IS×DX~二番目は「背教者」の業を背負う者~   作:風森斗真

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というわけで、ようやく勇人が所属する企業とその企業にかかわる人たちの設定を出せます
それと、本編中に出ている二つ名ですが、まぁ、知ってる人ならだいたい想像は付くと思います
なお今後、『彼ら』を出すタイミングは未定ですので、あしからず


勇人の策とそれまでの対策

勇人が持つ、更識家以外の唯一のコネクション。

それは、彼が所属している企業だった。

その企業の名は、ラインフォルト(R.F)グループ。

アメリカ、ヨーロッパはおろか、アジアにもその勢力を伸ばす大企業だ。

 

それだけならばまだよかった。

ただの大企業というのならば、世界中にいくつも存在している。

だが、このR.Fグループには、より正確には、R.Fグループに所属する士官学校出身の社員二名には特筆すべきものがあった。

 

曰く、学生時代に紛争ぼっ発につながりかねない、いくつもの事件を未然に防いだ。

曰く、教官を含めても十人に届かない人数でテロリスト全員を鎮圧した。

曰く、ISではないがISに非常に近い強化装甲を開発した。

 

などなど、様々な噂が流れているその二人は、現在、R.FグループでISおよび強化装甲の開発担当部の所長とテストパイロットとして働いている。

当然、勇人はその二人の部下、という扱いとなり、あまり他人とのつながりを作りたくない勇人が、つながりを作らざるをえない二人、ということになる。

だが珍しいことに勇人はこの上司二人と、二人の仲間を気に入っており、敬意を払っている。

そのため、もしかするとIS学園よりも居心地がいい場所、ということになるかもしれない。

 

「別の大手企業の傘下に入るって……もしかして、デュノア社を買収するってこと?」

「だが、そんなことができる企業……まさか、《灰の騎士》が身を寄せているあそこか?」

「さすが、戦乙女。その通りですよ」

「え?《灰の騎士》が身を寄せてる企業??《灰の騎士》なんて二つ名の操縦者、聞いたことが……」

 

二人だけで納得している勇人と千冬に、シャルロットは首をかしげ疑問を挟んだ。

もっとも、シャルロットの反応は、表の世界を生きている人間としては当然と言えた。

戦乙女(ブリュンヒルデ)》や《銃央矛塵(キリング・シールド)》といった有名な二つ名は、現在ではIS操縦者のものがメジャーになっている。

そのため、二つ名持ちは基本的に女性であり、IS操縦者であるというのが表の世界の認識だ。

 

が、それはあくまで表の話。

裏の世界には、それこそIS操縦者にも引けを取らない、ともすれば、彼女たちすら片手でひねることができるのではないかという実力者がごまんといる。

その中の一人が、《灰の騎士》だ。

 

「それはそうだ。『彼』はIS操縦者ではないからな」

「え??!!」

 

彼、という代名詞に、シャルロットはさらに驚いた。

 

「ついでに言えば、あの人に勝てるのは織斑先生かあの人の嫁さん、あとはお師匠さんや兄弟子くらいだろうな……」

「そ、そんなに強いの?」

「あぁ。兄弟子の人も含めて、あの人たちはもう半分人間辞めてるじゃないかって思うときあるぞ」

 

勇人のその言葉に、シャルロットはただただ唖然としていた。

だが、シャルロットが呆然としている間に、トントンと話は進んでいった。

 

「それで?具体的にどうするんだ?お前の計画(プラン)を聞かせてもらおう」

「なら、まずは最終目標の確認を……個人的に最終目標として、シャルロット・デュノアの解放とデュノア社の正常化の二つを定めています」

 

シャルロット・デュノアの解放、というのはつまり、シャルルとしてではなく、シャルロットとしていられるように邪魔となるものを排除または不干渉を約束させること。

デュノア社の正常化はその通り、会社の経営権をお飾りとなっているアルベール氏に返し、巣くっている女権団を排除すること。

だが、そのためには、まずデュノア社の動きを抑え、アルベール氏と社長夫人の安全を確保する必要がある。

 

