IS×DX~二番目は「背教者」の業を背負う者~   作:風森斗真

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軽くいなされる二人

ちょっとしたハプニングはあったものの、千冬の指示通り、セシリアと鈴音のタッグで真耶との模擬戦が始まった。

その間、真耶が使用しているISについて説明するよう、千冬がシャルルに指示した。

 

「山田先生が使用しているのは『ラファール・リヴァイヴ』。デュノア社製の第二世代ISであり、射撃と機動性に特化した機体です。最後期の機体ではありますが、安定した性能と高い汎用性、後付武装(イコライザ)の豊富さが特色で、第三世代ISにも引けを取らないスペックを持っています」

 

デュノア社、ということはシャルルの実家が製造しているということになる。

その程度の概要を説明するくらいの知識はあるのだろう。

だが、そこまでは少しISのことを調べれば誰でも行きつくところだ。

シャルルはさらに付け加えるように、世界三位のシェアを誇り七か国でライセンス生産され、十二か国で正式配備されていることと、使い手を選ばない操作の簡易性とそれによる多様的な役割切り替えが可能となっていること、装備によって射撃、格闘、防御といったすべての役割を担うことが可能であることをあげた。

 

その説明をしている間にも、セシリアと鈴音はたった一機の機体相手に翻弄されていた。

それもそのはず、セシリアが狙撃を狙ってくれば鈴音を射線上にうまく誘導したり、鈴音の攻撃が大振りになった瞬間を狙って射撃を行ったりと、とにかく二人の連携を崩すような動きに徹していた。

そして最終的に、距離を取らせたところで二人を正面衝突させ、集中砲火。

これにより、二人のISのSEはゼロとなった。

 

「うぅ……」

「こ、こんなのって……」

「ふぅ……状況終了、です」

 

代表候補生だというのに、一撃も与えることが出来ないまま撃沈させられてしまったことに、セシリアと鈴音は落ち込んでしまっている一方で、真耶は満足そうな顔でずれた眼鏡を直していた。

 

「よし、そこまで……さて、月影、わかる範囲でいい。二人の敗因を説明してみろ」

「……聞いても無駄なのはわかってますが、あえて聞きます。なぜ?」

「少なくとも、戦闘に関してはお前が群を抜いている。入学したてだというのに生徒会長直々に生徒会にスカウトされるくらいだからな」

 

にやり、と好戦的な笑みを浮かべながら千冬は勇人にそう告げた。

納得できたようなできないような、そんな感覚を覚えながら、勇人はため息をつき、見た限りの自分の見解を話した。

 

「連携らしい連携がなっていなかったこと、でしょうか?少なくとも、接近戦が主軸となっていた鈴はセシリィの位置を理解してさえいれば、射線に入ることはなかったはずです」

「いい着眼点だ。少なくとも、連携に関しては最低限、互いの位置を把握しておく必要がある。そうすれば、同士討ちは避けられたはずだ。互いの位置と動きを把握していれば、優位となることも容易い」

 

一口に連携と言っても、最低限、互いの位置と動きはしっかりと把握しておくものだ。

習熟された連携ならば、臨機応変に役割を切り替え、互いの負担を軽減することもできる。

そう千冬から説明されたとき、セシリアは先日の無人機襲撃事件の際、自分が出動しようとしたときに連携訓練の未熟さから止められたことを思い出した。

 

「異なる意思を持つ者同士で一つのことをなそうとするのは、存外難しいものだ。お前たちのポテンシャルは高い。これから少しずつ学んでいけばいい」

 

千冬の口からようやく出てきた教師らしい言葉にセシリアと鈴音はしっかりとした声で答え、一夏は自分も早く成長しなければ、と意思を固めていた。

が、勇人はそんなことはどうでもいいからさっさと茶番を終わらせたい、とでも言いたいのか、ため息をついていた。

 

その後、専用機持ち指導の下、ISを実際に動かすことになったのだが、当然、一夏とシャルルのほうに集中していた。

なお、本音と本音と仲のいい相川清香と谷本癒子の三人だけは勇人の前に並んでいた。

 

「つっきー、よろしく~」

「「よ、よろしく~」」

「あ~、まぁ、よろしく……てか、見事にイチと三番目に集中してんなぁ……セシリィの奴、涙目だぞ」

「セッシー、さっきまゆまゆ先生にぼっこぼこにされてたからね~」

「……あだ名で呼ぶのはやめてあげなさい」

 

真耶がかなりの実力者であることは見て理解したが、それでも真耶をあだ名で呼ぶことをやめないあたり、本音はぶれていなかった。

なお、男子の前ばかりに集合していたために、千冬から出席番号順に並ぶよう叱責され、従わなければISを担いでグラウンドを100周させるといわれてしまい、女子たちは大人しく出席番号順で各グループに分かれたのだった。

 

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その後、それなりに姦しくはあっても特に大きな問題はなく授業は進んだ。

あまり人と関わりを持ちたくない勇人ではあったが、この時ばかりは授業ということもあり、丁寧にどうすればいいかを教えていた。

 

「おいおい、ほんとに初めてか?うまく歩けてるじゃんか」

「そうかな?」

「もう少し安定して歩けるようになったら、今度は走ってみるのもいいかもしれんな」

「あ、飛ぶのはまだなんだ?」

「そこまで時間が取れん」

 

などとやり取りをしながら教えていた。

その結果、シャルルほどではないが、基本的な動作をマスターできた生徒が多かったことは言うまでもない。

人間嫌いを豪語しているにもかかわらず、懇切丁寧に教えていたのだから、元来は面倒見がよく、いい人なのではないか、と同じグループに入っていたメンバーは勇人の評価を改めるのだった。

 

なお、男だから力仕事は任せた、と言ってISを保管庫まで片付ける作業を押し付けようと思ったのだが、それを口にしようとした瞬間、セシリアと一夏が口喧嘩したときに漂わせていた殺気にも似た雰囲気を感じ取り、三人ほどが自主的に(・・・・)手伝ってくれたのだった。




男だろうが女だろうが、みんなでやれば早く済むことを押し付けるなんて、いじめを疑いたくなりますよね
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