可愛く、寝息を立てる女の子が三人。こんな状況があれば、日々の疲れを忘れ、癒されるというのが当たり前だ。
なのに、逆に疲れている。何故だ?アニメでは、サービスシ-ンとして流れてもいい状況なはずなのに。
さて、この状況というのを説明しなければならない。何故疲れているのかだとか、何故嬉しくないだとかを理解してもらうためだ。
さあ、説明しよう。まずは、寝息を立てる女の子三人の事からだ。一人目は、気絶して寝ているシーカ、二人目は、何故か寝ているカテーナ、三人目は、縛られている勇者。あ、あれ?寝息を立てていないじゃないか。訂正しないとね。
気絶してしまった騎士さんとアホみたいに寝ている馬鹿とさっきから睨んでくる侵略者。
あ、ほとんど、違う。まあいいかな、説明できたし。
さてこれから、どうしましょうか、と考えていると、黒騎士がしゃべり始めた。
「おい、人間」
「なんだ」
「なぜコイツのことを、魔王だと言う」
黒騎士は、先ほどからそのことを気にしているようだ。何かあったのかな?
「・・その風貌、魔王じゃなければなんだというのだ」
そうなのか?ここに来てから鏡を見ていないのでわからないが、そんなにも、魔王ぽいのか。鏡あるかな。
「見た目で判断したというのか?魔族と係わりの持たない種が?そんなことできるはずがないだろ!(笑)」
黒騎士は、いきなり、声を荒らげ、笑った。その笑いには怒りと言ってもいいような感情が含まれている気がする。
「お、おい、どうした?」
「うるせぇ!イライラするんだよ!こんなわかりやすいウソつくんじゃねーよ!こんなヒョロ男が魔王の風貌だぁ?確かに実力があるが、そこまですごくねーよ!」
あれぇ?なんだかすごく馬鹿にされた感じが、するのだけれど。もしかしてコイツ、遠回しに俺を馬鹿にしたいだけか?
「くっ、うそなどついていない!!」
勇者が慌て始めた。何かを隠しているかのように、
「へー、じゃあコイツ何?」
黒騎士が指をパチンと鳴らし、布に隠された何かを出してきた。意外にデカい。そして、布を取った。
「・・・・!」
勇者は、それを見て絶句した。それもそうだろう、人間の男が亀甲縛りをされて、猿轡までさせられているのだから。しかし、この男何処かで・・・?!
「って、それ、俺がおかしいって言った奴じゃん!」
見たことあると思っていた男は、最初の頃に出てきた奴だった。あ、そういえば、色々変だったと黒騎士に言い、話を聞いてもらっていたんだった。
「ああ、そうだよ」
黒騎士は頷きながら、男の猿轡を外した。
「・・・っ!クソッ!・・・勇者様!お逃げください!」
男は、黒騎士と俺を睨みつけ、勇者に向かってそう叫んだ。
「あらあら、言い逃れできなくなってきましたね~」
黒騎士が悪い顔をし(多分)勇者に近づきながら、笑った。
「・・・外道め!」
勇者は、苦虫を噛み潰したような顔をして黒騎士を見る、男も黒騎士を憎しみの対象として睨んでいた。
「まっ、これ全部、コイツに頼まれたんだけどね」
黒騎士の一言で、憎しみの視線は俺の方を向いた。
「ふざけんなッ!!俺じゃもごご・・」
口を出そうとすると、黒騎士に抑えられてしまった。もうこれ、コイツの憂さ晴らしとかしかないよね?
「だから、ここからは俺と話をしてもらう。まずは、質問だ。何故コイツを襲えた?」
「・・・!」
黒騎士の質問に勇者の顔が引きつる。何かを突かれたような表情だ。
「『襲えた』ってどういう事だ?黒騎士」
俺は黒騎士に、先ほどの質問のおかしな点について聞いた。『襲えた』というのは、絶対にできないことだと仮定されているような言い方だからだ。
「ああ、今からそれを聞くんだ。その過程で説明してやる」
「お、おう・・・」
黒騎士の勢いに押され、それ以上しゃべることはできなかった。
「で、何故だ?」
黒騎士はまた聞く。勇者は答えるそぶりすら見せなかった。
「おいおい、話を聞けよ。まあいいけどな、大体予想はついている」
少しイラつき、もう話を聞くのをやめ、一方的に話し始めた。
「天使(アンゲルス)かー?」
黒騎士の言葉に、勇者と男は黙り込んだ。アン何?
「図星だな。あいつら、何かにつけて、こんな事してくるよなー」
黒騎士は、ポンポンと俺をたたく。え、俺、知らないよ?
「どうせっ、神とかなんとか言って来て、『魔王を倒さないと・・・』なんか言われたんだろ」
黒騎士の言葉に勇者たちは、黙り続けている。けれど、表情でわかる。メッチャ顔引きつっているからだ。特に、男!あ、名前忘れた。名前見よ。『プロディティオ』。そうでした。
「あんな鳥頭の事を信じるとは、人間も馬鹿になったもんだ」
「クソッ、黙れぇぇ!」
プロディティオが、ブちぎれた。もう我慢が出来なかったようで、暴れ始める。だけれど、はたから見れば、亀甲縛りの変態が暴れているように見えるわけで、正直に言わなくともキモイ。もう見ているだけで、吐き気がしてくる。黒騎士も、変な目で見ていた(多分)。
これは、俺がどうにかしないといけない気がする。だって、俺、魔王子だし、話が進まないと帰れそうにないし、ガチ変態を見ているのってキツイし。
「まあ、落ち着けよ、お前ら。黒騎士も早く説明して」
俺の言葉に、黒騎士は「ああ、わかった」と返答し、勇者は睨み、プロディティオ
は、後ろにいたので見ていないが多分、睨んでいただろう。