根絶少女   作:栗山飛鳥

34 / 94
1月「悪いことは重なるものだ」

 常に濃い瘴気と深い闇に覆われた死の大地、ダークゾーン。

 その一角に、暗黒の世界には不釣り合いな、鮮やかな色に彩られた、ドラゴンすらすっぽり収まりそうなほど巨大なテントが屹立していた。

 テントの入り口では、道化のメイクを施した小鬼がジャグリングをしながら呼び込みを行っており、恰幅のいい支配人が自らカラフルなチラシを配っている。そして、ひとたびテントをくぐると、そこには夢のような世界が広がっていた。

「ペイルムーン・サーカスへようこそ! 一夜限りの驚きと興奮を、どうぞお楽しみください!」

 バニーの衣装を着たバニーの獣人(ややこしい)がショーの開幕を告げると、マンティコアやヒポグリフと言った名だたる怪物達がコミカルな仕草で玉乗りをして観客を沸かせ、ドラゴンさえも花火のような炎を吐いて、それを彩る。美貌のビーストテイマーがひとたび鞭を鳴らすと、グリフォンが火の輪をくぐり、満員のテントは大喝采に包まれた。

 ここは、暴力と策謀が渦巻くダークゾーンにおいて、唯一笑顔が溢れる場所。ペイルムーン・サーカス団の本拠地である。このテントが現れた地域では、決まって要人が不審な死を遂げると言うが、その程度はダークゾーンにおいて些末な問題にすぎない。

 そんな巨大なテントと繋がるようにして、団員の控室を兼ねた小さなテントがある。見た目は人が数人入れば満員になってしまうようなテントだが、魔力で中身が拡張されており、サーカス団の全団員を収容することが可能である。そのさらに地下には、サーカス団の要人が待機する部屋があり、そこに足を踏み入れることを許されるのは、その要人に招待されたものか、ある密約を結ぶために莫大な金額を支払った者だけである。

 地下へと続く階段を下る、サーカス団に所属する男は前者だったが、華やかだった外観とは裏腹に、ひたすら殺風景な石造りの壁が続く階段に、早くも嫌気がさしていた。狭い通路に自分の足音ばかりが不気味に響き、さらに陰鬱な気分にさせてくれる。男は派手好きで、だからこそペイルムーン・サーカス団に入団したのだ。こんなカビ臭い階段を延々と歩き続けるためではない。

 下りではあるが、まるで処刑台へと続く階段を上っているかのようだった。

 降って涌いてきた想像に、自嘲するように笑う。あながち間違いでは無い。これから男が会おうとしている要人は、このペイルムーンにおいて。いや、裏の世界でもっとも有名な女性だった。けっして狭量な人物では無いが、ひとたび機嫌を損ねれば、自分の首など気付かぬうちに刎ね飛ばされるだろう。

 悪い方向へと傾いていく想像に身震いすると、しばし立ち止まって、身なりを確認する。問題無し。たぶん失礼は無いはずだ。

 もうしばらく階段を下りると、巨大な扉が男を出迎えた。ダークゾーンという立地もあり、サーカス団の本部というより、魔王の居城を連想させる。

「入れ」

 男が扉をノックするよりも早く、横柄だが気品のある声が奥から聞こえてきた。たった一言にも関わらず、人を力づくで魅了してしまうような蠱惑的な声音だった。

 声に聞き惚れていた男がぼーっとしていると、中から扉が開かれた。床には赤い絨毯が一直線に敷かれており、その先にある玉座で、長い黒髪の女性が、まさしく女王の如く尊大に腰かけていた。

「どうした? 早く来い」

 座したまま、女が再び声をあげる。続いて、扉を開けてくれたのであろう、入口に控えていた小柄な竜が「早く行け」と促すように低く唸った。

「あ、ああ……! 悪い」

 男はようやく我に返ると、番竜に軽く礼を述べ、「失礼します!」と部屋に足を踏み入れた。近づくにつれて、壁にかけられた松明の光に照らされた女性の姿が鮮明に浮かび上がる。ぴったりとした黒革のパンツが、脚から尻にかけて引き締まっていながらも肉感的なラインを浮かびあがらせ、そこから繋がる露出した腰は、一切の脂肪を感じさせないほど細かった。そのくせ、パンツと同じ材質の黒革で覆っただけの胸は豊満に飛び出ており、世の男性を虜にしてしまうであろう絶世のプロポーションが、そこにはあった。

 そしてまた、その美貌も奇跡の賜物。薄暗い闇の中でくっきりと見えるほど艶のある長い黒髪に、しっとりとした唇。ピンと尖った耳はエルフの象徴であり、それがまた、人には無いフェティシズムを感じさせる。黒曜石のような左目と、モノクルの奥にある紅玉のような右目からなるオッドアイは、彼女をよりミステリアスに際立たせていた。

「ただいま参りました、ルキエ様」

 男が女性に自然と頭を垂れる。これほど完璧な女を前にして、そうならない男など、滅多にいない。

「畏まらなくていい。お前は私の従僕ではない。であるならば、我々は同じペイルムーンの団員であり、立場も対等のはずだ。違うか?」

 ルキエと呼ばれた女性が、潤いのある唇を開いて寛容に言った。その割には尊大な口調だが。

「は……」

 そんなことを考えていたのだろう男が、曖昧に頷く。

「お前をわざわざここまで呼び立てたのは他でもない。暗殺の依頼だ」

 暗殺。

 それこそがペイルムーンサーカス団における裏の仕事だった。彼女らが『悪夢のサーカス団』と畏れられる所以となっている。

 だが、それを聞いた男は狼狽したように首を振った。

「……オレに暗殺が向いているとは思えませんが」

 男はペイルムーンにおける表向きの仕事。要するにサーカスに憧れて、ペイルムーンに入団した。腕っぷしには自信があるため、かつて黒輪を操る侵略者が飛来してきた時などは武器を取って戦ったが、裏の仕事に手をつけたことは一度も無い。自慢の図体も、隠密行動が要求される暗殺となっては宝の持ち腐れだ。

「知っている。だが、今回の仕事はお前こそが適任なのだ」

 そう言いながら、ルキエは形のいい足を組み直した。その拍子に豊かな胸もたぷんと揺れる。

 そんな何気ない仕草のひとつひとつが、男の煩悩をいちいち刺激する。平時なら眼福だが、真剣な話をしている時は気が散って仕方がない。彼女はそれを無意識に行っているだけなのか、わざと見せつけてからかっているのか、それすらも彼女を覆う微笑の仮面からは判断がつかなかった。

「話が見えませんが」

「そうだな。順番に説明しよう。まず、お前は地球という惑星に住む人間のひとりにディフライドしてもらう」

「ディフライド……?」

 その言葉は聞いたことがあった。たしか自分達が住む惑星クレイと表裏一体の関係にある、地球とかいう惑星に住む人間に、魂だけを憑依させる技術だったか。

「見た目の割に博識だな。話が早くて助かる。そのディフライドとやらは、地球に己と深い繋がりを持つ人間がいなくてはできないらしい。お前と繋がりを持った人間ならすぐに見つかったとメサイアから報告があってな」

(メサイア? 何故、そこで奴等が出てくる?)

 たしかディフライドはメサイアの持つ技術だったと聞いたことがある。今回の仕事にディフライドが必要なら、名前が出てくることに違和感は無いが、奴等は秩序を重んじる面白味の無い集団である。暗殺に手を貸してくれることなど、本来ならばありえないだろう。

(となると、今回の仕事自体が、何か巨大な秩序を守ることに繋がっている……?)

 そこまで予測して、男は怜悧に目を細めた。

 それを見てとったルキエも、ふっと頼もしそうに笑みを浮かべる。

「話を続けるぞ。ディフライドして地球に降り立った後は、このふたりを始末してもらいたい」

 ヒュッと空を切る音と共に、ルキエが腕を振る。ダーツを投げたのだと男が気付いたのは、壁に貼ってあるコルクボードに2本のダーツが突き刺さっているのを確認してからで、そのコルクボードには2枚の写真が貼ってあった。

「女の子……?」

 その写真には、それぞれ10代前半と思しき白髪の少女が映っていた。ふたりは瓜二つで、片方が髪を二つ括りにしているのでどうにか見分けがつくが、片方も同じ髪型にするか、片方が髪をおろせば、もう区別はできなくなるだろう。男は人間の顔を覚えるのが苦手だった。

 いや、そんなことよりも。

 男から目を離すことなく投擲されたにも関わらず、ダーツは正確に少女の眉間を貫いていた。それを見て、男が唸るように声をあげる。

「こんな小さなガキを殺せ、と?」

 ペイルムーンは暗殺組織だが、ダークゾーンという地域の性質上、始末するのは後ろ暗い者が大半だった(依頼してくるのも後ろ暗い者が大半だが)。何の罪も無い子どもを殺すなどという話は聞いたことがない。サーカスの本懐は子どもを笑顔にすることなのだから。

「どうした? 年端もいかぬ子どもは殺せないか?」

 ルキエが試すように、漆黒の瞳と、深紅の瞳、二色の眼を揃えて男に向ける。

「…………いえ」

 男は項垂れながら言った。

 自分は表の存在だ。裏のことなど、本当は何もわかっていなかったに違いない。ダークゾーンで生き残るには、綺麗事が通じないことなどままある。裏がこれまで手を汚してくれていたからこそ、表の自分はこれまでのうのうと生きてこられたのだ。それに報いるには、自らも手を汚すしか無いではないか。

