IS×DX~二番目は「背教者」の業を背負う者~   作:風森斗真

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何度も言いますが、作者個人に一夏へのヘイト感情は"ほんの少ししか"ありません


決闘~2.休憩時間―例外第一号への感情―~

セシリアとの試合を終えた勇人はピットに戻り、SEの補給を行っていた。

本来ならば、SEは勇人の異能の一つである《発電能力》を使って充電が可能であるため、必要はないのだが、今回はそれをしなかった。

理由としては、一夏のISが一次移行(ファーストシフト)にもう少し時間がかかるということが一つ。

もう一つは、勇人の体質にあった。

ピットの隅の方で、勇人はうずくまるようにして座っていた。

彼の耳には、ドクンドクン、と激しい動悸のような音が響いていた。

その音に、いや、自分の心に侵食してくるような何かに耐えるように、目を固く閉じていた。

三分ほど経過しただろうか。勇人はゆっくりと目を開け、ほう、とため息をついた。

 

「…………やっと収まったか…………今回はやけに長かったな…………」

 

いや、ここしばらく聞いていなかったから、長く感じただけか。

 

心の内でそう独白し、勇人はため息をついた。

一週間という短い期間で、ISでの戦闘でセシリアを圧倒できた理由。

それは、勇人のISである『蒼穹』にあった。

蒼穹は、ISコアを接続しているとはいえ、元々は勇人が異能で作り上げた強化装甲であり、いわば、疑似IS装甲とでも呼ぶべきものだ。

ゆえに、使う武器のエネルギーや超高速での移動は勇人の異能に大きく依存しており、使い勝手や操作方法、機体の癖は熟知していた。

 

だが、勇人の異能に大きく依存している、という点、それ自体が蒼穹の大きな欠点となっている。

発電能力や超高速での移動、そして様々なものを作り上げる原子操作能力。これらは確かに便利なものだ。

だが、あまり使い過ぎると、さきほどのように不気味な動悸が勇人に襲い掛かるのだ。

その動悸が聞こえてくると勇人は、自分が自分でなくなるような感覚に襲われるらしい。

今まではどうにか抗ってこれたため、何かしらの障害を負ったことはないが、仮に異能を過度に使用した場合、勇人の精神が崩壊する危険性がある、と更識お抱えの研究所は結論を出していた。

もっとも確かなことは何もわからないのだが。

 

閑話休題(それはともかく)

 

「なぜおまえもいるんだ?簪」

 

いつの間にか隣に座っていた簪に、そう問いかけた。

 

「暇だから」

「暇って……管制室の仕事はどうした?」

「わたしは勇人専属。織斑一夏(あいつ)のオペレートなんてやりたくない」

 

むすっとした様子で簪はそう返してきた。

どうやら、一夏のオペレーションは行いたくないらしい。

理由はわからないでもない。いや、むしろ心当たりしかない。

現在進行形で手伝っているとはいえ、簪の専用機《打鉄・弐式》はまだ完成には至っていない。

それというのも、製造を担当するはずだった倉持技研が一夏の専用機《白式》の製造へ人員を割いてしまい、結果、簪の専用機製造が後回しになり、永久凍結されてしまったのだから、簪としてはいい気分はしない。

 

むろん、そのことは姉である刀奈も怒っていたし、勇人もそれなりに怒りを覚えている。

加えて、一夏自身が事実上、女子校に在籍している、ということを忘れているのか、マナーがまったくなっていないために引き起こされた光景を目にしたばかりだ。

開発が後回しになってしまうのは仕方ないにしても、操縦者の非常識さから、簪は一夏を認めたくないし、勇人もまた一夏を簡単に認めるつもりはなかった。

 

「セシリアはしかたなかったけど、あんなやつに負けたら許さないから」

「負けねぇさ、あのバカには……たとえ、セシリアのように錯乱したとしても、あいつにだけは手心を加えるつもりはない」

 

瞳に物騒な光を宿しながら、勇人は簪に答えた。

実際のところ、勇人は一夏に憎悪にも近い感情を抱いている。

自分が恵まれた状態にあることも知らず、その上で努力することを怠りかけており、加えて、自身がISを動かしてしまったことで巻き込まれた自分に対し、謝罪の一つもないのだ。

いや、謝罪をする必要はないが、少なくとも、罪悪感くらいは抱いてほしいものだが、それすらもなく、悠々と学生生活を謳歌しようとしているのだ。

もはや、怒りを通り越している。

ここはひとつ、痛い目を見てもらう必要がある、と勇人は感じていた。

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