうか……少年…お前さんも確か、そう言っていたな…」

 

 

 

 

 

 

「ルーリッド……嗚呼、懐かしい名だ」

 

「「……!」」

 

 

ベルクーリの独り言に近いその言葉は、ほぼ答え合わせに近かった。目の前にいるのは、本当に…自分たちの村の初代入植者であり…伝説的豪傑。ルーリッド村の出身者で、その名を知らぬ者はいない。

 

 

「特に、”アイツ”には……すまねえことをした。墓の一つでも建ててやりてえところだが、今となっちゃ……叶わぬ願いか」

 

「ベルクーリ……あなたは…」

 

 

あの時……そう、ユージオがベルクーリと()()()()()()()()。ベルクーリは、自らのことを何も分かってはいなかった。あの時のユージオは、それがなにより許せなかった。だが、今の彼は…

 

 

「今……こうして思えば、そりゃ未練もあるだろうな。だが俺の未練の話より、お前さんら…聞きたいことがあるんじゃないのか?」

 

「っ…」

 

 

ベルクーリの言葉は、的確に二人の感情を見抜いていた。おそらく、二人がベルクーリに出会った瞬間に、溢れ出そうになっていた…言葉と想いを。

 

 

「ベルクーリ……さん!」

「教えてください! 僕たちが…その、死んだ後のこと! 何が起こったのか…!アリス…さんは…キリトは…!」

 

 

ギュッと絞り出したようなユージオの声。彼の言葉が指す「アリスさん」というのは…今、この世界にいない「アリス」を示しているのは、この場にいる全員が理解していた。そして、その絞り出した声を聞いた雄次郎と愛梨は…ほんの少しだけ、胸のすく感じがした。

 

やはり、兄姉達にも…その想いはあった。自分の死後の世界のことを何もかも諦めてる訳ではない。

大切な人たちへの想いは、消えていないのだ。

 

そして同時に、雄次郎と愛梨はお互いにアイコンタクトを取り、コクリと頷きあう。

これから、別世界の人たちの間での大事な話が始まる。その場に自分たちはいない方が良い。そう思った二人は、静かの腰を浮かし、そろそろとソファーから離脱しようとした…が

 

 

「構わねえよ。俺もお前さんらに聞きたいことがあるが…まあ、その前にお前さんら”四人”に俺の話を聞いてもらってからでもいいだろう」

 

そのベルクーリの台詞にはしっかり自分たちが勘定に入っており、暗に自分たちの動きに気づいていることを示唆され思わず二人の体が止まる。

 

 

「……あ、あの。私達、お邪魔だと思うので、失礼しようかと…」

 

「そんなことはねえさ。むしろ、これからの話はこの世界に生きてる二人にも聞いてほしいと俺は思ってる。もちろん無理にとは言わねえし、少年達が良ければ…だが」

 

 

ベルクーリはユージオとアリスに視線を向ける。二人はコクリと頷いて肯定の意思を示した。それを見て院生の二人も「「…失礼します」」と小さく体を寄せ合ってソファーに戻った。

 

これはベルクーリの言う通り無理をしている訳ではなく、正直な話院生二人にとってはありがたかった。これで、今まで謎に包まれてきた”人界”のことについて、ようやく自然に聞く機会が訪れたのだ。今まではその実態を知ろうとするならばユージオとアリスに直接尋ねるくらいしか方法がなかったが、院生達はそれを控えていた。もし多くを尋ねようとしたならば、そのうち彼らの”死”について、触れてしまうような気がして。

だが…この機会を得たからには、院生達は口を引き締め真剣な表情となる。自分たちの目的である”人界”についてより知れれば…そこに辿り着くヒントが得られるに違いない。

 

 

そして…そんな院生達よりもなお真剣な表情でかつ、痛いくらいに心臓が波打つ二人の額には…微かに汗が滲んでいた。

 

 

*

*

*

*

*

 

 

「あの、セントラル・カセドラル最上階での戦い…そいつに関しちゃ、当事者の少年達の方が詳しいだろう。俺は、目覚めてから嬢ちゃんに聞かされただけだからな」

「俺が嬢ちゃんから可能な限りを聞いて、屋上へ向かった時…そこには最高司祭も、元老長チュデルキンもいねえ。あったのは、三十の剣と三百の水晶柱……そして、二本の剣の近くに倒れていた黒髪の若者。キリト。…右腕と意識を失い、倒れていた」