「……ふっ。相変わらず義理堅いな」

 ルキエが表情を和らげ、再び笑みを浮かべた。

「だが、安心しろ。この少女の命脈を断てと言っているわけではない。この少女の中に潜む侵略者の魂を始末して欲しいのだ」

「……は?」

「それにはある遊戯の力を借りる必要がある。

 お前に改めて命じよう。

 この少女達。音無(おとなし)ミオ、時任(ときとう)レイの両名をヴァンガードで抹殺せよ」

 今も上で行われているサーカスの喧噪をかき消すように、ダークゾーンの空に雷鳴が鳴り響いた。

 

 

「これでトドメだよ、お姉ちゃん! 《時空竜 ミステリーフレア・ドラゴン》で《絆の根絶者 グレイヲン》にアタック!!」

 大仰に手を突き出し、時任レイが宣言する。

「ノーガードです……私の負けですね」

 6枚目のカードをダメージゾーンに置きながら、音無ミオはいつも通り無表情ながらも、少し憮然とした声音で告げた。

「やったぁ! はじめてお姉ちゃんに連勝できた!」

 ミオからふたつの勝ち星をあげたレイは、姉とは対照的に全身で喜びを表現する。

「レイさんもだいぶ強くなりましたね。特に先月の高校選手権からは見違えるほどです……」

「ふふん! 春休みにはマナちゃんが遊びにくるからね。もっともっと強くなって、今度はマナちゃんをびっくりさせるんだ!」

「それとも、空にあの赤い星が現れてから、と言い換えた方がいいでしょうか」

 ミオが声のトーンを僅かに落として、子どもを注意する大人のようにまっすぐとレイの瞳を見つめた。

「……そう言えば、珍しいよね。お姉ちゃんが、家に招いてくれるなんてさ」

 レイは姉の視線から目を逸らしながら、話も逸らすように言った。

 今、ふたりがいるのはミオの家であり、驚くほどに何も無い彼女の私室である。白いカーテンが開け放たれた窓からは、ヴァンガード高校選手権の夜に見た赤い星が、まだ昼時にも関わらず、当時よりも大きく鮮明に黒々と輝いていた。

 突如として全国で観測されたその星は、テレビやインターネット上で、今も大きな話題の種となっている。

 巨大隕石説から、他国の衛星兵器説。生物の集合体ではないかという荒唐無稽な説も見られた。

 唯一分かっていることは、現代の技術をもってしてもすぐには観測できないほど遠くに存在し、それにも関わらず肉眼で確認できていることから、途方も無く巨大な存在であるということだけである。

「サキさんや、他の人の耳が無い方が、話しやすそうな話題だと思ったので」

「お姉ちゃんも直感……というよりは、本能で、あれの重要性が認識できてるみたいだね。いいよ、教えてあげる。もとより隠すつもりもなかったし。あれから期末テストやら、年末年始やらで、お姉ちゃんとゆっくり話す機会も無かったもんね。人間も大変だ」

 レイは言いながら肩をすくめ、ミオに向き直った。

「あの星は、アタシ達、根絶者の生まれ故郷にして、根絶者そのもの。

 その名は……遊星ブラント」

「遊星、ブラント……」

 その名を聞いた瞬間、ミオの心にぎゅっと掴まれる感覚があった。

 郷愁とでも言うのか。行動範囲の狭いミオにとっては、特に縁の無い感情だったが、とにかくむしょうに「懐かしい」「帰りたい」「遭いたい」と思った。

「と言っても、アタシの知ってるブラントはメサイアに浄化されちゃったから。あの星は、メサイアの魔の手から逃れた根絶者の残党が寄り集まって作り上げた、新しいブラントみたいだね。それでも、当時と同じくらいの大きさに育ってる。みんな、頑張ったんだねー」

 レイがテーブルに置かれたままになっている根絶者のカードを見渡しながら、うんうんと頷いた。

「なるほど。では、もうひとつの質問ですが、あれの危険性は? 地球に害を与える可能性はありませんか?」

「あはは! ないない!」

 真剣な声音で詰問するミオを、レイは手を振って笑い飛ばした。

「たしかに根絶者は本能的に存在を消去しようとする、人間にとっては危険な存在だけど、ブラントからしてみれば地球なんて砂粒みたいなものだからねー。こっちからは観測できても、ブラント側はまだ気付いてすらいないと思うよ。よっぽど運悪く、ブラントの移動ルートに地球がカチ合うか、何かブラント側が地球に気付くきっかけでも無い限りは大丈夫。同じ地球が滅びるなら、巨大隕石が偶然地球に落下する方が、まだ可能性高いんじゃないかな。

 今は距離が近くなってるようだけど、いずれ通り過ぎて行く思うよー」

「……それならいいのですが」

 それでも心臓の高鳴りは未だに止まず、焦燥にも似た郷愁はミオの心の中で蠢いていた。

 

 

 はじめてのファイトと言うのは、誰しもがドキドキするものである。だが時に、心無い人物の手によって、その思い出が汚されてしまうこともある。

「《ドラゴニック・ブレードマスター》でヴァンガードにアタックだ!!」

「うう……ノーガード、ですっ」

 小さな手にデッキケースを抱えてカードショップ『ハングドマン』にやってきた、まだ伸びきっていない黒髪を二つ括りにしている、小学校高学年と思しき女の子のデッキに、中学生男子のデッキが襲い掛かる。

「とどめだ! 《ワイバーンストライク ギャラン》のブースト! 《ワイバーンストライク ドーハ》でヴァンガードにアタック!!」

「ダメージチェック……負けました」

 女の子がおぼつかない手つきで山札の上からカードをめくり、6枚目のカードをダメージゾーンに置いた。だが、その指が小刻みに震えているのは、ゲームに慣れていないことだけが理由では無いだろう。

「これで5連勝! お話にならないなぁ!」

 対戦相手だった少年が、女の子を嘲るように笑う。

「オレ達は次の大会の練習で忙しいんだ!」

「この程度のレベルのファイターとファイトしてる暇なんてないんだよ!」

「これに懲りたら、二度と『ハングドマン』に出入りすんなよな!」

「そうだそうだ!」

 対戦相手の少年よりわずかに年下らしい、取り巻きの少年達が口々に女の子を罵る。

「……ごめん、なさい」

 少女が消え入りそうな声で謝りながら、デッキを片付けようとする。

「…………うっ?」

 すると突然、女の子が小さな悲鳴をあげてカードを取り落とし、深く俯いた。

「おっ、おい!」

 それに気付いた取り巻きの一人がうわずった声をあげる。

 はじめはついに泣き出したのかと思ったが、どうやら女の子は気絶しているようだった。

「……どうする?」

「気味悪いな。他の店に行こうぜ……」

 ファイトしていた少年が立ち上がり、取り巻きを引き連れて店から出ようとした、その時。

「おい、待てよ!」

 その背に、女の子から怒声を浴びせられた。

 少年が慌てて振り向くと、いつの間にか起き上がった少女が、手慣れた手つきでデッキをシャッフルしている。

「さっきから聞いてりゃ、よくもオレの宿主様に好き勝手なこと言ってくれたなぁ!」

 その声は、先ほどまで対戦していた女の子とまったく同じものだった。しかし口調がまったく違う。あたかも別の魂がとり憑いたかのように。

「オレは子どもは大好きだが、生意気なガキにはお仕置きしてやらんとな。もう一度かかってこいガキども。お前らに蹂躙される恐怖というものを刻み込んでやる」

「な、なんだよ、お前は……」

 少年が怯えたように誰何する。

「オレか? オレは《祝砲竜 エンド・オブ・ステージ》!!

 ショーの終焉を彩る、滅びの大筒だ」

 名乗りをあげた女の子がかざした右手の甲には、ペイルムーンの紋章が紫色に輝いていた。

「さあこい。お前ら全員、花火に変えて散らしてやんよ」

「ひ……ぎゃああああああああああっ!!!」

 その後、少年達の悲鳴がファイトスペースに響き渡り、彼らが『ハングドマン』に出入りすることはなくなったと言う。

 

 

 誰もいなくなった『ハングドマン』のファイトスペースで、エンド・オブ・ステージと名乗った女の子は悠々とファイトテーブルにカードを並べ直していた。

『あ、あの……助けてくれて、ありがとう』

 その女の子に、女の子の声が礼を告げる。しかし、この場から見渡せる範囲にその女の子以外の人影は無い。それもそのはず、その声は女の子の頭の中に、直接聞こえていたからだ。

「なあに。性根の腐ったガキにお灸を据えるのも、大人の義務ってやつだ。それに、あんたはオレの大切な宿主様だしな」

『その……宿主って?』

「あァ? ……うーむ。本当のところ、オレもよくわかっていないんだが。オレはあんた達の言葉で言う、惑星クレイのユニットってやつだ。

 さっきもガキどもに名乗ったが、オレの名は《祝砲竜 エンド・オブ・ステージ》。あんたがデッキに入れてくれている、このカードだな」

 女の子が細い指で、テーブルに並べてあるカードから、カラフルなタッチで描かれたドラゴンのカードを指し示す。

「そこまではオーケー?」

『う、うん。惑星クレイのユニット……ほんとにいたんだ』

 まだまだ夢見がちなお年頃なのか、女の子はそれを素直に受け入れた。

「オレはさる高貴な女性から密命を受け、この地球で仕事せなけりゃならなくなった。だが、地球人の魂が惑星クレイでは長く存在できないように、オレ達の魂も地球上では生きられない。だからオレ達も人間にディフライドする必要がある。それに選ばれたのが、あんたってわけだ」

