IS×DX~二番目は「背教者」の業を背負う者~ 作:風森斗真
新年を迎えようとしているというのにまだヒロインが出そろっていないというこの状況……
まぁ、ハーメルンで注力しているのが別の作品だし、某なろうにもオリジナルを執筆してるし、仕方ない、のか?
いずれにしても、本年も拙作をよろしくお願いします
セシリアの電撃参戦と一夏のアリーナ乱入という多少のハプニングはあったものの、簪はようやくこぎつけた打鉄弐式の稼働テストに気合が入っていた。
途中、気まぐれに勇人にプログラミングを手伝ってもらったり、勇人が所属する企業「ラインフォルト」からデータを借りるということはあったものの、打鉄弐式は間違いなく自分の力で作り上げたものだ。
早く動かしてみたい、そう思うのも無理はなかった。
《かんちゃん、準備オーケー?》
「大丈夫、いけるよ。本音」
「こちらも準備完了。いつでもいける」
《観測と記録はお任せください。ばっちり記録しますわ》
ISの通信でオペレートを担当してくれることになった本音の問いかけが聞こえ、それに答えるとすぐに勇人の声とセシリアの声が聞こえてきた。
通信機能に問題はない。
後は、駆動に問題があるかないか。
自分が姉のお飾りではないことを証明できるかどうか。
それだけだ。
「……行きます!」
簪がテスト開始を宣言した瞬間、待機状態の姿である右手中指のクリスタルの指輪が光を放った。
その光がおさまると、打鉄に似たISをまとった簪の姿がそこに現れた。
どうやら、起動自体は問題がないらしい。
次に、腕と足、手の動きに問題がないか操作したが、こちらも問題ないようだ。
そして、いよいよ。
「準備運動は終わったか?」
「うん……いつでも」
「オーライ」
勇人が通信で返した瞬間、キン、と小さく金属音が響いた。
どうやらセシリアがコイントスをしたらしい。
コインが地面に落ちたら、本格的な稼働テストのスタート、ということのようだ。
コインが地面に落ちるまでの時間が長い。
いや、本来なら十秒もかから落ちるのだろうが、なぜかその間が長く感じられた。
それだけ集中しているということなのか、それとも高ぶっているということなのか。
その答えを見出すことができないまま、簪の耳に再び、チリン、という金属音が聞こえてきた。
「……っ!!」
それと同時に、簪はブースターを起動し、勇人との間合いを一気に詰めた。
間合いを詰めながら、近接武器である超振動薙刀《夢現》を呼び出し、勇人に斬りかかった。
勇人も二振りある刀のうちの一振り、《布津御霊》でその斬撃を受け止めた。
「ブースターと武装の呼び出しは問題ない」
「夢現の取り回しはどうだ?連続攻撃を試してみてくれ」
「わかった」
簪はそう答えながら勇人を押しのけ、薙刀の石突を思い切り振りあげてきた。
紙一重でそれを回避した勇人は、逆手でもう一振りの刀《十束》を引き抜いた。
だが、簪はひるむことなく、石突を槍のように何度も突き出してきた。
勇人はその一撃一撃を受け流し、回避し続けた。
「連続運動も問題なし……近接武器とその駆動については問題ないみたい」
「オーケー。なら今度は《春雷》と《山嵐》だな」
鍔迫り合いから間合いを離れ、遠距離装備のテストに移行するため、簪は《夢現》を量子変換で拡張領域に収納し、背中に搭載されている荷電粒子砲《春雷》を展開した。
「展開までは問題なし……エネルギーの充填にも誤作動なし……勇人、いくよ!」
「あぁ、来い!」
勇人の答えに数秒遅れて、簪は勇人にむかって《春雷》を放った。
青白い光線がまっすぐに勇人へと向かっていったが、勇人のほうから放たれた紫電の矢に相殺されてしまった。
ハイパーセンサーで勇人を注視すると、いつの間に構えたのか、蒼穹に搭載されている遠距離用武装《祓之梓弓》があった。
「《春雷》も問題ない。欲を言うならもうちょっと
「十分、早いと思うがな」
確かに、エネルギー充填という点で《春雷》は《祓之梓弓》に劣る。
だが、それは偏に勇人が"
要するに比較対象が間違っているのだ。
だが、そのことを伝えたとしても、簪が諦めるとは到底思えなかった。
なので、ひとまず、改良の余地あり、ということにとどめさせた。
その後、最大武装である《山嵐》のテストも行ったのだが、マルチロックオンシステムがうまく起動せず、エラーを起こしてしまい、発射することができなかった。
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「うぅ~……」
「まぁまぁ、かんちゃん。他のところはうまくいってたんだから」
「そうはいうけど……せっかく勇人にも協力してもらったのに……」
アリーナ使用時間終了間近。
せっかく来たのだから、という理由でセシリアが勇人と模擬戦闘を行っている間、簪は一番力を入れていた《山嵐》が使えなかったことに落ち込み、うなだれていた。
その簪を、本音が隣で慰めていた。
「でも他は全部かんちゃん一人で作れたじゃない。荷電粒子砲を使えるところまで一人でできたのってすごいことだと思うけどな~」
「けど、そこは勇人のデータを借りたし……」
実のところ、マルチロックオンシステムを搭載したミサイルポッドは、簪が好きなロボットアニメから構想を得ていたので、再現したい、という欲望と浪漫を詰めたものだった。
それだけにその部分だけでもしっかり実用化できてほしかったのだが、結果はご存知の通りというわけで。
こんな体たらくでは、姉に認めてもらうなんてことは夢のまた夢か、そんな考えが頭をよぎった時だった。
「データを借りて、ある程度の部分を企業が造ったものだとしても、たった一人で完成に近い状態まで仕上げたことは十分誇ってもいいと思うぞ?なぁ、セシリィ」
「えぇ。少なくとも、わたくしにはできない芸当ですわ」
そもそも、簪は勘違いをしている。
ISに限らず、機械というのは、本来、複数の企業が様々なパーツを作り、組み合わせ、ようやく完成するものだ。
特に、
だというのに、簪は打鉄弐式の、特にソフト面の大部分をたった一人で作り上げてしまったのだ。
むろん、マルチロックオンシステムは企業のデータを借りたが、それ以外のプログラムはすべて簪一人で作り上げたものだ。
その部分において、簪はすでに刀奈に追い付いているのだ。
「……でも……」
「お前はその点、どう思うんだ?サボり魔の生徒会長さん」
「……え?!」
突然、勇人がアリーナの出入り口の方へ視線を向け、そう呼びかけた。
生徒会長、という単語に反応し、簪は思わず勇人が見ている場所へ視線を向けた。
そこには、少し気まずそうに物陰からこっそりとこちらを見ている更識生徒会長の姿が、