 

 

キリト。

その人名を聞いた瞬間、4人揃って体が反応した。肩がピクリと動いたり、拳をギュッと握りしめたり反応は様々ではあったが。

 

 

「あの若者は…公理教会に剣を向けた反逆者として認知されている。意識がないアイツをあのまま教会で匿っていては危険だった。だから、嬢ちゃんはキリトを連れて教会を出ていった。…次に嬢ちゃんとキリトと会ったのは、”戦争”の五日前…」

「その時に会ったキリトは、瞼こそ空いていたが意識はなく、ただ反射で行動するだけの、まるで生きる屍のようだった。だが、俺はその若者の心はここにないだけで、死んでいないと俺は思った。…結局、俺が”死ぬ”まで若者の心が戻ったところが見られなかったのは、残念だったがな」

 

 

キリトが、キリトさんが…心神喪失。

 

しかも、ベルクーリさんは回復した所を見れていない…?

 

 

ベルクーリのその話。院生二人はほぼ分からない話ではあったが、キリトが重体であったことは聞き取れた。それは院生達にとっては一番気になるところであり…それはユージオとアリスにとっても、同様。

だが、自分たちが現世で見たキリトは至って健常な様子だった。それはつまり、ベルクーリがあの世界を去った後に…キリトさんは、無事に治癒したということ…?

 

そちらの疑問もあるが、ベルクーリが現世のキリトのことを知らない以上、それを尋ねるのは徒労だろう。それに…ユージオ達には、更に気になることがあった。

 

 

「ベルクーリさん…あの、”戦争”って……ひょっとして…?」

 

「ああ…”ダークテリトリー” 奴らの侵攻だ。最高司祭が死んでから…そう時間もなく、な。だからこそ、俺が目覚めてからの急務は、その侵攻に対する備えから始まった」

 

 

*

*

*

*

*

 

 

どうやら、ユージオとアリスが死んだ後の”人界”では、戦争があったらしい。

戦争、というのはもちろん院生達には未経験の出来事ではあるが、今いるこの世界でもたった半年前にそれがあったことは聞いている。そのなごりは、今も瀞霊廷中あちこちに存在する。

 

目の前のベルクーリは、それとはまた別の戦争の経験者…どころか、人界軍の総大将を務めていたという。一体、それはどういう発端での戦争なのか。"ダークテリトリー"とは一体?

しかし、その疑問についてベルクーリは一から丁寧な解説を加えることはなく、また院生達も口を挟まなかった。今この場で優先すべき情報について、ベルクーリは冷静に取捨選択をしていたのだ。

ユージオとアリス 雄次郎と愛梨がまず知りたいのは、キリトと騎士のアリス──アリス・シンセシス・サーティのこと。

 

当然だが、キリトは後方…過去に交流があったという志願兵に世話を預け、ベルクーリと騎士のアリスは戦線へ赴いたという。

戦況は、序盤はベルクーリが率いる人界軍に有利に進んだという。だが当然 全戦全勝という訳ではなく、人界軍側には、アリスと同じ騎士にも……犠牲が出た。

優勢から、一進一退になりつつあった戦況。その際に、後方の補給部隊が敵の奇襲を受けるという非常事態が発生。その危機的状況の時…

 

 

「神が降臨した」

 

「「「「えっ?」」」」

 

 

非常に奇跡的なことに、四人の声が重なった。

意図的に略されていながらも、血腥い戦いと悲劇の語りから突然の『神』の言葉。清聴していた四人も思わず喉の奥から変な音が漏れてしまった。

その反応は予測していたのか、ベルクーリの口角は微かに上がる。

 

「ま、そう思っても無理はねえってこった。なにせ突然天空からきれーな和音と一緒に虹の七色が降り注いできたかと思えば、一瞬で巨大な地割れが巻き起こったんだからなあ。そのお陰で、俺たちの窮地は救われた」

 

「え…? 光? 地割…れ?そんなの…」

 

アリスは、放心したように呟く。院生たちも、そんな壮大な光景など想像もつかない。もし実際に見ようものなら、誰か隊長の卍解でも発動したのかと思うことだろう。そして、そんな光景を人界の人達が見たら神様と思う…『のも無理はない』……?