『な、なんであたしなの?』

「オレ達がディフライドする地球人は、誰でもいいってわけじゃない。ディフライドされるユニットと深い繋がりを持った地球人でなければならないらしい。

 つまり、あんたがオレを大切に使ってくれていたおかげで、オレはあんたにディフライドすることができたってわけだ!」

 そう言って、エンド・オブ・ステージが歯を見せて笑った。残念ながら、それは女の子には見えなかったが。女の子には、エンド・オブ・ステージと同じ視界しか共有されていないのだ。

『……うん。あたしはエンド・オブ・ステージが使いたくて、ヴァンガードをはじめたんだ。

 ヴァンガードのドラゴンって、どこか怖くって。けど、この子だけは、愛嬌があって……その、こんなこと言うと怒るかもだけど、かわいいなって思ったの』

「かわいい?」

 エンド・オブ・ステージの、声のトーンが一段階下がる。

「はっ! そりゃあ、オレ達にとっちゃ最高の褒め言葉だ! 怖がられるだけじゃ、サーカス団は務まらねぇよ」

 かと思うと豪快に笑い飛ばした。

『そ、そうなんだ。よかった……』

「……しっかしまあ、なんだ。さっきのガキどもじゃねえが、あえてはっきり言わせてもらうぞ?」

『……?』

「ひどいデッキだな、こりゃあ。コンセプトはバラバラ。グレードのバランスもなってない。これじゃ勝てないのも無理ねーわ」

『う……ごめんなさい。デッキを組むのってはじめてで、どんなカードを入れていいかわかんなかったの』

「ははあ。さては、好きなイラストのカードを上から順に入れてっただけだな。

 なーに、気にすんな。オレ様が直々にデッキを組み直してやろう。お前はそれを見て、デッキの組み方を覚えればいい」

『あ、ありがとう!』

 かく言うエンド・オブ・ステージもヴァンガードは初心者なはずだが、ディフライダーは本能的にヴァンガードのルールを理解することができた。

「まずG1が少なすぎだな。替えのカードは……おっ! ちゃんと持って来てんじゃん」

 エンド・オブ・ステージが布製の可愛らしいカバンを勝手にごそごそして、小さめのストレージボックスを取り出す。

『ちょ、ちょっと……』

「ブーストできるG1が少ないと肝心な時に火力が出せないし、10000ガードはガード値の調整に役に立つ。この枚数だとライド事故すら多いだろ?」

 女の子の控えめな非難を無視して、エンド・オブ・ステージはテキパキとカードを入れ替えていく。

「その分、G2は減らして……と。ああ、この《フェスブライト・エスケイパー》はオレと相性が抜群なので、入れておいた方がいい。

 トリガーも……おいおい、(フロント)はいらねーだろ? オレがアタックするのは最後だぞ?

 G3は……悪くないな。この組み合わせは、自分で考えたのか?」

「う、うん」

「ふぅん。やっぱ素質あるぜ、お前」

『さっきまで酷評されてたんだけど……』

「だけど、枚数が足りないな。オレは2枚しか無いのか?」

『う、うん……それだけしか持ってなくて』

「まあ、ガキにとっちゃカードも高い買い物だしな。気にすんな! そこは運とノリと腕でカバーする!」

 そして完成したカードの束、デッキをシャッフルし、ドンと自慢げにテーブルへと置く。

「ふぅん。仕事の前に、新しいデッキの試運転がしたいな。どこかにいい獲物は……い・な・い・か・な、と」

 言いながら視線を彷徨わせた時、ちょうどいいタイミングでひとりの少年がファイトスペースに顔を覗かせた。

 高校生くらいだろうか。細身に見えてがっしりとして体つきはスポーツマンらしく、カードゲームとは縁遠そうに見える。ツンツンに尖った髪は白……というよりは、脱色に失敗して白く見えるようになった金髪で、そんな目立つ頭を左右に巡らせて「へえー。こんなところにもカードショップがあったのかぁ」と独り言を呟いている。

「くっくっく。見るからにアホ面が迷い込んできやがったぜ。カモがデッキしょって何とやらってやつだな」

『ちょ、ちょっと……。失礼だよ……』

「おい、そこの兄ちゃん! よかったらオレとファイトしていかないか!?」

 ツンツン頭の少年は、小さな女の子に急に声をかけられ、一瞬だけ面食らったように目を見開いたが、すぐに気のよさそうな笑顔を浮かべると、エンド・オブ・ステージの対面に腰かけた。

「いいぜ! 誰が相手だろうと、俺は売られたケンカは買うと決めてんだ」

「いい返事だ。気に入った! アンタ、名前は?」

「俺か? 俺は鬼塚(おにづか)オウガだ。よろしくな!」

「オウガか。いい名前だ。オレの名は《祝砲竜 エンド・オ……」

『遠藤モモカ! それがあたしの名前! それで名乗って!』

 本名を名乗りかけたエンド・オブ・ステージを、女の子が心の中で慌てて制する。

「……ちっ。オレの名は遠藤モモカ、だそうだ」

「だそうだ? それに、さっきは祝砲竜とかなんとか……」

 オウガと名乗った少年が、意外と細かいことを言う。

「気にすんな! さあ、はじめようぜ!」

「おう!」

 それでも、エンド・オブ・ステージがファーストヴァンガードをデッキから取り出すと、オウガもあっさりとノせられ、自らのデッキを取り出した。

「いくぜ! スタンドアップ!」

「ヴァンガード!」

「《ハピネス・コレクター》!」

「《メカ・トレーナー》!」

 

 

「ライド!! 《祝砲竜 エンド・オブ・ステージ》!!」

 ライトがフラッシュすると、火薬の弾ける音と共に紙吹雪が視界を埋め尽くすように舞い散る。そんな派手な演出を経て舞台の幕が上がると、そこには背中に巨大な砲を背負った、ビビッドなカラーリングの赤いドラゴンがいた。ドラゴンは長い首を大砲に巻きつけると、爆音の咆哮でテントを震わせる。

「グレード3からライドした時、オレ……エンド・オブ・ステージはソウルをすべてソウルブラストすることで、パワー+5000され、このアタックは守護者でガードされなくなる!!」

「ぐっ……こいつはまずいぜ!」

 エンド・オブ・ステージが脅すように言うと、オウガもどこか大袈裟に驚いて見せる。

「いくぜ! エンド・オブ・ステージでヴァンガードにアタック!!」

 ドラゴンが背中の砲を観客席で腕組みをして座る白髪のオーガ、ライジング・ノヴァに向ける。

「発射ァ!!!」

 合図と共に、大砲からその砲身に見合った巨大な弾が打ち出された!

「ノーガード!!」

「ツインドライブ!!

 1枚目……ゲット! (ヒール)トリガー! これでオレのダメージは3点に回復! パワーはエンド・オブ・ステージに!

 2枚目……ゲット! (クリティカル)トリガー! この効果もすべてエンド・オブ・ステージに!!」

 放たれた砲弾はライジング・ノヴァの顔面に直撃すると、花火のように色とりどりの炎をあげて大爆発を起こした。見た目こそ鮮やかだが、威力は大砲相応である。その爆風で観客席も吹き飛んだが、ライジング・ノヴァは首を僅かに仰け反らせただけで、微動だにしていない。その鋼の肉体が盾になったのか、彼の席だけは無事なようだ。

「これで俺のダメージは5点だな……」

 オウガが焦りを滲ませながらダメージゾーンにカードを置いていく。

「くっ! ダメージトリガーは無いぜ!」

「おっと! オレのターンは、まだ終わっちゃあいないぞ!!

 エンド・オブ・ステージのスキル発動!! リアガードすべてと手札2枚をソウルに置き、スタンドする!!」

 どこからかアンコールの声が鳴り響き、大砲の反動でひっくり返っていたドラゴンが再び起き上がる。

「さらに《フェスブライト・エスケイパー》がソウルに置かれたので、スキル発動!

 このカード以外のソウルをすべてソウルブラストすることで、アクセルⅡサークルにスペリオルコール!! パワー+15000!!

 エンド・オブ・ステージで、ライジング・ノヴァにアタック!!」

「《チアガール アダレード》と《プレシャスチアガール キャメロン》でガード! 2枚貫通だぜ!」

「ツインドライブ!!

 1枚目……ノートリガー!

 2枚目……ゲット! 引トリガー! 1枚引いて、パワーはエスケイパーに!

 これで幕引きだ! エスケイパーでヴァンガードにアタック!!」

「《チアガール マリリン》で完全ガード!!

 ふーっ。アダレードも入れておいたおかげで命拾いしたぜ」

「……ふん。オレのアタックで腐っていた完全ガードがあったか。だが、お前の手札は0枚! もう逆転する手段はあるまい」

「そいつはまだ分からねぇぜ」

 そう言って、オウガは不敵に笑い、その姿が一瞬だけライジング・ノヴァと重なって見えた。

「悪いけど、俺は今以上に絶望的な状況を知ってる。この程度、逆境のうちにも入らねえぜ!

 スタンド&ドロー!!

《アンブッシュ・デクスター》をコール! デクスターのスキルで《バッドエンド・ドラッガー》を退却!

 来い! 《デッドヒート・ブルスパイク》! 《魔王 ダッドリー・ルシファー》」

 ライジング・ノヴァが観客席から立ち上がり、地面を踏み抜かんばかりに足を踏み鳴らす。それを合図に、トゲだらけの巨漢が天井を突き破って落下してきたかと思うと、今度はテントの壁が引き裂かれ、ガラの悪い笑みを浮かべた長髪の美青年が姿を現した。

「ライジング・ノヴァのスキル発動! ブルスパイクとルシファーのスキルを得る!!

