ディールとカテーナが、姫を見かける。
『道を歩いていたら、綺麗な人が歩いていた』さて、貴方ならどうする。
チラチラ見るとか、ナンパするとか口では言えるが実行するには多少の勇気がいる。
チラチラ見ていると気持ち悪がられたりするし、ナンパなんて、『君、カワウィ~ネ~』と口にしている、最近テレビで見ない(自分的に)人みたいにはいかない。
しかも、本当に綺麗な人に会うと近寄りがたい・・・。
芸能人のようなオーラが出ていても、テレビに出てないのでどんな人か、わからないからだ。
道では無いが、そんな状況に合っている。
『マーレの姫様だ・・・・』とカテーナが言っていた。
さすがお姫様、綺麗な人だ。
髪は水色に近く、目も同じ色のように見える。顔立ちは言わなくとも良い、しかし、胸が無い・・・、物凄くスレンダーだ。
ザンネーン。
まあ、綺麗だったので見とれていると、姫の方が気付き、近寄ってくる。
手を振り可愛く微笑み近づいてくる。癒されるな~、もう。
しかし、こんなシーンなら『胸が揺れる』というのもあっていいのに!
俺は神を恨むぞー、魔王だけど・・・。
そんなことを考えていると・・・。
ズザザザザー・・・。
・・何もないところで姫が転んだ。
・・・姫!姫が運動不足の奴とかがなる様なこと・・。
そんなことより、起こしてあげなきゃ、顔からいっていたもん。
「姫・・・大丈夫ですか?」
俺は、声をかけると同時に手を貸す。
「あ、ありがとうございます。ディール様」
少し苦笑いを浮かべ、礼を言うが恥ずかしそうにしている。
「・・・段差につまずいてしまいました」
言い訳をしようとするが、通ってきた道に段差なんて無い。
しかし、俺もこういう事よくあるので言わない。ホントよくある。
「気をつけてくださいよ」
「はい、・・・・痛った!」
姫が、小さな声で言う。足を擦りむいてケガをしていた。
「ケガしているじゃないですか!見せてください」
「カテーナ。血を止めるから包帯か何か、貰って来て」
「・・・・わ、わかった・・・」
カテーナは一度戸惑ったが、返事をして取りに行った。
とっさに、中学生時の保健委員だった癖が出てしまった。
しかし、どうする俺。普通なら水で洗って消毒をするが・・・ここ・・綺麗な水・・あるの?
「姫、ここにきれいな水ってある?出来れば飲み水とか」
「はい?・・あ、水筒持っています。これでいいでしょうか」
姫は、手元の袋を差し出した。
あ、ソレ水筒だったの!確かにマンガとかテレビとかで見たことあるけど、普通にしていたらワカラナイな。
「ありがとう、これ使いますね」
そう言って、キャップっぽいものを外す、ちょうどカテーナが戻ってきたので包帯を受け取った、準備万端。
「姫。少し、しみますよ」
断りを入れて、傷に水をかける。そして、包帯を巻いた。
「これで大丈夫ですよ。消毒もしたし、包帯も巻きました」
そう言って、手元から姫に目線を移す。
「・・・・////」
何故か、頬を赤くしている。よくわからないのでカテーナに目を移す。
「・・・・」
怖い顔をしていた。めちゃ睨んでくる。こわっ。
「え・・・なになに?」
なに?わからないけど黙っていちゃ。
「・・・・殺す・・・」
カテーナがいきなりの殺人予告。デジャヴった。
「え・・何!いきなり何!」
「私というものが、ありながら!!」
わあ、二回目、デジャヴ!てか、前にあったよ!
「え~・・・話が読めない・・・」
少し泣きそうになっていた。
「何やってんだ、お前ら・・・」
後ろから、聞き覚えのある声がした。振り返る。
黒騎士だった、この野郎さっきは逃げやがって!
「首なし!」
「なんだよ、お前、何、怒ってんの?」
「で、でぃーる・・・が・・・」
カテーナは、泣きそうである。
「何、ディールが何?」
「ディールが・・・姫に求婚した・・・わぁぁぁん」
「「!」」
「はあ?俺、求婚なんてしてないぞ!!!」
「したじゃん!姫に水かけたじゃん」
「「マジか(ソレか)!」」
やってしまった・・・なんだよ。もう!
「ディール・・・お前。記憶が無いのに、こういう事だけは、憶えてんのな」
「違う、違う、俺は姫の血を止めようと思って・・・・」
俺の弁解、届け。
「じゃあ、お前、知らずにやった・・・いや、憶えてなくてやっちまったんだな」
「そう!」
ヤッタ、通じた!コイツ頭いい。物理的には、頭無いけど。
「でも、もう遅いな・・・」
「は?なんで?」
別に、知らなかったから取り消しになっても・・・
「もう、姫が・・・」
黒騎士が、姫の方向を向く。つられて俺も。
「ふふ、ディール様にプロポーズされてしまいました・・///プレゼントまで貰らって・・///」
姫は、頬赤らめ、足の包帯を触っていた。
違うわ!てか、誰と会話してんの貴女は!
「ディール。ここは、もうあきらめろ・・・ここで、断ったら外交問題だ」
そういえば姫って、他の国の姫だった・・・・。しかも、最大の貿易国って言っていたし・・・。
「いやいや、それって最初からだろ!」
「まあ・・・話変わるんだが・・・」
「変えるな!!!」
空気読めない奴のすることだぞ、それ!
「いや、聞いたほうがイイ。てか、聞け」
「命令形かよ!」
あの~、俺って魔王でしたよね?・・・親友っていても、家臣と主の関係でしたよね?
「本気でやばいんだよ、聞け!」
黒騎士が、少し焦っているように見える。何か重要なことがあったようだ。
「何か・・・あったのか?」
黒騎士は、俺に近づいて、耳打ちをしようとする、持っている兜で。・・・そっちでしゃべっていたのかよ!
しかし、声が真剣な様子なので、ツッコミが出来ない。
「・・・『勇者』と名乗る奴が、近くの村を襲いこっちに向かっている・・」
「?!」
『勇者』というキーワードに耳を疑う。
しかも、こちらに来ると言っている・・・早すぎる。
この世界の事や、身内の事、魔王自身の事を知らずに『勇者』が来てしまうのが俺には、納得ができない。
「・・・村では、負傷者が、多く出ている。死んだ奴の確認は出来ていないが、おそらく・・・」
黒騎士は、口を閉じる。言いたくないのだろう。
しかし、俺は冷静だった。
「それで、今、勇者は?」
「ああ?・・・村から城下町に向かっているそうだ・・・何故それを聞く?」
俺には、とある『考え』が浮かんでいたからだ。
この世界化から出るためにとか、町の住民を助けたいとか、色々な願望や信念とかが出てきてその『考え』に至ったのだが、これを、思い浮かばせたのが、ディールの記憶なのか、元の俺の記憶なのかは、わからない。けど、その『考え』を実行してみようと自然に思えた。
俺は、その『考え』を実行するための掛け声になる、セリフを口にする。
「・・・俺が勇者を倒す」
誤字脱字は、ないでしょうか?