根絶少女   作:栗山飛鳥

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Ex.8「天馬解放」

●序幕

 

ユキ「皆様、ごきげんよう。毎度おなじみのユキどすぅ。本日はまだアリサもミオも来とりまへんけど、じきに来るのとちゃいますやろか」

 

ガラッ

 

ユキ「ほら、噂をすれば」

 

ミオ「あ、ユキさん? ……珍しいですね。黒の着物だなんて」

 

ユキ「あら、ミオ。ようこそおこしやす」

 

ミオ「…………ユキさん、頭でも打ったんですか?」

 

ユキ「いややわ。ウチはいつも通りどすえ」

 

ミオ「いえ、誰がどう見てもタチの悪い偽物ですが」

 

ガラッ!

 

アリサ「ミオちゃん! そいつから離れて!」

 

ミオ「アリサさん?」

 

アリサ「そいつはユキであってユキじゃないの! くっ、この時期になったら現れるとは思っていたけど……」

 

ユキ?「アリサまで何ですのん。カードファイト部のために尽くしてきたうちを偽物やとか、しまいにはユキやないとか。玄関にぶぶ漬け撒いときますえ?」

 

ミオ「? 話が呑み込めませんが。アリサさん、説明を求めます」

 

アリサ「うん。一言で言うと、ユキは二重人格で……彼女はユキの裏の人格なのよ!」

 

ミオ「二言ですね」

 

アリサ「気にしない!」

 

ミオ「どうしてそんなことに?」

 

アリサ「事の始まりは去年の12月……」

 

ミオ「けっこう最近ですね」

 

アリサ「その日は冬だというのに、太陽がやけに眩しい朝だった……」

 

ミオ「そういうのはいいです」

 

アリサ「その日はぬばたまのVRが公開されたんだけどね。そこにいたのは何と! シラユキと双璧を成すユキの相棒、マガツストームだったの!」

 

ミオ「そういえば聞いたことがあります。マガツストームは、かつてはむらくものユニットだったと」

 

アリサ「ユキは悩んだ。マガツストームは手放すわけにはいかない。けど、むらくも使いとしてのプライドが、ぬばたまを手に取ることも許さない。

苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで。

狂うほど苦しみ抜いた末に出した結論が、己を二つに分かつこと。

もう一人の自分を生み出して、その子にマガツストーム(ぬばたま)を使わせる事が、ユキがギリギリで出した落としどころだった」

 

ユキ?「ふふふ……」

 

アリサ「けど、ユキみたいに生真面目な意思力の権化(コンプリート・ビューティー)が生み出したのは、別人格だなんて生易しいものじゃなかった。

それはもはや、もう一つの魂!

ぬばたまが強化される時期になると、ユキの意識を乗っ取って姿を現すの!

その名も……!!」

 

ユキノ「黒澤ユキノいいます。よろしゅう」

 

アリサ「あたしのセリフとった!

ほら、腹黒なユキの深層心理から生まれたコイツは、表も裏も真っ黒なの!

この前も、あたしが部室に隠してたマンガを没収するし! スマホ見ながら弁当食べてたら、行儀悪いって叱られるし! たった1分遅刻しただけなのに、あたしの目の前で校門を閉めるし!」

 

ミオ「おおむねいつものユキさんでは? 悪いのはアリサさんですし」

 

アリサ「根絶者使いのくせに、正義の味方をするの!?」

 

ミオ「根絶者は正義の味方ですが?」

 

アリサ「新解釈!!」

 

ユキノ「まあまあ。アリサはぶぶ漬けでも食べて落ち着きやす」

 

アリサ「わーい! いただきまーす」

 

ユキノ「そろそろ本題に入りましょか。今日のテーマは『天馬解放』どすなぁ」

 

ミオ「でも、ユキさんが……」

 

ユキノ「おらんもんは仕方ありまへん。今日はうちが代わります。少なくとも、ぬばたまに関しては、あの子より詳しいどすえ?」

 