 

ということは、実際には…?

 

 

「だが、俺はそれを引き起こしたお嬢さんのその行動に…俺は、超然の神ではなく”人間の躊躇い”を感じたんだ。そして実際、彼女は俺たちの前で…こう、自己紹介した」

 

 

 

────皆さん、はじめまして。私の名前はアスナ。

────”この世界の外側”からやってきました。

 

 

「「外側…?」」

 

「「外側ッ!!??」」

 

 

困惑したような、ユージオとアリスの反応。

叫びだすような驚きの、雄次郎と愛梨の反応。

 

その話は……その四人にとって重要なのは間違いなかったが、微妙に重要のベクトルが違っていた。それでいて、その重要性をまず最初に理解したのは院生達のほうであった。

 

 

(世界の外側から来る…それはつまり、世界移動ってこと…!)

 

(やっぱり、兄さん達の故郷”人界”は別の世界! あとはそれが…現世にあるか!? VRMMOとは関係ある!? SAOとの世界移動の関係は…!?)

 

 

霊術院生達がずっと知りたいこと、予測していたこと。

ユージオとアリスが生前過ごしていた世界…人界が現世にあるのではないか。それが「VRMMO」と呼ばれるゲームと関係ある?同じくVRMMOである…SAOからキリトさんは人界に移動した?*1*2

その核心が…今、確実に近づいていることを感じ、否応なく院生達のテンションは上がる。体はますます前かがみになり、大きく唾を飲み込む。

 

 

そして、次に……

 

 

「外側…世界の外側って……ことは…!!」

 

「もしかして…()()()と……!?」

 

 

「ああ…アスナのお嬢ちゃんは、そう言ってたな。自分やキリトは……外の世界から来たと」

 

 

 

思わず声が出たユージオとアリスは…それに対する返答を聞いて「やはり」という感情を抱いた。

もう一人の幼馴染 『キリト』が自分たちとは違う存在…違う”世界”からの人間であるかもしれない。その仮説は、既に二人の間で充分話し合っていた。*3

 

あの、セントラル・カセドラル 最上階での戦いの時──

 

 

*

*

*

 

 

『あなた、あっちから来たのね? 《向こう側》の人間……そうなんでしょ?』

 

『………………そうだ』

 

 

*

*

*

 

最高司祭の問いを、肯定したキリト。

そして…自分たちの生きていた世界とは違う”この世界”で、実際にキリトに出会った。

 

二人の仮説には、いくつか謎が残っていた。しかしユージオはその謎も、真相も…全て心の奥底にしまい込み、鍵をかけた。”自分が死んだ今”に、それを知る手段も必要もないと…()()()()()

 

しかし、その鍵は今……解かれようとしていた。

 

 

四人の渦巻くような感情を前に、ベルクーリは語る。

その世界に現れた…アスナという女性の語ったことを。

 

彼女は、人界と暗黒界を合わせた世界全体を”アンダーワールド”という言葉で呼んだ。そして、その外側──地勢的にではなく、観念的な外部──に”リアルワールド”なる異世界が広がっているのだと言った。

当時、それをベルクーリと共に聞いていた人々から、それは神の住まう世界のことではないかという疑問が発せられたが、アスナはそれを否定した。リアルワールドに暮らしているのも、感情と欲望、そして有限なる天命を持つ人間なのだ、と。

 

 

「アンダー…ワールド…!」

 

 

そこまで聞いた雄次郎は、一瞬悔しそうに顔を歪めて片手で頭を覆った。

ユージオ達の世界が、リアルワールド─おそらくは現世のことか─ではそう呼ばれていたなんて! 雄次郎と愛梨は、ユージオが言う”人界”という言葉を手がかりに現世のVRMMOを探し回っていた…が、それでは当然見つからないワケだ。