 さあ、お前ら! 俺に力を貸せ!!」

 そう言って、オウガが天井高く拳を突き上げる。

「バトルだ! ブルスパイクでヴァンガードにアタック! ライジング・ノヴァのスキルで、すべてのフォースをブルスパイクへ! 合計パワーは23000!」

「《マスカレード・バニー》でガード! エスケイパーでインターセプト!」

「ライジング・ノヴァのスキルで1枚ドロー!

 お次はルシファーでヴァンガードにアタック! フォースを移動して、パワー23000!」

「《ダイナマイト・ジャグラー》でガード!」

「《ダッドリー・ウィリアム》のブースト! ライジング・ノヴァでヴァンガードにアタック!

 アタック時、ルシファーをソウルに置くことで、1枚ドローッ!! ……そしてッ! 手札から《ダッドリー・デーヴィー》をスペリオルコールだ!!」

「バカな! 手札0枚からここまで……」

「言ったろ? 逆境には程遠いってな!

 さらにデーヴィーのスキル発動!! 山札から《ダッドリー・デイジー》をスペリオルコール! デイジーのスキルで、山札からルシファーもスペリオルコール!

 もちろんフォースもライジング・ノヴァに移動させるぜ!」

「グッ……!! ライジング・ノヴァのアタックは《冥界の催眠術師》で完全ガード!!」

「ツインドライブ!!

 1枚目、引トリガー! 1枚引いて、パワーはデーヴィーに!

 2枚目、治トリガー! ダメージ回復して、パワーはルシファーに!」

「……ひっ!!」

 エンド・オブ・ステージが小さく悲鳴をあげる。

「デクスターのブースト! すべてのフォースを移動させ、デーヴィーでヴァンガードにアタック!!」

「ノ、ノーガード!! ……やべぇ、トリガーがでねぇ」

「い・く・ぜぇ!! デイジーのブースト! フォースを移動させ、ルシファーでヴァンガードにアタック!!」

「……ノーガード」

 ライジング・ノヴァのキャプテンシーに導かれ、魔王の名を冠する無頼の男が、その指示に従い、翼を広げて高く跳躍する。

『へッ。まぁまぁ面白い見世物だったぜ』

 ライジング・ノヴァが指で形作った銃を赤いドラゴンに向けて告げる。それがゲームセットの合図だった。

 ルシファーが拳に真紅の炎を纏わせると、手にしていたボールに叩きつける。

 上空から隕石の如く降ってきたボールは、ドラゴンの背負う大砲の口に吸いこまれると、内部の火薬に引火し、大爆発を起こした。

 紅蓮の炎に包まれたテントで、紙吹雪が火の粉となって舞い散る中、ライジング・ノヴァは平然と、空から降りてきたルシファーとハイタッチを交わした。

 

 

「負けた……? オレが……?」

 ダメージゾーンに6枚目のカードを置いたまま、エンド・オブ・ステージが呆然と呟いた。

「っしゃあ! 俺の勝ちだな! まだまだ腕は落ちてねぇぜ!」

 オウガは両拳を握りしめてガッツポーズ。

「いやー、しかし、モモカちゃんも強かったぜ」

 そう言って、オウガがスポーツマンらしく爽やかに手を差し出した瞬間。

「グッ、アアアアアアアアアッ!!」

 エンド・オブ・ステージが右手の甲を押さえながら、まるでドラゴンのような咆哮(ひめい)をあげた。

「そ、そんなに悔しかったのか!? 大丈夫だって、モモカちゃんもこれからもっと強くなれる……」

 見当違いなオウガの慰めを左手で制し、エンド・オブ・ステージはカードをかき集め、雑にカバンに突っ込むと、逃げ出すようにして店を出る。曲がり角を曲がって、ショップが見えなくなる場所で立ち止まると、右手の甲を押さえながらゼェハァと荒い息をついた。

『ど、どうしちゃったの!? あのお兄ちゃん、ビックリしてたよ?』

 慌ててモモカが尋ねる。

「くそっ……話には聞いていたが、これほど痛いとは……」

 それには答えず、うわごとのように呟くエンド・オブ・ステージが押さえる手の甲からは、黒い煙が漏れ出していた。

『え? な、なにこれ!?』

「ああ……。ディフライダーがファイトで負けると、ユニットと地球との繋がりが薄れちまう、らしい」

 顔から滝のように汗を垂らしながら、ようやくエンド・オブ・ステージが説明をしてくれる。

「ヴァンガードで言うダメージのようなものだな。負けが累積すると、オレは惑星クレイに強制送還されちまうんだ」

『ええっ!? やだよ、そんなの……。せっかく会えたのに……』

 モモカが泣き声になってぐずる。

 この唐突で強引だった奇跡のような出会いをそこまで思ってくれていることを、エンド・オブ・ステージは嬉しく思った。

「心配すんな。これ以上は負けない!」

 モモカを安心させるように、掌で自身の胸のあたりをポンと叩く。

「今日は出直しだ! モモカ! 家まで案内してくれ! 帰って、ふたりでじっくりデッキを練り直すぞ!」

『う、うん!』

 少女が巡り合った不思議な日々の1日目は、こうして終わった。

 

 

 次の日――

 エンド・オブ・ステージとモモカは、『エンペラー』というカードショップにいた。

 調べによると、標的である音無ミオと時任レイが最もよく出入りするカードショップらしい。

 エンド・オブ・ステージは、そのファイトスペースで堂々と腕を組み、哀れな標的達が来店するのを待ち受けていた。

『音無ミオさん……っていうのは、名前だけなら聞いたことがあるよ。確か高校生で物凄く強いファイターって聞いたかな』

「ふむ。だが、昨日の男ほどではあるまい。でなければオレがああまで一方的に負けるわけないからな!」

『と、ところでさ。地球には仕事で来たって言ってたけど、ペイルムーンの仕事って……』

「暗殺だな」

『そ、その……それはさすがに止めて欲しいと言うか。惑星クレイの法律は知らないけど、日本で人を殺したら犯罪になっちゃうんだよ?』

 というか、仕事を果たした場合、エンド・オブ・ステージは惑星クレイに帰るのだろう。そうなればモモカだけが無実の罪で捕まることになる。とんだ冤罪だ。

「ははっ! 心配すんな。暗殺は暗殺でも、そのふたりを直接殺すわけじゃない。何でも、そのふたりには悪い魂がとり憑いているらしい。俺が殺すのは、その悪い魂だ」

 そう言って、エンド・オブ・ステージが窓から空を見上げた。赤黒い不気味な星が今日も空に瞬いている。

「俺がファイトで勝てば、その魂は少女達から追い出される。昨日、俺がそうなりかけたみたいにな」

『あ、だからこうしてデッキを準備してるわけなんだね!』

「そういうことだ! ま、大船に乗った気分でいるといい。俺とモモカで組んだデッキは、無敵だからな!」

『う、うん! ……ただ、音無さんが来るのを待つのはいいんだけどね。あんまり脚を開かないでほしいかな。ほら、あたしって今、スカートだから』

「ああん? 面倒くせえな。……そもそも、何で人間ってのは服ってのを着るんだ? 裸でいいじゃねえか、裸で」

 などとブツクサいいながらも、きちんと脚を閉じてくれるエンド・オブ・ステージ。

 かと思ったら、誰の真似なのか、妙にセクシーな仕草で足を組み始めた。もちろん小学6年生であるモモカの体では似合わなかったが。

「あ、あとね……」

「まだ何かあるのかぁ?」

『ご、ごめん。その、喋り方なんだけど、もう少し丁寧にしてくれないかな? あたしのキャラが誤解されちゃうよ……』

 オレだの何だの喚いているところを、クラスメイトに見られたりしたら何を言われるか。想像しただけで恐ろしい。

「ああん? つまりはこの祝砲竜様に、お前みたいなナヨナヨした喋り方をして欲しいってか?」

『う、うん……。ナヨナヨって……』

「お前は、そんなオレを見たいのか?」

『う……それは、ちょっとイヤかも』

「じゃ、喋り方についてはナシな!」

『う、うん! たまにはこんな喋り方も、悪くないと思えてきた! 強くなった気がする!』

 そんな感じに、雑談を交わながら待っていたが、目標である音無ミオも、時任レイも姿を現さなかった。

「ふむ……ここに音無ミオが現れるのはガセネタだったか?」

『うーん……音無さんも、よく来るってだけで、毎日来てるってわけじゃないんじゃないかな?』

「マジでか。となると長期戦になりそうだな。それとも、他の客に聞きこみでもしてみるか……」

 そんなことをひとりで相談し始めた時、頭上から話しかけて来る女の声があった。

「ねえ! 2時間くらいずっとここにいるけど、誰かを待ってるの?」

 エンド・オブ・ステージは顔を上げ、声をかけてきた女の顔を確認する。

 前髪を伸ばして左目を隠した女だ。この店のエプロンをつけているので、ここの従業員か。

 まさか殺しの標的を待っていると言うわけにもいかず、エンド・オブ・ステージが返答に迷っていると、女が言葉を続けてきた。

「それとも対戦相手を探してるのかな? あたし、これから休憩だから、1回くらいならファイトできるよ」

 言いながら、女がしゅるりと絹擦れの音をたててエプロンをはずす。

「あ? これから休憩なんじゃ……?」

「え? 休憩だからファイトするんでしょ?」

 噛み合わない会話を交わしながら、女がエンド・オブ・ステージの対面に座る。彼女の中では、もうファイトするのが確定しているようで、いそいそとデッキを取り出したりもしていた。

「変な女だな……。まあいい! 退屈していたところだ! その勝負、受けてやろう!」

「ふふっ。そうこなくっちゃ!」

『ちょっ、ちょっと! もし負けちゃったら、惑星クレイに強制送還されちゃうかも知れないんでしょ!?』

 それを慌てて止めたのはモモカだ。

「オレとモモカが2度も負けるものか! それに、昨日の男じゃないが、売られたケンカは買わなきゃな!」

『もう……。どうなっても知らないからね!』

 心の中でモモカがそっぽを向く。

「あたしの名前は天道アリサよ。よろしくね」

「オレの名はエンド……ウ! 遠藤モモカだ!」

 準備を終えたエンド・オブ・ステージと、アリサと名乗った女が同時に準備を終え、ファーストヴァンガードに手をかける。

「「スタンドアップ! ヴァンガード!!」」

「《年少怪人 ワーレクタス》!」

「《ハピネス・コレクター》!」

 

 

「ブレイクライド! 《蟲毒怪人 ヴェノムスティンガー》!!」

 広い砂漠の中、日陰となる数少ない岩場の隙間からガサガサと音をたてて、黒光りする甲殻で全身を覆った蠍の怪人が現れた。

 それは獲物を見つけると『ギィッ』と声をあげ、威嚇するように尾を持ち上げる。その先端で輝く針から、血よりも赤く禍々しい毒が砂の上に滴り落ちた。

「まずはライドされたサイクロマトゥースのスキルで、手札を1枚捨ててもらうわよ!」

「くっ、オレが捨てるのは《ダブルヘッド・ユニコーン》……G2だ」

「なら、ヴェノムスティンガーのパワー+10000ね!