ミオ「わかりました。ぬばたまの解説まではお願いします、ユキノさん」

 

ユキノ「お任せやす。けど、ウチも『ユキ』やさかい、気安くユキと呼んでおくれやす」

 

ミオ「では、お願いします。黒ユキさん」

 

黒ユキ「ああん。いけずやわ」

 

ミオ「本日のテーマは、黒ユキさんがおっしゃったように『天馬解放』です。収録クランは、ロイヤルパラディン、なるかみ、ゴールドパラディン、オラクルシンクタンク、そして……」

 

黒ユキ「ぬばたまどすなぁ」

 

アリサ「ごちそうさまー!」

 

ミオ「まだ食べてたんですか」

 

 

 

●ロイヤルパラディン

 

黒ユキ「まずはパッケージにもなっている、ロイヤルパラディンからはじめましょか」

 

ミオ「ぬばたまは?」

 

黒ユキ「最後どす。ウチの仕事は『ぬばたまの解説まで』でしたなぁ?」

 

ミオ「……わかりました」

 

アリサ「今回の目玉は、もちろん『孤高の騎士 ガンスロッド』!」

ひねくれものの作者ですら、ここだけは奇をてらおうともしないくらい。古参のファイターなら何らかの思い入れは持っている、ヴァンガード界のレジェンド!

 

ミオ「そのようなわけで、ガンスロッドの解説に入る前に特別企画。歴代ガンスロッドを振り返ります」

 

 

『孤高の騎士 ガンスロッド』

 

アリサ「全てはここから始まった! レアカードという名の悪夢! 初代ガンスロッド!」

 

ミオ「悪夢ですか?」

 

アリサ「うん。今でこそ強カードの代名詞となっているガンスロッドだけど、登場当初はハズレ扱いされていたの」

 

ミオ「そうなんですか?」

 

アリサ「記念すべきヴァンガード第一弾『騎士王降臨』に、ガンスロッドはRRで収録されていたのね」

 

ミオ「はい」

 

アリサ「その2週間前に発売されていたトライアルデッキにも2枚収録されてた」

 

ミオ「……はい?」

 

アリサ「最新のカードゲームの中にありながら、誰もが持っているレアカードの烙印を押されたガンスロッドは、ひとりショーケースをはみ出し、ストレージボックス(1枚20円)の中へ。

トライアルデッキに収録されてたのは『ブラスター・ブレード』も同じだけど、1枚だけだったし、イラスト違いだったし、そのイラストもカッコよかったし。

想像してみて? 『ジャガーノート・マキシマム』が欲しくてパックを剥いても剥いても、出てくるのはすでに4枚持っているガンスロッドばかり……」

 

ミオ「その想像は少し難しいです」

 

アリサ「あのDAIGOですら、ガンスロッドを当ててしまった時は『何すか、このカード!?』と叫んでしまうほど!

パックを剥いたらひょっこり現れる、光るハズレくじは、今はまだ初々しいヴァンガードファイター達の心に大きな爪痕を残したの」

 

黒ユキ「ふふ。アリサもえげつないどすなぁ。それだけだと、ガンスロッドの魅力は半分しか説明できてません」

 

アリサ「そう。ガンスロッドは、ただのハズレアじゃなかったの。何がって?

このガンスロッド、メチャクチャ強かったのよ」

 

ミオ「そう言えば……安い理由は集まりやすいからであって、弱い理由にはなりませんね」

 

アリサ「これで弱ければ、正真正銘のカスレアとして、別の伝説は残せたのかも知れないけどね。

ちなみにその効果は、手札からデッキに戻すだけで、当時の切り札『ブラスター・ブレード』をサーチできる。この簡単さは、最近のヴァンガードでも(だからこそ?)なかなか見られないわ。

そのくせ、本体はパワー9000と貧弱だから、なかなか盤面には出てこないし」

 

黒ユキ「パワー9000は、当時のぬばたまも同じでしたなぁ」

 

アリサ「結果、当たった時には舌打ちする人もデッキには入れているという、ヘンテコなカードが誕生したの!

