IS×DX~二番目は「背教者」の業を背負う者~   作:風森斗真

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少し駆け足な感じはありますが、シャルロットの追求です
次回にはシャルロットの抱える事情を聞くことになります


疑惑を転入生にぶつけた結果

昼休みが終わり、午後の授業がすべて終わった放課後。

勇人と簪はアリーナで弐式の動作試験を行っていた。

が、まだやはりマルチロックオンシステムで不具合が生じてしまい、《山嵐》だけが思ったような動きをしてくれなかった。

 

「……通常のロックオンシステムだったら動くんじゃね?」

「ロマンは捨てたくない……あぁ、でも早く動かしたいし……」

「……まぁ、クラス対抗戦もあるしな」

「……うん……」

 

実のところ、簪は少しばかり焦っていた。

理由としては、勇人が口にした通り、校内クラス対抗戦の開催が告知されたことにある。

先日のクラス代表対抗戦は出場できなかったため、今回の試合を弐式の初陣にしたいと考えているようだ。

が、なかなか理想の形まで仕上げることが出来ず、難儀していた。

 

「やっぱり、通常のロックオンシステムにしたほうがいいのかな……いや、もうここまで来たらやっぱり……」

 

理想形に少しでも近づけてから出陣させるか、それとも現状で妥協するか。

二つに一つしかない選択肢に悩んでいると、廊下から一夏とシャルルの声が聞こえてきた。

どうやら、あちらは別のアリーナで練習をしていたらしい。

会話の内容を聞くに、一夏がシャルルが一緒に更衣室に来てくれないことに文句を言っているようだったが、一歩違えば、一夏が着替えるシャルルの肉体を見てみたいという欲求をぶつけてきていると思われても仕方のない状況になっていた。

 

「……あのバカ……ちと止めてくる」

「いってらっしゃい」

 

自分の我を押し通すことは決して悪いことではない。

だが、それが他人に迷惑を与えることになれば、悪事以外の何物でもなくなる。

特に、シャルルのように押しに弱い節がある人間に対しては。

半ば暴走気味になっているのではないかとすら思える一夏のその状態に、いい加減、腹が立っていた勇人は一夏を止めに向かった。

 

「おい、イチ。お前ほんとに馬鹿か?いや、バカだったな、すまん」

「いきなり辛辣じゃないか、勇人?なんだよ、たまには一緒に着替えようってだけじゃないか」

「傍から見たらお前が男に迫ってるだけにしか見えんぞ……てか、いい加減、やめてやれって。そいつにも事情があるんだろ?見せたくない古傷とか、痣とか」

「俺は気にしないけど」

「こいつが気にするんだよ。俺だったら気にする。つかいい加減にしないとお前、そういう趣味の男だって思われるぞ?」

 

そういう趣味、というのがいわゆる同性愛者であることを察するまで、一夏もシャルルも時間はかからなかった。

シャルルに至っては顔を真っ赤に染め上げて、何かをぶつぶつとつぶやいている始末だ。

一夏は必死になってそれを否定するが、勇人はさらに畳み掛けるように否定に返してきた。

 

「お前がそうじゃなくても、周囲がそうは思わん……てか、お前、本当に男色の気が」

「ねぇからっ!」

 

一夏が大声で否定したが、その反応がかえって一夏の男色疑惑を深めることとなり、勇人とシャルルはじりじりと一夏から離れていった。

この事態を収拾するには、自分がシャルルに謝罪しなければならないと考えた一夏は、ひとまず、シャルルに謝罪することにした。

 

「いや、悪かったよ、シャルル。もう無理言わないから」

「……信じていいのかなぁ?」

「知らん。あ、イチ、言っとくが疑い晴れるまで俺はお前から半径三メートルの範囲には近づかないようにするから、そのつもりでな」

「だから違うって言ってるだろぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

勇人の一言に、一夏は過剰な反応を示していた。

その結果、しばらくの間、一夏はホモ疑惑をかけられてしまい、女を腐らせた生徒たちからは、薄い本(薄=異本)のネタとして扱われることになるのだが、そこはまた別の話。

 

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それから少しして、勇人は簪とシャルルとともに部屋に戻ろうと、廊下を歩いていた。

楯無の采配なのか、それとも千冬の采配なのかは不明だが、勇人とシャルルが同室になり、簪は別室へ移ることとなった。

簪の引っ越しを手伝うため、勇人はシャルルに先にシャワーを浴びててほしい、と伝え、簪とともに部屋から出ていった。

自分のISである「蒼穹」を机の上に置きっぱなしにしたまま。

 

「…………」

 

蒼穹をじっと見つめていたシャルルは、ゆっくりとその手を蒼穹に向かって伸ばした。

が、指が触れるその前に、シャルルは動きを止め、ぐっと伸ばした手を握りしめた。

 

「……は、はは……やっぱり、僕には無理だよ……」

「『スパイの真似事なんて』、か?」

「……っ!!??つ、月影くん……い、いつから?」

「いまさっき。お前が蒼穹に手を伸ばしたあたりから。いやもうびっくり。まさかそのまま俺のISを盗もうとするなんてな」

 

わざとなのだろう、ふざけた様子で話している勇人だったが、一切の隙がない。

どうにか逃げ出したいが、それができない。

もはや自分に逃げ場がないことを察したシャルルは、ぺたん、とその場に座り込んだ。

 

「なんだ。がむしゃらになって逃げると思ったから色々準備したのに、もうギブアップか」

「ははは、だって、君、まったく隙がないんだもん。ISを展開したとしても、織斑先生に制圧されて終わりだろうし」

「なるほどな……ま、ひとまずそこに座れ。安心しろ、手は出さんよ。シャルロット・デュノア」

 

勇人に名前がばれている。

その事実を知ったシャルル、いや、シャルロットは目の前が真っ暗になっていくような感覚を覚えた。

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