《無双剣鬼 サイクロマトゥース》と《小隊長 バタフライ・オフィサー》をコール! 小隊長をレストして、サイクロマトゥースにパワー+10000!

 さらに、《鋏撃怪人 イントルードシザー》をコール! イントルードシザーのスキルで、小隊長をスタンド! パワー+10000!

 バトルよ! 小隊長のブースト! イントルードシザーでヴァンガードにアタック!」

「ノーガード! ダメージチェック……トリガーは無しだ」

 エンド・オブ・ステージに4点目のダメージが入る。

「ダメージを与えたので、ヴェノムスティンガーのパワー+10000!

 リトルドルカスのブースト! サイクロマトゥースでヴァンガードにアタック! アタック時、デッキの上から1枚をドロップ!」

「……ノーマルユニットだ」

「なら、サイクロマトゥースのパワー+10000! ★+1! さあ、どうする?」

「もちろんガードだ! 《ポイゾン・ジャグラー》と《ダイナマイト・ジャグラー》でガード! エスケイパーでインターセプト!」

「さぁて、ここからがメインディッシュよ! ヴェノムスティンガーでヴァンガードにアタック!

 アタック時、ヴェノムスティンガーのスキル発動!

 イントルードシザーをソウルに置いて、このバトル中、モモカちゃんのトリガー効果は発動せず、その効果はあたしのものになるわ!

 さらに! イントルードシザーをソウルブラスト! まずはダメージを2点、回復してもらおうかしら」

「なにぃ? 敵に塩を送るとは、マヌケなやつ……」

「ヴェノムスティンガーの本領はここからよ! お次は2点のダメージを受けてもらうわ!」

「それに何の意味が……?

 1枚目、ノートリガー。

 2枚目、引トリガー! ははは! やっぱりマヌケだったなぁ! カードを1枚引かせてもらうぜ!」

「ふっふっふっー。残念でした! 言ったでしょ? このバトル中、あなたのトリガーはすべてあたしのもの。カードを引くのはあたしよ! パワーもヴェノムスティンガーに!」

「なっ! 卑怯な!」

「ありがとう。

 2点のダメージを与えたので、ヴェノムスティンガーのパワーはさらに+20000ね。これで合計パワーは62000!!」

「くっ! ……ノーガードだ」

「ツインドライブ!!

 1枚目……トリガー無し。

 2枚目……★トリガー!! 効果はすべてヴェノムスティンガーに!」

「ぐぬぬ……。だが、まだトリガー次第では……。

 ダメージチェック!!

 1枚目……ノートリガー。

 2枚目……ヒ、治トリガー! 治トリガーだ!!」

「そ。じゃあ、その効果も頂くわね」

「……へ?」

「まだ気づかない? ★を引き当てた時点で、あたしの勝ちは確定したのよ」

 ヴェノムスティンガーの尾が、ぐっと先端をもたげさせたかと思うと、目にも留まらぬ速さで伸び、赤いドラゴン(エンド・オブ・ステージ)の長い首筋に突き刺さる。そこから数滴の毒を注入されるだけで、怪人より数十倍の大きさを誇るドラゴンが血泡を吹き、砂漠に横倒しになって倒れた。それから、その巨体を何度か痙攣させ、それきり動かなくなった。

 蠍の毒は、異界の神話では英雄を殺す。

 蠍怪人の毒ともなれば、竜神(ヌーベルバーグ)の力すら凌駕するのだ。

 

 

「ギャアアアアアアアッ!!」

 ファイトに負けたエンド・オブ・ステージが悲鳴をあげて店を飛び出す。

「ええっ!? モモカちゃん!? ……ちょっと本気でやりすぎちゃったかなー」

 アリサの間の抜けた声を背中で聞きながら。

『ああ、もう……。言わんこっちゃない』

 呆れたように呟くモモカの不思議な日々。その二日目はこうして過ぎていった。

 

 

 その次の日――

 ふたりは『エンペラー』を再訪していた。店にはアリサという店員が今日もおり、別の女性と楽しそうに話をしていたが、エンド・オブ・ステージに気付くと、すぐに駆け寄ってきた。

「あっ、モモカちゃん! 昨日は大丈夫だった? 急に店を飛び出すから、びっくりしたんだよー」 

「あ、ああ! すまん! ちょっと持病の腰痛が悪化してな……」

小学生(あたし)を変な病気持ちにしないでくれるかな!?』

「そうなんだ。若いのに大変だね……」

 案の定、変な同情をされてしまった。

「あら、アリサ。かわいらしいお友達ね」

 モモカが内心で赤面していると、穏やかな声と共に、さっきまでアリサと話していた女性が、しずしずと上品な足取りでこちらに近づいてきた。

『ふわぁ。このひと、すっごくきれい……』

 それを見たモモカがため息の混じった、感嘆の声をあげる。

 無理もない。白い着物を着たその女性は、新雪のように輝く透明な肌に、漆のように艶やかな黒髪をうなじにかかるくらいまで伸ばした大和撫子だった。

「あ、ユキ! 紹介するね。昨日、友達になった遠藤モモカちゃんだよ」

「モモカちゃん? はじめまして。私は白河ミユキと申します。どうか気軽にユキと呼んでちょうだいな」

「おう、よろしくな!」

『よよよよろしくお願い致します……』

 声が届かないことも忘れて、モモカも震える声で挨拶をする。

「あっ、そうだ! オレ達はちょっと人を探してるんだけどさー」

「オレ、達……?」

 口を滑らしたエンド・オブ・ステージに、アリサが訝しむが、当人は気にせずゴリ押しするように続ける。

「音無ミオと、時任レイって女の子なんだけど、何か知らないか?」

「ミオちゃんに、レイちゃん? 知ってる知ってる! だってふたりとも、あたしの後輩だもの」

 アリサが軽く胸を逸らしながら言った。

「本当か!? ならふたりがどこにいるかもわかるか!? この店によく顔を出すって聞いたんだが、会えなくてさー」

「あの子達、休みの日はあんまりウチに来ないよ。学校からは近いけど、家からはちょっと遠いのよね」

「そうか……。ん? じゃあ、アリサはふたりの家も知ってるってことだよな! 場所を聞いてもいいか!?」

 勢いこんで尋ねるエンド・オブ・ステージだが、これまで人当たりのいい笑みを絶やさなかったアリサが、はじめて困ったような顔をして「うーん」と唸った。

「教えてあげたいのはやまやまだけど、さすがに客の個人情報は漏らせないかな」

「そういうもんなのか。オレの故郷では、個人情報なんてそこらの物乞いにコインを握らせれば、簡単に教えてくれるんだがなぁ」

「ず、ずいぶんと荒れた故郷なんだね」

「まあな」

『だから、あたしを勝手に世紀末の住人にしないでくれるかな!?』

「ミオちゃんはそこそこ有名だし、人気もあるしねー。これまでも何度、あの子に近づこうとする男どもを追い払ったか……。

 モモカちゃんは純粋にミオちゃんのファンなんだろうけど、これだけは教えてあげられないかな。ごめんね」

 アリサが両手を合わせて謝罪する。

「いいって。平日にまた来るよ」

 そう言って、エンド・オブ・ステージが店を出ようとした、その時だった。

「ミオの家、私が教えてあげてもいいわよ?」

 これまで静かに成り行きを見守っていたユキが、唐突に提案した。

「ちょっと、ユキ!?」

「何かしら? 私が勝手に住所を教えるだけなら、店側としては何も問題無いでしょう?」

「それはそうだけど……いや、そうなのかな?」

 うーんと悩みはじめたアリサだったが、他の客から「すいませーん。ショーケースのカードをお願いしまーす」と声をかけられてしまう。

「あ、はーい! 少々お待ちをー!

 ……ああもう! あとはふたりで勝手にして!