手札からポイ捨てされるだけという微妙な大活躍っぷりから、魔法カードと揶揄されることもあり、それがまたカルト的な人気を呼んで、巡り巡った末にアルフレッドと双璧を成す看板ユニットに落ち着いたのよ」

 

ミオ「なるほど。勉強になりました」

 

アリサ「それだけじゃない!」

 

ミオ「まだあるんですか」

 

アリサ「ガンスロッドの不遇は、アニメにすら飛び火したの。

まず、主人公が初めて手に入れたG3のカードとして、華々しく登場する」

 

ミオ「そこまではよかった、と」

 

アリサ「オチが読めるようになってきたわね。ガンスロッドを手に入れてからの主人公は、何故か勝てなくなり、そのくせアルフレッドを手に入れてからは嫌味なくらい勝てるようになり。

久々にガンスロッドにライドしてみたら、味方から『どうしてアルフレッドにライドしないんだ』と、遠回しにディスられる始末!

そんなの、アルフレッド引けなかったからに決まってんでしょーが!!」

 

ミオ「ガンスロッドさん……」

 

アリサ「まあ、他にもレジェンドエピソードには事欠かないんだけど、マジでキリが無いから、ここまでにしておくわ」

 

黒ユキ「これが僕の神聖騎士団です!」

 

アリサ「蒸し返そうとするな!

まったく。あたしがメガコロ以外でここまで熱を入れて語るなんて、ガンスロッドだからこそだわ……」

 

ミオ「というか、作者が自分で書いてて、自分で引いてます」

 

 

『孤高の解放者 ガンスロッド』

 

アリサ「はい、ここからのガンスロッドはオチ無いよー」

 

ミオ「急にテンション下がりましたね」

 

アリサ「これはゴールドパラディンに移籍したガンスロッドね。『解放者』の名称をもらい、最新システムのブレイクライドをもらい、後にクロスライドまでもらう、まさにガンスロッドの絶頂期」

 

黒ユキ「登場当初はプラチナエイゼルとのコンボが注目されとりましたなぁ」

 

アリサ「ほぼ全てのユニットに+10000する、当時としては破格のコンボね」

 

黒ユキ「その後も解放者のサブヴァンガードとして末永く活躍してはりましたなぁ」

 

アリサ「ブレイクライドにはそういう側面があったけど、サブヴァンガードに悩んだら、とりあえずコイツって感じ」

 

 

『絆の解放者 ガンスロッド・ゼニス』

 

アリサ「ガンスロッドの中では地味な方、かな?」

 

ミオ「作者がガンスロッドのイラストで一番好きなのは、このゼニスだそうですが」

 

アリサ「そうそう。これまで触れる機会が無かったけど、ガンスロッドはどれもイラストが至高!!

萩谷薫氏がもはや担当になっているけど、綿密に描かれた鎧の装飾がどれも綺麗なの!

同じガンスロッドで、よくもここまで描き分けられるなと思うほど」

 

黒ユキ「ガンスロッドはムッツリ顔が基本で、表情で描き分けもできへんのに、ようやりはりますなぁ」

 

アリサ「1回くらい、微笑んでいるガンスロッドも描いて欲しいよね」

 

ミオ「その隣には、バナナの皮ですっ転ぶブラスター・ブレードが……」

 

アリサ「ガンスロッドはそんな理由で笑わないからね!?」

 

 

『笑う解放者 ガンスロッド・スマイル』

 

アリサ「作者も悪ノリすな!!」

 

 

『神聖騎士 ガンスロッド・ピースメーカー』

 

アリサ「最強のガンスロッドとの呼び声高い、ガンスロッドのGユニットね。

何故かノーコストでカウンターチャージし、ドライブ+1し、★まで増える問題作!

