デジモンアドベンチャー02AS ~呪いのドラゴン~   作:疾風のナイト

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 全てが電子情報で構築されているデジタルワールド。そのようなデジタルワールドであるが、現実の世界こと現実世界同様、広大な陸地も存在していれば、果てしない海と空もまた存在している。
 そして、デジタルワールド最大の特徴であるが、それはデジタルモンスター(略してデジモン)と呼ばれる生物が生活していることであった。また、デジモンはデジタルワールドと同じく、全てが電磁情報で構築されている一種の電子生物のような存在である。
 さらにデジモンは実に様々な姿をしているのが特徴である。現実の動植物のような姿をしたデジモンもいれば、空想の存在とされる姿をしたデジモンもいる。
 現実世界とデジタルワールドの両者はお互いの存在を知ることなく、それぞれに独立した歴史を営んできた。だが、極稀にこの2つの世界は時に結びつき合うことがあった。

 これから語られる物語。それは現実世界に迷い込んだデジモンが人間と一緒に生活することにより、種族と世界を越えた絆を育んでいった物語である。


第1章~現実世界に現れた卵~

 全てが物質で構築されている現実世界。この現実世界には100以上の国家が存在しているが、その中で日本と呼ばれている国家が存在している。

 この日本は四方を海に囲まれた島国でありながらも、あらゆる分野における科学技術と資本主義経済社会が高度に発達している国家であり、世界の中でも有数の先進国として知られている。

 そのような様々な特徴を有している日本の国内において、山陰地方と呼ばれている地方が存在している。この地方は日本海を面している地方であり、豊かな自然環境と天然資源に恵まれる一方、少子高齢化とそれに伴う人口減少が進行している地方である。

 山陰地方の自治体に一角に建っている某地方銀行。人口減少が進行している山陰地方において、貨幣の流通を担っている重要な金融機関であった。

 そのような某地方銀行の店舗の内部。この店舗の内部は多くの利用客で賑わっていた。口座の開設、資産運用、融資等、利用客が訪れる目的は実に様々である。

 今日も慌ただしい銀行の店舗内に1人の女性の姿があった。ウェーブのかかった長い髪、物静かな印象の女性である。

 銀行の制服に身を包んでいるこの女性の名前は松上愛菜。地方銀行に勤務している銀行員であり、主に窓口の接客業務を担当している。

「ご利用有り難うございました。またのご利用をお待ちしています」

 用件を済ませた利用客に対して、柔らしい笑みと共に感謝の言葉を述べている愛菜。一方、利用客もまた、機嫌良く銀行の店舗を後にする。

「番号札103番の方、3番窓口までどうぞ」

 先程の利用客の手続きを全て終えた後、次の利用客を自身の担当している窓口まで案内する愛菜。

 このようして、窓口に訪れるお客様を1人1人懇切丁寧に対応する。それが現実世界で生きる愛菜の仕事であった。

 

 全てが電子情報で構築されているデジタルワールド。ある意味、全てが物質で構築されている現実世界とは対を成している存在と言えるだろう。

 そのようなデジタルワールドにおいて、ダークエリアと呼ばれているエリアが存在している。

 電子情報世界におけるダークエリア。それは現実世界で例えるのであれば、冥界あるいは黄泉の国と言っても過言ではないエリアである。

 そのようなダークエリアの出入口、それは現世と冥界の境界と呼べる場所と言っても過言ではない。そして、そこには1体のデジモンの姿があった。

 まるで境界の番人のようにダークエリアの出入口の前に立っているデジモン、人の身体に犬の顔、まるでエジプト神話に登場するアヌビス神のようである。このデジモンの名前はアヌビモン、究極体の神人型デジモンである。

 そのようなアヌビモンの仕事。それは消滅したデジモンの霊魂とも言えるデジコアの善悪を判断した上、生前の行いに相応しい処置を施すことである。日本で言えば、閻魔の役割を担っていると言えるだろう。

「さて、次の案件に映るか」

 そのように言った後、次の案件の準備をしているアヌビモン。次にアヌビモンが担当する案件であるが、生前に罪を犯した2つのデジコアであった。

 配下からの報告によれば、この2つのデジコアは2体のデジモン達に憑依した挙句、デジタルワールドで争いを引き起こしたとされている。その後は心ある者によって、討伐されたと記録されている。

 やがて、アヌビモンの目の前に現れるデジコア。早速、仕事を始めようとするアヌビモンであるが、あることに気がつく。

「デジコアが1つだけだと……?」

 目の前に現れたデジコアを前にして、険しい表情を浮かべている中、そのような言葉を発しているアヌビモン。

 本来、この場に現れなければならないデジコアは2つである。だが、実際に現れたデジコアは1つだけであったのだ。これはどう考えてもおかしなことであった。

「まずいな……」

 異常な事態が起こっている中、冷静な姿勢を維持しようとしているアヌビモン。この場にいないもう1つのデジコア、一体どこに消えてしまったのだろうか。

 デジタルワールドのダークエリアで起こった事件。本来であれば、起こってはならない事態である。

 この事件は当のデジタルワールドだけではなく、現実世界にまで波及することになるとは誰も知る由もなかった。

 

