IS×DX~二番目は「背教者」の業を背負う者~ 作:風森斗真
具体的には屋上のランチタイム、セシリアだけいません
まぁ、オリ主ヒロインにセシリアがいるからね、仕方ないね
昼休みになり、一夏と箒、シャルルは屋上へ、勇人とセシリア、本音は食堂へ向かった。
一夏は 勇人たちも誘おうとしたが、勇人があまり大勢と一緒にいることが嫌いで、下手をすると不機嫌になってしまうことを思い出し、やめることにした。
理由は二つあった。
一つは、勇人と本音、セシリアの三人はここ最近、四組の生徒と交流していることが多く、ISの練習や昼食はたいてい彼女と一緒にいることが多いからだ。
先日の無人機襲撃事件の少し前に会ったことがあるが、その時になぜか強い敵意を向けられたため、一夏は距離を置くことにしたのだ。
そしてもう一つ、ある意味ではこれが最大であり最も深刻な理由なのだが、セシリアが手作り弁当を持っていたためだ。
こう言ってはなんだが、セシリアの料理は不味い、非常にまずい。
口に合わない、というレベルではない。一口食べた瞬間、記憶が飛び、気が付いたら時刻は放課後で、保健室のベッドに横になっていたくらいだ。
――で、できれば、しばらくセシリアの料理は食べたくない……
そんなわけで、一夏は箒と鈴音、シャルルを誘って屋上で一緒に昼食をとることになった。
一方、勇人と本音、セシリアは食堂で簪と合流して談笑しながら昼食をとっていた。
その中で不意に、簪からシャルルについての話題が出てきた。
「そういえば、シャルルくん、だっけ?転校生」
「あぁ……フランスの代表候補生な。あいつがどうかしたか?」
「うん、本音は知ってると思うけど……」
と言って、簪はセシリアのほうへ視線を向けた。
本音と簪は知っていてセシリアは知らない、ということは更識から何か伝えられたらしい。
「……あ~、セシリア、そういやこの間、生徒会の仕事手伝ってくれたお礼、してなかったよな?」
「え?……あぁ、そういえば……ですが、気になさらなくても」
「俺の気が済まん。デザート一品で申し訳ないがごちそうさせてくれ」
そう言って、勇人はセシリアにお金を手渡した。
急にそんなことを言ってきたことの意味を察したセシリアは、にっこりと笑みを浮かべながら、お言葉に甘えます、と返し、その場から離れていった。
「……で、シャルルのことだが、何かあったのか?」
「うん……不確定なんだけど、デュノア社にシャルルって名前の息子はいないらしい。シャルロットって名前の娘はいるらしいんだけど、彼女の消息は不明なんだって」
「……まさか男装させて転入させたのか?」
デュノア社長に子供が一人だけいることは、更識の調べでわかっているようだが、娘であり、息子ではない。
となれば、考えられるのは男装させてIS学園に入れた、ということだろう。
なぜわざわざ男装させた理由は、同性ならば例外二名に近づくのもたやすいため、と推察するまで、さほど時間はかからなかった。
そこまでくれば、デュノア社の目的もわかる。
「白式と蒼穹の運用データか……いや、おそらく白式のほうだろうな。蒼穹は便宜上、ラインフォルトのものってことになってるし」
「ラインフォルトに喧嘩を売るような真似、欧州国家はしないと思うけど……」
勇人が所属していることになっている企業、ラインフォルトグループは機械類のメーカーであり、家電製品から作業用機械まで幅広い分野で関与しており、そのシェアも世界規模のものであり、特に欧州においては絶対的なものだ。
最近では、ISを参考に人命救助または介護補佐を目的としたパワードスーツの製造に力を入れており、勇人はそこを専門に扱う部署の世話になっている。
そんな会社を敵に回せば、デュノア社といえど無傷では済まない。
「……どうする?ぼろを出すまで待つか?」
「そこはお姉ちゃんから指示があると思う。それまではあいつの護衛に徹してて大丈夫じゃないかな?」
「要は普段通りでいいってことか。いや、かt……楯無のことだから、なんかやってくるな」
護衛においてもっとも重要なのは、護衛対象に危険が及ぶ可能性を少しでも下げることだ。
となれば、シャルルもといシャルロットを一夏から引き離し、勇人と同室にさせる。あるいは一夏と勇人を同室にさせる可能性がなくはない。
急な転入生が二人も来ているのだから、今頃、生徒会も巻き込んで部屋割りの変更でてんやわんやのお祭り騒ぎになっているはずだ。
そのどさくさに紛れて、一夏と勇人の部屋割り変更をしてくる可能性が高い。
「まぁ、ひとまず沙汰を待つさ」
「それがいいと思う……個人的にはあいつがラッキースケベやらかして顔が変形するまでぼこぼこに殴られればいいって思うけど」
「……同居人に事あるごとに木刀で追いかけまわされて、小学校以来の幼馴染にはIS武装で追いかけまわされてるんだ。さすがにこれ以上はかわいそうだから想像するだけにしとけ」
まだ八つ当たりを続けている簪に、勇人は苦笑を浮かべながらそう返した。
人間嫌いで一夏に自分の人生設計を崩された勇人ではあるが、それでも周囲は女子しかいないという異質な環境の中に放り込まれれば、嫌でも一夏に友情を感じるものだ。
そのお情け程度の友情が、一夏の現状を、たとえ自業自得ではあっても、かわいそうと感じさせていた。
「あ、あのぉ~、そろそろよろしくて?」
「ん?あぁ、おかえり、セシリ……おい、そのトレイに乗ってるデザートの数はなんだ?」
タイミングを見計らっていたのだろう、ゆっくりとデザートを吟味していたセシリアが戻ってきた。
その手に、食べきれるのかどうか心配になるほどのデザートが乗っているプレートを持って。
「主に本音さんのせいですわ……こんなに食べられますの?」
「え~?大丈夫だよ~!かんちゃんもセッシーもいるし、何より甘いものは別腹なんだよ~!」
「……俺はセシリィにはおごってもお前にはおごるつもりなかったんだが?」
どうやら、主な原因は本音にあったらしい。
勇人のおごりであることをいいことに、あれこれと注文したのだろう。
その量を見た勇人は、今月はしばらく自炊だな、と頭を抱えたことは言うまでもない。