……改めて見てみると女王陛下(グレドーラ)から超越したオーバーウェルムの動きにそっくりね、コイツ」

 

ミオ「強いユニットの動きは似通ってしまうのでしょうか」

 

アリサ「これがオーバーウェルムの半年前に登場していたと言うのも驚きよねー」

 

 

『孤高の騎士 ガンスロッド』

 

アリサ「そして、ガンスロッドは原点に還る」

 

ミオ「いよいよ、今弾のガンスロッドの登場ですね」

 

アリサ「その効果は、これまでに無いレベルでルールブレイク! 『ブラスター・ブレード』のいるリアガードをヴァンガードサークルとして扱うだってさ!

アルフレッド・ホーリーセイバーを発展させた感じね」

 

ユキ「まあ、ホーリーセイバーの原点はシバラックバスターですけどね」

 

アリサ「ん?」

 

黒ユキ「どないしはりましたん?」

 

アリサ「いや、幻聴が聞こえたような……」

 

黒ユキ「そないなことより、Q&Aがえらいことになってはりますなぁ」

 

ミオ「あと、やっていることが全然孤高では無い気がするのですが」

 

アリサ「それは昔からだけどねー」

 

黒ユキ「ガンスロッド以外にも、懐かしいユニットがいっぱいいてはりますなぁ」

 

アリサ「めぼしいカードはだいたい登場した後だから、どこか二軍くさいけどね。

ボールスまだー?」

 

 

●なるかみ

 

アリサ「今回のなるかみはスゴいわよ! まずは『サンダーブレイク・ドラゴン』! ノーコストの前列全体攻撃!!」

 

ミオ「まさにアクセル殺しのアクセルですね」

 

アリサ「何らかの手段で前列のユニットを処理しても安心はできない。今度はCB1で後列のユニットが引きずりだされるだけ。

『斜めでもいいよ』とか言ってくれる、なるかみらしからぬ融通も、地味に型破り!」

 

ミオ「どうせ除去されるからといって『不死竜 スカルドラゴン』のようなユニットをコールしたら逆効果というわけですね」

 

アリサ「単体で自己完結するパーフェクトデザイン。これがVRでも、全然違和感が無いくらい! ていうか、これがヴァーミリオンでよくなかった!?」

 

黒ユキ「VRは『抹消者 ガントレッドバスター・ドラゴン』! 相手に空き前列Rがあるほど強化される能力に、前列全除去。これまたえらいアクセル殺しどすけど、噛み合っておりますなぁ」

 

アリサ「それだけじゃない! なるかみは除去が前列に偏っている分、他の除去ユニットが腐りやすくて、サンダーブレイクのような前列を全除去するカードならなおさらなんだけど。ガントレッドバスターなら、他のユニットの獲物も引き寄せてくれるの。

自己完結のみならず、仲間ともシナジーしたアルティメットデザイン! ここまでできてVR!!」

 

黒ユキ「前回のVRだったデトニクスドリルとの対比も、よくできてはりますなぁ」

 

ミオ「連続攻撃で突き崩すデトニクスドリル。一撃必殺のガントレッドバスターですね」

 

アリサ「技の1号、力の2号って感じね!」

 

黒ユキ「?」

 

ミオ「?」

 

アリサ「通じない……だと?」

 

 

●ゴールドパラディン

 

アリサ「5枚て」

 

黒ユキ「アニメの展開から言っても、またすぐ強化されはるんやろうなぁ」

 

アリサ「ウルトラレアパックが、またくるのかな?」

 

ミオ「レアリティはVR1枚、RRR2枚、トリガー2枚と、無駄に少数精鋭ですが」

 

黒ユキ「ぬばたまにも分けたげてえな」

 

アリサ「やたらイケメンになって帰ってきたプラチナエイゼルは、ゴルパラ流スペリオルコールに、トリガー操作を加えた新機軸!」

 

黒ユキ「残るRRRのお二人は、黒馬団の面々どすなぁ」

 

アリサ「ついにスペクトラルなアイツが帰ってくるのか!? 心して待て!」

 

 

●オラクルシンクタンク

 

アリサ「オラクルからはツクヨミが復活!

