IS×DX~二番目は「背教者」の業を背負う者~   作:風森斗真

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ISの絶対防御はバリアクラッキングで崩壊できる、ということにしてます、一応
SEを使って形成する不可視の障壁、みたいなものみたいですし、理論上、間違ってはいない……はず……


異能操る暗殺者

IS操縦者を射抜いた少年は、そっとため息をつき、耳に取り付けたインカムのスイッチを入れようとした。

だが、背後に誰かの気配を感じ、視線を向けた。

 

「いたならいたで手伝ってくれてもいいだろ?」

「あら?あなたならあの程度、余裕だと思ってたから手を出さないでいたのだけど?」

 

少年が視線を向けた方から、水色の髪をした赤い瞳の少女が姿をあらわした。

手にした扇子を開き、口元に寄せているため表情はわからないが、扇子に書かれた「余裕綽々」という文字とからかうような声色から、少なくとも、微笑んでいるのであろうということは、この少女との付き合いの長い少年でなくも推測できた。

 

「ほんと、いい性格してるよ、お前」

「ふふっ、ごめんあそばせ」

 

悪戯っぽい笑みを浮かべながら、少女は扇子を閉じた。

同時に、少年も装着していた強化装甲を外した。すると、装甲が一瞬、赤い光を放ち、一本のペンへと姿を変えた。

そのペンを胸ポケットにしまうと、少女は、いつも思うんだけど、と口を開いた。

 

「あなたのその"異能(ちから)"って異常よね」

「異常な能力だから、異能、なんだろ?」

「まぁそうなんだけど……ほんと、あなたがこちら側でよかったわ、勇人」

「更識には恩があるから敵対はしない」

「む!そこはかわいい刀奈ちゃんと簪ちゃんがいるからって言いなさいよ!!」

 

ぷくっとほおを膨らませ、不満そうな顔になり、少女が抗議してきた。

が、勇人はそんなことは知ったことではない、といった風に鼻を鳴らした。

 

「知らんな、そんなことは」

「ひっどーいっ!!」

「つか、刀奈。お前はそんなことを言いに来たわけじゃないだろ?」

「……ま、そうなんだけどね」

 

突然、刀奈と呼ばれた少女の表情と声色が変化した。

その目と顔には、先程までの笑みはなく、おふざけは一切ない、真剣なものへと変わった。

 

「任務、ご苦労様です。あとの処理は私の方でやっておきますので、帰投してください」

「了解した、十七代目……お前さんの護衛はいいのか?」

「虚がいますから、大丈夫です……けれど、そうね……」

 

その一言を聞いた刀奈は、にやり、と意地の悪い笑みを浮かべた。

 

「せっかくだから、殿方にエスコートしてもらおうかしら?」

「冗談で言ったつもりだったんだが……帰投する」

 

言わなければよかった、とそっとため息ををついていると、勇人の携帯に着信が入ってきた。

ディスプレイには、簪、の一文字だけがあった。

それを見た刀奈は、あちゃー、と言いながら天を仰いだ。

 

「……そういえば、簪ちゃん、勇人の仕事が終わったらちょっと手伝ってほしいことがあるって言ってたわね」

「……それを先に言ってくれ……」

 

これで何度目かわからないため息をついて、勇人は携帯に出た。

 

「はい」

『勇人?終わったの?』

「あぁ、少し前にな」

『……手伝ってほしいことがあるんだけど、大丈夫?』

「構わんさ」

『それじゃあ……待ってる』

 

そう言って、簪は通話を切った。

勇人も携帯をしまうと、刀奈のほうへ向き直り、先に戻ることを伝えた。

刀奈はそれをあっさりと承諾してくれたため、さっさと戻ろうとした時だった。

 

「勇人」

「ん?」

「簪ちゃんのこと、お願いね?」

「……善処する」

 

どんな意図があってそう語りかけたのかはわからなかったが、勇人はそう返して、その場から立ち去って行った。

その背中を見送りながら、刀奈はそっとため息をついた。

 

「……簪ちゃんのこと、お願いね、か……我ながら、なんでこうヘタレなのかしらね」

 

刀奈は自嘲気味な笑みを浮かべ、そうつぶやいた。

しかし、すぐに気持ちを切り替え、勇人が仕留めたIS操縦者のほうへ視線を向けた。

だが、その行動にすぐ後悔することとなった。

 

「……うっ……」

 

そこにあったものは、ISの残骸と、操縦者と思われる、人物の焼死体だった。

ぶすぶす、と音を立てながら煙が上がり、異臭があたりを包んでいる。

絶対防御があるはずのISをまとっていてもこれなのだ。

勇人がその身に抱えている異能が、どれほど異常なものであるか、うかがい知るには十分だろう。

胃袋から湧き上がってくるものをどうにか堪え、刀奈は周辺の片付けと偽装を急ぐよう、指示を出した。

 

「……ほんと、あなたが味方であることに感謝するわ……」

 

めぐりあわせによっては、敵になっていた。それも、おそらく自分と戦うことになっていたかもしれない勇人が、少なくとも自分たちと対立する意思が、今のところないことに感謝するのだった。

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