「まぁ、デュノア社の動きを封じるのは交渉次第と思います。どのみち、そこが始まらなければ、シャルロット・デュノアの解放もできないでしょうし」

「なら、そこについては教員側……いや、私と山田くんで行おう」

「その心は?」

「そう警戒するな……お前たちはそろそろ学年別トーナメントがあるんだから、それに集中しろ」

 

どうやら、千冬なりの気遣いらしい。

たしかに、勇人は企業代表、シャルロット、いや、シャルルもフランスの国家代表候補であるため、学年別トーナメントへの参加が義務付けられている。

おまけに、千冬の話では、先日から立て続けに起きているIS学園の襲撃事件を鑑み、生徒たちに様々な事態(ケース)を想定した訓練を兼ねるとのことで、今回はタッグトーナメントにすることが急きょ決まったらしい。

となれば、誰と組むかが問題となる。

 

「変なところでぼろが出るのはあれだから、俺か簪と組んだ方がいいんじゃないか?」

「あら?お姉さんじゃなくて??」

「会長でもいいだろうけど……そもそも、学年がなぁ……」

「……それもそうね」

 

タッグトーナメントは学年別で行われるため、違う学年同士でタッグを組むことはできない。

そのため、必然的に刀奈と組むという選択肢は除外されてしまうのだ。

加えて、勇人は『一夏の護衛』という任務があるため、会場にいることになるのだが、刀奈は主催側であるため、運営のほうへ回らなければならない。

 

「かといって、事情を知ってるのはこの場にいるものと更識妹、布仏姉妹以外……いや、さすがに学園長はご存じだろうな。だからこうして私が出張っているのだが」

「でも、簪ちゃん、あなたと組むのを楽しみにしてたわよ?いいの?あの子のこと後回しにしても」

「……それはそれであとがきつい……」

 

約束を反故にされれば、簪がへそを曲げてしまうことは、嫌でも想像ができた。

そんな面倒なことはごめんこうむりたいというのが本音なのだが、状況がそれを許してくれそうになかった。

 

「あ、あの……僕、辞退するよ?」

「いや、その必要はない……はぁ~……どっかで埋め合わせしないとかぁ……」

「あるいは、簪ちゃんとシャルロットちゃんで組ませて、あなたと織斑くんが組むとか、ね?」

「……あぁ、そっちのほうが面倒が少ないか?」

「まぁ、事情を理解している人間同士で組んだ方が余計なことが起きる心配は少ないだろうな」

 

楯無の提案に、勇人は頭痛を覚えながら返し、千冬は腕を組んで同意した。

確かに、簪にへそを曲げられるのは困る。非常に困るが、それはあとで埋め合わせをすれば済むことだ。

むしろ、事情を知らない一夏とシャルロットが組んで万が一、シャルロットの正体が一夏にばれて大騒ぎになる方が好ましくない。

 

「まぁ、簪ちゃんにはちゃんと事情を説明するから、今回は我慢してもらいましょ」

「それしかないか……」

 

楯無の提案に、そっとため息をつきながら、勇人はそう返した。

果たして、埋め合わせとして何をさせられることになるのか。

それを考えると、頭痛がしてくるようで、勇人はこめかみを抑えながらうなだれていた。

話がまとまったと見たのか、千冬はシャルロットのほうへ視線を向けた。

 

「今は我慢しろ、月影。というわけだデュノア。お前の意思を聞かないで進んで申し訳ないが、こちらのほうが面倒が少ない」

「い、いえ……強制送還されなかっただけでもありがたいので、文句は言えないですよ」

 

かえって申し訳なさそうに返しながら、シャルロットはこの提案に乗ることにした。

だが、まさかこの提案が無駄になってしまう事態が起きるとは、この場にいた全員、予想することもできなかった。

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