ツクヨミと言えば、今も語り草になっているのが、その圧倒的レアリティ。

各グレードが4枚必須な連携ライドであるにも関わらず、G2とG3が共にRRRという、嫌がらせにしか思えないレアリティ配分。

可愛らしいビジュアルから人気も高く、それでも4枚集めるファイターが続出したという、これもまた一つの伝説を生み出したカード。

さあ、今回のレアリティは!?」

 

ミオ「三日月(グレード1)RRR、半月(グレード2)RRR、満月(グレード3)VR です」

 

アリサ「悪化しとる」

 

黒ユキ「そんなところまで再現せんでもええのにねえ」

 

アリサ「ツ、ツクヨミ組む人は頑張ってね!」

 

ミオ「他人事ですね」

 

アリサ「他人事だもん! むしろ、他人事でよかったと思うわ、こんなもん!」

 

黒ユキ「伝説がまた1ページ」

 

アリサ「ツクヨミだけにRRR総取りされた、他のオラクルだって気の毒よね。エウリュアレーだって、ライブラだって、RRRになる資格くらいあったと思うけど」

 

 

●ぬばたま

 

黒ユキ「ようやくぬばたまやなぁ。長かったわぁ」

 

ミオ「この順番を希望したのは、黒ユキさんですけどね」

 

アリサ「どこからいくー?」

 

黒ユキ「まずは脇を固めるカードから」

 

アリサ「じゃあこれね! 『忍竜 ダイドク』に『修羅忍竜 テンドウコンゴウ』! 待ちに待ったマガツのサポートカードよ!」

 

黒ユキ「これが場にいれば、マガツのヒットされない効果も、あんじょう使いやすくなりますなぁ」

 

アリサ「なるかみのような無差別除去や、シャドパラの相手に選択権を渡す除去も牽制できるし、マガツもまだまだやれそうね!

あと、どっちもイラストがカッコよすぎてヤバい。特にダイドク」

 

ミオ「作者が、こういうのむらくもに欲しいとほざいています」

 

黒ユキ「腹に邪眼らしきものが埋め込まれとりますし、シラヌイとの関係性も気になりますなぁ」

 

アリサ「お次は、懐かしのカードがリメイク枠! 『忍獣 タマハガネ』と『忍竜 コクジョウ』!」

 

黒ユキ「クマさんは、相変わらずニヒルどすなぁ」

 

アリサ「腐りにくい能力で固められた仕事人と言ったところかしら」

 

ミオ「コクジョウは、ガードに使ってもCC(カウンターチャージ)ができる、利便性の高いユニットです」

 

黒ユキ「ぬばたまはサクラフブキのおかげで表のダメージを確保しやすいので、注意どす」

 

アリサ「相手ターンでもCBを使うマガツ向きのカードかもね」

 

ミオ「次はむらくもの隠し玉……」

 

黒ユキ「『忍獣 アラクレギツネ』……!!」

 

アリサ「そっち!? いやいや! もう★2バニラはやらないよ!? 何でプロテクトになるとG1になるのかはよく分からないけども!」

 

黒ユキ「あらくれなのに……」

 

ミオ「『忍妖 ツムジバショウ』です」

 

アリサ「そうそれ! ブースト要員ながらパワー+40000の可能性すら秘めた注目の1枚!」

 

黒ユキ「グレード0を捨てさせても、またグレード0を引かれる可能性もあり、こればっかりは使ってみんことには強さがわかりまへんなぁ」

 

アリサ「ドローは強制なので、これを使うだけでコキュートス(こっきゅん)は死ぬ」

 

こっきゅん「やめれ」

 

ミオ「では、そろそろ本命にいきましょう」

 

