IS×DX~二番目は「背教者」の業を背負う者~   作:風森斗真

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今回は、サンデーGX連載中のコミカライズを基にしています
それから、勇人のIS(というか防具)ですが、『機動戦士ガンダムSEED』シリーズのフリーダムの顔面と胸部を取り外したもの、をイメージしていただければ……うん、アナログでも自分で描いたほうが分かりやすいってのはあるんですけどね……

まぁ、ひとまず、本編どうぞ


決闘~1.蒼き雫との射撃戦~

カタパルトから射出され、勇人はアリーナへと飛び立った。

ある程度の距離を飛んだ後、空中で静止すると、勇人は視線を上へ向けた。

そこには、青いISをまとったセシリアの姿があった。

 

「逃げずによく来ましたわね」

「まぁ、挑まれた以上は、な……俺個人としては君を推したかったんだがな」

 

そもそもの発端であったクラス代表の推薦で、勇人はセシリアを推薦するつもりだったことを伝えると、セシリアは目を丸くした。

 

「あら?そうでしたの??」

「結局、あのあと止める間もなく大喧嘩始まったからうやむやになったけどな」

「そ、それは……申し訳ございませんでした」

「構わんさ。気持ちはわからんでもないから……こっちこそ、申し訳なかった」

「え?」

「売り言葉に買い言葉とはいえ、あのバカが君の国を侮辱したからな」

 

それは勇人が抱いている本音だった。

いくら頭に血が上っていたとはいえ、やっていいことと悪いことがある。

あの場は一夏が少し大人の対応をするべきだったのだが、若さゆえの過ち、というのか、侮辱に対し侮辱で返してしまい、それが原因でこんな面倒なことになってしまった。

たしかに、先に手を出したのはセシリアのほうだが、第三者から見れば一夏も悪いということもわかるため、勇人は謝罪することを選んだ。

その態度に、セシリアはさらに目を丸くし。

 

「い、いえ……わたくしも頭に血が上っていたとはいえ、あなた方の祖国を貶めたこと、謝罪いたしますわ」

 

そう言いながら、セシリアは頭を下げた。

どうやら、一週間という冷却期間がセシリアを冷静にさせてくれたらしい。

自分に非があったことを認め、謝罪するという選択肢を見つけ、迷わずそれを選択したようだ。

だが。

 

「ですが、始まってしまった以上、試合はしていただきますわ……正直、あの人もそうですが、あなたの今の実力に興味がありますし」

「うへぇ……まぁ、しゃあないか。お手柔らかに頼むよ」

「うふふ……」

 

セシリアがそう宣言し、勇人が苦笑しながら返す様子に微笑みを浮かべた瞬間、試合開始のブザーが鳴り響いた。

それと同時に、勇人は蒼穹の武装の一つであるボウガン型のレールガン(祓之梓弓)を展開し、身構え、セシリアを観察し始めた。

だが、勇人の予想よりもセシリアの方が攻撃に転じるまでは早かった。

 

「さぁ、踊りなさい!わたくしが奏でる円舞(ワルツ)を!!」

「あいにくだが、俺は盆踊りがせいぜいでね!!」

 

軽口を返しながら、勇人はブルーティアーズの武装であるBT兵器から放たれるレーザー光線を回避し続けた。

 

「くっ!ちょこまかと!!」

「それが俺の取り柄なんでな……しかしさすがだな」

「……へ?」

「四基のBT兵器をほぼ同時に、しかも効果的な場所に配置しての一斉射撃。そうそうできるものじゃない」

 

まして、ビットの操作は脳で行っている。

空間掌握と空間把握、さらにはどのタイミングで発射するかのコントロールまで、たった一人の人間の脳で演算しなければならない。

それも、全方向を頑強なシェルターで囲われた状態ではなく、自分も攻撃される可能性がある戦場で行うのだ。

言うだけならば簡単に見えるが、実のところはかなりの集中力が要求されることだ。

 

その意味で、第三世代ISであるブルーティアーズは、一握りの人間にしか扱えないISと言えるだろう。

だからこそ、勇人はセシリアの腕前を称賛していた。

だが、欠点を見抜いていないわけではなかった。

 

「だが、そいつを使う間は動けない。それが大きな欠点だ」

「なっ?!」

 

いつの間にか背後に回っていた勇人に気づかず、セシリアは驚愕に目を丸くした。

だが、勇人は容赦なく、手にした祓之梓弓の引き金を引いた。

銃口から、青白い光とともに梓弓に込められた弾丸がセシリアにむかって無慈悲に向かっていった。

 