 ユキ! 信じてはいるけど、ミオちゃんやモモカちゃんに害が及ぶようなことになったら承知しないからね!」

 そう言い捨てて去っていくアリサに、ユキは「はいはい」と適当に返す。

「なあ、ユキ! 音無ミオの居場所を教えてくれるんだよな? それじゃ、さっそく……」

 ドラゴンと言うよりかは、おあずけされた犬のように、エンド・オブ・ステージはユキの答えを待った。

「ええ。教えてあげてもいいわよ」

 そんなエンド・オブ・ステージの態度は気にも留めずに、ユキはおだやかにもったいぶって言の葉を紡ぐ。

「あなたが私にファイトで勝てたら、だけど」

 着物の袖からデッキケースをたおやかに取り出し、着物姿の女性は凛と宣言した。

「……おもしれえ!」

 一瞬、言葉を失ったエンド・オブ・ステージだったが、すぐ牙を剥くように歯を見せて笑うと、布製のカバンからデッキケースを取り出す。

『だ、ダメだよ! 今度負けたら、本当に強制送還されちゃうよ!?』

 モモカが慌てて制止しようとする。

「話は聞いてただろ? この女に勝たねえと、音無ミオの居場所は分からねえ」

『いや! 雰囲気にノせられちゃってるよ!? 平日まで待つって選択肢があるからね!?』

「オレは目の前の勝負からは逃げたくないんだ。心配すんな。今度こそ、オレは負けねえ」

『何でそんなにファイトに拘るの……? 意味わかんないよ……』

「オレはお前にみっともなく困難から逃げ回る姿を見せたくないんだ。お前の憧れでいたいんだよ、オレは」

 エンド・オブ・ステージは真剣な声音でそう言った。それは間違い無く遠藤モモカという少女の声なのだが、果たして自分にこれほどの声は出せるのだろうか。

『……ズルいよ。そんなこと言われたら、止められないじゃない』

「ま、すでにみっともなく負け続けてるオレが言っても、説得力ないけどな!」

『そんなことない。あなたはあたしのイメージ通り。ううん……あたしのイメージを越えて、とってもカッコいいドラゴンだった!』

「……ありがとよ」

『その代わり、絶対に勝ってね!』

「ああ、まかせとけ!」

「覚悟は決まったかしら?」

 心の中で行われていた会話が終わった瞬間を見計らったかのように、ユキが尋ねてきた。

「おう! その勝負、受けてやるぜ!」

「では、はじめましょう」

 ユキが席につき、1枚のカードを裏向きにしてヴァンガードサークルに置く。エンド・オブ・ステージもそれに倣い、続けてカードを5枚引く。

「いくぜ! スタンドアップ!」

「ヴァンガード」

「《ハピネス・コレクター》!」

「《忍獣 キャットデビル》」

 

 

「ライド! 《ダブルヘッド・ユニコーン》! さっそくユニコーンでアタックだ!」

 先行のエンド・オブ・ステージが、G2にライドし、待ちきれなかったとばかりにアタックを宣言する。

「ふふふ……。ノーガードよ」

 ユキは妹を見守る姉のような優しい――それでいて何かを企んでいるような不気味さも感じさせる――笑みを浮かべながらそれを受ける。

「ドライブチェック! ……っしゃあ! ★トリガーだ! 効果はすべてヴァンガードに!」

「あらあら。ダメージチェック……うーん、トリガーはありません」

 几帳面なのか、ユキのダメージゾーンに1ミリのズレも無く2枚のカードが置かれる。対するエンド・オブ・ステージのダメージゾーンには、雑に1枚のカードが置かれていた。

「私のターンね。スタンド&ドロー。

《俄然の忍鬼 アリオウ》にライドします。その効果で、山札からアリオウを分身させます。同名カードがいるので、リアガードのアリオウはパワー+10000。

《関門の忍鬼 アタカ》をコール。アタカの効果で山札の上から5枚を見て……《幻夢の六花 シラユキ》を手札に加え、そのままドロップに置きます。

 バトルよ。

 レイニィマダムのブースト。アリオウでヴァンガードにアタック」

「ノーガードだぜ!」

「ドライブチェック……あら、お返しね。★トリガー! ★はヴァンガードへ。パワーはリアガードのアリオウに」

「ダメージチェック!j

 1枚目、治トリガー! ダメージ回復はしないが、パワーはヴァンガードに!

 2枚目、(ドロー)トリガー! 1枚引いて、パワーはヴァンガードに!」

「では、アタカのブースト。アリオウでヴァンガードにアタックします。合計パワーは42000ね」

「まだ通るのかよぉ! 《ダイナマイト・ジャグラー》でガードだ!」

「アタックが通らなかったので、レイニィマダムの影縫発動。このカードをソウルに置いて、ドロップゾーンの《幻夢の六花 シラユキ》を手札に加えるわ。

 私はこれでターン終了。

 ふふ。あなたって、本当に楽しそうにファイトするのね」

 アリサからファイトの様子を聞いていたのか、そんなことをユキが言う。

「? ああ。俺の故郷にはこんな娯楽は無かったからな。トランプならあったけど、あいつらすぐイカサマするし……」

「そう。ファイトを止めてごめんなさい。続けてちょうだいな」

「おう! スタンド&ドロー!!

 ……ん? このカード」

『……あ』

 エンド・オブ・ステージが、引いたカードを見てほんの少し目を見開き、モモカが小さく弾んだ声をあげた。

「……なあ、モモカ」

 それに気付いたエンド・オブ・ステージが、モモカに声をかける。

『えっ!? なっ、何かな!?』

「お前も本当はファイトしたいんだろう?」

『ええっ!? そ、そんなこと無いよ。あたしがファイトしたら負けちゃうし……』

 その言葉とは裏腹に、モモカの心臓が、まるでサーカスの幕開けを今か今かと待っている子どものように高鳴っているのがエンド・オブ・ステージには分かった。今のふたりは一心同体なのだから。

「自分の心に正直になれ! このカードはお前が最初から入れていたカードだ! 自分で使ってみたいに決まっているだろ!」

『けど、エンド・オブ・ステージにはお仕事があるんでしょ? このファイトに負けちゃったら果たせなくなるんじゃ……』

「構わん! お前の笑顔が最優先だ!」

 エンド・オブ・ステージが吠えた。

 その覚悟が届いたのか、モモカも小さく頷く。

『……ごめん。あたし、ウソついてた。

 あたし、やっぱりファイトがしたいよ……!』

「ああ、まかせたぜ! オレにライドするまで交代だ……」

 目を閉じるエンド・オブ・ステージの意識が薄れていき、それと入れ替わるようにしてモモカの意識が覚醒していく。

「……い、いきます! あたしのペイルムーン・サーカス、とくとお楽しみください!」

 目を見開いたモモカは、正面にいる着物姿の女性に精一杯堂々と宣言した。

「ええ、楽しみだわ」

 目の前にいる女の子の口調が変わったことなど気にも留めず、ユキは目を細めて微笑む。

「ライド! 《ミラクルポップ・エヴァ》!」

 突如として、ステージの中央に巨大な箱が現れた。無数の鎖と錠前で固く封じられたその箱は、誰も触れていないにも関わらず、まるでプレゼントのリボンをほどくかのように紐解かれ、開かれた蓋からエルフの女性が跳び出した。

 その女性は音も無くステージへと着地し、優雅に一礼すると、観客席から大喝采が巻き起こる。

 眼前で繰り広げられた華麗なる脱出ショーに、2体のアリオウも思わず金棒を取り落としてスタンディングオベーションである。

「イ、イマジナリーギフトはアクセルⅡを選択します!

《アマランス・ビーストテイマー》をアクセルサークルにコール!

《夜空の舞姫》をコールして、舞姫のスキルでソウルから《ダブルヘッド・ユニコーン》をスペリオルコールです!

《レインボー・マジシャン》もコールして、バトルフェイズ!

《レインボー・マジシャン》のブースト! エヴァでヴァンガードにアタックします!」

「ノーガードよ」

「ツインドライブ!!

 1枚目……★トリガー! ★はヴァンガード! パワーはアマランスに!

 2枚目……やった! これも★トリガー! パワーはすべて舞姫に!」

「ダメージチェック……あらあらあら。3枚ともトリガー無しねぇ」

 少し予想外だと言いたげに、ユキが軽く首を傾げる。

「ユニコーンでリアガードのアリオウにアタックです!」

「ノーガードよ」

「舞姫でヴァンガードにアタックです!」

「《狐使い イヅナ》でガードよ」

「アマランスでヴァンガードにアタック!」

「《忍妖 ユキヒメ》でガード」

「や、やった! 3点もダメージを与えた!

 あっ、あたしはこれでターンエンドです」

 小さくガッツポーズをしてから、モモカがターンエンドを宣言する。

「では、私のターンね。スタンド&ドロー。

 ライド……」

 華やかだった舞台が、突如として陰の気に包まれた。

 ライトの灯が落ち、代わりに青白い鬼火が舞台を仄かに照らし出す。その中央に幽鬼の如く立っていたのは、烏帽子を被り太刀を帯びた銀髪の忍鬼。

「《看破の忍鬼 ヤスイエ》!」

 ユキがその名を宣言すると、忍鬼の瞳が凶兆を告げる星の如く紅に輝いた。

「イマジナリーギフトはアクセルⅡを選択します。

《忍妖 ダンガンニュードー》、《藤花の忍鬼 タケヒメ》、《俄然の忍鬼 アリオウ》をコール。ヤスイエの効果で、ダンガンニュードーとアリオウを分身させます」

「……っ!」

 一瞬で盤面を埋め尽くしたユキの手際に、モモカが目を見開いて驚く。

「いくわよ。ヤスイエでヴァンガードにアタック!」

 ヤスイエが太刀に手をかけると、鞘からわずかに刀身を覗かせただけで、墨を水で溶かしたかのような黒い瘴気が溢れ出す。その刀には持ち主を乗っ取る悪鬼の魂が宿っており、強靭な意思を持つヤスイエにしか扱えぬ妖刀であった。

 ヤスイエは妖刀を居合の型で振り抜き、瘴気が黒い剣閃となって後を追う。

「ダ、《ダイナマイト・ジャグラー》でガード!」

 ゴブリンの蹴りだした爆薬の詰まった樽がまっぷたつに斬り落とされ、大爆発を起こした。

「ツインドライブ!!