黒ユキ「むらくものVR、『修羅忍竜 ジャミョウコンゴウ』! その動きを強力にサポートする『暴挙の忍鬼 スオウ』と『禁戒の忍鬼 ミズカゼ』!」

 

ミオ「ジャミョウコンゴウは、条件を満たせば毎ターン相手の手札を4枚にする、ぬばたまらしい凶悪カードです」

 

アリサ「オラクルのような手札を稼ぐことに長けたデッキには大暴落! 性質上、相手ターンに手札を抱えがちな、たちかぜやシャドパラにも効果大!」

 

ミオ「一方で、アクセルクランをはじめとした、手札をすぐに使い果たすデッキには、あまり意味が無い効果かも知れません」

 

アリサ「ある程度はプレイングでも対処できそうよね。ギフトだって、手札が増えないプロテクトⅡやアクセルⅠを選べば、盤面を強化しつつ被害は軽減できるし。

……もっともこれは、相手がジャミョウコンゴウと分かっていればの話だけど」

 

黒ユキ「ふふふ……ジャミョウコンゴウを警戒して手札を捨てていたら、マガツの連続攻撃がとんできたなんてこともあるかもやねぇ。マガツにはまだまだがんばってもらわんと」

 

アリサ「それに、ジャミョウコンゴウの効果であれ、自発的に減らすのであれ、手札が少ないという状況自体がぬばたまの思うつぼというのもあるのよね」

 

黒ユキ「その通りやね。ぬばたまは手札を減らすだけやなく、手札が減った相手を追い詰める手段にも長けとるよって。その代表格が、今回のスオウとミズカゼどす」

 

アリサ「スオウはスタンダード環境ではありふれてきた、手札2枚のガード制限……なんだけど、これが現れる状況を考えたら、同型のカードの中では過去最凶よね」

 

黒ユキ「ぬばたまに与えてはいけない効果であり、最もぬばたまに似合う効果がついに来はりましたなぁ」

 

アリサ「ミズカゼもガード制限なんだけど、こちらは過去に例を見ない、一度ガードに使ったグレードは、そのターン使えなくなるというもの」

 

ミオ「手札が4枚の状態で、そんな制限をかけられたらおしまいですね」

 

アリサ「ジャミョウコンゴウが出てきた時点では、ミズカゼが出てくるか分からないのが嫌らしいよね。

4枚を選ぶ時、ガード値の高いG0を残したいけど、ミズカゼが怖くてそれもできない。その存在だけでジャミョウコンゴウの強化に貢献してる」

 

アリサ「ただ、ぬばたま側もミズカゼを4枚入れることは難しいんよ。ジャミョウコンゴウは最速で再ライドしたいところやけど、ギフトの無いミズカゼを経由するのは、たいそう厳しおす」

 

ミオ「そう考えると、ジャミョウコンゴウデッキのG3は悩ましいですね。ミズカゼを何枚入れるかにはじまって、展開力をカバーできるテンドウコンゴウに、マガツとの混合デッキまで」

 

アリサ「プロテクトⅡを誘いやすいことを考慮すると、インターセプトを封じるボイドマスターでもいいかもね。プロテクトⅡ対策はタマちゃんのバウンスで足りてるかもだけど」

 

黒ユキ「突破する手段だけは事欠かへんなぁ、プロテクトⅡは」

 

 

●終幕

 

黒ユキ「ふう。一仕事終えた後のぶぶ漬けは至福どすなあ」

 

ミオ「ユキさんには戻らないんですか?」

 

黒ユキ「いややわぁ。またいけずなこと言うて。そんなにうちのこと嫌い?」

 

ミオ「そんなことはないですけど……」

 

黒ユキ「ウチが表に出られるのは、ぬばたまの発売日だけよって、次は何年先になるか分かりません。今日一日くらいはヴァンガードさせておくれやす」

 

アリサ「ぬばたま使いが言うと冗談に聞こえないわね」

 

ミオ「……それにしても不思議ですね」

 

アリサ「どしたの?」

 