無論、ユージオ達の世界がアンダーワールドと呼ばれていたことなど当時の院生達に知る手段はないのだから、仕方ないといえば仕方ない…と、愛梨の方はそう思って嘆息していた。が、雄次郎はせめて人界が別の名前で呼ばれている可能性を考えて置くべきだったと、悔しがった。

 

ベルクーリの話は続く。

そのリアルワールドのごく限られた場所で、二つの勢力がアンダーワールドの支配権をかけて争っているのだという。アスナはその一方の使者であるらしい。目的は、アンダーワールドを守ること。

そしてアスナと敵対する勢力の目的は、アンダーワールドからたったひとりの人間を回収し、しかる後に世界を全て破壊して無に帰すこと──。

 

 

「世界の…破壊ですって…」

 

 

ユージオに負けず劣らず豪胆なアリスも、あまりの内容に呆然としているようだった。そしてそれは、当然他の三人も同じ。

“世界”そのものを破壊…無に帰す? それは文字通り、世界に暮らす人々も…大地も、空も、何もかも…?

 

この尸魂界においても、過去の「霊王護神大戦」に敗れれば、三界の崩壊という自体が起こり得たということは院生達も授業で学んだ。まさか…それと同じような戦争が、ユージオ達の世界で…!?

 

 

「俺たちの世界の破壊を目論む敵の首領は、既に現れていると俺は知った。ダークテリトリーの軍を指揮する暗黒神ベクタ。アリスの嬢ちゃんを”光の巫女”と呼んで捉えようとする奴こそが、そのリアルワールドの人間だとな」

 

「当然、そんなことは承服できねえ。アスナさんと共に、抗戦は続けられた。……だが」

 

 

ベルクーリの言葉が、微かに硬い感情が含まれる。当時を悔やむごとく、唇を噛み締める。

 

 

「俺が…敵の意図を読み違えた。その一度の過ちのせいで、嬢ちゃんはベクタに連れ去られた」

 

「「「「っ!!」」」」

 

 

 

 

「無論、俺はすぐに後を追った…皆の介添えがあってこそ、それができた。…そして、俺はなんとかやつに追いつき……戦闘となった」

 

「戦って…すぐに分かった。明らかに、俺より強かった。俺が…やつを”倒せた”のは、星咬のお陰だ。この世界でも…あいつには助けられたばっかりだったな」

 

「「「「…………!」」」」

 

 

今まで、緊張の面持ちで聞いていた四人の顔色に、希望の感情が浮かぶ。

 

 

「暗黒神を……倒した…!」

 

「すごいです…! と、いうことは…!」

 

 

「ああ…それで全てが終わった……なら、良いんだが。残念ながら、俺にその後は分からねえ。もう、この世界に来た後だったからな」

 

 

ベルクーリのその言葉。

それが意味するところを知り、四人の感情は一気に抑え気味になる。

彼は…その生命と引き換えにすることで、敵の首魁を討ち取ったのだ。

 

人界の…アンダーワールドの命運が、どうなったのか………

 

 

「……信じたいものだな。世界と……皆の無事を。…だが」

 

「大丈夫です」

 

 

迷いと願望。

それが入り混じったベルクーリの言葉を遮ったのは…

 

 

「世界は、きっと無事です。キリトも…そして、アリスさんも」

 

「少年…いや、ユージオ、か」

 

 

 

「何より…僕達は、会いました。現世…リアルワールドで、二人に」

 

「!!」

 

 

 

「あの二人が、無事にリアルワールドにいる。なら…アンダーワールドも、大丈夫。僕はそう、信じています」

 

「……」

 

 

ユージオの言葉を聞き、驚きに瞠目したベルクーリは…しばしの沈黙の後、ふうと大きな息を吐いた。

 

 

「どうやら…………次は俺が聞き上手になる番…らしいな」

 

 

もぞりと体を動かしたベルクーリ。改めてソファーに深く座り直し、膝の上で手を組む。

 

 

「総隊長サンや雨涵のお嬢ちゃんに大まかに聞いたが、やはりお前さんらの話を聞く必要がありそうだ」

 

「時間取らせて悪いが…頼むぜ」

 

 

ユージオとアリス。雄次郎と愛梨。

四人はその言葉にゆっくりと頷いた。

 

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