 1枚目、トリガー無し。

 2枚目、前トリガー! 前列のユニットすべてにパワー+10000!

 そして、ヤスイエの更なるスキルが発動!

 手札を2枚捨て、ドロップゾーンから《伏魔忍鬼 ヤスイエ・テンマ》にスペリオルライド!!」

 爆炎の中心に、青白い炎が灯る。それは完全に抜き放たれたヤスイエの太刀が放つ妖気であった。

 妖刀に合わせてか、ヤスイエの姿も変化しており、全身から骨が歪に変化したかのような角を生やし、その背には禍々しき漆黒の翼と、神々しき黄金色の天輪を背負う。

 悪鬼に呑まれる寸前まで力を開放した代償か、常に冷静沈着なその面持ちに、今は悦楽の笑みを浮かべていた。

「ヤスイエ・テンマにライドしたので、アクセルサークルを置きます。タケヒメのスキルも発動し、そこにアリオウをスペリオルコール。

 ダンガンニュードーのブースト。ヤスイエ・テンマでヴァンガードにアタック」

 ヤスイエが妖刀を上段に構えて振り下ろす。先の美しい居合とは裏腹に、眼前の敵すべてを薙ぎ倒す力任せの一太刀だった。

「ノ、ノーガード……」

「ドライブチェック。……前トリガーね。前列すべてにパワー+10000」

「!?」

(な、なんなの、この人? 強すぎる……)

 オウガやアリサも、モモカからしてみれば計り知れないような強さだったが、目の前にいる着物姿の女性はさらに桁が違う。

「ダメージチェック……トリガーはありません」

(ど、どうしよう。ダメージはまだ4点で、手札だって温存したのに。これじゃ耐えられないよ……)

「アクセルサークルのアリオウでアタック」

 焦るモモカに、更なる追撃が迫る。

「……ノーガード。ダメージチェック。……トリガーはありません」

 いよいよ5枚目のカードが、モモカのダメージゾーンに置かれた。

「アクセルサークルのダンガンニュードーでヴァンガードにアタック」

「……ノーガードです」

 宣言はしたものの、モモカはなかなか山札からカードをめくることができなかった。このカードをめくったら最後、自分はファイトに負け、エンド・オブ・ステージは惑星クレイに強制送還されてしまう。

(……ごめんね、エンド・オブ・ステージ。やっぱり、あたしなんかがでしゃばっちゃいけなかったんだよ……)

『そんなことはないッ!!』

 モモカの懺悔を吹き飛ばすかのように、エンド・オブ・ステージが叫んだ。

『お前に後悔して欲しくて、オレはお前にファイトを譲ったんじゃない。最後まで楽しくファイトしようぜ!

 それに、オレ達はまだ負けたわけじゃねえ。耳をすませてみろよ。デッキの声が聞こえないか?』

(デッキの、声……?)

『ああ! 惑星クレイから声が聞こえるぜ! 「ショーはまだまだ続きます!」ってな!』

 その瞬間、モモカの手の甲に浮かぶペイルムーンの紋章が輝き、モモカの瞳に紫色の光が差し込んだ。

 眼前にサーカスの舞台が広がり、脳裏に浮かんだのは箱いっぱいのカラフルなお菓子。

(……聞こえた! あたしにも聞こえたよ! 惑星クレイの声!)

『よーし! それなら何も怖いものなんてねえ! 勇気を出してカードを引こうぜ!』

「うん!!

 ……お待たせしました。ダメージチェック!!」

 ユキに頭を下げてから、山札に手をかける。

 単眼の妖僧が拳を振りかざして舞台に乱入し、エヴァは手近にあった箱に隠れる。振り下ろされた巨大な拳は、箱ごとエヴァを叩き潰した。

 ポン!

 と明るい音がして、ぺしゃんこになった箱からお菓子が弾け飛び、別の箱からエヴァが三日月の弧を描きながら飛び出した。

「……治トリガーですっ! ダメージ回復して、パワーはエヴァに!」

『世紀の大脱出ショー、大成功でございます!』

 ポカンとしている妖僧を置き去りに、エヴァは観客席に向かって大仰に一礼した。

「そうこなくっちゃ」

 ユキも楽しそうに笑う。彼女の目には、本当にサーカスの舞台が見えているかのようだった。

「けど、私のアタックはまだまだ続くわよ。

 タケヒメのブースト。アリオウでヴァンガードにアタック」

「《マスカレード・バニー》、《パープル・トラピージスト》、《テンプティング・フープスター》でガード!」

「アタカのブースト。アリオウでヴァンガードにアタック」

「《ポイゾン・ジャグラー》と《フェスブライト・エスケイパー》でガード! アマランス、ユニコーン、舞姫でインターセプト!」

「ターン終了。ダンガンニュードーをソウルに置き、1枚引くわ。

 さあ、あなたのターンよ」

『よっしゃあ! よくやったぞ、モモカ!』

 エンド・オブ・ステージが大喜びでモモカの頭を撫でまわす。……これが心の中でなければ、きっとそんなことをされているような気がした。

「え、えへへ……。最後の1枚、ちゃんと残したよ」

 モモカが手札に残った1枚のカードを小さく掲げる。

『ああ! よくやった! 本当に、よくやった……』

 エンド・オブ・ステージの声には、少し涙が混じっていた。

『後はオレに任せろ! ド派手にキメてやる!』

「うん。お願いね。楽しかったけど、少し疲れちゃった……」

 モモカが心の中でカードを手渡す。エンド・オブ・ステージはそれを確かに受け取った。

「行くぜ! オレのターン!! スタンド&ドローッ!!」

(よしっ! 引きも悪くねえ!)

 引いたカードを一瞥し、エンド・オブ・ステージはモモカが残してくれたカードに指をかける。そして、まさしくドラゴンを思わせる大音声で居丈高に宣言した。

「これより我らがペイルムーンサーカスは終幕を迎える! 瞬きひとつ許さん! 最後まで見逃すな!

 ブレイクライドッ!! 我が分身! 《祝砲竜 エンド・オブ・ステージ》!!!

 すべてのソウルをソウルブラストし、エンド・オブ・ステージのスキル発動! パワー+5000! このユニットとのバトルでは守護者は発動されない!」

 大砲を背負った首の長いドラゴンが、号砲の如き咆哮で観客席の度肝を抜いた。

「《ミラクルポップ・エヴァ》のスキルも発動!! 1枚引いて、ヴァンガードのパワー+10000! モモカ、お前の想いも受け取ったぜ!」

 舞台袖へと退場していくエヴァが大砲を背負うドラゴンに向かってウインクし、ドラゴンも観客に気取られないほど小さく頷いた。

「《フェスブライト・エスケイパー》! 《ダークメタル・バイコーン》! 《冥界の催眠術師》をコール!

 バトルだ!

 まずは《冥界の催眠術師》でアクセルサークルのアリオウにアタック!」

「ノーガードです」

「バイコーンのブースト! エスケイパーでヴァンガードにアタック!!」

 ユキのダメージはすでに5点。1回でもアタックが通れば勝ちだ。

「《関門の忍鬼 アタカ》でガードします」

「トラピージストのブースト! エンド・オブ・ステージでヴァンガードにアタック!!」

「《狐使い イヅナ》、《趨勢の忍鬼 キューイチ》、《隠密魔竜 クマドリドープ》でガード。このアタックは通らないわ」

「しゃらくせえ! ツインドライブ!!

 1枚目、★トリガー!! 効果はすべてエンド・オブ・ステージに!

 2枚目、★トリガー!! この効果もすべてエンド・オブ・ステージに!」

 ドラゴンの放った砲弾から、忍び達が身を呈してヤスイエを庇う。彼らは皆、任務を遂行するためならば、命すら嬉々として投げだすのだ。

「手札2枚とリアガードすべてをソウルにブチ込んで、エンド・オブ・ステージのスキル発動!!

 エンド・オブ・ステージをスタンドする!!」

 だが、ドラゴンの背負う大砲に、アシスタントの手によって、すかさず次弾が装填される。

「それだけじゃねえ!

 エスケイパーのスキルも発動! ソウルをすべてソウルブラストし、このユニットをアクセルサークルにスペリオルコール! パワー+15000!!

 これでフィナーレだ!!

 エンド・オブ・ステージでヴァンガードにアタック!!」

『いっけえええええっ!!!』

 モモカも小さい声を振り絞って声援を送った。

「《忍妖 ユキヒメ》でガード……」

「そんなもんじゃ足りねえっ!!」

 ドラゴンの放った2発目の砲弾がヤスイエに届く――

 その寸前で、白く細い指が砲弾に触れ、大爆発を起こした。ただし、撒き散らしたのは盛大な花火ではなく、残酷なまでに純白な雪の結晶。

 すべてが静止した世界で、六花だけがライトの光を反射させて宝石のように舞い踊っていた。

「……な、何が起きた?」

 真っ白に塗り替えられた勝利のイメージの中、エンド・オブ・ステージが呆然と呟く。

「《幻夢の六花 シラユキ》でガード。エンド・オブ・ステージのパワーを-30000します」

「ま、まだだっ!! ツインドライブ!!

 1枚目、★トリガー!! 効果はすべてエンド・オブ・ステージに!