ミオ「むらくもが好きな人なら、ぬばたまも好きそうなものですが。どうして人格を分けなければ、ユキさんはぬばたまを使えなかったのでしょうか」

 

アリサ「それはね……。これはあくまで、むらくも使ってて、ぬばたま使ってない作者自身の見解と想像だけど」

 

ミオ「はい」

 

アリサ「むらくもは妨害手段がほとんど無いの。その分、自分は好き勝手するけど、相手にも好き勝手させる、言うならばプロレス的魅力に溢れたクラン。(作者注・決闘龍は除く)

一方、ぬばたまは妨害クランの代表格。相手の手札をコントロールして、何もさせないのが基本戦術。

むらくも好きほど、ぬばたまの戦い方とは相容れないのよ」

 

ミオ「なるほど」

 

アリサ「注釈にもあったけど、むらくもにも妨害手段は増えてきているし、イラストが好きで使っている分には、両刀のファイターもいそうなものだけどね。けど、作者はまだ出会ったことは無いらしいわ」

 

作者「そもそも、自分以外のむらくも使いに遭遇したことがほとんど無いよ!」

 

アリサ「ちなみに作者は、イラストだけ言えばぬばたまの方を好きになることが多いらしいわ」

 

作者「クジキリコンゴウは至高」

 

黒ユキ「よしできた。どちらか、うちのぬばたまとファイトしておくれやす」

 

ミオ「……私がお相手しましょう」

 

黒ユキ「あら。急に優しくなって。どないしはったん?」

 

ミオ「別に。時計の針が12時を過ぎるまでは付き合いますよ」

 

黒ユキ「ふふ、おおきに。

けど、下校時間までで十分どす。ミオを夜中まで居残らせたと知られたら、表のユキに殺されますよって」

 

ミオ「そうですか。では、はじめましょう」

 

黒ユキ「ええ。スタンドアップ!」

 

ミオ「ヴァンガード」




京言葉ムズカシイ(挨拶)
栗山飛鳥です。
「天馬解放」編、お楽しみ頂けましたでしょうか。

ぬばたま使い、黒澤ユキノの登場です。
このキャラクターは本編1話のあとがきで触れた「使うキャラクターは決まっているが、どこで活躍させるかは未定」のぬばたま枠となります。

彼女の本編への登場にはいくつかの障害がありまして。

まず、バーリトゥードな『えくすとら』の世界観だからこそ出せるキャラクターであって、ユキが二重人格という設定を本編公式のものとしてしまってもいいものか。
例えるなら、ゾンビアリサが本編に登場して、グランブルー使うくらいの違和感です。

出すからにはマガツ使いになるのですが、それは果たしてぬばたま使いに喜ばれるものなのか。
マガツがぬばたまに移籍した事が、むらくも使いの私にとって甚だ不愉快であったように、ぬばたま使いにもマガツは歓迎されていないと思っています。
ぬばたま一筋の知り合いがいないので、想像でしか無いのですが。
私はクジキリもシラヌイも大好きですけれど、むらくもに移籍してきたらどう思うのか。自分でも想像がつきません。

京言葉に関しても問題がありまして、原作アニメに方言を使うキャラがいないんですよね。
いかにもありそうな関西弁キャラすらいない。強いて挙げるなら、イタリア弁くらいしかありません。アミーゴ。
根絶少女は、そんな些細な原作らしさを大事にしていきたいと思っている作品でして。

本編への登場は、それらの落としどころを見つけてからになりそうです。

次回の更新は、7月18日に戦略発表会があるので、場合によっては『えくすとら』でイジるかも知れません。
その時は7月20日前後に更新を行います。
そうならなければ、8月3日前後に本編8月分の公開となります。

少し先の話になりますが「ヴァンガードエクス」の『えくすとら』は必ずやります。
できれば、発売前と発売後の2回に分けて行いたいくらいです。
メガコロの滑り込み収録を祝して。

では、次の更新でまたお会いしましょう。
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