センサーを駆使してそれを察知していたセシリアは、どうにかそれを回避することができたが、一発だけで銃撃を終わらせるほど、勇人は甘くはない。

背後だけでなく、下から、上から、あるいは正面から。

次々に、まるでビットで攻撃しているのかと錯覚するほど、様々な角度からの銃撃がセシリアに襲いかかってきた。

 

「くっ!!……この……」

 

だが、セシリアも黙っているつもりはない。

ビットによる多角攻撃をやめて、主力武装である狙撃ライフル(スターライトMkⅡ)での射撃にシフトし、移動する勇人を撃った。

だが、セシリアが対応できる以上の速度で移動しているため、なかなか命中しない。

 

「当たらない……早すぎる……」

「貴族令嬢、悪いがそろそろ決めさせてもらうぞ」

 

勇人の声が聞こえたと同時に、パリパリ、と乾いた音がセシリアの耳に届いた。

音がする方向へ目を向けると、青白い雷光をまといながらライフルを構えている勇人の姿があった。

 

あれを受けたらまずい。

それを見た瞬間、セシリアの本能が警鐘を鳴らした。

同時に理性が死を直感した。

確かに、ISには操縦者の生命を守る、絶対防御システムが存在する。だが、許容以上のダメージが発生した場合、操縦者は傷を負ってしまう。

そして、最悪の場合、死が待っている。

 

「……い……や……」

 

その現実に耐えらえるほど、セシリアの心は強くはなかった。

 

「いやぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」

 

混乱したように叫びながら、セシリアはライフルとビットも銃口を勇人に向け、発射した。

さらに、隠し玉として残していたビットを展開し、追撃してきた。

 

「落ちなさい!!…………落ちてぇっ!!!」

 

レーザーとミサイルの波状攻撃に、さすがにその場にとどまることは危険だと判断した勇人は、チャージを続けながら回避を始めた。

だが。

 

――IS化させてからの扱いにまだ慣れてないってのに……くっそ!勝ち負けはともかく、早く試合を終わらせないと会場が危険か

 

試合については、どのみち適当に抵抗して終わらせるつもりだったため、勝ち負けにこだわりはない。

が、さすがに自分の試合中に選手以外の負傷者が出ることは、許容できなかった。

 

「……ちっ、しゃあない……」

 

そう呟き、勇人は何もない上空に向かってチャージしていたエネルギーを放ち、祓之梓弓をしまい、腰に備えている二振りの刀の一つ、十束(とつか)を引き抜き、飛んでくるミサイルとレーザーを受け止め、あるいは切り裂きながら、セシリアに接近していった。

シールドエネルギー(SE)が残り二割を切ったところで、ようやくセシリアの前に到着した。

 

「落ち着け!落ち着くんだ、セシリア・オルコット!!」

 

セシリアの肩をつかみ、勇人はセシリアに語りかけた。

 

「あ、あぁ……い、いや……やめて……」

「……落ち着け、大丈夫だ……もう怖いことは起きないから」

 

肩をつかんだまま、落ち着いた声で勇人はセシリアに語り掛け続けた。

徐々に落ち着きを取り戻したのか、セシリアの瞳から徐々に怯えの色は消えていった。

やがて、試合終了を告げるけたたましいブザー音が鳴り響いた。

結果は、どうやらタイムアップによる引き分けのようだ。

 

「引き分けか……いや、もしかしたら俺のほうが負けていたかもしれんな」

「……いえ……負けていたのはわたくしのほうですわ……」

 

つかんでいた肩から手を離し、そうつぶやいた勇人の言葉に、セシリアはそう返した。

たしかに、勇人がエネルギーをチャージしていたレーザーを撃ち放てば、セシリアは大ダメージを受けることになっていただろう。

それをしなかったのは、彼女の本能が死の恐怖を感じ取り、錯乱してしまい、周辺に危険が及ぶ可能性があったからに他ならない。

もし、セシリアが錯乱しなければ、あるいは、勇人に周囲の危険を省みない冷酷さがあったなら、勝負はどちらに転んだかはわからない。

いずれにしても。

 

「それはわからんさ……けど、次は勝ってみせるから覚悟しとけよ、セシリィ(・・・・)

「あら……うふふ、えぇ。その時はわたくしも負けませんわよ?勇人さん(・・・・)

 

勇人はあだ名、セシリアは名前で互いを呼び合い、再戦を誓うと、アナウンスに従い、それぞれのピットへと戻っていった。

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