 2枚目、……ノートリガー。

 エスケイパーでヴァンガードにアタック……」

「《妖刀の忍鬼 マサムラ》でガード」

「……ターンエンド」

 エンド・オブ・ステージが俯きながら宣言するも、すぐに顔をあげ虚勢を張った。

「さあ来い! オレはまだ負けてねぇぞ!」

「ふふっ。まだ心は折れていないようね。嬉しいわ。私とファイトした人は、皆、すぐに諦めてしまうのだもの」

 ユキが少し寂しそうに言った。

「恥ずかしい姿を見せちゃならんやつがここにいるんでね」

 エンド・オブ・ステージが自らの心臓を親指で指し示す。

『エンド・オブ・ステージ……』

 モモカが熱っぽい声でその名を呼んだ。

「そう。では、私も心おきなく本気でいかせてもらいましょう! スタンド&ドロー!

 ライド! 《幻夢の六花 シラユキ》!!」

 ヤスイエの姿が雪景色に浮かぶ黒い影法師に溶け込むように消え、その場で巻き起こった吹雪の中から、ドラゴンの砲弾を無力化した張本人が姿を現した。

 それは純白の着物を纏った無垢な少女であり、後の竜の帝国(ドラゴンエンパイア)を裏から統べる大妖でもあった。

「《能面の忍鬼 アワズ》をコール。その効果で《夢幻の風花 シラユキ》をドロップゾーンに置いて、バトルよ。

《幻夢の六花 シラユキ》でエンド・オブ・ステージにアタック!」

 シラユキの両掌に吹雪が収束し、ドラゴンめがけて解き放たれる。

「エスケイパーでインターセプト!」

「ツインドライブ!! ……2枚ともトリガーでは無かったわねぇ」

「よ、よしっ……」

「安心するのは、まだ早いわよ?

 シラユキのアタックが通らなかったので、影縫が発動! ヴァンガードのパワーを-10000!

 さらに、ドロップゾーンから《夢幻の風花 シラユキ》をスペリオルコール! その効果でヴァンガードのパワーをさらに-5000!」

「なっ、なっ!?」

 シラユキの隣で風が逆巻き、彼女と瓜二つの雪像を作り上げる。それはシラユキと同様に優美な仕草で手を掲げると、そこから新たな吹雪が生まれ、ドラゴンを包み込み氷漬けにした。

「仮にあなたが残り2枚の治トリガーを引いたとしても、まだアタックは通るわ。さあ、これでも諦めないでいられるかしら?」

「……いや。ゲームはオレの負けだな。完敗だ」

 エンド・オブ・ステージが観念したように最後の手札をテーブルに置いた。

「だが、オレは負けるわけにはいかない。最後まで足掻かせてもらう。取引をしよう、白河ミユキ」

「?」

『エンド・オブ・ステージ……?』

 ユキが小首を傾げ、モモカが不安げにその名を呼ぶ。

「オレはある使命を帯びて、このショップにやってきた」

「……その使命というのは、ミオやレイに関係あることなのね?」

「そうだ。オレはそのふたりとファイトして、彼女達に取り憑いている悪い魂を取り除かなければならん。

 勘のよさそうなアンタなら、何となく気付いていると思う。アレが災いをもたらす凶兆だって」

 エンド・オブ・ステージが、窓から空を見やった。外ではいつしか雪が降っていたが、去年の末に現れた赤黒い星が曇天の中、不気味に瞬いていた。

「この紋章に誓って、ふたりに悪いようにはしない! だからこのファイトを無効試合にしてくれないか? それだけでオレはまだこの星で活動できるんだ!」

 エンド・オブ・ステージが手の甲にぼんやり輝くペイルムーンの紋章を掲げ、ユキの目をまっすぐに見据えながら言った。

(情けない申し出だと笑えばいい。オレにできることは、これだけだ……)

『……ううん。笑わないよ』

 自嘲するエンド・オブ・ステージに、モモカは声だけで寄り添った。

「……言い分はわかりました。あなたのことを全面的に信じましょう」

 目を閉じて黙考していたユキが、審判を下す。

「本当か!?」

「その上で宣言しましょう。私はあなたを全力で討ち果たします」

 ユキは断固たる口調でそう言い放った。

「!?」

「それはミオとレイが抱えている問題でしょう? そうであるならば、すべてはあのふたりで解決すべき話であって、第三者が関わるべきでは無いわ。この私が関わらせません」

「何を悠長な。この星が滅びる瀬戸際なんだぞ?」

「ありえないとは思うけれど、もし彼女達が悩み抜いた末にその結果に至ったのなら、私はそれを受け入れます」

「……それほどまでに信頼できる人間なのか? そのふたりは」

「もちろん。私が認めた女の子と、私のおじいちゃんが認めた女の子だもの」

 今度はユキの黒い瞳がエンド・オブ・ステージを見据える番だった。

「……そうまで言われちゃあ、確かに第三者の出る幕はねぇな! ファイト続行だ! ひと思いにやってくれ!」

 エンド・オブ・ステージは豪快に笑うと、テーブルに置いていたカードを再び手に持った。小さく「すまん、モモカ」と呟きながら。

「ええ。《夢幻の風花 シラユキ》でヴァンガードにアタック!」

「だが! この星が滅びるということは、モモカが巻きこまれるということだ! そうなったら、貴様の魂を八つ裂きにして、大砲に詰め込み、銀河の彼方へ吹き飛ばしてやるからな! 覚悟しておけよ!」

 渦巻く吹雪のイメージに呑み込まれながら、エンド・オブ・ステージが声を張り上げる。

「心に留めておきましょう」

 ユキが神妙に応えると、室内だというのに冷たい風が吹き、エンド・オブ・ステージの山札をめくりあげる。そして《祝砲竜 エンド・オブ・ステージ》のカードがダメージゾーンにひらりと落ちた。

 

 

「ウ、グ、オオオオオオオオッ!!!」

 エンド・オブ・ステージの右手に浮かんでいた紋章が、まるでろうそくが消える瞬間のように一際強く輝くと、やがてゆっくりと色を失い、薄れていく。

「モモカ……。どうやら、ここでお別れだ……」

『やだ! やだよ! 行かないで!』

 自分の体の中から何かが抜けていくのを感じたモモカは、それを必死に繋ぎ止めようと手を伸ばし、叫ぶ。

『せっかく会えたのに! もうお別れだなんてやだ! あなたがいなくなったら、あたしはまた弱い自分に戻っちゃう! まだあたしには、あなたが必要なの!!』

「そんなに自分を卑下するなよ。モモカは強い子だ。今日だって、立派に戦えたじゃないか」

『それは、あなたが傍にいてくれたからで……』

「心配すんな。オレはこれからもいつだってお前の傍にいる」

『…………え?』

「お前がそのカードを使い続けてくれる限り、オレ達はずっと一緒だ』

 モモカの前に現れたエンド・オブ・ステージの霊体が、巨大なツメでファイトテーブルを指さす。そこには《祝砲竜 エンド・オブ・ステージ》のカードがあった。

『……うん。あたし、ヴァンガードを続けるよ。それで、いつかきっとあなたを勝たせてみせるから」

 頷いたモモカの頬を、一筋の雫が伝った。

『ありがとな……』

 エンド・オブ・ステージが長い首を伸ばしてモモカを抱きしめるように巻きつき、モモカはその首にそっと手を添えた。

『さよなら、モモカ。オレの相棒……』

「さよなら、エンド・オブ・ステージ。あたしの先導者……」

 手の中にあったゴツゴツとした鱗の感触がゆっくりと薄れていき、モモカは3日ぶりに肉体の主導権を取り戻すと、そのままふっと意識を失った。

「あー、今日は冷えるわねー。

 ユキー? そっちはどうなったー? って、モモカちゃん!?」

 ファイトテーブルに突っ伏すように倒れたモモカを見て、様子を見に来たらしいアリサが血相を変えた。

「ふふっ。ファイトに疲れて眠ってしまったようね」

 ユキは人差し指を自分の唇に当てて、アリサに静かにするよう促すと、モモカの小さい体躯を優しく抱きかかえた。

「ええー? そんなことあるー?」

 アリサが小声で訝しむが、ユキはそれを華麗に無視して、「そこの椅子借りるわね」と使われていない椅子を並べて簡易のベッドを作ると、自身の膝を枕にしてモモカの体を横たえた。

「お疲れ様。今はゆっくりとお休みなさい」

 そう言って、モモカの頬に残る涙の跡を、着物の袖で優しく拭う。

 そして、厳しい顔で窓から凶星を見上げた。

(さて、ミオ。あとはあなた達次第よ。邪魔者は排除してあげたから、うまくやってちょうだいな。言われるまでも無く、この子が不幸になるような結末は許しませんからね)

 彼女の感情に呼応するかのように雪が舞い上がり、家から同じように赤黒い星を見上げていたミオは小さく「へくしっ」とくしゃみをした。




まずは明けましておめでとうございます。
あと少しとはなりますが、今年も「根絶少女」をよろしくお願い致します。

ペイルムーン使いの皆様。
大変長らくお待たせ致しました。
ペイルムーン回&旧レギュラー総出演回をお送りさせて頂きました。
コンセプトの都合上、勝たせてあげることはできなかったのですが、そこはシナリオでカバーということで、今回は3年間温めていた(もともとペイルは終盤に刺客として登場させるつもりでした)とっておきのお話です。
ルキエ様の描写も頑張りました。
お楽しみ頂けたなら幸いです。

次回はVクランコレクションのえくすとらになる予定ですが、相変わらずとんでもない量になることが想定されるので、掲載日は未定です。
2月の本編よりは前に公開できればと思います。

それでは、次回もよろしくお願い致します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。