 山陰地方の街中に建っているアパート。このアパートは街中にあるものの、賃貸料が比較的安い上に部屋の設備も整っているため、人気の物件として注目を集めていた。

 そのようなアパートの玄関前、そこには銀行での仕事を終えた後、買い物を済ませて帰宅した愛菜の姿があった。

「ただいま」

 早速、アパートの扉を開けた途端、帰宅の挨拶をしている愛菜。だが、愛菜の帰宅の挨拶に返事をする者は誰もいない。

 何故ならば、このアパートには愛菜以外に誰もいないからだ。そう、愛菜は実家を離れて、1人暮らしを営んでいるのであった。

 アパートに帰宅した後、自身で調理した夕食を食べると、テレビ番組を視聴している愛菜。ごくありふれた日常の風景である。

 そうした最中、リビングに設置されているパソコンが急に起動する。当然のことであるが、愛菜自身、パソコンの電源を入れていない。

 さらに起動した愛菜のパソコンであるが、画面には0と1で構成された文字列が映し出される。まるで何かのプログラムが作動したかのようである。

「えっ?ど、どういうこと?」

 突然起こったパソコンの暴走を前にして、驚きと戸惑いを隠せないでいる愛菜。このようなことは生れて初めてのことであった。

 すると、リビングに設置されたパソコンの画面からは眩い光が発せられる。その光量はまともに直視できないほどである。

 眩い光が消失した後、パソコンの光の中から現れた物、それは大きな卵であった。しかも、その卵の表面には何かの文様が描かれている。

「どうして、卵が……?」

 目の前に出現した卵を眺めている中、呆然とした表情を浮かべている愛菜。このような出来事はあまりにも常軌を逸しているからだ。

 さらに言えば、この卵は一体何の卵なのであろうか。愛菜には理解できないことが立て続けに起こっている。

 すると突然、目の前の大きな卵にヒビが入る。やがて、卵に生じたヒビは徐々に大きくなり、ついには完全に砕け散ってしまう。それと同時に卵の中から何かが姿を現す。

 砕け散った卵の中から現れた者の正体についてであるが、それはスライムに羽根が付属した不思議な生物であった。

 当然のことであるが、愛菜自身、目の前に現れた生物のことを知らなかった。何故ならば、目の前に現れた生物は愛菜の生きる現実世界の存在ではなく、デジタルワールドと呼ばれる世界に生きる生物、デジタルモンスターことデジモンであったからである。

 さて、卵から孵化したデジモンについてであるが、このデジモンの名前はププモン、幼年期のスライム型デジモンである。

「この生き物は?」

 初めて見る生物を前にして、問いかけるように言っている愛菜。あまりにも常識を逸脱した出来事が続けて起こったため、愛菜の頭は現実的な思考を手放していた。

「~~♪」

 一方、嬉しそうな表情で愛菜にすり寄ってくるププモン。そのようなププモンの態度についてであるが、まるで母親あるいは姉に出会ったかのような態度である。

「この子……」

 そう言った後、ププモンを胸に抱いてみせている愛菜。それと同時に愛菜はププモンが好意を抱いていることを理解する。

 この子を今の状態にしていてはいけない。直感的にではあるが、そのような確信を愛菜は抱いていた。

「よろしくね」

 ププモンのことを優しく抱いている中、慈愛に満ちた表情で語りかける愛菜。対するププモンもまた、満面の笑みを浮かべていることにより、愛菜の言葉に答えているかのようであった。

 このようにして、一緒の時間を過ごすことになった松上愛菜とププモン。今、現実世界とデジタルワールド、2つ世界を結ぶ物語が始まろうとしていたのであった。

 

                                    つづく

 

補足

 

名前:ププモン

種族:スライム型デジモン

属性:なし

進化レベル:幼年期

必殺技:毒の泡

泡のような軽い身体と薄い羽が特徴的な幼年期のスライム型デジモン。少し大きめの目は動きに対して反応が高く、何かあれば、その場から素早く逃げてしまうことがある。但し、臆病な性格と言う訳ではなく、意地悪をされれば、反撃を仕掛けてくることがある。必殺技は「毒の泡」

 

名前:アヌビモン

種族:神人型デジモン

属性:ワクチン

進化レベル:究極体

必殺技:アメミット

エジプト神話に登場するアヌビス神を彷彿とさせる姿をした究極体の神人型デジモン。消滅したデジモンの魂を司る役割を担っており、数多く存在しているデジモンの中においても、その権限と責任は極めて大きいものがある。必殺技は怪物を召喚して悪のデジモンの魂を浄化する「アメミット」




皆様、はじめまして。私は疾風のナイトと言う者です。
今回投稿させていただきました小説ですが、テレビアニメ「デジモンアドベンチャー02」を題材にした小説です。
私はデジモン作品を題材とした小説作品を創作することを趣味としてきました。
これまでは主にリアルでの作品紹介が主でしたが、新しく組み上げた作品を投稿することにしてみました。
色々と実験的な意味合いが強い作品ですが、今後ともよろしくお願いします。
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